平成23年 5月14日(土):初稿 |
○「死亡による災害災害弔慰金受給権利者の範囲と順位」で、「最初に受けた質問は、介護施設に入所していた父の妹Aさん(70歳)が介護施設ごと流されてしまい、遺体で発見されたが、Aさんは独身で、身寄りは兄である父(75歳)だけのところ、父も高齢で身体が不自由なので、自分が遺体の確認に行ってきたが、父は災害弔慰金が貰えませんかというものでした。」と記載しておりましたが、このケースに限らず、その後も同様に津波で流されて死去された方の兄弟姉妹が災害弔慰金を請求したいとの相談が結構ありました。 ○そこで「死亡による災害災害弔慰金受給権利者の範囲と順位」において昭和49年9月29日仙台市条例第40号災害弔慰金の支給等に関する条例による受給権者の範囲・順位等の記述を紹介し、条例の規定でも兄弟姉妹は弔慰金請求権者の範囲に入っておらず、請求出来ませんと答えざるを得ませんでした。 ○ところが、同様の質問が彼方此方でなされているようで、仙台弁護士会の稲葉幸嗣弁護士が宮城県内市町村の災害弔慰金の支給等に関する条例を片っ端から調査して、兄弟姉妹も弔慰金請求権者の範囲に入って居る条例を探し当ててくれ、その内容を仙台弁護士会MLで公表してくれました。以下、そのMLを引用します。 Q 東松島市に兄と二人で住み,主に兄の年金で暮らしていましたが,兄が津波で流されて死亡してしまいました。 兄には妻も,子も孫も,父母も祖父母もいません。災害弔慰金をもらうことはできないのでしょうか。 A 災害弔慰金法では,兄弟姉妹は支給の対象となる遺族に含まれていないのですが, 東松島市の災害弔慰金の支給に関する条例では,配偶者も子も父母も孫も祖父母もいない場合で,生計を同一にする兄弟姉妹がいる場合には,その者に対して災害弔慰金を支給するとされているので,受給することができると思います。 市に問い合わせてみて下さい。 (東松島市災害弔慰金の支給等に関する条例第4条第4項「第1項に掲げる遺族がいない場合で、死亡した者と生計を一にしていた兄弟姉妹がいるときは、その者に対して災害弔慰金を支給するものとする。」) http://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp/reiki/reiki_honbun/r1220131001.html (解説) 災害弔慰金の支給等に関する法律では,支給の対象となる遺族について,配偶者、子、父母、孫及び祖父母と規定しており,宮城県内の多くの市町村もその範囲内で条例を定めています。兄弟姉妹を含めていない点について批判もあるのですが,条例で対象となる遺族の範囲を広げている市町村があります。稲葉が調査した限り,宮城県内では 前述の東松島市の他に 栗原市:http://www.kuriharacity.jp/reiki/reiki_honbun/r1730355001.html#top 色麻町:http://www1.ocn.ne.jp/~shikama/act/frame/frame110000291.htm 加美町:http://www.town.kami.miyagi.jp/reiki/reiki_honbun/r0040122001.html 宮城県内のその他の市町村は,気仙沼市,石巻市,七ヶ浜町,塩竈市,仙台市,名取市,岩沼市,亘理町,山元町,登米市,大崎市,涌谷町,角田市,蔵王町,利府町,大和町,大郷町,富谷町,美里町はインターネットで条例を調べ,七ヶ浜町,七ヶ宿町は電話で確認してみましたが,兄弟姉妹に支給する旨の条例はありませんでした。 (南三陸町,松島町はインターネットには条例がなく,電話も話し中だったため未調査。 女川町も条例は見あたらないが市民向けの広報には兄弟姉妹の記載はなし。) 東松島市に隣接する石巻市民は特に不公平と感じるのではないでしょうか。 なお,横浜市は更に思い切って,生計を一にしない兄弟姉妹にも支給し,かつ,生計を一にする兄弟姉妹は生計を一にしない遺族よりも先順位となる条例にしています。 http://www.city.yokohama.jp/me/reiki/honbun/g2020701001.html 以上:1,735文字
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