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松田道雄訳貝原益軒”養生訓”紹介-巻一総論上序文人のからだは等

令和 3年10月 7日(木):初稿
○令和3年RU(ライジング・アップ、異業種交流会)会長は、仙台市出身のピアニスト・作曲家・編曲家で有名な榊原光裕氏ですが、大変な勉強家です。RUは令和2年からはZoom形式で行っていますが、人間の身体をテーマに呼吸法から始まり、種々の健康法を紹介して頂き大変勉強になっています。

○その中で貝原益軒の健康法概略を紹介して頂き、貝原益軒の健康法は「接して洩らさず」位しか知らなかった私は、あの時代にそこまで広く、且つ、深く考察してことに驚嘆しました。そこで松田道雄氏訳貝原益軒「養生訓」(中公文庫)を購入して読み始めています。以下、冒頭部分を紹介します。

貝原益軒
1630年生まれ。江戸前期から中期にかけての儒学者、博物学者、教育家。筑前福岡藩主黒田家に仕えた。藩費で10年間京都に遊学する間に、朱子学者、博物学者と交際し、上方に興りつつあった経験・実証主義思潮に触れたのが、その後の学風に生かされた。膨大な編著は各方面にわたり、儒学では『大疑録』、博物学では『大和本草』『花譜』『菜譜』などが知られる。晩年には『養生訓』『大和俗訓』など多くの教訓書を書いた。1714年没。

松田道雄
明治41年(1908)、茨城県生まれ。昭和7年、京都帝国大学医学部を卒業、小児科教室に入る。昭和12年より府立西ノ京健康相談所に勤め、結核患者の診療をおこなう。昭和22年に京都で小児科を開業。診療のかたわら、ロシア思想を学び、思想史家としても知られる。著書に『私は赤ちゃん』『育児百科』『洛中洛外』など多数。平成10年(1998)没。

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巻一
総論 上
人のからだは


人間の体は父母をもとにし、天地をはじまりとしたものである。天地・父母の恵みを受けて生まれ、また養われた自分のからだであるから、自分だけの所有物ではない。天地からいただいたもの、父母の残して下さったからだであるから、謹んでよく養って、痛めないようにして、天寿を長く保つべきである。これが天地・父母に仕える孝の本である。

自分のからだに備わっているものは、小さな皮膚や髪の毛でさえ、父母から受けたものだから、むやみに痛めるのは不幸である。まして大きな生命を、自分ひとりのものと思って、慎まず、思うままに飲食・色欲にふけって、元気を損ない、病を求め、もって生まれた天寿をちじめて、早く生命を失うことは、天地・父母への最大の不幸で、愚かなことだ。

もっぱら父母・天地に孝をつくし、人倫の道を行い義理にしたがって、出来ることなら幸福になり、長生きして喜び楽しむことが、誰も願うところでないか。こうなろうと思ったら、まずさきにいった道を考え、養生の術を学んで健康を保つことである。これが人生でいちばん大事なことである。

養生とは
庭に草木を植えて愛する人は、朝晩心にかけて、水をやったり、土をかぶせたり、肥料をかけたり、虫を取ったりして、よく養い、その成長を喜び、しおれるのを悲しむ。だが草木はごく軽いものだ。自分のからだは至って重い。どうして自分のからだを草木ほどにも愛さないでいいことか。

身を慎み、生命を大事にするのは、、人間最大の義務である。

内欲と外邪と
養生の術は、まず自分のからだを損なうものを遠ざけることである。からだを損なうものは、内欲と外邪とである。

内欲_ 飲食・好色・眠り・しゃべりまくりたい欲と七情の欲(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)

外邪_ 天の四気(風・寒・暑・湿)

内欲をこらえて少なくし、外邪を恐れて防ぐのである。こうすれば元気を損なわず、病気にならず天寿を保つだろう。

以上:1,494文字

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