平成23年 4月16日(土):初稿 |
続いて仕事・賃貸借編です。 ○仕事 Q1 勤務先が休業することになった、何か補償制度はあるの? A1 事業所が災害で休止して賃金をもらえない場合、実際に離職しなくて失業給付をもらえます。詳しくは宮城労働局職業安定課(022-299-8061午前9時~午後4時)にお問い合わせ下さい。 Q2 勤務先から、震災を理由に解雇された。やむを得ないことなの? A2 今回の震災で事業所自体が流された等、事業の継続や再建が困難であれば解雇はやむを得ないでしょう。震災によって資金繰りが苦しくなるという理由であれば、解雇には、整理解雇4要件(①人員削減の必要性、②解雇回避努力、③人選合理性、④手続の相当性)が必要です。宮城労働局労働基準部監督課(022-299-8838)に相談窓口があります。 ※解雇された場合、失業保険の給付申請をして下さい。また、震災で勤務していた会社が倒産した場合で、給料や退職金が支払われていない場合は、国が会社に変わって未払賃金総額の8割(最大296万円)を立て替える制度もあります。 Q3 今回の震災で、仕事中に、地震や津波により作業所が倒壊したことで、被害(死亡やけが)にあった場合に、労災保険は適用されるの? A3 適用されます。 労災保険の適用には、災害と業務との関連性(業務起因性)が要件とされていますが、厚労省は、今回の震災について、「事業所や作業所が倒壊したり、大津波で流失したりして勤務中に被害に遭った人には、労災認定する」との方針を決めましたので、労災適用されることになります。勤務中には、避難中や救助中、通勤中に津波に巻き込まれた場合も含まれます。 労災認定されれば、亡くなられた場合には、遺族に遺族年金や一時金、葬祭料が、けがの場合には、治療費や休業補償が支払われるといった補償が手厚いので、仕事中に、被害に遭われた場合には、積極的に労働基準監督署に労災の請求をしてください。詳しくは、宮城労働局労働基準部監督課(022-299-8838)にお問い合わせ下さい。 ○賃貸借 Q1 借りているアパートが浸水して使えなくなったので避難所(或いは実家等)に居住しているが、アパート賃料はどうなるの? A1 アパートの使用が客観的に不可能な場合(避難勧告で住めない場合も含む)は、使えない間の賃料は支払う必要はありません。 Q2 では、一部損壊の場合には、修理を大家に要求することができるの?修理してくれない場合、賃料を負けてもらうことはできるの? A2 必要な修繕であり、修繕可能であれば、修理を賃貸人(大家)に要求することができると思われます。修繕してくれないのであれば、使用収益できない割合に応じて賃料の一部支払を拒むことができます。 Q3 一部損壊なのに、大家から、建て壊すから、立ち退いて欲しいと言われている。立ち退かなくてはいけないの? A3 修繕が可能で、かつ過大な修繕費用がかからない場合には、立ち退かなければならないとは言えません。 しかし、立ち退かなければならないかどうかについては、建物が壊れている程度、修繕にかかる費用と修繕によって延びる耐用年数、立ち退きによって受ける借主の不利益、立退料支払いの有無やその金額など、いろいろな事情を総合して判断されることとなりますので、賃貸人(大家)と立退料のことも含めて、話合いをされることをお勧めします。 話合いがまとまらない場合には、中立的な第三者を交えて話合いをする簡易裁判所の民事調停や弁護士会の紛争解決支援センター(ADR022-223-1005)の活用もご検討下さい。 Q4 アパート経営者ですが、所有低所得者向け低家賃アパートが大地震で損壊し、仙台市調査員のチェックを受けたら、危険立入禁止のレベルの損壊と判明しました。他に引っ越して貰える代替アパートは持っていませんが、賃借人にこのような事情で退去し、自分で他の居所を探して貰うことは出来ますか。 A4 この場合、建物は「滅失」と評価されるので、賃貸借契約は賃貸対象物が無くなったと言うことで終了します。契約が無くなった以上、賃借人には退去を要請することが出来ます。危険な建物に居住している間に例えば壁が崩れて怪我をしたりされると困るので契約が終了したこと、退去要求をしたことを書面で残しておく必要があります。実際問題としては、預かっている敷金があれば全部返還し、多少立退料を支払っても任意に出て行って貰う努力が必要でしょう。 以上:1,830文字
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