令和 7年 4月11日(金):初稿 |
○法務省HPの「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」に、令和6年5月17日民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)についての「改正の概要PDF」が掲載されており、その内容を紹介します。民法家族法が大幅改正されていますが、それに伴って民法物権法・民事執行法・人事訴訟法・家事事件手続法も改正されており、シッカリ見直す必要があります。 ○改正の背景・課題の一つとして、「現状では(離婚後の)養育費・親子交流は取決率も履行率も低調」とありますが、正に実感するところで、この概要に従って、徐々に各改正条文内容を確認して、このHPに掲載していきます。 ********************************************* 民法等の一部を改正する法律の概要民法等の一部を改正する法律の概要 令和6年5月法務省民事局 【検討の経過】 令和3年2月法務大臣から法制審議会へ諮問 令和6年2月法制審議会から法務大臣に答申 令和6年3月法律案閣議決定 令和6年5月成立・公布 ➡公布から2年以内に施行予定 【背景・課題】 ・父母の離婚が子の養育に与える深刻な影響、子の養育の在り方の多様化 ・現状では養育費・親子交流は取決率も履行率も低調 ・離婚後も、父母双方が適切な形で子を養育する責任を果たすことが必要 第1 親の責務等に関する規律を新設 ○婚姻関係の有無にかかわらず父母が子に対して負う責務を明確化 民法817の12 (子の心身の健全な発達を図るため子の人格を尊重すること、父母が互いに人格を尊重し協力すること等) ○親権が子の利益のために行使されなければならないものであることを明確化 民法818等 第2 親権・監護等に関する規律の見直し 1 離婚後の親権者に関する規律を見直し 民法819等 ○協議離婚の際は、父母の協議により父母双方又は一方を親権者と指定することができる。 ○協議が調わない場合、裁判所は、子の利益の観点から、父母双方又は一方を親権者と指定する。 ➡父母双方を親権者とすることで子の利益を害する場合には単独親権としなければならない。 例:子への虐待のおそれがあるケース※虐待やDVは身体的なものに限らない。 DVのおそれや協議が調わない理由その他の事情を考慮し、親権の共同行使が困難なケース ○親権者変更に当たって協議の経過を考慮することを明確化※不適正な合意がされたケースにも対応 2 婚姻中を含めた親権行使に関する規律を整備 民法824の2等 ○父母双方が親権者であるときは共同行使することとしつつ、親権の単独行使が可能な場合を明確化 ・子の利益のため急迫の事情があるとき(DV・虐待からの避難、緊急の場合の医療等) ・監護及び教育に関する日常の行為(子の身の回りの世話等) ○父母の意見対立を調整するための裁判手続を新設 3 監護の分掌に関する規律や、監護者の権利義務に関する規律を整備 民法766、824の3等 第3養育費の履行確保に向けた見直し ○養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能に)民法306、308の2等 ○法定養育費制度を導入(父母の協議等による取決めがない場合にも、養育費請求が可能に)民法766の3等 ○執行手続の負担軽減策(ワンストップ化)や、収入情報の開示命令などの裁判手続の規律を整備 民執法167の17、人訴法34の3、家手法152の2等 第4安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し ○審判・調停前等の親子交流の試行的実施に関する規律を整備 人訴法34の4、家手法152の3等 ○婚姻中別居の場面における親子交流に関する規律を整備 民法817の13等 ○父母以外の親族(祖父母等)と子との交流に関する規律を整備 民法766の2等 第5その他の見直し ○養子縁組後の親権者に関する規律の明確化、養子縁組の代諾等に関する規律を整備 民法797、818等 ○財産分与の請求期間を2年から5年に伸長、考慮要素を明確化 民法768等 (婚姻中の財産取得・維持に対する寄与の割合を原則2分の1ずつに) ○夫婦間契約の取消権、裁判離婚の原因等の見直し 民法754、770 以上:1,687文字
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