平成18年 4月25日(火):初稿 |
○弁護士稼業を続けていると民法や刑法など基本六法の他に家族の扶養問題に関しては生活保護法、家族が病気になった場合の健康保険法等の医療保障法、離婚問題に関しては年金法・児童福祉法、老人問題については社会福祉法・介護保険法、障害者問題についての障害者福祉法等「社会保障法」に関する知識・基本理解の必要性を感じることが良くあります。 ○福祉制度に関する問題については、それは弁護士の専門ではないので仙台市役所の福祉課に行って相談して下さいと逃げることも良くあります。そこで福祉等社会保障法全般についての細かい実務まで精通するのは不可能としても制度の基本については理解したく、これをコンパクトにまとめた判りやすい参考文献はないかと探していたら、たまたま仙台丸善で「目で見る社会保障法教材第3版」を見つけて購入しました。 ○この本はA4版僅か160頁の薄い本ですが、Ⅰ社会福祉法総論から始まり、Ⅶ社会保障争訟まで7分野に分けて何れも豊富な図解入りでコンパクトに解説しており、正に私の目的にピッタリの文献でした。そこでこれを参考に社会保障法についての最低知識をまとめて私の備忘録としてこのHPに残していこうと思っております。 ○同書Ⅰ社会保障法総論の1社会保障法の理念において、今日の社会保証制度の基礎となる考え方を提示したのは、第2次世界大戦中の1942年にイギリスで公表されたウィリアム・ベヴァリッジ卿による報告書「社会保険及び関連サービス」(いわゆるベヴァリッジ報告書)とのことです。 ○ベヴァリッジ報告書概要は以下の通りです。 ・社会保障の範囲:失業、疾病等により収入が中断された場合の所得保障であり、出来るだけ速やかに収入の中断を終わらせる処置を講ずべきで、①15歳以下の児童に対する児童手当、②疾病予防・治療・リハビリテーションサービスの社会全員に提供、③雇用維持即ち大量失業回避を前提とする。 ・保障の3つの方法:①基本的ニーズに対する社会保険、②特別なケースに対する国民扶助、③基本的な措置に付加する任意保険の3つの組み合わせで行う。 ・社会保険の6つの原則:①均一額の最低生活費給付、②均一額の保険料拠出、③行政責任の統一、④適正な給付額、⑤包括性、⑥被保険者の分類 ○このベヴァリッジ報告書は、第2次世界大戦後の資本主義国家における社会保障制度構築に大きな影響を与えたそうですが、その具体的制度内容は国によって大きく異なるとのことです。 以上:1,008文字
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