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令和 2年 8月17日(月):初稿 |
○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和2年8月16日発行第275号「弁護士の夢十夜」をお届けします。 ○余り小説を読まない私も、夏目漱石の「夢十夜」は、大昔、呼んだ記憶がありますが、覚えているのは、冒頭「こんな夢を見た」だけで、中身は忘却の彼方でした(^^;)。 ○私も良く夢は見ますが、大半の夢は、目が覚めると中身が思い出せなくなっています。しかし定期的に見る夢で、中身もよく覚えている夢は、数十年前までは、司法試験に落ち続け、長々と受験勉強を続けている夢でした。ここ十数年は、弁護士になった後、弁護士更新試験制度ができて、10年に1回程度更新試験があり、更新試験に合格しないと弁護士資格が失われるところ、その更新試験に落ちて弁護士資格を失うとの、大変、怖ろしい夢です。 ○その夢のリアルな状況は、「驚愕!弁護士資格維持試験不合格で弁護士資格剥奪-但し、夢の中」に記載していましたが、同じような内容の夢を複数回見ています。 ○弁護士業務ができなくなって、どうやって生活していくかと追い詰められた状況が大変リアルな夢で、目が覚めてもよく覚えています。その恐ろしさ故に、弁護士資格を失わないよう判例等勉強を一生懸命継続しています(^^)。 ******************************************* 横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作 弁護士の夢十夜 お盆でコロナとなれば、誰も会社にはいないでしょう。好き勝手に、お気に入りの本のことを書かせて貰います。夏目漱石の「夢十夜」です。「こんな夢を見た。」という書き出しで始まる、十の話ですね。 第一夜は、こんな感じです。「こんな夢を見た。腕組をして枕元に座っていると、仰向けに寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。」子供の頃これを読んで、本当に感動したのを覚えています。文豪になるには、こんな魅力的な書き出しができないといけないんですね。そして、死ぬ間際の女に「百年待っていて下さい」と頼まれます。そこで、日が昇り沈む毎日を数えながら、女の墓の前で待っているうちに、自分は騙されたのではないかと疑い始める。そんなとき、お墓の前に真白な百合の花が咲きます。「百年はもう来ていたんだな。」とこの時始めて気がついたという話です。 理詰めで考えると、「何だこりゃ?」という気もしますが、漱石大先生が書くと、余韻のある、とても良い話に思えるのです。漱石先生と張り合うわけではありませんが、私も似たような夢を見たことがあります。裁判で負けた場合には、上の裁判所に不服申し立てができます。ただ、それについての書類は、一定期間に提出する必要があるんです。夢の中で私は、「まだまだ大丈夫」なんて、暢気に構えているんです。そんな中、あるとき不意に「あ、納期はもう来ていたんだ!」と気が付き、飛び起きました。な、情けない。 第三夜の話なんか、特に好きです。「こんな夢を見た。六つになる子供をおぶってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰れてれて、青坊主になっている」と始まります。子供を背負って山道へと入ると、やがて一本の杉の木の前に辿りつきます。すると子供が「御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね」と言います。「おれは人殺しであったんだなと始めて気がついた途端に、背中の子が急に石地蔵のように重くなった。」という、怖い話です。 私は、殺人は言うまでもなく、犯罪といえるようなことはしてませんが、交通事故を起こした夢は見ました。家に警察が来て、車を見せてくれと言います。「何だろう?」と思いながら、車を見せると、バンパーに血が付いています。そこで「俺は人を轢いたんだな」とハッと思い出したところで目が覚めるのです。あんまり怖いので、車は手放し、運転は止めることにしました。。。 夢十夜の最後は、こんな話です。「庄太郎が女に攫われてから七日目の晩にふらりと帰って来て、急に熱が出てどっと、床に就いていると云って健さんが知らせに来た。」この庄太郎さんは、「至極善良な正直者」なんですが、道行く女性の顔を眺めては、「そうしてしきりに感心している。」という、変な人です。庄太郎さんは、女性に崖に連れて行かれ「ここから飛び降りろ」と言われます。いつも観察されていた女性たちとしては、腹に据えかねたのでしょう。飛び降りることを拒否した庄太郎に、何万という豚が襲いかかって来ます。こ、これは怖い。庄太郎さんが現在生きていれば、たぶん「盗撮事件で捕まって、弁護士に依頼してくるのでは」と思ってしまいます。夢の中でも、人の怒りを買うことは慎みます。。。 ******************************************* ◇ 弁護士より一言 少し前の日経「私の履歴書」を、杉本博司が担当していました。ジオラマのシリーズの写真で有名になり、その後多方面で芸術家として活躍している凄い人です。妻は杉本先生の大ファンで、私も一緒に美術館など随分行きました。そんな妻の見た夢です。 朝起きると、杉本博司が家に来て「写真を撮りましょう」と言うんです。嬉しいけれど、起きたばかりで化粧もしていない。着ているのは部屋着です。身支度で杉本先生を待たせるわけにはいかないと焦ってしまい、「それなら脱ぎます!ヌードで良いので、ジオラマのシロクマのイメージでお願いします!」と言ったそうです。しかし気が付くと、いつの間にか杉本博司はいなくなっていた。「ああ、逃げられた。。。」と気が付いたところで、目が覚めたそうです。 わが最愛の妻ではありますが、あ、アホか!! 以上:2,335文字
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