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2022年03月01日発行第312号”セールスマンの弁護士”

令和 4年 3月 1日(火):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和4年3月1日発行第312号「セールスマンの弁護士」をお届けします。

○大山先生、因果関係不明ながら、コロナワクチン接種後、髪と眉毛が抜けてしまったとのこと、ホントに災難でした。しかし、厚労省HPに掲載されている「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要(コミナティ筋注、ファイザー株式会社)」によると、コロナワクチン接種後公表されているだけで、令和3年2月17日から令和4年1月23日までに1382の死亡例が報告されています。全てコロナワクチン接種と死亡の因果関係は不明とされています。因果関係を認めたら国に補償責任が生じますので、認めるはずがありません。死亡例に比べたら、髪と眉毛が抜ける程度は不幸中の幸いとの評価もできます。

○シャイで何事にも控えめな私は、「セールス」は大の苦手です。日弁連業革委員会の事務所経営PTでは、経営安定には顧問会社獲得が一番とのことで、顧問会社獲得のための勉強会を重ねています。顧問会社獲得数の多い事務所例を集めていますが、獲得例での徹底した「セールス」努力には驚きの連続で、私にはとてもついて行けず、PT自体から脱落してしまいました。

○売り込み即ち「セールス」は商売の基本・原点であり、大変重要なことは、頭では判っています。しかし、私の場合、訴訟手続等を依頼された企業のお客様に対し、私との顧問契約を勧めたことは、42年の弁護士生活で一度も無く、今後もそのつもりはありません。企業法務を専門にしていないとの負い目があるからです。それでもお客様企業の方から顧問契約を締結してくれた有り難い顧問先企業は、まだ10数社あり、私なりに誠実に努めてゆきたいと思っております。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

セールスマンの弁護士


ダジャレのタイトルで済みません。「セールスマンの死」は、米国現代演劇の古典で、日本でも頻繁に上演されています。少し前に、風間杜夫・片平なぎさの舞台を観に行ったんですが、4月には段田安則・鈴木保奈美で上演されます。

妻と2人で暮らす、63歳のセールスマンが主人公です。セールスマンの仕事に誇りを持っていた主人公が、売ることができなくなる中、精神的におかしくなっていく。妻は、そんな夫が自殺するのではと心配している。そこに、家を離れていた2人の息子が戻って来る。舞台の上で、現在と過去が交錯し、最後に主人公が自殺するまでの24時間を描いたドラマです。

本当に素晴らしい劇で、私なんか米国と日本で、これまで4回見に行ってます。そんな凄い劇ですけど、その一方、劇の中での「セールスマン」に対する扱いは、どうにも不当です。自殺した主人公の葬式に参列した隣人が、「セールスマンというのは、浮き草稼業で、売れなくなったらおしまいだ」みたいに主人公の仕事について総括します。おそらくこれが、作者の意見でもあるのでしょう。この隣人は経営者でした。

また、隣人の息子は、昔は主人公の息子の子分みたいだったのに、今では弁護士として活躍して、若くして米国最高裁で弁論するまでになっています。一応解説しておきますと、最高裁で弁論するというのは、本当に凄いことなんです。恥ずかしながら私なんか、まだ一度もしたことありません。

考えてみますと、法律を勉強してきた人は、売り込みをすることに苦手意識を持っているようです。以前、私が企業で法務を担当していたとき、法律関係の仕事を希望している人たちの面接をしたんです。何人かの応募者から、「将来、セールスをやれと言われることはないでしょうか?」なんて聞かれたものです。自分で法律事務所を始めると、新人弁護士の面接をするようになりました。面接の場で上手くアピールできない人は、「セールスマン」に対する偏見があるように感じてしまいます。「本当の自分」を見て貰えればいいのであり、「売り込み」みたいなことをするのは、恥ずかしいことだと思っていそうなんですね。

しかし、独立した弁護士としてやっていくには、「セールスマン」の能力は必要不可欠です。「法律事務所の経営者1人に対して、自分を売り込めない人が、様々な顧客に対して自分を売り込めるわけがないでしょう!」と、応募者に教えてあげます。それでも、売り込むことへの苦手意識は、なかなか無くならないように感じています。

もっとも、少し前までは、弁護士の数が少なかったので、「セールスマン」の能力が無くても、大して困らずに仕事の依頼が来ていたのが実情です。弁護士の数が増え、競争が厳しくなる中で、「法律一筋」みたいな弁護士が独立してやっていくのは難しくなってきました。そう言う中で、組織の中に入って、自分の得意分野で勝負できる「サラリーマンの弁護士」になる人が増えてきているのが、今の弁護士業界です。

企業法務で活躍する弁護士は、凄い勢いで増えています。私も会社の法務部門に居たので、これは素晴らしいことだと思います。実際、企業で扱う案件は、一般の弁護士事務所の事案に比べて、はるかにスケールが大きくて、やりがいのあるものが多いのです。しかし、「セールスマン」になるのが嫌だから「サラリーマン」になるというのなら残念な気もします。本当は弁護士の助けが必要なのに、気が付いていない人は沢山います。そんな人達に、「こんなサポートができますよ!」と売り込める、「セールスマンの弁護士」になりたいものです。

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◇ 弁護士より一言

因果関係は分かりませんが、コロナのワクチン後、髪と眉毛が抜けていました。妻と娘からは、「眉毛が無 が無いと人相が悪くなる」、「抗がん剤を使っていると思われちゃう」とさんざん言われました。心配になって行った大学病院の先生からは、「大丈夫」という言葉と共に言われました。「若い娘さんなら、少々リスクはあっても、毛を生やす治療しますけど、あなたの場合は良いですよね」わ、私だって、「セールスマンの弁護士」として、外見を大事にしたい。でも、「はい、もちろんです!」と答えていたのでした。。。
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