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公務員の日本国憲法尊重擁護義務についての復習

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令和 1年 5月 4日(土):初稿
○「平成天皇と令和天皇の即位後朝見の儀お言葉比較雑感」に「平成天皇の『日本国憲法を守り』との誓いも、令和天皇の『憲法にのっとり』との誓いも、日本国憲法第99条で定められた『この憲法を尊重し擁護』する当然のことを言ったまでで『憲法改正』についての意見と捉えるべきではない」と記載していました。

○そこで久しぶりに憲法の復習です。日本国憲法第99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定されており、この点に関する小島和司教授講義ノートの記載は以下の通りです。
(五)尊重擁護の義務
 憲法は法なのでその規律に従うべきことは当然、日本国憲法は公務に従う者に対して、単なる遵守以上に尊重擁護の義務を規定、§99
「擁護」…非合法的破壊から守ること。改正に反対すべきことではない。§96で改正は認められている。合法的変更は構わない。
「義務」の実益…この規定から何もでてこない。単に道義的な義務のみ、要請。しかし「義務」に関りのある制度が法律で規定されている。
ex.国家公務員法§38-5 公務員の欠格条項
        §97  服務の宣誓、同様の規定は地方公務員法にも存在。


○関連条文は以下の通りです。
国家公務員法第38条
 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
(中略)
五 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

職員の服務の宣誓に関する政令
内閣は、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第97条及び附則第13条の規定に基づき、この政令を制定する。
第1条(服務の宣誓)
 新たに職員(非常勤職員(国家公務員法第81条の5第1項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)及び臨時的職員を除く。以下同じ。)となつた者は、任命権者又はその指定する職員の面前において別記様式による宣誓書に署名して、任命権者に提出しなければならない
(中略)
別記様式
 宣誓書
 私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。


○日本国憲法第99条の憲法の尊重擁護義務は、「非合法的破壊から守ること。改正に反対すべきことではない。」と言う趣旨をシッカリ覚えていました。日本国憲法改正規定は以下の通りです。
第96条
 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する


○日本国憲法第99条憲法尊重擁護義務を課されているのは「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」であり、日本国民は含まれていません。憲法は国家権力の行使に制限を加えるものであり、国家権力行使の担い手である内閣総理大臣を始めとする公務員に憲法尊重擁護義務を課すことで国民に対する権力の濫用を防ぐ目的である以上、国民に尊重擁護義務を課していないのは当然であるなどの解説があります。

○「天皇」は「日本国の象徴」と言う究極の公務員であり憲法尊重擁護義務があるのは当然ですが、尊重擁護とは改正に反対することではありません。憲法改正問題は「国政に関する」最重要案件であり、「権能を有しない」天皇が憲法改正問題に意見を述べることは、到底、できません。護憲派が平成天皇の「日本国憲法を守り」とのお言葉をもって憲法改正反対を表明したと捉えるのは間違いと思われます。

○しかし平成天皇が日本国民から強い支持と尊敬を受けたのは、先の大戦に対する深い反省から、皇后陛下と共に、戦没者に対する慰霊活動を長く且つ広く継続し戦争の惨禍を広く喚起し続け、日本を二度と戦争の惨禍に巻き込まないとの強い願いを表明し続けたこと、また、常に社会的弱者の方に寄り添われる姿勢を示し実践し続けたことにあることは衆目の一致するところです。令和天皇におかれましてもこの姿勢を引き継いで頂きたいと念願しています。
以上:1,829文字

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