令和 2年12月11日(金):初稿 |
○「労働者派遣と請負との違いの基礎の基礎-厚労省通達紹介」を続けます。建設現場での請負か労働者派遣かが問題となっている事案の相談を受けていますが、東京労働局需給調整事業部の平成25年建設業安全衛生講習会資料が参考になりますので紹介します。 先ず労働者派遣と請負の違いについての図解です。 以下、説明です。 3.建設現場での業務(作業)は派遣禁止 • 土木、建設の現場で行われる作業に直接従事する業務に労働者派遣を行うこと及び受け入れることは禁止されています。 • 業務の具体的な詳細は、労働者派遣法に「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」と示されています。 • ただし、建設業でも労働者派遣が可能な業務があります。例として、現場事務所の事務員、CADオペレータ、施工管理業務(工程管理・品質管理・安全管理など)があります。 4.建設現場での労働者派遣 (※建設現場で労働者派遣が出来る事、出来ない事) • 建設現場の現場事務所での事務員、CADオペレーター、施工管理の業務などは、「建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業」に直接従事しないので労働者派遣は可能です。 • ただし、施工管理業務などで派遣されてきた労働者が、空き時間等に資材置き場の整理や残材片付けなどをさせることは「建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業の準備の作業」に直接従事したものとして、労働者派遣法違反となります。 5.労働者の貸し借りはできません • 契約上は請負となっていても、自己の労働者を、他人の指揮命令の下で建設の業務で働かせることは、労働者派遣に該当するため、労働者派遣法違反となります。 • 他人の労働者を受け入れて、自己の指揮命令の下で建設の業務で働かせることも労働者派遣法違反となります。 ○建設現場において、自らの責任において、従業員に対して、業務遂行に関する指示や管理をする場合には請負に当たり、他人(注文主や他の会社)が指揮命令をする場合は「労働供給」となります。後者の場合は、請負契約の形式で行われていたとしても、偽装請負として違法となります。 ○建設業者が建設業について労働者供給や派遣を行った場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(派遣:労働者派遣法59条1号、労働供給:職業安定法64条9号)。 建設業以外の業務(事務処理や施工管理等)につき無許可で派遣をした場合も、同様に1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます(労働者派遣法59条2号)。 法人(会社など)の代表者や代理人・使用人、個人事業主の代理人・使用人が上記の違法行為を行った場合は、法人や個人事業主にも100万円以下の罰金が科されます(労働者派遣法62条)。 ○建設業者が上記の刑罰を科されると(懲役でも罰金のみでも執行猶予付きでも)建設業許可の欠格要件に該当するので、許可を取り消されます(建設業法8条1項7~8号・11~12号、同29条2項、建設業法施行令3条の2)。 不起訴処分など刑罰を科されない場合であっても、管轄行政庁から指示・営業停止の処分が下されるおそれがあり(建設業法28条)、特に情状が重いと判断されると営業停止を経ずに許可取消しを受ける可能性もあります(建設業法29条1項6号)。 刑罰を受けたり、許可を取り消された日から5年間は再び許可を得ることができません(建設業法8条2号)。 ○松葉会計・行政書子事務所の「建設業の違法派遣にご注意!派遣と請負の区別基準」、「建設業労働者を適法に手伝いに出す2つの方法+α」、「なぜ建設業務の派遣は禁止?5分でわかるその理由!」が大変参考になります。 以上:1,547文字
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