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”「出生地主義」修正差し止め 米地裁、大統領令「違憲」”紹介

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令和 7年 1月25日(土):初稿
○令和7年1月20日就任したトランプ大統領は、就任早々、矢継ぎ早に大量の大統領令を発布して物議を醸していますが、中でも不法移民対策としての、アメリカ国籍要件の「出生地主義」修正差止大統領令は明白なアメリカ合衆国憲法違反とされ、多くの連邦地裁で憲法違反と判断して差止が命じられています。そこでこれまで殆ど読んだことがなかったウィキソース掲載アメリカ合衆国憲法を読んでみました。国籍に関する条文は修正第14条、憲法改正に関する条文は第5条で以下の通りで、トランプ大統領の「出生地主義」差止大統領令は明白な憲法違反です。

アメリカ合衆国憲法
修正第14条
[14]
第1節 合衆国において出生し、又はこれに帰化し、その管轄権に服するすべての者は、合衆国及びその居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国市民の特権又は免除を制限する法律を制定又は施行してはならない。またいかなる州も、正当な法の手続によらないで、何人からも生命、自由又は財産を奪ってはならない。またその管轄内にある何人に対しても法律の平等な保護を拒んではならない。

第5条
連邦議会は、両議院の3分の2が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議しなければならず、また全州の3分の2の議会の請求があるときは、修正発議のための憲法会議を招集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、全州の4分の3の議会によって承認されるか、又は4分の3の州における憲法会議によって承認されるときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が提案することができる。ただし、1808年以前に行われる修正によって、第1条第9節第1項及び第4項の規定に変更を及ぼすことはできない。また、いずれの州も、その同意なくして、上院における平等の投票権を奪われることはない。


「大統領令とは何か?発動権限や具体例などわかりやすく解説!」によるとアメリカ大統領令とは、「議会の承認を経ることなく、大統領が行政部門に対して発する命令で、その目的は、法律の執行を円滑にするための補助的手段であり、行政部門の行動を具体的に指示することにあり、この命令により、大統領は迅速に政策を展開し、国家的課題に対応することが可能です。」とされており、「大統領令に関する特定の条項は、アメリカ合衆国憲法には明記されていません。」、「大統領の行政権限を規定した「執行権条項(Article II, Section 1)」や、法律の忠実な執行を求める「忠実執行条項(Article II, Section 3)」がその法的根拠とされています。」と解説されています。

○アメリカ大統領の権限は世界最強と言われていますが、大統領令権限等を見ると確かにその通りで、日本の内閣総理大臣より遙かに大きな権限を持っています。権限が大きいことは責任も大きく、普通の人間には耐えられない地位ですが、大統領選挙二期目出馬にこだわり続けたバイデン元大統領と言い、4年も待って二期目大統領に就任したトランプ大統領といい、権力の魔力は如何に大きいかが判ります。トランプ大統領、ロシア・中国に核軍縮を呼びかけたとのことで、ノーベル平和賞も狙っているようです。目的はどうあれ、核軍縮は素晴らしいことですが。

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「出生地主義」修正差し止め 米地裁、大統領令「違憲」
日経新聞2025年1月24日 6:07


【ワシントン=芦塚智子】米連邦地裁は23日、米国で生まれた子供に自動的に国籍を与える「出生地主義」の修正を命じたトランプ大統領の大統領令は違憲と判断し、発効の一時差し止めを命じた。トランプ氏が就任初日の20日に打ち出した政策への司法による最初の打撃となる。

米メディアによると、西部ワシントン州の連邦地裁判事は大統領令を「明け透けな憲法違反だ」と断じた。トランプ氏は記者団に対し「もちろん控訴する」と述べた。最終判断は最高裁に持ち込まれる可能性が高い。

大統領令は、母親が不法滞在か一時滞在で、父親が米国市民権や永住権を保持していない場合には、子供が米国で生まれても国籍を与えないとした。不法移民や米国籍の獲得を目的とした「バースツーリズム(出産旅行)」の規制強化が目的だ。

民主党知事の約20州や市民団体などが大統領令は違憲として差し止めを求めて提訴した。

米国の憲法修正第14条は「米国で生まれ、あるいは帰化し、及びその司法権に属する者は米国の市民である」と明記している。

14条は長年にわたり出生地主義の根拠とされてきたが、トランプ政権側は非米国市民の子供は「米国の司法権に属する者」にあたらず、米国内で生まれても14条の対象にはならないと主張している。

連邦最高裁は米国で生まれた中国からの移民の子供に米国籍を認める1898年の判断で「敵対的な職業に就いている敵性外国人の子供や外国の外交代表の子供」を除き、憲法修正第14条は米国内で生まれた全ての居住者の子供を明白に対象にしていると指摘した。米国に居住する外国人は全て「米国の司法権に属する者」だと記した。

トランプ氏の大統領令を実行するには、憲法を改正するか、こうした長年認められてきた司法判断を覆す必要がある。トランプ氏が発表した多数の大統領令の中でも最も実現が危ういと指摘されてきた。

移民規制を推す強硬派の間には、1898年の判断は合法移民の子供に限定した判決だとの解釈が根強い。不法入国者の流入は「侵略」で不法移民は「敵性外国人」にあたるとして、こうした移民の子供は対象外とする主張もある。

原告側によると、2022年に全米で生まれた不法滞在の母親を持つ子供は約25万5000人に上るという。
以上:2,372文字

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