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H30- 1-17(水):名簿漏洩に関する不法行為責任を否定した大阪高裁判決全文紹介
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○未成年者の保護者が、通信教育等を目的とする会社が、管理していた未成年者の個人情報を過失によって外部に漏えいしたことにより精神的苦痛を被ったと主張して、通信教育会社に対し、不法行為に基づき、慰謝料10万円の支払等を求め、平成28年6月29日大阪高裁判決(判タ1442号48頁・判時2351号9頁いずれも<参考収録>)が、漏えいにより、迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張・立証がされていないとして棄却していました。

○この上告審の平成29年10月23日最高裁判決(NBL1109号25頁)は、上告人は、そのプライバシーを侵害されたといえるとし、原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、本件漏えいについての被上告人の過失の有無並びに上告人の精神的損害の有無及びその程度等について更に審理を尽くさせるため原審に差し戻しました。

○「本件漏えいは,被控訴人のシステムの開発,運用を行っている株式会社Z(以下「Z社」という。)の業務委託先の従業員である甲野太郎(以下「甲野」という。)が,被控訴人のデータベースから,延べ約2億1639万件の顧客等の個人情報を不正に持ち出したものの一つであり,甲野は,持ち出したこれら個人情報の全部又は一部を名簿業者3社に対して売却した。」との名簿漏洩の事案です。もしこれに損害賠償責任が認められると1件の金額が小さくても大変なことになります。
先ず控訴審大阪高裁の全文を紹介します。

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平成28年6月29日大阪高裁判決全文

主  文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 

事実及び理由
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,10万円及びこれに対する平成26年11月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人は入手した控訴人の個人情報を過失により漏えいしたとして,不法行為に基づき,損害賠償金10万円及びこれに対する不法行為日以降の日である平成26年11月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審が控訴人の請求を棄却したので,控訴人が本件控訴を提起した。

2 前提事実(当事者に争いがないか,掲記の証拠等によって認められる事実)
(1)控訴人は,Aの保護者である。

(2)被控訴人は,通信教育,模擬試験の実施等を目的とする株式会社であり,株式会社Y’(以下「被控訴人の親会社」という。)の完全子会社である。(甲5,弁論の全趣旨)

(3)被控訴人が管理していた以下の個人情報(以下「本件個人情報」という。)が遅くとも平成26年6月27日までに被控訴人の外部に漏えいした(以下「本件漏えい」という。)。(甲1,2,弁論の全趣旨)
 氏名 A
 性別 女
 生年月日 平成16年△月△日
 郵便番号〈省略〉
 住所 〈省略〉
 電話番号〈省略〉
 保護者名 X

(4)本件漏えいは,被控訴人のシステムの開発,運用を行っている株式会社Z(以下「Z社」という。)の業務委託先の従業員である甲野太郎(以下「甲野」という。)が,被控訴人のデータベースから,延べ約2億1639万件の顧客等の個人情報を不正に持ち出したものの一つであり,甲野は,持ち出したこれら個人情報の全部又は一部を名簿業者3社に対して売却した。(弁論の全趣旨)

2 争点及び当事者の主張
(1)本件個人情報が控訴人のものであるか

(控訴人の主張)
ア 被控訴人は,入手していた控訴人の個人情報を漏えいした。
イ 控訴人の氏名を含む本件個人情報が,一箇所にまとまって記録されているのであれば,それらは連携しており,容易に結びつけることが可能である。このことは,本人と保護者が別居しているというような例外的な事情がある場合があるからといって,否定されない。

(被控訴人の主張)
 被控訴人が,Aの保護者としての控訴人の氏名の情報を受領したこと及びそれが漏えいしたことはあるが,控訴人のその余の情報の漏えいはない。
 本件個人情報は,Aの情報として登録されていた情報である。被控訴人は,控訴人の個人情報(生年月日,住所等)をAの情報(本件個人情報)とは別に受領して,管理しており,控訴人の個人情報は漏えいしていない。
 保護者は,親権者とは別の概念である。また,情報が登録されていた本人とその保護者として登録されている者が別居している場合もあるから,本人の郵便番号,住所,電話番号を,保護者のそれとを同視することはできない。

(2)本件漏えいについての被控訴人の過失
 (控訴人の主張)

ア 被控訴人は,顧客等から収集した個人情報の漏えいを防止し,これを安全に管理するために必要かつ適切な措置を講じる義務を負っており(個人情報保護法20条),また,従業員に個人情報を取り扱わせる場合には,従業員に対して適切な監督をしなければならず,個人情報の管理を第三者に委託する場合には,受託者に同様の安全管理措置を講じさせた上でこれを遵守させる義務を負っていた(同法21条,22条)。しかし,被控訴人はその義務を怠り,本件個人情報を含む多くの個人情報を流出させ,控訴人を含む多くの顧客等のプライバシー侵害を放置し又は助長させている。

イ 個人情報を安全に管理するための「必要かつ適切な措置」として被控訴人が行うべき具体的行為は,被控訴人の親会社が「個人情報漏えい事故調査委員会による調査結果について」と題する文書(以下「本件報告書」という。)によって,広く世間に報告したとおりである。

 その内容は,個人情報の流出原因となった①アラートシステムの設定ミスや②書き出し制御の不徹底などのない個人情報の流出を防ぐための相当な措置を講じた内部規定の作成やシステムの構築,運用及び管理を行うべきであったというものであり,また,常にデータベース内の個人情報が流出していないか監視,監督を行い,データベース中に複数の独自のダミーデータを定期的に又管理先ごとに異なるものを入れ,流通している名簿に当該データが含まれていないか,当該データの住所や連絡先にダイレクトメールや営業の勧誘がないかなどをチェックし,流出した場合でも,すぐに流出の事実や流出元,時期が判明するようにすべきであったというものである。

(被控訴人の主張)
ア 個人情報保護法は,私法上の権利利益の内容や範囲を直接画定し,これを保護しようとするものではなく,個人情報の適正な取扱いに関するルールを明確にし,それらを法律上の制度として整備し,その遵守を確保することにより個人の権利利益の侵害を未然に防止しようとするものであって,同法に定める個人情報取扱事業者に関する各種義務は公法上のものにすぎない。したがって,同法の義務が直ちに民法上の不法行為責任を基礎付けける注意義務になることはない。

 また,個人情報保護法の「個人情報」の定義に含まれる情報は,公知か否か,一般に他人に知られたくないようなものか否かを問わないのであるから,同法の「個人情報」は,「プライバシー」とは別の概念である。

イ 控訴人が個人情報の流出原因であると主張する①アラートシステムの設定ミスや②書き出し制御の不徹底は,本件報告書において,被控訴人にかかるものではなく,Z社にかかるものとして記載されている。また,控訴人は,被控訴人において,常にデータベース内の個人情報が流出していないか監視,監督を行い,データベース中に複数の独自のダミーデータを定期的に又は管理先ごとに異なるものを入れ,流通している名簿に当該データが含まれていないか,当該データの住所や連絡先にダイレクトメールや営業の勧誘がないかなどをチェックし,流出した場合でも,すぐに流出の事実や流出元,時期を判明するようにするべきであったと主張するが,本件報告書にそのような記載はない。

(3)本件漏えいによる控訴人の損害
(控訴人の主張)

 控訴人は,本件漏えいにより,精神的苦痛を被り,これを金銭的に換算すると,10万円が相当である。

(被控訴人の主張)
 控訴人が10万円相当の精神的苦痛を被ったことは争う。
 氏名は,最も基本的かつ客観的な情報として社会生活を営む上で,開示公表される性質のものであるし,登記や官報公告などにおいて氏名や住所が開示公表されている。

