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愛人契約における愛人の地位保護についての考察雑感-二重婚禁止の趣旨

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令和 7年 5月 4日(日):初稿
○「愛人契約における愛人の地位保護についての考察雑感-妾は愛人契約?」の話題を続けます。
角栄氏は、正妻はな夫人の外に公認の二号―お妾さんとして辻花子氏、さらに公認の政務秘書兼愛人として佐藤昭子氏の二人の愛人を持ち、それぞれ子供さんももうけていました。今の時代なら、それが判明した時点で不倫だ!不貞だ!けしからんと、騒がれ総理大臣まで昇り詰めることはできなかったと思われます。しかし、当時は、妾を持つのは男の甲斐性といわれた時代で、お金のある人は、二号・三号と呼ばれる女性を愛人として持つことが非難の対象になっていなかった記憶しています。

○辻和子氏は佐藤昭子氏の角栄氏に関する著作の中には、角栄氏は定期的に辻氏や佐藤氏の居宅を訪れ、子供たちと一緒に食事を共にして宿泊していった様子が記述されており、角栄氏にとって辻氏・佐藤氏との生活部分は第二・第三の家庭で、準婚姻関係とも評価できます。特に辻氏との間には夭折した女子を含めて3人の子供がおり、長男・二男に対する父親ぶりが詳細に描かれ、角栄氏にとって正に家族であり家庭でした。しかし、角栄氏は、正妻はな氏の配偶者であり、重ねての婚姻は許されません。

○実質的には、辻氏・佐藤氏との関係は二重婚・三重婚とも評価されますが、日本では以下の通り、正式婚姻以外の婚姻は禁止されています。
民法第732条(重婚の禁止)
 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
刑法第184条(重婚)
 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。


○この民法・刑法で規定された二重婚とは、法律上の婚姻で、婚姻届け出をして戸籍係に受理された場合を言います。従前は婚姻届け出の際、戸籍謄本が必要とされて居ましたので、婚姻していれば当然戸籍に記載されていますので、事実上、二重の婚姻届けは不可能でした。令和6年3月1日から戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の添付が原則不要になったとのことですが、戸籍係が受理する際に、戸籍を確認しますので、戸籍に婚姻が記載されている限り、婚姻届受付却下となることに変わりません。従って民法・刑法で禁止された二重婚届け出は手続き上不可能で犯罪として成立した例はないと思われます。わずかに犯罪として存在した例は、偽造離婚届で戸籍上離婚となっていた者が婚姻届けをして二重婚禁止規定違反犯罪として起訴された例があるそうです。

○以上の通り、法律で禁止された二重婚は、二重の婚姻届け出をして法律上も二重婚姻になった場合であり、原則として、二重婚姻届け出は受理されませんから、偽造の離婚届け出をして戸籍上離婚状態となってい場合を覗いて犯罪として成立することはありません。法律は、婚姻届け出をしないでの実質的二重婚は禁止していません。実際、正妻とは不仲となり、愛人宅に入りびたり、愛人との生活が実質婚姻状態となっている二重婚の例は山のようにあり、民事上の貞操義務違反としての損害賠償責任問題は生じています。

○角栄氏の凄いところは、正妻はな氏との婚姻関係も正常に維持して、且つ、辻・佐藤両氏との二重婚も円満に維持し、辻・佐藤両氏が角栄氏を心から慕い、角栄氏との生活を偲ぶ著作まで残していることです。角栄氏の秘書早坂氏の弁では、その他一時的愛人が多数いるも、恨みを持たれた例は全くないとのことです。しかし、佐藤氏の著作では、角栄氏が女性関係が派手と言われているが、政治家になってからは、忙しくて多数の女性関係を持つヒマなどなく、角栄氏の多数の女性関係は噂に過ぎないと完全否認する記述をしています。佐藤氏をしてこのように思わせたことも角栄氏の凄いところです(^^;)。
以上:1,523文字

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