平成18年 8月10日(木):初稿 |
○「マンション理事就任及び罰則支払規約の可否」に記載したとおり、多くのマンションでは管理組合理事のなり手が無くて苦労しています。そのため理事を交代当番制の義務化して、この理事就任義務を果たさない組合員には罰金を課すことが出来るかと言う相談を受けたこともあります。 ○ところが逆にたまには積極的にマンション管理組合の理事に就任し更に理事長となりたがる人が出てくる例があります。このような方は多くの場合、建設関係事業に携わっています。マンションは、20年に1回の工事高数千万円から億を超す大規模修繕工事を始め、毎年のように何らかの中規模・小規模修繕工事が発生し、さらに電気・エレベーター・給排水設備等共用施設の日常的保守点検も必要になります。 ○マンション管理のためには、数千円、数万円の小規模工事から、数千万円或いは億を超す大規模工事まで、頻繁に何らかの建築関係工事が必要になり、マンション管理は日常的に大なり小なり何らかの業務が発生し、しかもそのための出金は理事者個人のお金ではなく、マンション管理組合と言ういわば他人のお金であり、自分の懐を痛める場合と違って出金管理が甘くなりがちです。 ○そこでこの点に目を付けて、建設関係事業を営む人が、マンションの一角を買い受けて組合員となり、理事に就任し更に代表理事となって、そのマンションの管理に伴って発生する業務を全て自分が経営する会社に一手に任せて自社の売上に貢献している例も散見されます。 ○以前私が相談を受けた事例では、ある建設会社を経営する人があるマンションの最も小さな部屋の数分の1の共有持分権を取得して組合員の資格を得、なり手の無い理事に立候補し、更に理事長になり、管理組合で発生する工事を全て自分の会社で受注し、その工事代金名下に数千万円を管理組合から引き出し、その工事も行わないで放置しているので損害賠償請求できないかと言う相談を受けたことがあります。 ○これは極端な例ですが、理事に就任して数千万円の大規模修繕工事が間近に迫った場合など、この工事受注を目論む業者が理事に近づいてくる例は、相当数あると思われます。中には理事者がそれぞれ自分が応援する工事業者に受注させたいと張り合う場合も結構あると聞きます。 ○私は、マンション管理組合は小なりといえど公共機関であり、理事は公人と自覚すべきと確信しています。そのため私のマンションで約9000万円をかけて大規模修繕工事を行った際の入札のおいては、顧問のゼネコン会社等から入札参加の希望を頂きましたが、私に関連する会社は全てお断りしました。理事の公人性を貫くためでした。 以上:1,077文字
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