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第三者委員会調査結果での懲戒解雇を無効とした高裁判決概要紹介

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令和 6年 1月27日(土):初稿
○「第三者委員会調査結果での懲戒解雇を無効とした地裁判決概要紹介」の続きで、その控訴審令和4年5月25日高松高裁判決(判時2574号50頁)概要を紹介します。

○事案は以下の通りです。
 本件は,被告法人との間で労働契約を締結し,被告法人が運営する高知ハビリテーリングセンターのセンター長の職に就いていた原告が,
①被告法人に対し,被告法人がした原告の懲戒解雇は懲戒事由を欠いた違法なものであると主張して,原告が労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と,本件契約に基づく賃金請求権に基づき,未払賃金及び未払賞与並びにこれらに対する商事法定利率(平成29年法律第45号による削除前の商法514条)である年6分の割合による遅延損害金の支払
②被告法人代表者であるA理事長及びその娘である被告Bらに対し,違法な本件懲戒解雇と,本件懲戒解雇に至る過程におけるによる執拗な嫌がらせによって精神的苦痛を被ったと主張して,被告法人は社会福祉法45条の17,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団法人法」という。)78条に基づき,被告A・Bは民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下,特記しない限り改正前の民法を指す。)709条に基づき,慰謝料300万円及びこれに対する最後の不法行為の日である本件懲戒解雇の日(平成30年9月15日)から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払
を求め、一審た令和3年5月21日高知地裁判決(判時2574号○頁、参考収録)の結論は、
1 原告が,被告法人に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告法人は,原告に対し,平成30年11月から令和2年3月まで,毎月25日限り36万6869円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告法人は,原告に対し,令和2年4月から本判決確定の日の属する月まで,毎月25日限り36万6869円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
4 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。
6 この判決は,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。

としていました。

○一審判決は原告の労働者としての地位確認と給与支払は認め、賞与部分の請求とA理事長と娘Bへの慰謝料請求は棄却し、被告法人が控訴し、原告が賞与部分と慰謝料の請求を求めて附帯控訴しました。これに対し、控訴審令和4年5月25日高松高裁判決理由概要は以下の通りです。
①原判決同様,被控訴人が労働契約上の権利を有する地位にあることの確認請求は,理由があるからこれを認容し,未払賃金に係る請求は一部認容する

②未払賞与請求の可否について,就業規則及び労働契約等において,支給金額が具体的に算定できる程度に算定基準が定められている場合には,労働契約において金額が保障されているといえ,その他の支給要件を満たした場合には,賞与請求権は使用者の決定を待たずに具体的な権利として発生するものであるから,法人においては本件給与規程21条,22条及び別表2により,各年6月に支給される夏季賞与は本俸の50パーセントの部分について,各年12月に支給される冬季賞与は本俸の100パーセントの部分について,それぞれ具体的権利性が認められる

③本件懲戒解雇の不法行為該当性について,元職員において管理者として個々の部下職員それぞれが置かれた職務上の悩み,勤務環境や生活環境等を看取しこれに配慮・調整していた状況は見当たらないことなどからすると,本件懲戒解雇が行われる結果となった原因には被控訴人の本件懲戒解雇に至るまでの言動も関係していることは否定できず、また,被控訴人の本件第三者委員会は公平性に強い疑義があったから被控訴人が上記の弁明の機会を放棄したと評価するのは相当でない旨主張するが,本件就業規則上,懲戒処分に関する手続上の規定はなく,本件第三者委員会を設置するか否か,本件第三者委員会を設置する場合にその委員の構成をどうするかについても,法人の広範な裁量に委ねられているといえるし,選出された3人の委員の専門領域等に照らしてもその選出の経緯に不自然不合理な点は見当たらない上,本件第三者委員会が被控訴人に対してとった一連の手続保障の在り方においても公平性を欠くようなものは見当たらず,その他の被控訴人の主張を検討しても,本件懲戒解雇が無効であることが確認され,その間の賃金及び賞与が支払われることによっても慰謝し尽くされない損害を受けたものとまでは認められず、被控訴人の慰謝料請求は認められない


○判決主文は以下の通りです。
一審判決で認められた月額36万6869円の給与に加えて、賞与の請求も請求額のほぼ半額が認められ、慰謝料請求は認められませんでしたが、労働者の権利についてはほぼ全面勝訴と言えます。
主   文
1 被控訴人の附帯控訴に基づき、原判決主文中、被控訴人の未払賞与請求に関する部分を次のとおり変更する。
(1)控訴人は、被控訴人に対し、平成30年12月から令和元年12月までの間、毎年6月10日限り13万2750円、毎年12月10日限り26万5500円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)控訴人は、被控訴人に対し、平成2年6月から本判決確定の日までの間、毎年6月10日限り13万2750円、毎年12月10日限り26万5500円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
(3)被控訴人のその余の請求を棄却する。
2 控訴人の控訴及び被控訴人のその余の附帯控訴をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを20分し、その9を被控訴人の負担とし、その余は控訴人の負担とする。
4 この判決は、主文第1項(1)及び(2)に限り、仮に執行することができる。
5 原判決主文3項中「本判決確定の日の属する月まで」とあるのを「本判決確定の日まで」と更正する。


○原告(被控訴人)の請求は以下の通りでした。
第1 請求
1 主文第1項同旨
2 被告法人は,原告に対し,平成30年11月から本判決確定の日まで,毎月25日限り36万6869円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告法人は,原告に対し,平成30年12月から本判決確定の日まで,毎年6月10日限り63万1000円,毎年12月10日限り62万2000円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4 被告らは,原告に対し,連帯して,金300万円及びこれに対する平成30年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
以上:2,832文字

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