 被控訴人は,情報漏えいが明らかになった後に速やかに謝罪を行い,再発防止及び二次被害防止のための取組みを行っている。また,被控訴人は,漏えい被害者に対し,お詫びのしるしとして500円相当の金券を送付する等の対応を行い,今後も再発防止及び二次被害防止のための種々の取組みを継続していくことを公表している。このように,被控訴人は,被害者の精神的苦痛を軽減するための対応を既に行い,かつ,今後も行っていくこと等からすると,仮に本件漏えいにより控訴人が何らかの精神的不快感等を被ったとしても,法的に慰謝料が発生する程度のものではない。

第3 当裁判所の判断
1 本件個人情報が控訴人のものであるか(争点(1))及び本件漏えいによる控訴人の損害(争点(3))について
(1)本件個人情報のうち,控訴人の氏名は,控訴人の個人情報である。

 本件個人情報のうち,Aの郵便番号,住所,電話番号は,Aが,本件漏えい当時,10歳未満の未成年者であると認められることからすると,控訴人の郵便番号,住所,電話番号でもあると推認することができるから,控訴人の個人情報であると認められる。被控訴人が主張するように,本人と保護者が別居している場合もあり得るが,本人が10歳未満の未成年者である場合には,それは,例外的な場合であると考えられるから,そのような例外的な場合があるからといって,上記判断が左右されることはないというべきである。

 本件個人情報のうち,Aの氏名,性別,生年月日は,控訴人の個人情報そのものではないとしても,控訴人の家族関係を表す情報ということができる。被控訴人が主張するように,保護者は,親権者とは異なる概念であり,保護者が,本人の家族でない場合もあり得るが,それは,例外的な場合であると考えられるから,そのような例外的な場合があるからといって,上記判断が左右されることはないというべきである。したがって,本件漏えいは,控訴人の氏名,郵便番号,住所,電話番号及びその家族である者の氏名,性別,生年月日が漏えいしたものということができる。

(2)自己の氏名,郵便番号,住所,電話番号及びその家族である者の氏名,性別,生年月日が名簿業者に売却されて漏えいすると,通常人の一般的な感覚に照らして,不快感のみならず,不安を抱くことがあるものと認められる。
 しかし,そのような不快感や不安を抱いただけでは,これを被侵害利益として,直ちに損害賠償を求めることはできないと解するのが相当である。
 本件においては,本件漏えいによって,控訴人が迷惑行為を受けているとか,財産的な被害を被ったなど,上記の不快感や不安を超える損害を被ったことについて主張,立証はない。したがって,控訴人が被控訴人に対して損害賠償を求めることはできない
というべきである。

2 以上によると,争点(2)について,判断するまでもなく,控訴人の請求は理由がない。

第4 結論
 以上のとおりであるから,控訴人の請求は理由がない。原判決は結論において相当であるから,本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。

以上:4,805文字
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H30- 1-16(火):2018年01月16日発行第213号”弁護士のさしすせそ”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成30年1月16日発行第213号「弁護士のさしすせそ」をお届けします。

○「敵に偽撃転殺の計あれば、我に虚誘掩殺の計あり。」なんてことわざ?全く知りませんでした(^^;)。大山先生愛読書三国志にあるんですね。「初めての三国志」「偽撃転殺の計VS虚誘掩殺の計」によると、「偽撃転殺(ぎげきてんさつ)の計」は、「西門を狙っていると見せかけて、兵力を西側に集中させ、本当は東側を攻めるという戦法」、「虚誘掩殺(きょゆうえんさつ)の計」は、「引っかかったと見せかけておいて曹操を油断させ、逆に東門で待ち受けていて破るという戦法」とのことです。勉強になりました(^^)。

○相手に気に入って貰うには「相手を良い気分にさせる」ことにつき、そのために「さしすせそ」の精神は有効ですね。サービス精神の重要性は、7年も前に大山先生に教えて頂き、「私が現在の司法修習生にだったら-営業基本復習」に偉そうに記載していましたが、スッカリ忘れていました。「さしすせそ」をきっかけに思い出しました。シッカリ、自覚します。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のさしすせそ


料理の世界には、「さしすせそ」がありますね。「砂糖」「塩」「酢」「醤油(せうゆ。ちょっと苦しいけど。)「みそ」を言うそうです。一方、女性が男性を落とすときに使う「さしすせそ」もあるそうです。男性相手にこれを言えば、絶対にうまくいく魔法の言葉なんですね。「さすが!」「知らなかったわ。」「凄い!」「センスいいのね。」「そうなんだ!」確かにこれは効きそうです。私は言われた記憶がないけど。ううう。。。

しかし、こういう「さしすせそ」は、別に現代日本だけの話じゃないんですね。「風と共に去りぬ」は、いまから200年近く前の、アメリカの南北戦争を舞台にした小説です。主人公のスカーレットは、当時16歳ですが、狙った男は必ず自分に夢中にさせたんだそうです。スカーレットによると、男の人の関心を引くにはコツがあるんです。まずは、相手の男自身のことを話題にしないといけない。そして、男性が良い気分になって話をすると、「あなたはなんて素晴らしいの!」「どうしてそんなことが分かるの?私には全く気が付かなかったわ!」みたいに言えば良いそうです。うーん、お見事!これってまさに「さしすせそ」ですね。

こういう「さしすせそ」は、とても良いんですね。私は、法曹界の人たちと一緒に、プロの将棋の先生の指導を受けてるんですが、先生、とても誉め上手なんです。「さすがですね。これはいい手です。」「これは私も気が付かなかった。凄い着想ですね。」みたいに、指導対局中に褒めてくれます。冷静に考えればお世辞だと分かるんですが、「自分もなかなかのものかな。」なんて、とても良い気分になるのです。(おいおい!)

と、これほど重要な「さしすせそ」なんですが、弁護士は意外と理解していないように感じるのです。少し前に、若い弁護士から、うちの事務所への応募がありました。送られてきた履歴書や自己PRを読んだんですが、応募者本人のことしか書いてないんですね。自分は良い成績で合格したとか、自分は弁護士の仕事に対してこんな思いを持っているとか、自分にはこういう長所があるとか、そういうことばかり沢山書いてあるんです。

こんな履歴書、「風と共に去りぬ」のスカーレットに見せたら、呆れ返りますよ!スカーレットなら間違いなく、応募先の事務所のことを話題にしたはずです。そして褒めますね。「貴事務所の、お客様と真剣に向き合う取組には、心から本当に感激しました。」みたいな感じです。私は常々若手弁護士にアドバイスしています。「事務所のボス一人を気持ちよくさせることが出来ないなら、独立したときに、様々なお客様を満足させられないよ。」

こういう「さしすせそ」について、多くの弁護士は否定的だと思います。「依頼者におべんちゃらを言ってる暇があれば、弁護士として力を付けろ!」なんて考えの弁護士の方が、多数派かもしれません。確かにそれも一理あることです。私だって、太鼓持ちみたいな弁護士が良いと考えているわけではないのです。

「さしすせそ」で大切なのは、相手に対する関心と思いやりを持つことなんですね。先ほどの将棋の先生の場合も、私が明らかに悪手を指したときには褒めたりしません。自分でも、「これはなかなか良い手かな。」なんて考えるときに、しっかりと誉めてくれるのです。私の指し手を誠実に見てくれているからこそ、そういうことが出来るんですね。

弁護士の場合も同じです。こっちは専門家ですから、総合的に法律の力があるのは当然です。それでも、お客様から学ぶことは沢山あります。ちょっとしたことでも、お客様の言動に関心を持ち、「さしすせそ」することは、とても大切なことだと思うのです。

