平成24年 6月29日(金):初稿 |
○民事訴訟で証拠を裁判所に提出する際、裁判所用の正本、相手方当事者用副本を作成しますが、その中身は変わらず、違いは表紙に裁判所用は「正本」、相手方当事者用は「副本」と言う記名をするだけです。証拠の提出の仕方としては、原本と写しの2種があり、原本として提出する場合は、原本を裁判所に持参して裁判官及び相手方当事者本人または代理人に確認して貰う作業が必要です。 ○このように特定の書面について、原本から始まり、正本、副本、謄本、抄本と言葉が使い分けられていますが、原本は、正本、謄本等の元になる唯一の元々の文書ですから問題ありませんが、正本と謄本の違いを説明せよと言われると、正確に答えられる方は少ないと思われます。私自身、自信がありませんでした(^^;)。ちなみに民事訴訟で裁判所に提出する書面は、正本であろうが副本であろうが謄本が、殆どで、原本を提出することは通常ありません。裁判所の記録に証拠書類として綴られると戻ってこないからです。 ○今般、株式会社ぎょうせい法制執務研究会編著「図説文書事務入門」(新版)を購入しました。ぎょうせいオンラインでの内容説明は以下の通りです。 事務処理の基本である「文書事務」について学ぶための入門書として、好評を博した『図説文書事務入門』の改訂版です。○以下、この文書事務入門での原本と謄本、抄本、正本の定義備忘録です。 (1)原本(げんぽん) 原本とは、一定の事項を内容とし、確定的に作成された現物そのものの文書を言う。広い意味では、決裁文書及びそれに基づいて施行された許可証や通知文書も原本といえる。 狭い意味では、謄本、抄本及び正本に対する用語として用いられ、これらの文書がいずれも写しであることに対し、写される基であるところのオリジナルな文書を言う。 (2)謄本(とうほん) 原本の内容全部を写した文書をいう。このうち、権限のある機関が原本の内容と同一である旨(「これは謄本である。」)の認証をしたものは、法律の規定によって、「原本」と同様に扱われることがある。 (3)抄本(しょうほん) 原本の内容のうち関係のある部分だけを写した文書をいう。 (4)正本(せいほん) ア.謄本の一種だが、法令の規定に基づき、権限のある者によって特に正本として作成され、原本と同一の効力を有するもの。 イ.「副本(ふくほん)」に対する用語として用いられる場合がある。副本とは、ある文書の本来の目的以外の目的に用いるために、正本の他に作成されるこれと同一内容の文書を言う。例えば、戸籍は正本と副本が作成され、副本は戸籍の正本が滅失した場合の予備として作成される(※この記述については、コンピューター化された現在の扱いについて再調査必要)。 副本は、謄本のように、まず、原本があってそれに基づいて作成されるものではなく、始めから正本と同一の内容のものとして作成される。副本に対する意味での正本は、原本の写しではなく、原本そのものである。 以上:1,449文字
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