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H30-11-21(水):遺産預貯金当然分割説見直し平成28年12月19日最高裁判決差戻後判決紹介
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○「遺産預貯金当然分割説の見直し平成28年12月19日最高裁判決全文紹介」の続きです。
遺産預貯金当然分割説の見直しの平成28年12月19日最高裁判決は、「原決定を破棄する。 本件を大阪高等裁判所に差し戻す。」としていましたが、その差し戻し後の平成29年5月12日大阪高裁決定(判タ1450号83頁)全文を紹介します。

○法定相続人らが当事者となって被相続人の遺産について遺産分割を求め、原審は、相続財産のうち預貯金は相続時に当然に法定相続人らに分割され、その他は原審申立人(抗告人兼相手方)の取得とするとの審判をし、原審申立人及び原審相手方(相手方兼抗告人)が抗告をし、二審は双方の抗告を棄却しました。

○原審申立人が許可抗告を申し立てたところ、平成28年12月19日最高裁判決は、共同相続された預貯金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当であるとして、二審を破棄し本件を差し戻していました。差し戻し後大阪高裁決定は、原審判を変更し、被相続人の遺産をすべて原審申立人の取得としました。

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主   文
1 原審判を次のとおり変更する。
2 被相続人の遺産を次のとおり分割する。
(1)別紙遺産目録記載の財産をすべて原審申立人の取得とする。
(2)原審相手方は、遺産を取得しない。
3 手続費用は、第1審、差戻し前の第2審、許可抗告審及び差戻し後の第2審を通じて、各自の負担とする。

理   由
第1 抗告の趣旨
1 原審申立人

(1)原審判を取り消す。
(2)別紙遺産目録記載の財産は、すべて原審申立人の取得とする。

2 原審相手方
(1)原審判を取り消す
(2)別紙遺産目録記載の財産は、原審申立人及び原審相手方がそれぞれ2分の1の割合で取得するとの審判に代わる裁判を求めるものと解される。

第2 事案の概要(以下、略称は、本決定で付すもののほか、原審判に従う。)
1 事案の要旨

 本件は、法定相続人らが当事者となって被相続人の遺産について遺産分割を求めている事案である。原審は、相続財産のうち、預貯金については相続時に当然に法定相続人らに分割されるので、遺産分割の対象は別紙遺産目録記載1及び2の不動産だけであるところ、原審相手方は特別受益が5500万円程度ある超過特別受益者であるから、同不動産をすべて原審申立人の取得とするとの審判をした。これに対し、原審申立人は、遺産分割の対象から預貯金を除外したのは不当であると主張し、原審相手方は、原審相手方の特別受益を認定したのは不当であると主張して、双方が即時抗告をした。大阪高等裁判所は、原審の判断は相当であるとして双方の抗告を棄却する決定をしたことから(平成27年(ラ)第75号)、原審申立人が許可抗告を申し立てたところ、最高裁判所は、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当であるとして、大阪高等裁判所の上記決定を破棄して本件を同裁判所に差戻した(平成27年(許)第11号)。

2 前提事実
 本件の前提事実は、次のとおり補正するほかは、原審判「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の「1 前提事実」(原審判1頁末行から4頁末行まで)のとおりであるから、これを引用する。
(1)原審判2頁4行目から5行目にかけての「別紙遺産目録記載のとおり(以下「本件不動産」という。)である。」を「別紙遺産目録記載1から8までである(なお、同目録記載1及び2の不動産を併せて、以下「本件不動産」という。)。」と改める。
(2)原審判2頁6行目の「258万1995円(円未満切捨)である。」を「258万1995円(未満切捨。以下同じ)であり、この評価によることについて、当事者間に合意がある。別紙遺産目録記載8の外貨普通預金の当審の審理終結日(平成29年4月7日)における残高は36万5277.25ドルであり(甲67)、同日の為替相場(終値)は1ドル111.05円であるから、日本円に換算すると4056万4038円となる。」と改める。
(3)原審判2頁7行目冒頭から10行目末尾までを削除する。
(4)原審判2頁12行目の「当庁」を「大阪家庭裁判所」と、13行目の「本件審判手続」を「原審の審判手続」とそれぞれ改める。
(5)原審判2頁17行目の「価額合計約4996万円」を「価額合計約4956万円」と改める。
(6)原審判3頁20行目の「Cの相続人5名」を「被相続人他4名(被相続人他4名とする被相続人の署名と被相続人の押印がある。)」と改める。
(7)原審判4頁4行目の「弁護士費用等」の次に「(合計2163万4037円)」を、6行目の「B渡航費用」の次に「(137万8000円)」を、「休業補償」の次に「(1710万円)」を、同行末尾の「等」の次に「(合計3099万7780円)」を、8行目の「控除する」の次に「(控除後の残金は1億8068万6851円)」をそれぞれ加える。
(8)原審判4頁11行目の「変動に備える資金」の次に「(被相続人が993万2900円、原審申立人及びBが各86万9100円、D及びEが各37万2400円)」を加え、同行の「留保する。」に続いて「前記売却代金から消極財産を前記のとおり控除した金額について各相続人への配分額を決定し、この資金留保分を控除した受取金額は、被相続人が3523万8813円、B及び原審申立人が各4430万2613円、D及びEが各2221万3456円とされた。」を加える。
(9)原審判4頁23行目から24行目にかけての「「4.2000万円」と」の次に「読める金額が」を加える。

