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昭和25年2月身体障害者福祉法逐条解説1

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平成19年10月18日(木):初稿
○現在の身体障害福祉法は、昭和24年12月26日法律283号として吉田茂内閣のときに成立しましたが、成立当時の社会局による逐条解説を入手しました。当時の障害者福祉についての基本的考え方が判りますので、、その触りをご紹介します。

(法の目的)
第1条 この法律は、身体障害者の更生を援助し、その更生のために必要な保護を行い、もって身体障害者の福祉を図ることを目的とする。

現在の社会福祉法第1条
この法律は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)と相まつて身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、及び必要に応じて保護し、もつて身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。


 成立当時は単に「身体障害者の更生」と言う表現であったものが、現在は「身体障害者の自立と社会経済活動への参加」とより具体的になっています。

(解説)
(1)現在身体障害者の更生対策については基本となるべき法令がなく、逆にこれらの対策は、地方自治法第1条第3項第9号において、「・・・病人、老衰者、寡婦、不具者、浮浪者・・・を救済し、若しくは保護し、又は看護すること」とあり、地方公共団体の固有事務となっている。又地方財政法の規定においても、この対策は、第9条において「主として地方公共団体の利害に関係ある事務」と解釈され、その経費は各々の地方公共団体において負担さるべきものとなっている。

 従って身体障害者の更生対策については、国は法的には何等責任を有せず、単に必要と認めるときは、地方財政法第16条により臨時的に補助金を交付することができる程度の関与をなすに止まるのである。

(2)然し都道府県、市町村の財政力は一般に更生対策の伸展を期し得る程強力なものではない現状であり、数十万に上る身体障害者が不備な構成対策の下に、更生の便宜も充分に与えられず、一般健全者と同様の条件下において、困難な社会生活を営まねばならないことは、社会倫理上も再考されなければならないし、又これらの人々が遂に経済生活より落伍して生活保護法による扶助を終身受けざるを得なくなることは本人の精神的沈淪は勿論、国家全体の経済的見地からするも甚だしく不利であるのでご積極的に身体障害者の更生は国及び地方公共団体の共同の責任であると宣言し、更生を援護する根本法を設定し、協力にこれを行い身体障害者の幸福を図らうとするのがこの法律の目的である。

(3)身体障害者の更生援護は、単に現行の行政体系のままで個々的にその都度行うのみでは不足であり制度的に能力損傷の度合に応じて一般人とは異なる特別の保護を要するのであるが、国民全体の保護についての無差別平等の原則との調整を考えれば身体障害者のみに対する特別の徹底した保護は或程度差控えられなければならず、この法律に於ては、それぞれの能力損傷に対する技術的補充という意味において「更生の援助」を中心とし、それ以上の「保護」は、その更生の効果をあげるために必要な限度のものに限定せざるをえない。

 遺族、未亡人、老衰者、浮浪者等各々の集群に対する公的保護は適当なバランスをとって実施せられなければならず、その意味において身体障害者にのみ、現在徹底した保護対策が樹てられることは差控えられなければならないであろう。

 但し、この法律において規定されている如く、身体障害者に対し義肢を支給し、特別の更生訓練を与える等のことは現にあるハンデイキャップに対して何等かの措置が講ぜられなければ一個の社会人として、他の身体の健全な者と平等の立場で社会生活を営むことができないことが明らかな者に対して行われるのであって、この義肢の供与なり訓練なりを受けて初めてそのハンデイキャップを埋めて、一般人と対等に社会生活で活動出来るのであるから無差別平等の原則に反すると云うことはできないであらう。
以上:1,587文字

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