令和 1年 5月 5日(日):初稿 |
○「憲法第9条に関する立憲民主党枝野幸男党首”文藝春秋”掲載発言紹介」で、枝野幸男氏の「文藝春秋」平成25年10月号での発言記事について、共産党しんぶん赤旗がかみついている平成25年9月10日付しんぶん赤旗の記事を紹介していました。 ○その記事には、枝野「改憲私案」概要の説明はありましたが、条文そのものは記載されていませんでした。その後、改正案の条文そのものをネットで見つけましたので紹介します。立憲政治の道しるべというブログの「第28回”枝野私案”は、政府自民党の有力な対立軸になりうるか?」に条文全文が紹介されていましたので以下に引用します。 現行日本国憲法 第9条(戦争放棄、戦力の不保持) 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 枝野私案追加条項 第9条の2(自衛権の行使とその要件) 我が国に対して急迫不正の武力攻撃がなされ、これを排除するために他に適当な手段がない場合においては、必要最小限の範囲内で、我が国単独で、あるいは国際法規に基づき我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を守るために行動する他国と共同して、自衛権を行使することができる。 2 国際法規に基づき我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対して、急迫不正の武力攻撃がなされ、これを排除するために他に適当な手段がなく、かつ、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全に重大かつ明白な影響を及ぼす場合においては、必要最小限の範囲内で、当該他国と共同して、自衛権を行使することができる。 3 内閣総理大臣は、前2項の自衛権に基づく実力行使のための組織の最高指揮官として、これを統括する。 4 前項の組織の活動については、事前に、又は特に緊急を要する場合には事後直ちに、国会の承認を得なければならない。 第9条の3(国連平和維持活動への参加協力) 我が国が加盟する普遍的国際機関(*1)によって実施され又は要請される国際的な平和及び安全の維持に必要な活動については、その正当かつ明確な意思決定に従い、かつ、国際法規に基づいて行われる場合に限り、これに参加し又は協力することができる。 2 前項の規定により、我が国が加盟する普遍的国際機関の要請を受けて国際的な平和及び安全の維持に必要な活動に協力する場合(*2)においては、その活動に対して急迫不正の武力攻撃がなされたときに限り、前条第一項及び第二項の規定の例により、その武力攻撃を排除するため必要最小限の自衛措置をとることができる。 3 第一項の活動への参加及び協力を実施するための組織については、前条第3項及び第4項の例による。 (*1)現状では国連のこと (*2)多国籍軍やPKO等、国連軍創設以外の場合 ○これに対し安倍首相の現行憲法第9条はそのままにして自衛隊条項を追加すると提案したはずですが、その条文を探したところ、朝日新聞デジタルニュース平成30年3月22日付「自民の9条改憲、首相案で決着 2項維持し自衛隊を明記」に記載されていました。「自民党の憲法改正推進本部は22日、安倍晋三首相の9条改正案に沿って、戦力不保持を定める2項を維持して『自衛隊』を明記する方向で取りまとめる方針を決めた。新たに9条の2を設け、『(2項は)必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織』と位置づけて自衛隊を保持する案が軸となる。」とのことです。 ○その追加条項は、「自民党憲法改正推進本部の執行部が有力と考える案」として、 第9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。 2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。 とされています。 ○枝野私案は、単に「自衛隊を保持する」としか記載していない自民党案に比較して、自衛権行使要件・国連平和維持活動参加要件を詳細に特定しているのが特徴で、9条改正案としては、こちらの方が支持を受けそうです。 以上:1,797文字
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