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夫が妻の間男に対し損害賠償請求することと恐喝罪の関係2

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平成24年 2月12日(日):初稿
○「夫が妻の間男に対し損害賠償請求することと恐喝罪の関係1」の続きです。
これを読んだおそらく受験生か合格間もないと思われる方から以下の様なメールを頂きました。
新司法試験の刑事系で出題されました。一つの論点であり、喝取する目的で正当行為をするぞと言った場合、悪しき目的によって正当行為でなくなってしまい、違法な恐喝になるそうです。行為無価値的な考えです。
 結果無価値からも、正確に300万の損害もないのに、多額に請求すると、超過分は正当行為ではなく、違法な恐喝になるそうです。

このような感想メールは大歓迎で、投稿有り難うございました。

○もう40年近い前の大学時代、刑法総論講義を担当された荘子邦雄先生の著作で、当時は判例等詳細に紹介されて全810頁にもなっていた青林書院現代法律学全集「刑法総論」を繰り返し読んで刑法は、憲法・民法・刑法基本三科目のうちでは一番好きな科目となっていました。ところが、「受験時代のもう1人の恩師に対する図々しお願い」記載の通り、受験時代論文式試験通信指導をして頂いたもう1人の恩師から刑法が弱いとの指摘を受けてから、再度、力を入れて刑法に取り組み、最終的には、基本三科目では、刑法が一番得意になっていました。

○しかし、実務に入っての刑事事件では、殆ど事実関係に争いのない情状弁護事件だけで、刑事法上の難しい論点について判例・学説を精査して弁論要旨を書く事件は殆どなく、実務のために刑法の教科書・論文・判例集等を勉強する必要は余りありませんでした。民事実務では、多くの事件で判例・学説等の調査が必要になるのとは対照的です。

○しかも3年以上前に、刑事事件引退宣言を出して、刑事事件はやらなくなり、刑事事件からは遠ざかり、刑事事件の重要論点などもスッカリ忘却の彼方になり、行為無価値・結果無価値なんて言葉も忘れかけていました(^^;)。どうやら、間男に対する損害賠償では、訴えを提起するとの「正当行為」の告知といえども、損害が100万円低度のところ300万円もの多額の請求をすると超過分は正当行為ではなく違法な恐喝になると考える学者先生が多いようです。

○間男・間女に対する損害賠償請求事件は、このHPで間男・間女無責任論を強調して紹介している関係もあり、間男・間女の立場の方からの相談が多く、この立場の方の損害賠償請求を受けている事件を常に数件抱えています。間男・間女に対する損害賠償請求をしたいとの相談も、時々ありますが、他の弁護士を紹介して私自身では受任しませんので、専ら間男・間女の味方になってしまいました(^^;)。

○この間男・間女に対する損害賠償請求の金額ですが、弁護士を代理人として請求する場合、500~1000万円の請求が当然の如くなされています。この請求に対する私自身が扱った例での最終的な和解金額ですが、30~100万円が多く、100万円を超え200万円、300万円になる例は殆どありません。私の経験では最高額250万円ですが、これは間男の立場の方の社会的地位が相当高く経済力もあり、早期解決のためやむを得ずこの金額になったもので、判決まで行けば到底このような金額の判決はでないものでした。

○裁判官から取材した範囲では、間男・間女に対する請求事件はマックスで300万円としており、金額は相当低下しつつあるとの印象を受けています。だとすると実務で通常行われている500~1000万円の請求は、妥当金額を遙かに超え、前記学者先生のお考えでは、超過分は正当行為ではなく違法な恐喝になってしまい、間男・間女側の弁護士先生は、恐喝教唆乃至共同正犯になってしまいますが、残念ながら実務の世界ではそうは考えられていません(^^)。
以上:1,524文字

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