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子供名義預金と財産分与の関係に言及した3判例要旨紹介

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平成26年 1月16日(木):初稿
○「子供名義預金が財産分与対象にならないとした判例全文紹介」の続きです。
同判例は子供名義預金が財産分与の対象とならないとしましたが、判例の中には子供名義預金について、原則として共有財産に当たるとするものもありました。以下、子供名義預金との表現が入っている3判例を紹介します。

平成16年3月18日東京地方裁判所判決(LLI/DB判例秘書登載)
(原告主張)
(ア)原告及び子供名義の預貯金は,原告名義の預貯金が合計18万0725円(平成15年10月15日時点の郵便貯金が4万0074円,平成3年9月19日時点での労働中央金庫の普通預金が14万0651円),A名義の定額貯金が元本46万8000円,B名義の定額貯金が元本47万3000円及び通常貯金が平成15年7月23日現在で19万0611円,C名義の預貯金が236万7266円(亀有信用金庫の普通預金が平成12年5月26日現在で1000円,通常貯金が平成15年10月18日時点で86万6266円,定額貯金の元本が150万円)である。
 原告の預貯金は生活費口座となっており,また,A,B名義の預貯金は,ほぼ全て同人らに対する様々なお祝いや,お年玉などを貯めているものであり,本来的に本人らに帰属させるべきものである。さらに,Cの預貯金は,A,B同様のお祝いやお年玉のほかに,Cが障害児であることから,その将来のために出生後,原告と被告の給与から各1万円月々2万円ずつ貯え,また,障害児手当なども併せて貯めているものであって,これもまたCに帰属させるべきものである。
(判示)
エ 以上からすれば,預貯金については,子供名義のものも含めて,原告と被告の収入から形成されてきていることが認められ,現時点では,原告名義と子供名義の預貯金は原告の管理に,被告名義の貯金は被告の管理のもとにあるから,これらは特に分与しないこととするのが相当である。(なお,Cの名義の預貯金については,特に額が大きいが,同人がダウン症であることを考え,そのままにしておくのが相当である。)
 
平成16年1月28日東京地方裁判所判決(LLI/DB判例秘書登載)
 原告X2は,子供名義の番号3ないし5,8ないし10の預金が子供の特有財産であり清算の対象ではないと主張する。原告らの最年長の長女も現在10歳であり,上記の預金を自ら管理できる状態にないことは明らかである。このような年齢の子供の名義の預金については,用途を限定して他人から譲り受けたような金銭であればともかく,お年玉等の蓄積や,原告X2及び被告夫婦が将来のため子供名義で預金をしたとした場合には,実質的に夫婦の共有の財産とみるのが相当である。したがって,別紙一覧表の番号1ないし17の預貯金全部が清算の対象となる。

平成7年4月27日東京高等裁判所判決(家庭裁判月報48巻4号24頁)
 婚姻期間中に得られた収入等により夫婦のいずれかの名義又は子供名義で取得した財産は,夫婦の共有財産に当たるもので,財産分与の対象となることは明らかである。また,特有財産の換価代金と婚姻中に蓄えられた預金等を併せて取得した財産も夫婦の共有財産に当たるもので,財産分与の対象となるものであり,ただ,財産分与の判断をするに当たって,その財産形成に特有財産が寄与したことを斟酌すれば足りるものと言うべきである。もちろん,婚姻中に取得されたものであっても,親兄弟からの贈与や,相続による取得物あるいは婚姻前から所持していた物又はそれらの買替物は,それを取得した配偶者の特有財産であって,財産分与の対象となるものではないことは当然であるが,他の配偶者がその維持管理に貢献した場合には,その事情も財産分与に当たって考慮されなければならない。
 したがって,そのような観点に立って,婚姻中に取得した個々の財産が各配偶者の特有財産であるか,それとも夫婦の共有財産に該当するかを判断するに当たっては,取得の際の原資,取得した財産の維持管理の貢献度等を考慮して判断しなければならないが,特段の事情が認められない場合には,夫婦の共有財産に属するものとして,財産分与の対象となるものと言わねばならない。


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