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男女関係の法的保護に関する最高裁判例

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平成16年11月21日(日):初稿 平成17年 5月15日(日):更新
○男女関係の法的保護に関する平成16年11月18日 最高裁判決(判タ1169号144頁、判時1881号83頁)を紹介します。
要旨は、婚姻外の男女の関係を一方的に解消したことにつき不法行為責任が否定された事例で、現時点では希有な事例ですが、今後、自立した女性の増加と共に増えてくるかも知れません。当HPの各種記録にも最高裁判例1同2として転載しました。

○事案概要は次の通りです。
A男とB女は、一旦婚約するも、間もなく解消し、その後は、「パートナーシップ関係」を約16年続け、その間、Aの希望により、2人の子供をもうけるも、Bは子供を出産するだけでその養育には一切拘わらず、出産に伴う各種費用名下にA側より多額の金銭を受領していた。
Aは、突然、他の女性と結婚し、Bとの関係を一方的に破棄し,これに対し、BがAの行為は、不法行為に当たるとして慰謝料支払を求めた。

○原審は、ABの関係は,その維持を専ら両者の自由な意思のみにゆだねるものであり,法的な拘束性を伴うものではないとしながら、Aの行為は、BのAとの関係継続についての期待を一方的に裏切るもので「相当でない」としてAに金100万円の慰謝料支払を認めました。

○これに対し、最高裁は、
①両者の関係は婚姻及びこれに準ずるものと同様の存続の保障を認める余地がない
②この関係の存続に関し、Aには何らの法的義務はなく、Bにも法的な権利ないし利益はない
としてBの請求を棄却しました。

○最高裁判示妥当と思います。
原審は、ABの関係は,その維持を専ら両者の自由な意思のみにゆだねるとしながら、一方的な破棄は「相当でない」と論ずるのは、正に論理矛盾でした。

○Bさんは徹底した自立を求める女性でした。Aとの関係はあくまでAの自発的意志に基づくとの立場に徹してAの行為を裏切りとして慰謝料支払など求めない方がカッコ良かったのに、中途半端だったと評価せざるを得ません。

○私は夫婦関係も含めて人間関係は、「屈服ではなく心服」が理想的関係と繰り返し述べております。
人間関係は、法的保護など当てにせず、あくまで自発的意志に基づく関係を維持する努力が重要と思っております。

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