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◇ 弁護士より一言

「さしすせそ」の話を、高校二年の長女にしたところ、男性の方には「かきくけこ」があると教えてくれました。女性に対する、「可愛いね」「奇麗だね」みたいな言葉だそうです。なんやそれは!「敵に偽撃転殺の計あれば、我に虚誘掩殺の計あり。」みたいな世界ですね。思わず長女に、「そんな事研究してないで、学校の勉強しなさい。」と言っちゃいました。
娘はすかさず、「さすがパパ!」あ、あほか。。。
以上:2,311文字
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H30- 1-15(月):ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介8(業務予測等雑感)
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○「ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介7(法曹人口データ)」を続けます。
ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介6(裁判所データ追加)」で紹介した裁判所事件数データと法曹人口データを比較した感想です。

○先ず驚いたのが刑事被告人と少年事件の激減です。刑事被告人数は、昭和40年約521万人が平成28年約100万人と5分の1以下に、少年事件は昭和40年約109万人が平成28年8万3000人と13分の1に大激減です。これに対し刑事事件を扱う検察官数は、昭和41年1173人が平成28年1855人と60%近く増員されています。

○警察官と警察職員のデータがないか調べてみると昭和56年度警察庁合計7630人、都道府県警察合計24万2747人、平成17年度警察庁合計7501人、都道府県警察合計27万7611人が発見できました。昭和55年刑事被告人数約270万人、少年事件約59万人が平成17年刑事被告人数約157万人、少年事件約24万人と相当減少しています。職員数は都道府県では3万人強増えていますので、職員1人当たりの刑事事件・少年事件の数は相当減っています。警察職員に仕事は楽になっているのでしょうか。

○民事事件数は、平成15年約352万件が平成28年約147万件と200万件以上の大激減です。ところが裁判官数は平成15年2352人が平成28年3008人と30%近く増えています。裁判官1人当たり担当民事事件数は相当減っている計算になりますが、実際の裁判官の感想を聞いてみたいものです。

○裁判所事件で唯一増えているのは家事事件だけで平成では元年約35万件が平成28年102万件と3倍近く激増しています。家事事件の主なものは離婚事件と遺産分割ですが、これらが増えているということで、確かに仙台家庭裁判所も、待合室はいつも混み合っており、調停事件で調停成立等裁判官の立会が必要になる場合、相当待たされることが多く、家事裁判官は相当忙しそうです。

○日弁連HPに平成27年「弁護士1人当たりの民事事件・家事事件数比較」がPDFファイルで掲載されています。これを桐ファイル化しようとしたらテキストコピー不許可になっており、できませんでした。著作権侵害を許さないとの立場と思われますが、日弁連もケチ臭いものです。これによると平成27年新受地裁通常訴訟事件の弁護士1人当たりの件数は、最少東京3会2.3件、最大三重の8.5件で平均は4,5件のようです。我が仙台は5.0件でした。ちなみに当事務所平成27年は、全新受事件103件中24件が地裁訴訟事件でしたので恵まれています(^^)。

○上記の通り家事事件は統計的には増えているのですが、平成27年弁護士1人当たり件数は最少東京3回0.9件、最大釧路13.6件、仙台は6.4件でさほど多くありません。通常訴訟事件にしても家事事件にしても必ず弁護士が就くとは限りませんので実際の弁護士1人当たりの件数は更に低くなります。

○刑事被告人数も平成28年約100万人で弁護士3万7680人で割ると1人当たり26人になりますが、弁護人が必要な事件数は、日弁連HPの「必要的弁護事件の事件数及び国選弁護人選任率の推移(地方裁判所)」を見ると地裁事件で5万件足らずであり、これに簡裁、高裁事件を合わせても10数万件程度と思われます。だとすると弁護士1人当たりの刑事事件数も数件止まりと推測されます。

○こうしてみると弁護士業務の将来性は気が重くなるばかりです(^^;)。しかし、世の中にはかような厳しい状況で業績を伸ばしている事務所が多数あり、特に家事事件数は増えていますので、マーケッティングの力を入れようと思っております。
以上:1,517文字
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H30- 1-14(日):ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介7(法曹人口データ)
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○「ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介6(裁判所データ追加)」の続きです。
裁判所HPの「裁判所データブック2017」「22頁から32頁まで(PDF:1.17MB)」に「2裁判所の職員」、「3裁判官の報酬」、「4裁判所の予算」、「5その他の参考事項(裁判官以外の司法関係者の資料を含む)」との表題のデータが掲載されています。
今回は、「5その他の参考事項(裁判官以外の司法関係者の資料を含む)」の中の「§1日本における法曹人口及び総人口の推移(昭和21年~平成29年)」を紹介します。

○検察官(副検事を含む)、検察官(副検事を含まない)、裁判官(簡裁判事を含む)、裁判官(簡裁判事を含まない)、総人口、弁護士、法曹人口(簡裁判事・副検事を含まない)の7種データをグラフで表しています。
これによると、検察官(副検事を含まない)、裁判官(簡裁判事を含まない)、総人口、弁護士、法曹人口(簡裁判事・副検事を含まない)の大雑把な人口推移は以下の通りです。

      総人口(万)  検察官  裁判官    弁護士    法曹全体
昭和21年  7215   668  1232   5737   7637
昭和41年  9828  1082  1844   8293  10556
昭和61年 12105  1173  2092  13159  16431
平成10年 12617  1274  2193  16853  20240
平成20年 12777  1679  2685  25062  29426
平成29年 12693  1865  3035  39027  43972





以上:684文字
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H30- 1-13(土):ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介6(裁判所データ追加)
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○「ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介5」の続きです。
裁判所HPの「裁判所データブック2017」「33頁から43頁まで(PDF:2.86MB)」に「第2部 事件の統計」として昭和27年から平成28年までの全裁判所の新受全事件数データが掲載されています。これをテキストコピーして、全裁判所.tblとして桐ファイル化し、これを各種統計データ変遷一覧.tbxに項目を追加し、併合処理によって取り込みました。結構、時間がかかりました。

○これらのデータによると、私が弁護士になって6年目の昭和60年には民事事件数約255万件、刑事被告人数約304万人、裁判所全事件数約668万件でいずれも昭和27年から平成28年までの間では最高件数だったところ、弁護士数は僅か1万2604人でした。ところが、平成27年は、民事事件数約143万件、刑事被告人数約103万人、裁判所全事件数約353万件と半数近くに激減しているところ、弁護士数は3万6415人と2万人以上増えています。

○よく見ると刑事被告人数は昭和40年約521万人でおそらく戦後最大人数でしたが、平成28年には100万人を切って99万9110人となって5分の1以下です。昭和40年の警察官数と平成28年の警察官数はどうなっているのでしょうか。もし同じ人数なら、随分と暇になっているはずですが(^^)。昭和40年頃の弁護士(7082人)の国選担当数は、平成28年(弁護士数3万7680人)現在の5倍以上ですから、大変だったはずです。

○これらの数字を見ると昭和60年代、平成15年当たりまでは、弁護士数も2万人には到らず、平成29年の4万人近い人数の半分以下で少ないところ、全裁判所事件数は600万件近くあり、弁護士殿様時代だったと思われます。刑事被告人数は、大激減中ですが、刑事事件で稼いでいる弁護士が増えているようにも感じるのが不思議なところです。おそらく私選刑事事件が増えているのでしょう。

以下、桐ファイル画像から紹介します。



桐レポート画面です。



以上:845文字
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H30- 1-12(金):"勾留中求令状"の意味についての必要刑訴法条文覚書
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○久しぶりに刑事事件の話題です。
私が刑事事件について引退表明した理由1」以下に記載の通り、私は平成21年刑事事件引退宣言をして、以来10年間刑事事件は担当しておらず、当然、刑事法廷にも入ることはなくなりました。刑事事件起訴状もこの10年間見ておりません。

○ところが、起訴状を受け取った関係者から、突然、起訴状に記載されている「勾留中求令状」の意味を質問されました。確かに昔起訴状を受け取ったときに良くこの「勾留中求令状」の記載を見た記憶があります。しかし、突然、その意味を質問され、刑事訴訟法の条文も10年以上遠ざかり、スッカリ、忘れており、とっさに答えることができませんでした。40数年前の受験時代は、刑事訴訟法を選択し、当時東京都立大学教授で東北大に集中講義に来ていた小田中教授の講義を聴いて感激し、一応、得意科目だったのですが(^^;)。

