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位置指定道路自動車通行禁止を求めた請求を棄却した高裁判決概要紹介

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令和 7年 1月20日(月):初稿
○判例時報2025年1月11号に位置指定道路の敷地所有者が隣接地で運送業を営む会社に対して当該位置指定道路の自動車での通行禁止を求めた請求が棄却された事例として令和4年12月13日東京高裁判決が掲載されていました。私が持っている判例データベースには、まだ未掲載の判例です。時折、質問・相談を受ける私有地である位置指定道路を第三者が通行している場合の通行の可否について参考になります。

○以下、結論が異なった原審令和4年4月22日東京地裁立川支部判決要旨も含めて私が整理した概要を紹介します。次回判例勉強会での私のレポートです。参考判例平成9年12月18日最高裁判決(判時1625号41頁、判タ959号153頁)は、スッカリ忘れていましたが「位置指定道路の通行妨害と妨害排除請求権を認めた最高裁判決紹介」で紹介していました。

・要旨
位置指定道路の敷地所有者が隣接地で運送業を営む会社に対して当該位置指定道路の自動車での通行禁止を求めた請求が棄却された事例(上告棄却・上告受理申立不受理で確定)

・論点
私人所有位置指定道路の自動車による通行の自由認定基準

・参照条文
民1条Ⅲ・198・199、建基法42条Ⅰ

・事案
S40建基法42Ⅰ位置指定X所有道路(本県道路)をX土地所有者XがX土地内建物住人の通行に利用
h30YはY土地を取得し本県道路を通行することなく公道に出入り
r2.4YがX土地の境界付近Y土地に従業員用駐車場設置し、Y従業員が出退勤時に自動車で本県道路通行
r2.8XがYに対し本件道路通行禁止と不法行為慰謝料200万円請求し訴え提起
第一審r4.4.22東京地裁立川支部判決
Yは本件道路通行について日常生活不可欠の利益を有しない
Xの自動車通行禁止要求は権利濫用に非該当として
X請求を認容(不法行為慰謝料請求は認めず)

参考h9.12.18最高裁判決
建基法位置指定道路の通行につき日常生活上不可欠の利益を有する者は、特段の事情のない限り、敷地所有者に対して通行妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する

Y控訴

・控訴審判示
控訴審判示

①Yによる本件道路自動車通行は、位置指定道路所有者Xとして受忍すべき程度にとどまり、所有権者の妨害排除請求権が発生する妨害行為とは言えない
②Xの本件道路管理に具体的な支障が生じていないのに、本件道路自動車通行禁止によりYの駐車場使用不能となる不利益を知りつつ、Yからの協議申し入れを一切拒否し、Yにのみ本件道路自動車通行禁止を求めることは権利濫用に該当
として、
Xの自動車通行禁止請求を棄却

Xの自動車通行禁止請求の当否は、当該地域の地理的状況、当該私道の従前の使用形態、通行制限の目的・態様、当該私道に接道する敷地所有者等の敷地利用状況・他の通行手段の有無等諸般の事情を考慮した上、その必要性・相当性を具体的に検討して決するのが相当

位置指定道路(私道)通行妨害関連判例
①h3.4.19最高裁判決
位置指定道路も現実に道路として開設されていない土地については土地所有者以外の者が自由に通行することはできない
②h5.11.26最高裁判決
通行妨害の程度が軽微であり日常生活の支障が生じていないことを理由に妨害排除請求は認められないとした
③h12.1.27最高裁判決
h9.12.18最高裁判決にいう日常生活上不可欠の利益を有しているとはいえないとした

・備考
位置指定道路

特定行政庁(都道府県知事や市町村長等)から「土地のこの部分が道路である」という指定(道路位置指定)を受けた幅員4m以上の私道のこと。建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないという接道要件があり、それを満たすための道路として私道を指定する場合がある。

シティユーワ法律事務所
位置指定道路解説抜粋

https://www.city-yuwa.com/glossary/16235/
3 位置指定道路の通行の自由道路位置指定は、道路を建築基準法上の道路とするための行政処分ですが、その効力として、道路内に建築物を築造することや、当該私道の変更又は廃止をすることを制限されることになります(建築基準法44条・45条)。

したがって、第三者も、その私道を通行するのに障害がなくなりますが、これは、道路位置指定という行政処分によって受ける公法上の反射的利益であって、道路位置指定によって新たに私法上の通行権(通行地役権等)を発生させたからではないと考えられています。

4 位置指定道路の通行制限の可否
前述のとおり、道路位置指定の効力として、道路内に建築物を築造することや、当該私道の変更又は廃止をすることを制限されることになります(建築基準法44条・45条)。したがって、位置指定道路の所有者は、これらの規制に反しない範囲での管理権を有するにすぎないことになりますが、反面において、その範囲内では位置指定道路の通行を制限することができると考えられています。

以上:2,024文字

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