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離婚の自由制限-日本婚姻法との比較1

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平成20年 9月 7日(日):初稿
○久しぶりにスウェーデン新婚姻法紹介です。「婚姻成立要件-日本婚姻法との比較」で、「婚姻障害についても日本は社会秩序維持優先、スウェーデンは個人自由意思優先でお国柄が出ています。」と記載していました。「父母を異にすれば兄弟姉妹でも行政庁の許可を得て婚姻できることです。当然叔父姪結婚も可能で養親子間でも養親子関係が終了した後は、また子供の配偶者とも子供夫婦の離別或いは死別後は、婚姻できる」ようだったからです。

○婚姻関係が破綻した場合の離婚もスウェーデン新婚姻法では、離婚も簡単に出来ます。そのため「スウェーデン婚姻法全文邦訳サイト発見」に記載したとおり、離婚事件は弁護士の商売の種にはなっていないようでした。

○スウェーデン新婚姻法でも日本民法でも夫婦の合意があれば離婚は自由に出来ます。問題は合意に達しない場合の裁判離婚ですが、日本民法は
」第770条(裁判上の離婚)
 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。」

と規定し、最終的には「婚姻破綻」が認定されない限り、離婚は認められず、解釈上、有責配偶者の離婚が原則認めないなど、裁判上の離婚を勝ち取るためには、障害が多く、ここに弁護士が登場する余地があります。

○ところがスウェーデン新婚姻法では、夫婦に離婚の合意が成立しない場合、例えば妻が離婚したいが夫がこれに応じない場合、妻が裁判所に離婚の申立をしてこれが夫に通知されてから6ヶ月の考慮期間が経過した後、改めて裁判所に離婚判決を請求すると離婚判決が認められるようです。

○日本民法の離婚法には「考慮期間」と言う言葉はありません。スウェーデン新婚姻法で定める「考慮期間」は、第2条に「夫婦の一方だけが離婚を欲する場合、一定の考慮期間を経過した後でなければ離婚することができない。」と規定とされていますが、第1条では「離婚の合意が調ったとき、夫婦は離婚の権利(ratt till aktenskapsskillnad)を取得する。離婚当事者双方が、共に考慮期間を置くことを欲した場合、または離婚当事者のいずれか一方にその者と生活を共にし、且つその者の監護(vardnad)に服する16才未満の子がいる場合、一定の考慮期間を置かなければならない。」と規定されています。

○離婚の合意が成立しても、夫婦双方が求め、または一方が16歳未満の子供と生活している場合、6ヶ月の「考慮期間」を置かなければならず、どうやら当事者に離婚が合意しても、頭を冷やして本当に離婚して良いかどうかを検討する冷却期間を置くべきとの発想があるようです。

○しかし第4条で「夫婦の別居期間が2年以上継続している場合、夫婦は、考慮期間を置かないで、直ちに離婚の権利を取得する。」と規定し、兎に角、2年以上の別居があれば、「直ちに」離婚する権利を取得するとのことで、完全な破綻主義を採用しているようです。

○ですから離婚について当事者に合意が成立しなくても、一方が離婚の申立をして、6ヶ月の考慮期間を経過し、更に離婚の申立をしなくても2年間以上別居が続けば、自動的に離婚出来るシステムのようで、難しい手続が不要なため離婚事件は弁護士の商売の種にはならないようです。
以上:1,507文字

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