○そこでネット検索をすると「続・むささび日記」というブログの「求令状起訴」の説明を読んで少し思い出しました。以下、刑訴法必要条文備忘録です。()内文言は私の覚書です。
199条(令状逮捕)
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。

203条(検察官送致)
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(中略)、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

204条(検察官逮捕の勾留請求)
検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(中略)、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

205条(司法警察員逮捕の勾留請求)
検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、(中略)、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
2 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。
(中略)
4 第一項及び第二項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

第207条(裁判官勾留)
 前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
2 裁判官は、第一項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。

第208条(被疑者釈放)
前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

60条(起訴後勾留)
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
2 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。

第61条(勾留質問)
 被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。


逮捕中求令状
逮捕された被疑者が、まだ勾留されていない段階で起訴された場合は、検察官は、起訴状に「逮捕中求令状」と記載。この場合、裁判官は、勾留質問を行い、職権で勾留するか判断し、勾留しないときは直ちに釈放を命じる(同法280条2項)。裁判官の釈放命令に対して、検察官は準抗告をすることができる。

勾留中求令状(令状差替え)
A事実で勾留中の被疑者を、これとは別のB事実で起訴し、B事実について被告人勾留を求める場合、検察官は、起訴状に「勾留中求令状」と記載。勾留は公訴事実(被疑事実)ごとに行われるので、A事実とB事実に同一性がない場合、A事実についての勾留はB事実についての勾留として引き継がれず、改めてB事実について勾留するか否かを判断する必要があるから。逮捕中求令状の場合と異なり、裁判官が職権を発動しない場合においては、不服の対象となる裁判が存在しないので、B事実についての勾留を求めて検察官は準抗告をすることができない。裁判官は、勾留質問でB事実について被告人の陳述を聴いた後でなければ勾留することができない(同法61条)。
以上:1,983文字
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H30- 1-11(木):細川・小泉両元首相の原発ゼロ法案発表-反対・推進理由整理
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○平成30年1月現在79歳と76歳2人の元首相が、原発ゼロ法案骨子発表とのことで、平成30年1月10日のニュースで大きく取り上げられています。「直ちに原発を廃止し、太陽光などの自然エネルギーの導入を推進して、2050年までにすべての電力を自然エネルギーで賄うことを目指すなどとする、国の基本方針を規定」する法案とのことです。

○原発に対する私の考えはどちらかというと反対という程度で定見はありません(^^;)。ただ、核廃棄物の処理地候補に挙げられた宮城県内の市町村全てが受け入れられないとして拒否している現状を見る限り、核廃棄物発生が必須の原発稼働継続は不可能ではと思っております。

○原発反対派・賛成派の意見をまとめたサイトがないかと探したら「NAVERまとめ」「原発の推進する理由、反対する理由まとめ 」がありました。以下、その備忘録です。

原発反対理由                       原発推進理由
□事故時の被害の大きさ                  □電力の安定供給の切り札
□一度被害があると被害総額は数兆円            □電気代軽減で日本の経済競争力高める
□日常の放射性物質放出                  □二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化防止に役立つ
□核廃棄物の処理困難                   □原子力発電所の建設が過疎地域の経済対策になる
□核廃棄物は半永久的に管理                □日本の技術力を世界にアピール
□住民の不安感や圧迫感                  □フランスでは電力の約80%を原子力発電で供給
□日本での原子力関連の事故やトラブルは多く信頼性に欠ける □原子力の専門家たちのほとんどは原発の安全性を主張
□日本の原子力行政は非民主的
□濃縮ウランやプルトニウムは、原子爆弾に転用可
□日本は地震多発地帯
□西欧諸国の原発縮小・廃止方針
□再生可能エネルギー実用化までの繋ぎ
□原発の安全性を評価できる専門家がほとんどいない


○上記反対理由と推進理由を比較すると圧倒的に反対理由の方が説得力があるように感じます。特に核廃棄物処理問題は解決困難と言うより不可能に近いのでは思われ、原発推進派からこの点に関する説得力ある問題解決方針が示されない限り、原発はいずれ廃止すべきと考えざるを得ません。

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小泉・細川両元首相 「原発ゼロ」法案の骨子発表
1月10日 16時15分NHKニュース


小泉元総理大臣と細川元総理大臣は、国会内で記者会見し、直ちにすべての原発を廃止して、2050年までに自然エネルギーに全面的に転換するための法案の骨子を発表し、法案の策定と国会での審議に各党の協力を呼びかけていく考えを示しました。

法案の骨子は、小泉元総理大臣と細川元総理大臣が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が策定しました。

骨子は、東京電力福島第一原発の事故により原子力発電が極めて危険で、国民に過大な負担を負わせることが明らかになったとして、直ちに原発を廃止し、太陽光などの自然エネルギーの導入を推進して、2050年までにすべての電力を自然エネルギーで賄うことを目指すなどとする、国の基本方針を規定しています。

小泉氏は記者会見で、「今までの言動を見ていると、安倍政権で原発ゼロを進めるのは難しいと思っているが、国民多数の賛同を得て、近いうちに必ず原発ゼロは実現する」と述べました。そのうえで小泉氏は「どの政党であれ、原発ゼロ、自然エネルギー推進に全力で取り組むのであれば、われわれは協力していきたい。国会で議論が始まれば国民は目覚める。粘り強く諦めずに運動を展開していきたい」と述べ、法案の策定と国会での審議に各党の協力を呼びかけていく考えを示しました。

このあと、小泉氏らが顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」の関係者が各党を回って骨子の内容を説明し、協力を呼びかけました。

このうち通常国会で「原発ゼロ基本法案」の提出を目指している立憲民主党は「原発ゼロは国民の大きな願いだ」として、推進連盟が策定した骨子も参考にして検討し、今月中に法案を取りまとめる方針を示しました。

官房長官「原発依存度を可能な限り低減」
菅官房長官は午後の記者会見で、「具体的な内容を承知しておらず、コメントは控えるが、政府として徹底した省エネや再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する。そのうえでいかなる事情よりも安全性を優先し、独立した原子力規制委員会によって、安全性が確認された原発のみ地域の理解を得ながら再稼働を進めるという政府の一貫した考え方に変わりはない」と述べました。
以上:1,979文字
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H30- 1-10(水):”最高裁「裁判の電子化」調査へ 国際競争の遅れに危機感”紹介
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○「”日本の司法インフラ-審理スピードやデジタル化遅れに不満多数”記事紹介」の続きです。
この記事の中に「大手金融機関は『書面の提出方法がファクス、郵送などに限られ、諸外国と比較し電子化が遅れている』と記述。」との記載がありましたが、ホントにこれを実感します。訴訟では、訴状の提出から始まり、熾烈な争いのある事件では、判決等一応の手続終結までに、相当、大量の書面の遣り取りがあります。この書面を裁判所に送る方法は、FAX送付か郵送に限られます。FAX送付は、数百頁に渡る大量の書面やカラー画像書面、細かい文字で記載された書面等の送付は適しませんので、事実上、郵送に限られる場合も相当あります。

○特に数十頁・数百頁に渡る書面などテキストファイル或いはPDFファイルになっている場合、いちいち紙に印刷したものを封筒に入れて送付する作業が大変です。これらの文書をテキストファイル或いはPDFファイルのままメール送付できたらどれほど楽だろうかと思うことが良くあります。

○私は20年以上前から裁判外の催告書・通知書等はいちいちパソコンで作成した文書データをいちいち紙に印刷して封筒に入れて切手を貼って郵送する作業が面倒なため「通知書」、「スターファックス一発送信」記載の通り、FAXモデムで直送することを原則としております。これによる省力化は大変なものです。

