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腎臓病罹患秘匿での婚姻が告知義務違反に当たらないとした地裁判決紹介2

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令和 6年 5月30日(木):初稿
○「腎臓病罹患秘匿での婚姻が告知義務違反に当たらないとした地裁判決紹介」を続けます。令和4年11月22日東京地裁判決(LEX/DB)の事案は、元妻が元夫に対し、
①15歳時にり患したIgA腎症についての説明義務違反があった旨、
②IgA腎症について原告が確認を求めたところ、モラルハラスメントに及んだ旨及び
③IgA腎症を放置することで婚姻関係に支障を生じたさせた旨
を主張し、これらが不法行為に当り、その損害賠償請求として約850万円(うち慰謝料500万円)の支払を求めて提訴したものです。

○この判決は、婚姻前の説明義務について、一般論として、婚姻が当事者間に重大な財産上・身分関係上の権利義務の変動をもたらすことに照らせば、とりわけ重要事項につき故意に虚偽の内容を述べ、その内容を要素として相手方が婚姻の決断に至った場合等、事案によっては不法行為が成立する余地はあるとしています。

○この婚姻前説明義務重要事項として考えられるものには、持病、容貌上の問題、身体障害状況等があります。「一部身体状況を隠して結婚したことは離婚理由?」、「ハゲ隠し夫の責任とハゲを理由に逃げた妻の責任」で、頭髪状況についての説明義務を論じて、私は、結婚を決めるに当たり容貌は重要要素であること、頭部は容貌で重要な地位を占めることから、ハゲ隠しに説明義務違反があるとしていました。しかし、当時、私の頭は髪がフサフサしており、ハゲの真情に理解が及ばなかった故の結論で、頭髪がメッキリ薄くなった現在は少し心境に変化もあります(^^;)。

○身体の持病や障害状況についてどこまで告知義務があるかは難しいところです。前記判決は、広く告知義務を課し、これに反した場合の損害賠償責任を認めることは、特に疾患に関する情報については、婚姻前の時点で全面的にプライバシー情報を開示することを要求する結果や、過失による医学的な説明の誤りについても広く損害賠償責任を求める結果となりかねず、にわかに肯定し難く、不法行為の成否につき慎重に検討すべきとしていますが、全く同感です。

○性的不能を隠して結婚し、結婚後全く性行為がなかった場合について、性的不能を隠して結婚した元夫に対し、慰謝料500万円の支払を命じられた例があります。性は結婚の中核をなすもので、正に重要事項に該当します。前記東京地裁事案で、元夫はIgA腎症に罹患したていたことを隠したことを問題とされましたが、判決は故意に虚偽の事実を述べたとは断定しがたく、告知義務違反があるとは評価できないとして不法行為にはならないとしました。持病がある場合、どこまで説明すべきかは難しいところです。離婚に至った原因と持病を隠していたことの因果関係の判断も相当難しそうで、いずれにしても慎重な判断が必要と思われます。
以上:1,149文字

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