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平成20年 3月23日(日):初稿 |
○日本民法親族法とスウェーデン新婚姻法での婚姻障害について比較します。 先ず婚姻年齢についての日本法の規定は以下の通りです。 第731条(婚姻適齢) 男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。 第737条(未成年者の婚姻についての父母の同意) 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。 2 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。 このように日本法での婚姻可能年齢は男18歳、女16歳ですが、未成年(20歳未満)の場合父母のいずれかの同意がないと婚姻出来ません。 これに対しスウェーデン新婚姻法の規定は以下の通りです。 第1条 18才未満の者は、住所(hemvist)を有する県(lan)の県行政府の許可(tillstan av lanstyrelsen)を得なければ婚姻することができない。 男女平等を徹底し、日本のように男と女で婚姻可能年齢を区別していません。また未成年でも親の同意は不要です。驚いたのは県行政府の許可があれば18歳未満でも婚姻できることです。例えば女性が13歳位で出産したような場合、婚姻が認められているのかも知れません。 ○次に親族間の婚姻障害についての日本法の規定は以下の通りです。 第732条(重婚の禁止) 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。 第733条(再婚禁止期間) 女は、前婚の解消又は取消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 2 女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。 第734条(近親者間の婚姻の禁止) 直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 2 第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。 第735条(直系姻族間の婚姻の禁止) 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条又は第817条の9の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。 第736条(養親子等の間の婚姻の禁止) 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。 第738条(成年被後見人の婚姻) 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。 日本では、既婚者の重婚の禁止の他に、女性だけ婚姻終了日から6ヶ月間の期間制限があります。 また直系血族・姻族(ex親子、子供の配偶者)の他に3親等内親族(ex叔父と姪)、いったん養子縁組した者同士やその配偶者は養子縁組解消後も婚姻できない等結構な制限があります。 これに対しスウェーデン新婚姻法の規定は以下の通りです。 第3条 直系血族または父母を同じくする兄弟姉妹は、婚姻を行うことができない。 兄弟姉妹が父母を異にする場合、政府または政府の指定する行政官庁の許可を得て婚姻を行うことができる。 第4条 婚姻中の者またはパートナーシップ登録者(registrerat partnerskap)は、重ねて婚姻を行うことができない。 スウェーデン新婚姻法での婚姻障害は、既婚者(パートナーシップ登録即ち同性同士既婚者)の他には直系血族と父母を同じくする兄弟姉妹同士だけです。 驚いたのは父母を異にすれば兄弟姉妹でも行政庁の許可を得て婚姻できることです。当然叔父姪結婚も可能で養親子間でも養親子関係が終了した後は、また子供の配偶者とも子供夫婦の離別或いは死別後は、婚姻できるようです。 ○日本では例え好きになって結婚したいと思っても身分関係によって相当程度規制されています。いったん直系姻族或いは養親子関係になった者について例えその関係が終了した後も婚姻が禁止される理由は、親子間の秩序を保つとの社会倫理維持ためと説明されています。 ○これに対しスウェーデンではそのような制限はなく、婚姻の自由の制限が日本に比較して相当緩和されており、好きになって結婚したくなったら身分が近い者同士でも結婚出来るようになっており、各人の自由な意思を尊重する制度となっているようです。 婚姻障害についても日本は社会秩序維持優先、スウェーデンは個人自由意思優先でお国柄が出ています。 以上:1,834文字
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