平成23年 4月16日(土):初稿 |
○あやめ法律事務所の神坪浩喜弁護士が、独自に震災相談Q&Aを作成され、私の一連の「震災相談Q&A」は、全く著作権というものはありませんので、よろしければ、ご確認の上、ご自由に加筆修正の上、ご活用ください。と有り難いご提案をされています。 早速お言葉に甘えて、当HPでも紹介させて頂き、これを元にして、必要に応じて加筆等させて頂きます。神坪さん、有り難うございます(^^)。 ○生活・支援・行政 Q1 津波で土地の権利証、預金通帳、生命保険証券、実印、健康保険証などが流されてしまったのですが、権利はなくなるの?預金の払戻や生命保険は受け取れるの? A1 大丈夫です。 ① 権利証をなくしても権利はなくなりません。土地の売却も可能です。登記には、権利証のほか、印鑑証明書も必要なので、権利証の紛失だけでは、誰かに勝手に登記される可能性は高いとは言えませんが、同時に実印や印鑑証明も紛失された場合には、念のため、勝手に登記されることを防ぐ「不正登記防止の申出制度」をすることをお勧めいたします。詳しくは登記所へお問い合わせ下さい。 ② 預金通帳や保険証券がなくても、金融機関や保険会社では、預金の払戻や保険金の支払いについて柔軟に対応しています。金融機関や保険会社に問い合わせをしてみてください。実印をなくした場合には,印鑑登録している市区町村に紛失届けをし,新しい印鑑につき改印届けを提出して下さい。 ③ 健康保険証をなくしても、病院の窓口で、「名前」「生年月日」「住所」等を申し出ることで全国の医療機関を受診することができます。地震の後に他の市町村に移った方も受診できます。また、住居が全半壊した場合や、世帯主が亡くなられたり失業された場合等の被災者の方には自己負担分もかかりません。 ※介護保険証をなくしても、市町村の窓口に「名前」「生年月日」「住所」を言えば介護サービスを利用できます。また、要介護認定を受けていない人や認定の有効期限を過ぎている人でも、介護サービスを利用できます。 Q2 お金が無くなった、どこか緊急融資や給付をしてくれるところはないの? A1① 生活福祉資金による緊急小口融資で10万円(場合によっては20万円)が借りられます。市町村の社会福祉協議会にお問い合わせ下さい。 ② 震災で、ご家族が亡くなられた場合、ご遺族には、「災害弔慰金の給付」もあります。生計維持者が亡くなられた場合は500万、その他の方が亡くなられた場合250万円が「世帯ごと」に支給されます。 詳しくは市町村にお問い合わせ下さい。 ③ 日本財団において、今回の震災で死亡、あるいは行方不明となられた被災者に関し、遺族または親族の方々に死者、行方不明者1人当たり各5万円の弔慰金、または見舞金を遺族の代表者に給付することを決め、4月15日までに、石巻市、女川町等で既に給付が開始されています。詳しくは日本財団(0120-65-6519)へお問い合わせ下さい。 ④ 震災で、世帯主の方が負傷した場合や、住居・家財に被害を受けた場合、「災害擁護資金貸付」で、最大で350万円の融資を受けることができます(ただし、所得制限があります)。詳しくは市町村にお問い合わせ下さい。 ⑤ 各金融機関においても、被災者向けの融資制度を設けているところがあるかも知れませんので、金融機関に問い合わせをしてみて下さい。 Q3 自宅が壊れてしまったが、何か受け取れる給付金はあるの? A3 生活再建支援制度で、住宅の被害の程度などに応じて最大300万円の支給があります(住宅が全壊や解体で建設・購入した場合)。借家の場合にも制度の適用があり受給できます(アパートの借家人も受給できます)。ただし、事業所や工場の場合には適用がありません。詳しくは、市町村にお問い合わせ下さい。 ※給付金額については、今後の法律改正によって増額される可能性があります。 Q4 罹災証明って何?応急危険度判定と同じものなの? A4 罹災証明とは、震災で発生した「住宅」の被害の程度を市町村が発行するものです。生活再建支援制度の支援金の申請や、義援金の分配、損保会社等への保険金請求、住宅支援機構等からの低金利融資などで、必要となる書類です。被害の程度は、市町村が、屋根や柱、外壁などの被害状況をチェックし、被害があれば「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」と認定されます(なお、今回の津波被害では、判定手続を簡素化し、家屋が流失したり1階天井まで浸水したりした地域はすべて「全壊」、床上1メートル以上の浸水とがれきの建物内流入を「大規模半壊」、床上浸水を「半壊」、床下浸水を「一文損壊」とみなす方針です。)。市町村からチェックを受ける前に、修理をする場合には、住宅の被害の程度がわかる写真を撮っておいたほうがいいでしょう。 罹災証明と応急危険度判定とは、別物です。応急危険度判定は、二次災害を防止するために、役所が、建物の傾き、構造物の落下、地盤沈下などを総合的にみて、「危険(赤)」「要注意(黄)」「調査済み(緑)」の貼り紙を建物にして、「危険」の建物内には入らないように求めるものです。ですから、「危険」の赤紙が貼られているからといって、罹災証明が受けられるとは限りません。 住宅以外の建物である工場、店舗等について被害があった場合には、市町村から、「被災証明書」が発行されます。 罹災証明、被災証明の申請については、市町村にお問い合わせ下さい。 Q5 車が流されてしまったが、自分で撤去しなければならないの? A5 宮城県では、第一次的には市町村が、市町村の対応がない場合には、県が被災車両を、撤去する方針となりました。また他人の車両を勝手に処分すると持主から所有権侵害を主張される可能性もあるので、処分せずに県に連絡して対応してもらうのがよいでしょう。 以上:2,436文字
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