○訴訟書類も、FAXモデムで直送まではいかなくても、せめてメールで遣り取りできればといつも思っているのですが、実現の兆しが全く見えませんでした。なにしろ、裁判所にパソコンワープロファイルが存在するはずの証人尋問調書すらいちいち紙に印刷したものをアナログコピーする方法しか認められていないからです。

○ところが以下の記事によると、最高裁は約4900万円の調査費を予算に盛り込み「諸外国に後れを取る『裁判の電子化』を進める方向で調査する」とのことです。兎に角、せめて準備書面のメール送受信だけでも早く認めた貰いたいものです。

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最高裁「裁判の電子化」調査へ 国際競争の遅れに危機感
2018年1月9日 5時6分 朝日新聞デジタル


現在書面で行われている民事裁判で、電子データやインターネットの活用が進むよう、最高裁は2018年度当初予算案に初めて約4900万円の調査費を盛り込んだ。

諸外国に後れを取る「裁判の電子化」を進める方向で調査する。企業の経済活動を円滑化するほか、一般の人にも手続き期間が短縮されたり、簡略化されたりする利点がある。

訴状などの裁判書類は民事訴訟法で、原則「書面」で提出する、と定められている。最高裁は18年度、裁判手続きの電子化で、どのような効果が得られるかを本格的に調査。裁判書類に多く含まれる個人情報の流出や拡散を防ぐセキュリティー対策も調べるという。

最高裁は04年7月から約4年半、札幌地裁で法廷期日の変更や証人尋問の申し立てなどをネットで行えるよう試行。06年9月には東京地裁管内の簡裁で、借金の借り手に返済を命じる「督促手続き」をネットでできるようにし、全国にも広げてきた。

それでも、諸外国に比べ、立ち遅れは否めない。日本政府のまとめなどによると、米国は1990年代から州ごとに裁判手続きを電子化。シンガポールは00年から訴状の電子申請を義務付けた。韓国も11年に全民事裁判のやりとりを電子化し、原則、紙か電子データかを選べるという。

以上:1,440文字
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H30- 1- 9(火):”初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている”の「出世」部分紹介
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○「”初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている”の「カネ」部分紹介」の続きで、前半の「出世」部分を紹介します。
「カネ」の部分で、「地裁所長クラス『判事3号俸』年収2000万円の壁は厚く、『判事4号俸』のまま据え置かれ、定年を迎える裁判官も少なくなく、この『判事3号俸』昇級できるかが出世したかどうかのメルクマールのようです。」と記述していました。「判事3号俸」への昇級できるかどうかで、生涯賃金に相当の開きが出てきます。この仕組みが、裁判官を萎縮させる最大の原因のようにも感じました。

○「アメリカ法曹事情-裁判内容ビデオ公開」に「司法運営を担う者が、日本の場合は明治以来確立された官僚組織としての裁判所(お上、おかみ)であるところ、アメリカの場合は民(たみ)が選んだ民の代表たる裁判官が裁判手続を運営し」、「裁判官に任命された者の目は、日本の場合は常に最高裁判所に向けられるところ、アメリカの場合は、民-選挙民に向けられることになります。」と記述していました。

○アメリカでは、時の権力者トランプ大統領の移民政策を否認する判例が連発され、流石、アメリカと感嘆し、日本の司法との違いを実感しましたが、以下の記事の「憲法で保障されているはずの『裁判官の独立』と『身分保障』は、外部からの干渉には強くても、内部を支配する組織の論理の前では、ほとんど意味をなしていないと言えそうだ。」との結論に妙に納得しました。

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初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている
エリートの知られざる「生活」と「人生」
岩瀬達哉(いわせ・たつや)平成29年5月9日「現代ビジネス」



司法の名の下、人の生殺与奪の権を握り、時に国家の命運を左右する力すら持つのが裁判官だ。しかし、その実像はほとんど知られていない。本当に彼らに人が裁けるのか。その内面と実態に迫る。

全国に3008人
裁判官は、日本でもっとも難しいとされる司法試験にパスし、さらに裁判実務の知識を学ぶ司法研修所の卒業試験でも、上位の成績優秀者の中からしか採用されない。その理由は、裁判官に与えられる権限の大きさと関係している。神ならぬ人が、人を裁くという特別の責務と、国の政策をも変更しうる権力を与えられている裁判官には、最良の知性と良識、教養に裏打ちされた判断力が求められるからだ。

現在、裁判官は、最高裁判所を含む全国598ヵ所の裁判所に3008人(簡易裁判所判事を除く)が配置されている。そのうち、最高裁事務総局で司法行政に携わる「裁判をしない裁判官」を除くと、実質、2855人の裁判官で、あらゆる事件を審理し、判断を下しているのである。裁判官一人あたりに割り振られる事件数は、年間200件~350件で、単純計算すると二日に1件、ないし2件の割りで処理していかないと消化できない数だ。この事件の処理件数は、「星取表」と呼ばれる一覧表にまとめられ、個人別に集計される。

しかし果たして、エリートとして順調に歩み、世の矛盾に翻弄されたことも、理不尽な待遇に無念の思いを抱いたこともないであろう彼らに、厳正で人間的な判断が下せるものなのだろうか。その疑問を解明するため、厚いベールに包まれた「孤高の裁判所」の奥深くに分け入り、約2年にわたり、のべ100人近い現職裁判官や元裁判官を全国に訪ね歩いた。裁判所の内幕とともに、そこで働く裁判官たちが、どのような管理下におかれ、どのような思いで職務にあたっているのか。その知られざる世界と内なる声を、この連載のなかで可能な限り明らかにしていくこととしたい。

「先生の肉に何の用だ?」
おどけたポーズで、筋骨隆々の白ブリーフ姿の自撮り写真を、ツイッターのカバーページに掲げているのは、東京高等裁判所の岡口基一裁判官(51歳)だ。東大法学部卒のエリート裁判官で、ベストセラー『要件事実マニュアル』の著者でもある。同書は、司法試験受験生の必読書とされているうえ、全国の裁判所の裁判官室にも備えられている。風変わりで、多才な裁判官である。

岡口判事のツイートは、法律問題から時事問題、さらには性の話題まで多岐にわたっていて、約3万4000人のフォロワーが常時アクセス。そのトップ画面に固定されているのは、「裁判員裁判って、国民を騙して導入したものだからね」といった政府批判のツイートである。昨年6月、岡口判事は、2年も前に削除していた「エロエロツイートとか頑張るね」とのつぶやきや、SMバーの女王に緊縛してもらった写真などを掲載していたことが問題視され、戸倉三郎東京高等裁判所長官(現最高裁判事)から口頭で厳重注意処分を受けた。「裁判官の品位を落とし、裁判所に対する国民の信頼を傷つける行為をした」というのが、その理由だ。

この処分は、ある意味、考え抜かれたものだった。異議申し立てができない口頭注意処分にすることで、反論の機会を与えず、岡口判事を押さえ込もうとしたのである。しかし戸倉長官の計算は大きく外れ、その狙いは失敗に終わっている。処分を受けた岡口判事は、ツイッターをやめるどころか、先の政府批判をツイートの最上段に固定し、対決姿勢を打ち出している。

最近も、ニュースサイトで報道された「性行為の理想的時間の長さ」が31分であったことを取り上げ、こうつぶやいた。「30分ではなく31分なんだ。最後の1分(にはいったいどういう意味があるのか)が気になって気になって、セックスに集中できなかったじゃないか」。自由奔放に発信し続ける岡口判事への処分が、新聞等で大々的に報道されたことで、皮肉にも裁判所の、言論の自由への認識がいかに低いかをさらけ出すという「おまけ」までついたのである。

