令和 1年12月23日(月):初稿 |
○「職場におけるパワーハラスメントの定義についての基礎の基礎覚書1」の続きです。 繰り返しますが、パワハラの定義を「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とされています。 ○「職場におけるパワーハラスメントの定義についての基礎の基礎覚書1」では、「職場内の優位」と「業務の適正な範囲を超え」の内容等を説明していましたが、次は「精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を説明します。 ○この「精神的・身体的苦痛」はパワハラの結果ですが、この「苦痛」の感じ方は、人それぞれであり、ある上司の言動が、「精神的・身体的苦痛」になるかどうかもその言動を受けた人の精神・肉体状況によって異なりますので、「平均的な労働者の感じ方」を基準とするとされています。典型的なものは以下の例があると説明されています。 ・暴力により傷害を負わせる行為 ・著しい暴言を吐く等により、人格を否定する行為 ・何度も大声で怒鳴る、厳しい叱責を執拗に繰り返す等により、恐怖を感じさせる行為 ・長期に渡る無視や能力に見合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為 ○平成24年3月15日、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」(座長:堀田力 さわやか福祉財団理事長)が、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を取りまとめ公表しましたので、その中から、「パワハラの6類型」を紹介します。 【職場のパワーハラスメントの行為類型(典型的なものであり、すべてを網羅するものではないことに留意する必要がある)】 ①暴行・傷害(身体的な攻撃) ①については、業務の遂行に関係するものであっても、「業務の適正な範囲」に含まれるとすることはできない。 ②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃) ③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し) ②と③については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定できないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられる。 ④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求) ⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求) ⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害) ④から⑥までについては、業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でない場合があると考えられる。こうした行為について何が「業務の適正な範囲を超える」かについては、業種や企業文化の影響を受け、また、具体的な判断については、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによっても左右される部分もあると考えられるため、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にする取組を行うことが望ましい。 以上:1,194文字
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