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2011/ 3/16 第49号 春にして君を離れ

平成24年 2月29日(水):初稿
横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

 言わずと知れた、アガサ・クリスティーの傑作ミステリーですね。流石にミステリーの女王の作品です。殺人を始め、犯罪など一切起こらないのに、第1級のミステリーに仕上がっています。

 主人公はジョーンという女性です。優しくて裕福な夫と、優秀な子供達に恵まれて、とても幸せな生活を送っています。少なくともそう自分では信じています。

 バグダッドいる次女が出産するということで、手助けに行ったんですね。その帰り道、中近東のさびれた町で、鉄道が止まってしまい、1週間もの間、無期運休となった電車を待つことになります。読む本もないし、話し相手もいない。いつまで続くか分からない退屈な時間の中で、思うともなしに昔の記憶がよみがえってくるわけです。

 記憶がよみがえると言っても、事実自体は既に知っていることばかりです。しかし、それがどういう意味だったのか、それまで気が付かなかったこと、本当は気が付いていたのに認めたくなかったことが、自分自身につきつけられます。

 変わり者だとバカにしていた近所の奥さんがいます。その奥さんと、自分の夫がじつは惹かれあっていたのだと分かるのです。問題なく育っていたと考えていた子供達が、実は大きな問題を抱えていたことに気が付きます。

 自分が今まで、無意識に真実から目をそらしてきたことを理解し、生まれ変わろうと決意するんですが。。。まあ、とても面白い本ですから、読んでない方はトライしてみてください。

 クリスティーの小説のようにはドラマチックではないにしても、後になってからふと、「ああ、あれはああいうことだったのか!」と気が付くことってありますよね。個人的にもありますし、弁護士としての仕事の中でもあるのです。取りあえず、大体の事実が分かると、これはこういう筋書きだなと、勝手に決め付けてしまうんですね。それ以上深く考えなくなるのです。

 検察官が調書を作文するなんてよく批判されていますよね。大体こういう事件なら、こういうことがあったに決まっているんだから、つべこべ言わずにそういう事実を認めろということですね。

 検察官の悪口ばかりは言えません。弁護士として、私も似たようなことをしている可能性はあるのです。事件を処理するには、依頼者からしっかりと事実を聞きとる必要がありますね。その事実のもつ意味について、依頼者自身も気が付いていないことは十分にあり得ます。

 さらに時間をかけてじっくり話を聞く中で、大切な事実が出てくるかもしれません。依頼者としても、しつこいくらいにその問題を反芻する中で、これまで大したことがないと思っていた事実に重要な意味があることに気が付くかもしれないのです。

 どうしても時間の制約がある仕事ですが、思い込みでこれはこうだと決めつけることだけはしないよう、十分に気を付けていきたいと思うのでした。

 
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 弁護士より一言

 「とればとるほど増えるものはなんだ。」なんてなぞなぞがありますね。というわけで、また3月16日の誕生日がやってきました。ちょうど2年前の誕生日に始めたニュースレターですが、1回も休むことなく、月に2回出すことができました。これというのもひとえに、温かいコメントを送ってくれる皆様方の応援のお陰だと、心より有り難く思っております。

 この「
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 弁護士より一言

 」には、特に沢山のコメントを頂きました。子供に勉強を教えていて、「お前は馬鹿か」なんて言ったと書いたときは、「見損ないました!」と多くの方からお叱りを受けました。

 私が少しずつでも良い父親になれているとしたら、それも皆様のお陰さまだと、感謝しております。

 末永く続けていきたいと考えております。引き続きご声援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 (2011年3月16日第49号)
以上:1,523文字

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