平成18年 8月11日(金):初稿 |
○マンション管理においては恒常的に何らかの工事が発生します。特に20年に1回は大規模修繕工事が必要となりその費用は数千万円から大きなマンションだと1億円を超える工事になります。私の事務所のあるマンションはA棟が1フロア原則5戸の14階建てで、B棟が1フロア原則8戸の4階建てで全部100戸近く入居者がおり、4,5年前に行った大規模修繕工事は1億円近くかかりました。 ○この大規模修繕工事の時は先ず施工管理者として1級建築士を依頼し、その仕切りの元に全8社から見積もりをとり(入札)、最終的にはその施工管理者の意見を参考にして、理事会で施工業者を決定することにしました。理事は7名ですが中には自分のお気に入りの工事業者がいて何としてもその業者に決めたいとのことで運動をする方も居ました。 ○1億円近い工事になると建築業者も魅力があるらしく理事の1人である私にも顧問会社や建築業を営む親しい友人から是非使って欲しいせめて見積もりに参加させて欲しいとの要請を受けました。しかし付き合いの悪い私は丁重にお断りしました。 ○その理由は私が理事の1人で最終的な施工業者を決める議決権を持っていたからです。もし私が私の顧問会社等の推薦をして入札に参加して貰ったら、私は事実上議決権を縛られてしまい、施工業者決定の公正が失われてしまうからです。 ○マンション管理組合の理事は、たとえ誰もなり手が無く仕方なく就任したとしても形式的には多数の組合員の代表であり、小なりと言えど公人です。又マンション管理組合が所有する管理費や修繕積立金等の預かり金は公金です。大規模修繕工事等ではこの公金から多額の金員が支出されます。 ○このような公人の地位にあり公金支出を決定する立場にある場合、その地位をいささかも私的利益のために使うことは許されず、又そのように見られるような行動は慎むべしと言うのが私の考えでした。従って大規模修繕工事に当たり自分のお気に入りの工事業者に決めるべく運動するなど私にとっては到底許されない行為でした。 ○そこで私は自分の顧問会社等私に関係する建設業者は全て入札はお断りし、私には何ら関係のない会社だけを見積もり提出業者(入札者)に選んでいただき最終的には従前から特定の理事に食い込んで売り込みを図っていた業者を排除しました。全然知らない業者より日頃良く依頼して懇意にしている業者の方がサービス良くやってくれるのではとの現実的な意見もあり、悩ましいところもありますが、個人依頼と公人依頼は厳格に峻別すべきと思っております。 以上:1,046文字
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