平成28年12月19日(月):初稿 |
○「平成28年12月15・16日安倍・プーチン会談の評価は?」の続きです。 この記事について、投稿フォームから何件かご意見を頂きましたが、いずれも安倍首相の見通しの甘さを指摘する否定的評価の意見でした。平成28年12月18日午後9時15分から50分間放映された「NHKスペシャル『スクープドキュメント 北方領土交渉』」も見ました。 北方領土問題を巡り、首脳会談で新たな一歩を踏み出した日本とロシア。ことし5月以降、議論を本格化させてきました。一連の交渉は秘密裏に進められ、情報が極めて限られています。番組では、関係者の証言などから、交渉の一端とその裏側にある両国の思惑を浮かび上がらせていきます。「最後の戦後処理」とも呼ばれる北方領土問題を含めた日ロ交渉。その舞台裏に独自取材で迫りますとのことです。 ○今回の共同経済活動開始との結論は、安倍首相一人で行ったものではなく、安倍首相の命を受けた政府担当者の一団が事前にロシア側政府担当者と相当厳しい協議を重ねた結果、日本側担当者の間でも種々の意見があったところ、最終的に安倍・プーチン両首脳の決断で出されたことは判りました。安倍・プーチン両首脳差しでの95分会談内容はいまいち判りませんでした。 ○安倍首相は、私の代で北方領土問題は解決したいと大見得を切りましたが、その任期は平成30年9月までであと2年を切っています。この1年9ヶ月の間に北方領土問題を解決するとの宣言ですが、日本の望む北方領土4島返還での解決がなされるとは、到底、思えません。 ○現在、北方領土には、ロシア人が、歯舞群島(ゼロ、国境警備隊のみ)、色丹島(約3000人)、国後島(約7900人)、択捉島(約5900人)住んでいるとのことで、1956年日ソ共同宣言で平和条約締結後返還を約束されたという色丹島でさえ、最近、ロシア政府の肝いりで開発が進んでいるとのことで、おそらく住民の殆どが返還に反対のはずです。 ○その住民を追い出して日本に返還することは、到底、不可能なことは明白です。安倍首相もそれ故従来の発想に捕らわれない新しい発想でと盛んに強調して、「特別な制度」の枠組みを作るとのことで、北方領土での共同経済活動は“これまでにない特区のような制度”であることを明らかにしました。 ○NNNが行った世論調査で日露首脳会議で合意された8項目の経済協力について、北方領土問題の解決につながるとは思わないと答えた人が50%を超え、一方北方4島で共同経済活動を行う方向で合意したことについては評価するが44.6%と評価しないを上回ったとのことです。 ○私自身、北方領土問題は全く不勉強ですが、このまま何もしないでは、日ロ間の交流は深まらず、北方領土問題の解決が遠のくばかりであることは明白です。たとえ将来、完全な返還ではない日ロ共同管理地になったとして、日本人が自由に北方領土に行けるようになり、ロシア人と一緒に住めるようになり、いわば北方領土が日本とロシアの友好親善象徴の土地になれば、それで十分でないかと思っています。その意味では私も、「共同経済活動を行う方向で合意したことについては評価する」方になります。 ○ロシアに負けた訳ではありませんが、日本が戦争に負けた結果、力で北方領土を奪われたことには違いありません。力で奪われた物は力で取り返すのが原則であり、それを力を使わず即ち戦争をせず血を流さないで取り返すには、お金を出すしかないでしょう。その意味で共同経済活動は、失った北方領土の一部でもお金で取り返すことであり、やむを得ないと思われます。 以上:1,546文字
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