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裁判所鑑定心因性視力障害で素因減額が否定された例4

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平成22年10月30日:初稿
(エ)被告らは,オクトパス視野検査の結果について,偽陰性率が高いことから,患眼(右眼)が悪いことを強調しようと,健眼(左眼)は正常だから過剰に反応していたという意味で,Xの作為をさらに強調するものと評価される旨主張する。

 確かに,3回にわたるオクトパス視野検査におけるXの患眼(右眼)の偽陰性率は高いが,正確には偽陰性率とは視野検査中に一度応答のあった部位に最高輝度の視標を提示し答えなかった割合であり,約10ないし15パーセントを超える場合には患者が集中力を欠いたり検査内容を理解していない可能性があるというものであり,必ずしも見えるはずの視標照度で応答がなかった場合といえるものではないし,さらに非常に進行した症例では,固視のわずかな変動で偽陰性率が上昇することがあるとされている。
 さらには,偽陽性率と偽陰性率とをあわせてRF(reliability factor)として評価され,このRFが15パーセント以下なら十分信頼性ある測定結果として評価してよいとされているところ,平成16年10月26日のXの患眼(右眼)のRFは,偽陽性率は0パーセント,偽陰性率は12.5パーセントであるから,十分信頼性ある測定結果と評価される。
 また,平成16年12月20日、平成17年4月1日の2ないし3回目の検査結果で偽陰性率が高くなっているのは,上記の「さらに非常に進行した症例では,固視のわずかな変動で偽陰性率が上昇することがある」に該当する可能性があるし,医療文献(甲第29号証67頁)によれば,心因性求心性視野狭窄もありうるところ,Xの場合,本件交通事故によって右眼の視力低下により仕事ができなくなるという大きなストレスを感じていたため,心因性も加味されて2ないし3回目の検査結果での偽陰性率が高くなった可能性があるから,検査の信頼性が疑われるものではない。

(オ)被告らは,Xの平成16年10月26日のオクトパス視野検査の結果につき,視神経の視野の広範囲にわたる大幅な低下を認めながら,検査結果自体の信用性について具体的な主張をしないまま,Xの右眼の障害を詐病と主張しているが,同検査の信頼性の指標となるRFの値が信頼性ある検査結果であることを示しているのは上記のとおりであり,Xの患眼(右眼)の広範囲にわたる大幅な低下も被告ら自身認めていると評価される。
 被告らは, 特に,「Swinging flash light test」における相対性瞳孔求心路障害(RAPD)が陰性との結果を問題にしているが,同検査はわずか1回だけであり,この1回だけの検査結果との比較だけでオクトパス視野検査結果の信用性がないと決めつけるのは不当である。
 フリッカー計検査結果も同様に1回だけであり,これだけで結論を出すのは不当である。

(カ)被告らの主張は,外傷性視神経症の一般論としての傾向をそのまま適用して,そこから少しでも外れたならば外傷性視神経症に該当しないとの硬直的,機械的,形式的な主張である。医学文献(甲第30号証)によれば「視覚系は,感覚系の中でも最も複雑なシステムである。聴神経線雑は約3万本からなるが,視神経は約100万本あり,全脊椎の後根線維よりも遥かに多い。」とあり,これだけ多くの量と複雑さを合わせた視神経の異常の具体的臨床例は多種多様にあるはずである。人間の身体,特に神経症状については,現時点で科学的に解明されていない部分が解明された部分より遥かに多いことは周知の事実であり,わずかに解明された部分のみの症例を基準としてこれに当てはまらない場合は認めないとの被告らの姿勢は,大量・迅速な事務処理が求められる自賠責保険金支払実務においてはやむをえない面があるとしても具体的個別的に損害の公平な救済を図るべき司法判断実務においては慎重かつ柔軟に判断すべきである。
(キ)被告らは,Xの視力障害が本件事故直後には生じていなかった可能性があると主張するが,本件事故直後から10日間程度,Xの右眼は大きく腫れ上がってふさがっており,事実上視力ゼロの状態であったのであるから かかる主張は邪推でしかない。
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