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2015年10月16日発行第159号”恋愛の倫理・結婚の倫理”

平成27年10月16日(金):初稿
横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成27年10月16日発行第159号「恋愛の倫理・結婚の倫理」をお届けします。

○大山先生のニュースレターは、月に2回PDFファイルで配信して頂きますが、いつも楽しみにしています。教養不足の私にとっては、少しでも教養を増やして貰え,大変,ためになるからです。今回も,ジェイン・ジェイコブズというアメリカ合衆国の女性ノンフィクション作家・ジャーナリストの著作「市場の倫理 統治の倫理」を教えて頂きました。

○倫理と言う言葉の意味は,goo辞書では、「人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。」と解説されています。弁護士業界には,昔,弁護士倫理,今は,弁護士職務基本規程と言う弁護士として守るべき規範があります。この弁護士職務基本規程は、違反すると懲戒処分をうけるものがありますので、単なる道徳ではありません。

「yosuke のはてなブログ」「市場の倫理と統治の倫理 」に2つの倫理観をリスト化したものが掲載されていました。
A型倫理 (市場の倫理)

暴力を締め出せ
自発的に合意せよ
正直たれ
他人や外国人とも気安く協力せよ
競争せよ
契約尊重
創意工夫の発揮
新奇・発明を取り入れよ
効率を高めよ
快適と利便さの向上
目的のために異説を唱えよ
生産的目的に投資せよ
勤勉なれ
節倹たれ
楽観せよ

B型倫理 (統治の倫理) 占取

取引を避けよ
勇敢であれ
規律遵守
伝統堅持
位階尊重
忠実たれ
復讐せよ
目的のためには欺け
余暇を豊かに使え
見栄を張れ
気前よく施せ
排他的であれ
剛毅たれ
運命甘受
名誉を尊べ
○弁護士倫理を含む弁護士職務基本規程は、大山先生なら、市場の倫理・統治の倫理、いずれに分類されるか、興味あるところです。


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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

恋愛の倫理・結婚の倫理


体育も音楽も、実技はダメでしたが、ペーパーテストは得意だったのです。というわけで、恋愛についても、「実技」は全然ダメでしたが(な、情けない。。。)、いろいろ考えるところはありました!

恋愛の場合は、相手を他の人に取られた場合でも、取った人を訴えて、損害賠償を請求するなんてしませんよね。それどころが、振られた人の方が、「男を磨いて、出直してこい!」みたいなことまで、言われちゃいそうです。ところが結婚となりますと、まったく違ってきます。結婚している人を奪うのは、不倫による不法行為であり、慰謝料を請求されても当然と思われていますよね。「振られた奴が悪いんだ。」なんて、普通の人は言いません。同じ男女間のことで、何故、恋愛と結婚でこんなにも、人の意識や法律が違うのか、私はかねがね不思議に感じていたのです。

ところが最近、ジェイン・ジェイコブズという人の書いた、「市場の倫理 統治の倫理」という、面白い本を読みました。人間の社会には、全く異なる2つの倫理体系があるというのです。

人間が、必要とするものを入手するには、他人と取引して手に入れるか、自分の縄張りから取るか、どちらかの方法しかないそうです。有史以来、人間はこのどちらかのやり方で、欲しいものを手に入れてきたのです。そこで、この2つのやり方のそれぞれで、別々の倫理体系が作られてきたというわけです。

取引でものを手に入れる場合は、多くの人と自由に取引する必要があるわけですから、「暴力を排除して、自由に競争しろ」といった倫理が必要となります。これが、「市場の倫理」というわけです。一方、自分の「縄張り」から欲しいものを取る場合は、縄張りを守ることが正義になります。そこでの倫理は、「競争を排除し、縄張りを侵すものと勇敢に戦え」というものになっていきます。「縄張り」の代表が「国」ですから、「統治の倫理」と名付けられていますが、「縄張りの倫理」の方が分かりやすそうです。

人間の社会には、このように2つの全く違った倫理体系が存在し、特に意識されることなく共存しているのだというのが、ジェイコブズの指摘です。そこで私は、この2つの倫理体系は、それぞれ「恋愛」と「結婚」に当てはまるのではと、思い至ったのです!

恋愛というのは、男女間の自由競争が行われる「市場の倫理」の世界です。異性を独占することは許されず、自由競争による「チャレンジ」が常におこります。そんな競争に勝つことで、相手の愛情を確保していくことが倫理的に正しいことになります。

一方、結婚というのは、配偶者を自分の「縄張り」にするものだと考えることができそうです。そうしますと、自分の縄張りを荒らすものとは、勇敢に戦うことが倫理的に正しくなります。不倫相手を、あらゆる手段を使って叩き潰す必要があるのですね。

もっとも、「恋愛の倫理」と「結婚の倫理」は、全世界ですべて同じではないようです。例えばアメリカでは結婚の場合でも、基本的に「市場の倫理」が適用されます。結婚しただけで、配偶者を自分の「縄張り」だと考えることに、抵抗感があるのかもしれません。従って、不倫についても基本的に、恋愛時代と同じ「自由競争」なんです。不倫相手への損害賠償請求を禁じている法律まであります。

私も、アメリカのロースクールで、こういう法律を知ったときは、かなり違和感を覚えたのです。しかし、このような法律が、「縄張り」よりも「自由競争」を重んじるアメリカ国民の考えだとしたら、日本でも学ぶべきことは多いのではと感じています。

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◇ 弁護士より一言

先日、夜中の2時過ぎに目が覚めました。「じろう!」と私を呼ぶ、父親の声がはっきりと聞こえたのです。

父はもう80の半ばを過ぎてますから、「ひょっとして別れを告げに来たのでは?」と、とてもこわくなりました。(翌朝確認したら、父は普段通りでした。)という経験を、中学生の娘に話したんですね。

娘は、「パパ、こわかったね。」と言った後に、「幽霊は怖いからいやだよね!」こわいって、そこですか!30数年後には、娘の前に、うんと怖く化けて出てやろうと決意したのでした。
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