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2016年04月16日発行第171号”弁護士の9マイル”

平成28年 4月16日(土):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成28年4月16日発行第171号「弁護士の9マイル」をお届けします。

○余り読書をしない私は、推理小説と言えば日本人作家でも江戸川乱歩氏・松本清張氏くらいしか思いつきません(^^;)。まして外国人作家の推理小説は、殆ど読んだことがなく、「九マイルは遠すぎる」なんて推理小説も全く知りませんでした。江戸川乱歩推理小説は、小学校のとき子供用に編集されたものを結構読み、松本清張氏の推理小説は、「点と線」から始まり、中学生から高校生に抱えて随分読み漁りました。推理場面より男女の濡れ場の場面を繰り返し読んだ記憶がシッカリ残っています(^^;)。

○「多くの弁護士が、事件のことを話しながら歩くことなどよくあります。」との指摘にはギョッとしました。特に弁護士同士では、固有名詞は出さなくても、不用意に事件の内容を話すことが、日常茶飯事的にあります。しかし、誰かにふと漏れ聞かれる可能性があることを思うと、時と場所をわきまえて話す注意が必要でしょう。ここまで気を配る大山先生には脱帽です。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の9マイル


「九マイルは遠すぎる」というのは、今から70年ほど前に作られた、推理小説の古典です。いまだに、文庫本で読むことができる、名作です。ふと漏れ聞いた、道行く人の会話から、殺人事件を解決する話です。「9マイルも歩くのは大変だ。雨の中ならなおさらだ。」というのが、漏れ聞いた言葉です。「こんな言葉から、一体何をどう推理するんだよ?」と思いますよね。私もそう思いました。でも、推理できちゃうのです!

「9マイル」というのは、14キロほどです。常識的には、歩く距離ではないでしょう。タクシーや、電車やバスを使う距離です。それなのに、雨の日にわざわざ歩かないといけない。これはおかしいだろうと、推理していきます。交通機関が使えない時間帯(真夜中から朝早い時間帯でしょう)に、雨の中、何が何でもいく必要のある用事がある人の言葉に違いないということです。

次に、「9」マイルというところにも着目します。通常は、正確な距離など、気にしない方が普通ですよね。そうであれば、「9」マイルと言わずに、丸い数字で「10」マイルと言うはずだと推理が続きます。うーん、そんな気もしないでもない。「9」マイルというからには、明確に距離を調べたはずだとのことです。そして、このように距離を明確にするのは、市役所や駅といった公共の場所に、どこかから行く場合だと推理します。公共の場所から、誰かの自宅などに行く場合には、そんなに明確な距離は考えないだろうということです。うーん。ホンマかいな。。。

こんな風に推理を続けて、朝早い時間に、駅に電車が到着するが、その駅からちょうど9マイル離れたところにホテルがあると判明します。そのホテルに宿泊している人が、誰にも気付かれずに、歩いて行ったに違いないと、さらに推理が続くのです。そこで調べると、その電車内で、殺人事件が起こったと判明します。おいおい、これは「推理」じゃなくて「妄想」だろうと、突っ込みを入れたくもなります。でも、面白い!

弁護士というのは、「言葉」で勝負する仕事です。ちょっとした言葉をとらえて、依頼者の為に何か使えないかと、常に考えることが大切です。そんなわけで、私も街行く人の言葉に耳を澄ませるようにしています。少し前に、制服の女子高生達とすれ違ったときに、「本当に嫌だよ。デブなだけでなくて、ハゲだよ。」という言葉が聞こえました。思わず「私のことか?」と心配しちゃいましたが、たぶん違います。(と、思いたいです。。。)推理しようかなと思いましたが、あんまり良さそうな話でないのでやめました。

スーツを着た二人連れの男性の言葉を漏れ聞いたこともあります。「やはりカレーか。キーマカレーなら味付けは?」これは悩みました。「カ、カレーに毒を入れて、殺人事件をたくらんでいるのでは?」と、警察に通報しようか3日ほど悩んだのです!

あんまりアホなことばかり書くと、顧問先の皆様に見捨てられそうなので、このくらいにします。ただ、弁護士の仕事では、相手方が不用意に漏らした言葉から推理することは、大切なことです。和解の席などで、相手方がどの程度まで譲歩するつもりがあるのかなど、大切な情報をつかむことができたりします。

その一方、私もそうですが、多くの弁護士が、事件のことを話しながら歩くことなどよくあります。ついつい夢中になってしまい、「9マイル歩くのは大変だ」みたいな重要情報を垂れ流しにしているかもしれないのです。お客様の為に、本当に小さなことにも神経を張り巡らせる弁護士になりたいものです。

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◇ 弁護士より一言

中学生の娘からの質問です。「角度のマイナスって、どういう意味か分からない。」とのことでした。
そこで、「こうやってお辞儀するのが30度だろ。」と、実演したんです。「お辞儀するどころか、こうやってふんぞり返ると、マイナス5度になるじゃないか!」すると娘が言いました。「そうか!マイナスって、パパのいつものお辞儀のことなんだね。」
そ、そうじゃないだろう!でも、娘にそう思われていたなんて。は、反省します。。。
以上:2,265文字

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