仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 事務所 > 大山滋郎弁護士ニュースレター3 >    

2022年07月01日発行第320号”クラフト弁護士”

令和 4年 7月 1日(金):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和4年7月1日発行第320号「クラフト弁護士」をお届けします。

○日弁連業革委員会に所属していた頃、弁護士事情視察のためアメリカのサンフランシスコ・フランス・ドイツ等に視察旅行に行き、本場のビールやワインを味わってきましたが、その味の違いなど全く判りませんでした。大山先生の話では、ドイツではジョッキの上部に線が引いてあるとのことですが、全く気付きませんでした。

○ですからビールジョッキ上部の線の意味について2つの解釈があるなんて全く初耳です。いつものことですが大山滋郎弁護士ニュースレターはホントに勉強になります。ウィキペディアでビールジョッキ解説を読んでも、ジョッキの上部に線が引いてあることまでは記述されてません。ドイツ不思議発見「グラスの目盛り」というブログに解説がありました。

○フランスのデパートのワイン売り場で1本120万円の値がついているワインを見て驚いたことがありますが、「「クラフトワイン」の場合は、かなり常識はずれの値段が付いているようです」との解説を読んでその理由がよく判りました。もっとも、私が1本120万円のワインを飲んでも、1000円のワインとの違いは判らないはずですが。

*******************************************
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

クラフト弁護士


大学で法律の勉強を始めたころ、教授がドイツのビールジョッキについて話してくれました。ジョッキ一杯に注がれたビールが泡ばかりだった場合、「ビール提供契約」の「履行」に当たるかという話です。ドイツではジョッキの上部に線が引いてあります。その線より下まで泡があるのは許されないのだと、教えてくれました。学生のころからずっとこの話を覚えていて、散々人々に披露してきたのです。ところが少し前に、ビール会社に勤めていた方から、全く反対の話を聞きました。ビールを美味しく飲むには、泡の存在が欠かせない。大切な泡確保するために、最低限その線までは泡を入れろという目印が、ジョッキの線だということです。「えー、全く逆じゃん!」と、驚いたのです。ジョッキの線でも、正反対の解釈が可能です。人によって、法律・契約を全く違うように解釈するのも、やむを得ないなと感じたのです。

ビールと言えば、最近クラフトビールが流行っているようです。これは、クラフトマンシップ=職人芸で作られるビールのことです。少量のビールを、原料を吟味して、昔ながらの製造方法で、こだわって作り上げます。これはこれで凄いのですが、大手ビール会社の人によると、クラフトビール製造はある意味気が楽なんだそうです。もともとお客さんも、製造年ごとの品質のバラツキなど、問題視しないんだそうです。良くできたときには褒めてもらえます。

それに対して、スーパードライとか一番搾りとなりますと、常に同じ品質と味を提供しないといけない。私みたいな味音痴にはわからなくても、わずかな味の違いを指摘してくるようなお客様もいるんですね。全世界から麦やポップを調達するなど、味を一定に揃えるために大変な努力が必要とのことでした。ただ、「標準化」を目指すなら、「最高品質」とするのは無理ですよね。一方、クラフトビールの場合は、基本的に地元の小麦など使うので、年によって味にバラツキが出ることは避けられません。

と、ここまでがビールの話ですが、こういうことはワインの世界にも当然にありそうです。ワインの場合も、低価格ワインは、全世界から原料を調達します。さらに、温度・湿度管理などされている工場で、巨大なステンレスタンクにいれて、醸造するそうです。これなら、品質が一定化するわけです。一方、こだわりのワインの場合は、クラフトビールと同じことが起こります。単一畑のブドウしか使わないなんてワインでしたら、そのときのブドウの良し悪しで、ワインの出来が大きく変わります。伝統的な作り方ですと、気候によって味も違ってきます。そうなると、ビンテージということで、出来の良い年のワインに、高い値段が付くことになるんですね。もっとも、クラフトビールも普通のビールよりかなり高いのは確かですが、「クラフトワイン」の場合は、かなり常識はずれの値段が付いているようです。

と、長々と書いてきましたが、今回は法律事務所について、「クラフト弁護士」とは何か検討してみます!日本には、大企業のように、「品質管理」された法律事務所はありません。かなり大きな事務所でも、まだまだ個々の弁護士の寄せ集めという性質を有しています。そうは言いましても、大きな事務所になるほどに、事務所として、「複数の弁護士による、サービスの標準化」を考えていることも事実です。ワインの原料ではないですが、弁護士も世界から調達!しています。これに対して、個人事務所のような小さな法律事務所の場合には、まさにその弁護士の「クラフトマンシップ」が問われることになります。凄い人は本当に凄いし、人権問題などやりがいを感じる事件だと、普段以上の力を発揮します。ただ、こういう「クラフト弁護士」の場合、そのときの調子や、事件の内容によって、品質にばらつきが出て来るのも確かです。ワインと同じで、有名な「クラフト弁護士」も、ビンテージによっては出来が悪いときもあるのです。

*******************************************

◇ 弁護士より一言

ワイナリー見学で、色々と面白いことを教えてくれます。ステンレスの巨大タンクで作るワインは、邪道みたいに感じていましたが、樽に使われている木の風味無しで、ブドウだけの味わいを楽しむには、かえって良いそうです。さらには、そんなステンレスタンクの中に、木のチップ入れて、香り付けするなんていうのもあるそうですが、私には違いが分からないのです。
以上:2,450文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック
※大変恐縮ながら具体的事件のメール相談は実施しておりません。

 


旧TOPホーム > 事務所 > 大山滋郎弁護士ニュースレター3 > 2022年07月01日発行第320号”クラフト弁護士”