平成20年 9月11日(木):初稿 |
○先日、夫Aが死亡した妻Bから、その後のBの身分、夫Aの両親、兄弟姉妹との関係、氏、扶養関係等について質問を受けました。この場合の民法親族法等の規定を備忘録として整理します。 ○姻族関係 先ずBの亡夫Aの親族との間の姻族関係はAの死亡によっても継続していますが、民法第728条(離婚等による姻族関係の終了)の 「姻族関係は、離婚によって終了する。 2 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。」 の規定により生存配偶者Bが姻族関係を終了させる意思表示をしたときは、亡夫Aの親族との姻族関係が終了します。この意思表示は具体的には市町村役場の戸籍係への届け出によって行います(戸籍法96条)。 Bが再婚しても亡夫Aの親族との姻族関係は、姻族関係終了の意思表示をしない限り継続します。 ○旧姓への復氏 亡夫Aの姓が「甲野」、Bの旧姓「乙野」の場合、民法第751条(生存配偶者の復氏等)で 「夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。」 との規定により、生存配偶者Bは、また姻族関係終了の意思表示をしてもしなくても、旧姓「乙野」に戻すことが出来ます。この手続も市町村役場の戸籍係への届け出によって行います(戸籍法95条)。 ○姻族関係終了と復氏の関係 Bは、亡夫A死去後、その親族関係と旧姓復氏については ①姻族関係を維持し、氏も維持する ②姻族関係を維持し,氏は旧姓に復する ③姻族関係を終了し、氏は維持する ④姻族関係を終了し,氏も旧姓に復する の4つのいずれでも選択できます。 ○扶養関係 亡夫Aに年老いた母Cが生存している場合、生存配偶者Bと義母Cの扶養関係は、 民法第877条(扶養義務者)「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。」 との規定により、Bに義母Cの扶養義務は原則としてありませんが、「特別の事情があるとき」家庭裁判所の決定によってを負わされる場合もあります。これは姻族関係終了意思表示をしない限り,Bと亡夫Aの母(義母)Cは姻族1親等で「3親等内の親族」に当たるからであり、姻族関係終了意思表示をすれば何の関係もなくなりますので、扶養義務を負うことも全くなくなります。 以上は、全て条文の問題ですが、キッチリ覚えておかないととっさの質問に答えられず、整理しておきました。 以上:1,037文字
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