幼稚園の頃から優等生
しかし岡口判事は、なぜ、こうも過激で、型破りなのか。岡口判事をよく知るベテラン裁判官は言う。
「裁判所というところは、恐ろしく保守的で、誰彼かまわず足を引っ張るのに長けた組織なんです。とりわけ、若手裁判官が、上司である裁判長に向かって、あれこれ意見を言ったりすると、うるさい奴だとか、協調性がないといってマイナス評価をされてしまう。それを恐れる余り、彼らは萎縮し、上司の意向のままに動こうとする。岡口さんはそこに一石を投じ、彼らを奮起させようとしているんでしょう」

実際、岡口判事は、「どうして匿名でツイートしないのですか?」とのフォロワーからの質問にこう答えている。「元々は、あまりにも萎縮しまくっている若手裁判官達に対し、もっと自由になっても大丈夫なんだよ。もっともっと市民的自由を謳歌しよう」、との思いからはじめたと。

若手裁判官の萎縮は、裁判所にとって古くて新しい課題だ。
2001年12月、山口繁最高裁長官の肝いりで、「裁判官の在り方を考える」と題した研究会が開かれたことがある。背景には、当時、毎月のように新聞紙面を賑わしていた裁判官の不祥事があった。同年3月には、福岡高裁の判事が、裁判官の職業倫理に反したとして、最高裁から戒告処分をうけている。処分の理由は、同判事の妻が、伝言ダイヤルで知り合った男性にストーカー行為を繰り返し、逮捕状の請求がなされた際、同判事は、福岡地検から極秘に得た情報をもとに証拠隠滅を働いていた疑いがあるというものだ。また、同年9月には、神戸地裁の所長が電車内で痴漢行為を働いた嫌疑で、書類送検された。そして11月には、少女買春で有罪が確定していた東京高裁の判事が、国会の裁判官弾劾裁判所で裁判官資格剥奪の罷免判決を受けている。

落とし穴だらけ
同研究会は、それらの問題を「特異例」として片付けるのではなく、発生原因を究明するとともに、若手裁判官の育成について活発な意見交換をおこなった。研究会の出席メンバーは、当時の仙台高等裁判所長官で、その後、第16代最高裁長官となった島田仁郎ほか、地裁、家裁のベテラン裁判官が5人。それに講師として招かれた3人の裁判官OBが参加し、霞が関の「法曹会館」で行われた。

「高裁長官、地家裁所長限り」と断り書きのついた同研究会の速記録は、A4判77ページ。参加者の発言は、匿名化されているものの、その率直な指摘や問題提起は息をのむ迫力だ。出席者のひとりは、萎縮し、意見を言わない若手裁判官が生まれる原因を、裁判所の階層と管理体制にあるとして、こう語っている。「部総括(註・裁判長のこと)が、自分は自由な発言をプラス評価するつもりであるから積極的に言えと言っても、言われた側としては、ひょっとして落とし穴かもしれない、

落とし穴じゃなくても本当にその様な評価をして貰えるかどうか分からないし、ひょっとして更に上の方の代行(註・地裁の所長代行)だの所長だのは別の考えかも知れないではないか、また、部総括が短期間で替わってしまって考えの違う部総括になったら、ミゼラブル(註・悲惨)な状態にならないとも限らない、いろんなことを全方位的に考えると、やっぱり安心な部分でしか物を言わないほうが得策ではないか。言うと火傷するかもしれないというふうに感じている人がかなりいると感じます」

幼稚園の頃から、とびきりよくできると誉めそやされ、優等生として走り続けてきた彼らは、挫折を知らず、下積み経験もなく育ってきた。まさに、エリート層の「上澄み」であり、もともと正解志向で、怪我をすることをひどく恐れている。しかも、彼らの上司である裁判長すらが、「隣の裁判長から電話がかかってきた時と、所長なり所長代行からかかってきた時に急に声色を変えているというようなことを、陪席とか修習生はよく見ている。やっぱり、どうしても上を見てしまう。自分たちが実は萎縮していることは、ある意味で事実だと私自身も思います」と言う。

裁判長が、上司の前で萎縮し、最高裁に睨まれることを恐れている「官僚」だとすれば、若い裁判官や、裁判官志望の修習生が、その雰囲気から学ばないことなどありえないだろう。実際、この研究会の速記録さえ、外部に漏れることを恐れ、一般裁判官には配布されなかった。彼らには、A4判16ページに編集されたダイジェスト版が配られただけだ。せっかくの成果も、じゅうぶん生かされることなく終わっていたのである。憲法で保障されているはずの「裁判官の独立」と「身分保障」は、外部からの干渉には強くても、内部を支配する組織の論理の前では、ほとんど意味をなしていないと言えそうだ。
以上:4,264文字
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H30- 1- 8(月):”初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている”の「カネ」部分紹介
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「現代ビジネス」平成29年5月9日の記事に「初公開!裁判官の『出世とカネ』こうなっている」とのタイトルでの記事が公開されています。なるほどそういうことかと、裁判官の言動の背景が少し見えてきます。私の興味があった「カネ」に関する記述を紹介します。私が修習生になった平成29年からは40年前の昭和53年当時、裁判官になって定年まで勤務すると退職金が5000万円、年金月額30万円で悠々自適の生活ができると言われ、最終的には裁判官の方が弁護士より経済的にはズッと恵まれていると言われていました。

○40年前の昭和53年当時は、弁護士業界は、現在のような企業法務・倒産法務等ビッグなお金になる仕事はそれほど開発されておらず、弁護士は余り経済的には楽ではなく、お金で楽をしたいなら裁判官の方が良いとの感覚だったと記憶しています。ところが、20年くらい前からビジネス弁護士として巨額のお金を稼ぎ納税額が億を超えるぐ弁護士が登場し、弁護士業は、やり方次第で、お金になるビジネスとなりました。

○更にサラ金・過払いビジネスで年間数十億単位のお金を稼いでいると豪語する弁護士まで登場し、一時弁護士はお金になる職業とされたこともあり、経済的には裁判官より弁護士の方がズッと有利と思われた時期もありました。

○以下の記事では、裁判官の年収は10年目で1000万円、18年目「判事4号俸」1700万円までは一律昇級するも、その後、その上の地裁所長クラス「判事3号俸」年収2000万円の壁は厚く、「判事4号俸」のまま据え置かれ、定年を迎える裁判官も少なくなく、この「判事3号俸」昇級できるかが出世したかどうかのメルクマールのようです。

○ここに到達するには上に睨まれないよう相当気を遣う必要があるとのことで、窮屈な世界との感もしました。40年前に言われていた退職金5000万円年金30万円はどうなっているのかネット検索すると「弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)のHP」の「裁判官の年収及び退職手当(推定計算)」に詳しく解説され、「東京高裁の部総括判事が65歳で定年退官した場合の退職金は約6416万円(勤続年数が39年である場合,手取りで約5612万円)」と推定されています。山中弁護士の詳細な調査報告には感嘆しました(^^)。やはり経済的には平均的弁護士よりは裁判官の方がズッと恵まれているようです。

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初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっている
エリートの知られざる「生活」と「人生」
平成29年5月9日「現代ビジネス」


司法の名の下、人の生殺与奪の権を握り、時に国家の命運を左右する力すら持つのが裁判官だ。しかし、その実像はほとんど知られていない。本当に彼らに人が裁けるのか。その内面と実態に迫る。

全国に3008人

(中略)

10年目で年収1000万円
一般企業や行政官庁ともちがって、裁判官の人事評価は、任官から20年ほどは、まったくと言っていいほど給与に反映されない。長期病欠などの特別の事情がない限り、仕事ができる、できないに関係なく、一律に昇給する仕組みをとっている。

