平成18年10月27日(金):初稿 |
○「刑事弁護活動が違法として慰謝料が認められた例1」で、行き過ぎた刑事弁護活動を不法行為と認定され90万円の損害賠償請求を命じられた例を紹介しました。 ○この例では、事案が、強姦被害を訴えるAと強姦加害者とされたBが、知り合ったきっかけは出会い系サイトであり、現場はラブホテルだったこと、Bが多数のAの裸体写真を撮影していたことなどから、弁護士Cが強姦ではなくAとBの合意に基づく性交渉に過ぎないと考えたことも無理からぬところがあります。実際、Bは逮捕後20日間勾留されるも、処分保留で釈放され最終的には不起訴になっていますので刑法犯としては微妙な事案と思われます。 ○一審の認定もBが買春目的で出会い系サイトに相手を求めたことにAが軽率に応じたことに端を発し、その結果、ホテルで性交渉をもったもので、その過程でBがAに暴力を振るったり、脅迫的言辞を用いてホテルに連れ込んで性的交渉に及んだことを伺わせる事情は見あたらないとして300万円の慰謝料請求に対し100万円しか認めませんでした。 ○刑事事件としては弁護士CがAと示談契約を締結できず告訴の取下も実現しなくても処分保留で釈放され、最終的には不起訴処分に終わっており、結果としてはCは弁護活動の目的を達しています。それにも拘わらず、Aから民事事件として、C弁護士まで含めて損害賠償請求をされるという事態になった原因は、B自身のその後のAに対する執拗な請求でした。 ○Bは釈放後もAに対し面談を強要し続けたため、地裁から面談禁止等の仮処分命令を受けながらも、これを不服としてCに依頼して異議手続を取って抵抗し、更に性交渉時に撮影したAの裸体写真返還要求も拒否し続け、Aを外傷後ストレス障害との診断を受けるまでに苦しめました。 ○私は、たとえ合意による性関係であったとしても、事後に強姦であったと訴えられる事態になることそのものが問題だと思っております。たとえ相手の策略に陥れられたとしてもそのような人間を相手にすること事態が問題です。 ○まして本件ではBは出会い系サイトに金5万円を提供するとして買春相手を探し、応じて性交渉に至ったAに対し対価を支払うどころか、一度約束を破ったことを理由に逆にAに10万円を支払わせる約束(Bは借りる約束と主張)をさせており、どう見ても正常な人間とは思えません。 ○弁護士は依頼者の言い分を十分に聞くことは大変重要ですが、決して鵜呑みにしてはならないことが鉄則であり、又この姿勢が真実依頼者の期待に応えることになります。紛争と言う火に水をかけるのが弁護士の仕事であるところ、C弁護士の姿勢は火に油を注いで紛争を拡大させたとしか思えませんでした。 以上:1,101文字
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