平成28年12月20日(火):初稿 |
○「”父・上原謙の最期と理想の死に方”雑感」に「亡くなる前日寿司を三人前食べるほど元気な82歳で、突然亡くなった上原氏は,正に『ピンピンコロリ』で私が理想とする死に方でしたが」と加山雄三氏実父上原謙氏の「理想の死に方」を記載していました。 ○平成28年10月22日、名優平幹二朗氏が、上原謙氏と同じ82歳で亡くなっていることを長男で俳優の平岳大氏に発見されたとのニュースが駆け巡りました。「平さんは、亡くなる直前までお元気でドラマにも出演し、来年の舞台出演も決まっていた」とのことで、正に「ピンピンコロリ」の亡くなり方でした。 ○この平幹二朗氏について、以下の「平幹二朗さんにみる理想の『逝き様』」という記事を発見し、大変、勉強になりました。60代が多い私の友人達には、80代後半・90代で介護老人となった親の介護で大変苦労している方が相当居ます。私の両親も亡くなる5,6年前から認知症で世話をする姉夫婦がその介護に大変な苦労をしてきました。 ○そこで私は、自力で生きられない、他人の世話が必要な介護老人になったら速やかに介護施設に入り、決して家族には迷惑はかけないと宣言していますが、一番の理想は『ピンピンコロリ』です。生来虚弱体質の私は、80歳まで生きられるか不明ですが、上原氏や平氏のように『ピンピンコロリ』で逝けるように涙ぐましい健康努力は継続していきます(^^;)。 ******************************************** 平幹二朗さんにみる理想の「逝き様」 毎日新聞2016年12月17日 石蔵文信大阪樟蔭女子大学教授 年の瀬も近いので、今年印象深かった話題、名優の平幹二朗さん逝去を考えてみたい。今年10月、1人暮らしの平さんと連絡がつかないことから俳優で長男の平岳大さんが訪れたところ、浴槽にて心肺停止の状態で発見されたそうである。享年82であった。 冬場に増える入浴中の死亡事故 国民生活センターの調査では、冬、特に12月と1月の入浴中に死亡事故が多く、交通事故の死亡者(2015年は4117人)の3倍以上、年間1万4000人の方が入浴中に亡くなっていると推定されている。しかも、65歳以上の高齢者が85%で、その中で65~74歳が約27%であるのに対し、75歳以上が約73%と圧倒的に多くなっている。 原因として考えられるのが、入浴前後の血圧の急激な変化(ヒートショック)である。冬は脱衣場や一番風呂の浴室内の気温が低く、血管が収縮して血圧は上昇する。そこでぬるめの湯に入ると血管が拡張して血圧は下がるのだが、熱い湯だとさらに血圧が上がる可能性がある。入浴を終えて再び寒い脱衣所に出ると、また血圧が上がる、という激しい血圧の変化と脱水で脳卒中や心筋梗塞(こうそく)が起こりやすくなる。血圧の変動によるめまいや失神で転倒して溺死する可能性もあり、実際入浴中の突然死のうち溺死が20%、病死が80%と言われている。特に日本のような湯船にどっぷりつかる入浴法はシャワーより危ないので、気になる方はシャワーだけにした方が無難であろう。 冬の寒さが厳しい福井、山形、富山などでは入浴中突然死の発生率が高いのだが、厳寒の北海道では全館暖房が普及しているため、入浴中突然死はそれほど多くないようである。入浴時の注意点は、脱衣場と浴室を十分暖かくしておくことで、そのためには高齢者は一番風呂を避けたほうが良いだろう。風呂に入る前に水分補給をし、湯の温度を血管が拡張してリラックスできる38~40度くらいにし、半身浴が良い。 生き様・逝き様に感服 ここまでは冬の入浴についての常識的な話だが、別の視点から、平幹二朗さんの亡くなり方について私なりに考えてみた。 誰もがやがて人生の最期を迎えるという事実に目を向けず、健康ばかり気にしている人が多いようである。ところが、最期を迎えるまで健康でいられる人は、悲しいかな多くはない。平さんは、亡くなる直前までお元気でドラマにも出演し、来年の舞台出演も決まっていたという。志半ばで残念だったとは思うが、逆に言えば人生の最期までやることがあり、それを続けられたのだからうらやましい限りである。 さらに周囲に誰もいない「孤独死」だったようだが、考えようによっては病院に搬送されて無理な治療を受けずに済んだともいえる。また、家族やスタッフとのコミュニケーションが取れていたので、すぐ(たぶん翌日)に発見されたことも良かった。周囲との接触がない男性が孤独死した場合は白骨化するまで見つからないこともある。逆に、周囲とのコミュニケーションが盛んな女性は早く発見されやすいようだ。 平幹二朗さんという大名優を失ったことは本当に残念だが、その生き様・逝き様には大いに感服させられた。 石蔵文信大阪樟蔭女子大学教授 いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から現職。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う。 夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。 以上:2,439文字
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