新任判事補の基本給は、俸給表(ページ末参照)で見る限り月額約23万円で、一般企業の大卒社員の平均初任給約20万円とさほどかわらない。しかし彼らには、初任給調整手当、地域手当、勤勉手当など、民間企業にはない多数の手当が付くうえ、1年目から4・3ヵ月のボーナスが支給される。それらを合わせると年収は、約600万円となるのである。そして任官から10年が経過すると、判事補から判事に昇格。ここでようやく一人前の裁判官と認定され、年収は1000万円の大台を超える。次の節目は、約18年目の「判事4号俸」への昇給で、年収は約1700万円となる。しかし一律昇給は、ここまでで打ち止めとなる。

その上の「判事3号俸」のカベは高く、「判事4号俸」のまま据え置かれ、定年を迎える裁判官も少なくない。要するに、過去20年間の勤務評価が、この時、一気に下されるわけである。「3号俸」に昇給すると、年収は約2000万円となり、ほぼ同時に地裁の裁判長に指名される。中央官庁でいえば、局長級の給与にあたり、納得感と達成感が伴う処遇だ。「だから大半の裁判官は上目遣いで、上司に嫌われないよう、無難な判決を書くわけです。上司と衝突するような判決を書けば、3号に上げてもらえなくなりますから

こう前置きして語るのは、ある裁判官OB(63歳)だ。
「われわれは、普通、20代半ばで裁判官になって、定年まで勤めるので、約40年という時間を裁判所という閉鎖された社会で過ごすわけです。その社会の中で生きていくわけだから、誰もが、楽しく気持ちよく仕事をしたい。住民訴訟などで国を負けさせたりすると、偏向していると後ろ指をさされ、変わり者だと白眼視される。挙げ句、同期より処遇で遅れるというのは、さすがに辛い。しかも遠くへ飛ばされるかもしれない。家族を連れていけないとなると、単身赴任ですから、それはかなわんわけです。」

具体的な事件の処理については、誰からも指示を受けることはない。しかし疎外感や、任地のことを考えると、公平無私の立場から判断することよりも、自主規制し、適当なところで妥協した判断を下しておこうと考えるのだという。要するに、彼らもまた、その崇高な使命感とは別に、一市民としての悩みや弱さを抱え持つ生身の人間なのである。

出世できない裁判官の屈辱
裁判官として事実を見る目が確かで、着実に事件を処理し、紛争を解決する識見に富んでいたとしても、人事で差別される人はいる。あるべき司法の姿を議論するために、1971年に立ち上げられた「全国裁判官懇話会」の主要メンバーたちである。同懇話会は、結成当時、210名の裁判官が議論に加わったこともあったが、徐々に会員が抜けていき、2007年に解散した。その間、一貫して裁判官の人事制度の透明化を求め、その改革案を示すなど、最高裁に問題提起し続けてきた。

その熱心なメンバーのひとりだった伊東武是(72歳)は、「3号」に上がるのが、同期より2年近く遅れている。伊東は、東大法学部を卒業後、25歳で任官。定年の65歳まで、40年にわたって裁判官を勤め上げ、現在は弁護士として活動している。神戸市郊外の自宅の書斎で、当時を振り返りながら語った。「任官20年を過ぎる頃には、同期の連中は3号になり、裁判長になっている。なのに、僕は4号のままで据え置かれたのは、辛かった。

僕自身が、仕事の面で優秀じゃなかったところがあるのかも知れないけれど、この遅れは懇話会で積極的に発言をしているからだと思ったものです。3号に昇給しないということは、給与の問題もあるけれど、みんなより一段低いところを歩まんといかんわけです。田舎の優等生でずっと来ましたから、遅れるということに慣れてなかったんでしょう。同期会があっても、なんとなくみじめな気がして、出れなかった。」、このまま懇話会の活動を続けるか、懇話会を辞めて、普通の裁判官としてやるか、大いに悩んだという。

任官して22年目のお盆休みに、車で郷里の愛媛県宇和島に帰るにあたり、妻にこう言った。「すまないが、今年はひとりで帰らせてくれ」、悲痛な表情の伊東を見て、察するところがあったのだろう。夫人は、理由を聞こうともせず、無言で送り出した。帰省の途中、伊東は、四国の山中や川沿いにテントを張り、3日間、星空を見ながら考えを巡らした。やがて心が落ち着き、自分は、立身出世のために裁判官になったわけではない。甘んじてこの屈辱を受けよう。それも自分が担うべき役目なのだと、腹を決めたという。

「3号になってからも、裁判長のお呼びがかからず、ようやく念願の裁判長になれたのは59歳。ほかの人より10年以上遅れているんです。裁判長以下、3人の裁判官で審理する合議体において、ベテランが座る右陪席のままでね。陪席裁判官は、嫌な裁判長のもとでも我慢して仕事しなきゃならんし、年下の裁判長につくことだってある。やっぱり、自分の意見が通り、自分の判断が下せる裁判長というのは、裁判官になった以上、誰もが望むやりがいのあるポストなんです」

地裁の所長から、このまま裁判所にいても居場所がない。公証人になってはどうかと勧められたこともあった。しかし、最後まで裁判官をまっとうしたいと告げている。その後、大阪高裁で右陪席を務めた時、上司だった裁判長がいろいろと掛け合ってくれ、神戸地裁姫路支部の裁判長への声がかかった。「『伊東君、残念だけどこのポストしかない。どうする?』と言われた時、即座に、行かせていただきますと返事しました。」

節を曲げることなく、最高裁に意見具申してきた伊東の処遇が遅れたのは、むしろ当然のことだった。遅らせることで、他の裁判官への波及効果が生まれ、裁判官を統制しやすくなるからだ。このように、裁判官の自主規制が横行し、統制に甘んじるという姿勢が蔓延すれば、いったい、国民にはどんな不利益がもたらされるのか。そしてどんなツケを払わされることになるのか。

岩瀬達哉(いわせ・たつや)
55年、和歌山県生まれ。'04年『年金大崩壊』『年金の悲劇』で講談社ノンフィクション賞を受賞。その他著書多数

以上:3,808文字
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H30- 1- 7(日):親権に基づく妨害排除請求としての子の引渡請求は権利濫用とした判例紹介
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○離婚した父母のうち子の親権者と定められた父が法律上監護権を有しない母に対し親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることが権利の濫用に当たるとされた平成29年12月5日最高裁決定(裁判所ウェブサイト)全文を紹介します。

○離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は,民事訴訟の手続により,法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができます(昭和45年5月22日最高裁判決、判時599号29頁)。しかし、民法第820条(監護及び教育の権利義務)は、「親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」としており、「子の利益」が最優先です。

○家庭裁判所における子の監護に関する処分としての子の引渡請求は、子の利益を害するおそれについて十分な審理を行った上での家庭裁判所の認定・判断が期待できるところ、その方法を取らず、民事訴訟の手続による親権に基づく子の引渡請求を本案とする民事保全処分としての子の引渡しを求めても簡単には認められないとの結論は極めて正当です。

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主  文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。 

理  由
 抗告代理人○○○○の抗告理由について
1 本件は,離婚した父母のうちその長男(以下,単に「長男」という。)の親権者と定められた父である抗告人が,法律上監護権を有しない母(以下,単に「母」という。)を債務者とし,親権に基づく妨害排除請求権を被保全権利として,長男の引渡しを求める仮処分命令の申立てをした事案である。

2 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。
(1) 抗告人と母は,平成22年9月,長男をもうけ,婚姻の届出をした。
(2) 母は,平成25年2月,長男を連れて抗告人と別居し,それ以降,単独で長男の監護に当たっている。
(3) 抗告人と母は,平成28年3月,長男の親権者を抗告人と定めて協議離婚をした。
(4) 母は,平成28年12月,東京家庭裁判所に対し,抗告人を相手方として,長男の親権者を母に変更することを求める調停の申立てをした。
(5) 抗告人は,平成29年4月,母を債務者として,本件申立てをした。

3 原審は,本件申立ての本案は,家事事件手続法別表第2の3の項所定の子の監護に関する処分の審判事件であり,民事訴訟の手続によることができないから,本件申立ては不適法であるとして却下すべきものとした。

4 しかしながら,離婚した父母のうち子の親権者と定められた一方は,民事訴訟の手続により,法律上監護権を有しない他方に対して親権に基づく妨害排除請求として子の引渡しを求めることができると解される(最高裁昭和32年(オ)第1166号同35年3月15日第三小法廷判決・民集14巻3号430頁,最高裁昭和45年(オ)第134号同年5月22日第二小法廷判決・判例時報599号29頁)。
 もっとも,親権を行う者は子の利益のために子の監護を行う権利を有する(民法820条)から,子の利益を害する親権の行使は,権利の濫用として許されない。

 本件においては,長男が7歳であり,母は,抗告人と別居してから4年以上,単独で長男の監護に当たってきたものであって,母による上記監護が長男の利益の観点から相当なものではないことの疎明はない。そして,母は,抗告人を相手方として長男の親権者の変更を求める調停を申し立てているのであって,長男において,仮に抗告人に対し引き渡された後,その親権者を母に変更されて,母に対し引き渡されることになれば,短期間で養育環境を変えられ,その利益を著しく害されることになりかねない。

 他方,抗告人は,母を相手方とし,子の監護に関する処分として長男の引渡しを求める申立てをすることができるものと解され,上記申立てに係る手続においては,子の福祉に対する配慮が図られているところ(家事事件手続法65条等),抗告人が,子の監護に関する処分としてではなく,親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求める合理的な理由を有することはうかがわれない。

 そうすると,上記の事情の下においては,抗告人が母に対して親権に基づく妨害排除請求として長男の引渡しを求めることは,権利の濫用に当たるというべきである。

5 以上によれば,本件申立ては却下すべきものであり,これと同旨の原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は,原決定の結論に影響を及ぼさない事項についての違法をいうものにすぎず,採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官木内道祥の補足意見がある。

 裁判官木内道祥の補足意見は,次のとおりである。
 親権は,子の監護及び教育をする権利であると同時に義務であって,子の利益のために行使されるべきものである(民法820条)。所有権が対象に対する排他的支配権であって,権利であるが故にその行使を妨害されないという妨害排除請求権が認められるのとは異なり,単に親権者であることからその親権の行使が認められるのではなく,その行使が子の利益のためにするものであってはじめて権利の行使として許容される。親権の行使が「子の利益を害するとき」は民法834条の2による親権の停止の事由となり,親権そのものが停止されるに至るのであるから,親権を行使する個々の場面でも,子の利益を害するものが許されないことはいうまでもない。

 父と母のいずれが子を監護することが適切かを子の利益を基準として定め,適切な者への子の引渡しを求める手続としては,家庭裁判所の子の監護に関する処分及びそれを前提とする保全処分という手続がある。この手続においては,子が15歳以上であれば必ずその陳述が聴取され(家事事件手続法152条2項,157条2項),子が15歳未満であっても,子の陳述の聴取,家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法によって子の意思の把握がはかられ,子の年齢及び発達の程度に応じて,その意思が考慮されなければならないのであり(同法65条),実務上,ほとんどの場合に,家庭裁判所調査官が関与し,子の意思の把握に大きな役割を果たしている。更に,子に意思能力があれば,裁判所は職権で子を利害関係人として手続に参加させることができ,子の手続代理人として弁護士を選任するなどして子の意思を手続に反映させることも可能である(同法42条3項,23条2項)。このように,家庭裁判所は,子の利益のために後見的な役割を果たすことがその職責とされているのである。

 これに対し,民事訴訟の手続による親権に基づく子の引渡請求の本案訴訟及びそれを本案とする民事保全処分においては,権利の存否及び保全の必要性について,専ら,当事者(本件でいえば,子の父と母)が裁判所に対して主張と証拠の提出を行わなければならず,裁判所が子の利益のために後見的役割を果たすことは予定されておらず,そのための道具立ては用意されていない。

 父と母の間における子の引渡請求という紛争においては,子の利益という観点から,また,当事者の負担及び手続の実効性の観点からも,家庭裁判所における手続こそが本来的なものとして設けられているのである。
 本件では,現在7歳となる子は,平成25年2月の別居以来,4年以上,母が単独で監護に当たっており(少なくとも本年3月末までは)母による監護について抗告人である父があらかじめ同意しており,その監護態様に異議が述べられたことがあるとは認められない。本件の申立てにおいても,母による監護が子にとって不相当であるという疎明はされていない。すると,そのような監護状態にある子を主たる監護者である母から引き離して抗告人に引き渡すことは,抗告人が親権者であるとはいえ,子の利益を害するおそれがあるというべきである。

 抗告人が家庭裁判所における子の監護に関する処分としての子の引渡しを求めるのであれば,子の利益を害するおそれについて十分な審理を行った上での家庭裁判所の認定・判断が期待できるが,抗告人は,あえてその方法によることなく,民事訴訟の手続による親権に基づく子の引渡請求を本案とする民事保全処分としての子の引渡しを求めているのであり,そのことからは,抗告人への子の引渡しが子の利益を害するおそれがあることを否定する事由を見いだすことはできない。
 このような抗告人の親権に基づく母に対する子の引渡請求は,子の利益のためにするものということはできず,権利の濫用として許されないものである。
 (裁判長裁判官 木内道祥 裁判官 岡部喜代子 裁判官 山崎敏充 裁判官 戸倉三郎 裁判官 林景一)
 
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H30- 1- 6(土):懐かしの気仙沼プレクトラム・アンサンブルプログラム発見2
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○「懐かしの気仙沼プレクトラム・アンサンブルプログラム発見」の続きです。
昭和53年3月に第1回気仙沼プレクトラム・アンサンブル定期演奏会に参加した後、同年4月から昭和55年3月までの2年間司法修習生として仙台地方裁判所に配属されて、松戸の寮生活であった前期・後期東京修習を除いた昭和55年7月から昭和56年10月まで仙台市太白区鹿野1丁目のアパートに住んでいました。家賃が駐車場付きで1ヶ月2万6000円の6畳一間に台所・風呂がついたアパートでした。裁判所には5000円で購入した中古自転車で通勤していました。

○郷里気仙沼の実家には、頻繁に帰省していた記憶があり、この司法修習時代に1回だけ気仙沼プレクトラム・アンサンブルの定期演奏会に参加して、モンティのチャルダッシュの三重奏とファルーカのソロを演奏した記憶がありました。ところが、「気仙沼プレクトラム・アンサンブルKPE」の新HPに掲載された「懐かしのパンフレット」を見てその記憶が間違いであったことが判明しました。

平成16年8月25日初稿「チャルダッシュ」に「27歳の時、気仙沼プレクトラム・アンサンブル(KPE、当時はKPA)第2回定期演奏会で、後輩2名の伴奏で演奏しました。」と説明していましたが、これは誤りでした。仙台から気仙沼の演奏会に参加できるのは、時間に余裕のあった司法修習生時代に違いないとの思い込みが誤りの原因でした。

○以下の「懐かしのパンフレット」によるとこの「チャルダッシュ」を演奏したのは、昭和56年10月17日(土)開催第4回定期演奏会で、当時は弁護士2年目で丁度30歳の時でした。記憶とはホントに当てにならないものです。このときのプログラムⅡ部世界音楽の旅には、「チャルダッシュ(ハンガリー)」と「ソレアレス(スペイン)」記載されていますが、「ソレアレス(スペイン)」は演奏せず、「ファルーカ」を演奏しています。以下、そのときのプログラムと30歳当時の演奏2曲を、再度、紹介します。

 

チャルダッシュ           ファルーカ
  

以上:855文字
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