3 原審相手方の抗告理由の要旨
(1)Bも原審相手方も、被相続人から何の贈与も受けていない。
(2)仮に代襲される相続人であるBに特別受益があるとしても、当然に代襲相続人である原審相手方が特別受益を持ち戻す義務を負担することはないし、原審相手方が経済的利益を受けているともいえない。
(3)仮に原審相手方に特別受益があるとしても、被相続人は原審相手方を可愛がっており、原審申立人と養子緑組したにもかかわらず、Bとの死後離縁許可の申立てを取り下げたことは、被相続人が原審相手方に自己の遺産を相続させたいという強い意志を示すものといえ、特別受益の持戻しを黙示的に免除する意思表示をしたものというべきである。

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 判断に当たって認定した事実は、次のとおり補正するほかは、原審判「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の「1 事実認定」(原審判10頁22行目から18頁4行目まで)のとおりであるから、これを引用する。
(1)原審判10頁末行の「〔4〕の不動産」を「《所在略》の合計3筆の土地(以下「〔4〕の不動産」という。)や《所在略》の土地」と改め、同行末尾の「後記(3)のとおり、」の次に「〔4〕の不動産については、」を、11頁1行目の「G」の次に「(以下「G」という。)」をそれぞれ加える。

(2)原審判11頁5行目冒頭から18行目末尾までを削除する。

(3)原審判12頁6行目の「Gに対して」を「G等に対して」と、7行目の「同登記」を「同登記等」とそれぞれ改め、8行目の「前記2(1)イ(ウ)の訴訟。」を削除する。

(4)原審判12頁13行目の「昭和63年は」から17行目末尾までを削除する。

(5)原審判12頁24行目の「また、」から13頁1行目末尾までを削除する。

(6)原審判13頁2行目冒頭から10行目末尾までを、次のとおり改める。
 「(5)被相続人の手書きのメモ(以下「本件メモ」という。)には、昭和63年の協議書による〔2〕の不動座の売却代金につきCの相続人5名への各分配金額の記載があるほか
Bの分 88308930
     9932900
    98241830
iの土地 13263737
    113241830→アメリカへ持参
y ¥292300000→税金1億2000万円
 差引きした金額1億7230万円
 yのものだとアメリカへ
 ボツ(ボツ)送金していた
 当時はMMCで住銀(a)に預金していた」
との記載がある(甲5)。」

(7)原審判13頁14行目の「分配金の一部」を「分配金を含んだもの」と改める。

(8)原審判15頁9行目の「平成9年10月に500万円の引出」を「平成9年10月から11月にかけて合計540万円の引出し」と改め、11行目の「解約された」の次に「(甲20)」を加える。

(9)原審判16頁12行目の「昭和61年の覚書のプール金の原資とされ、」を削除する。

(10)原審判17頁12行目冒頭から15行目末尾までを削除する。

(11)原審判17頁末行の「当庁」を「大阪家庭裁判所」と改める。

2 特別受益について
(1)Cの相続に関する共同相続人の認識
ア 昭和61年の遺産分割協議及び昭和61年の覚書は、いずれも同年1月17日に相続が開始したCの遺産について、相続人であった被相続人、B、原審申立人、D及びEの合意に基づき、同時に作成されたものと認められるところ、遺産分割協議により上記Cの相続人5名が共有取得した〔1〕及び〔2〕の不動産のうら、〔1〕の不動産は、同年5月に売却されると同時に、被相続人が本件不動産を購入していることに照らし、昭和61年の覚書に記載されたとおり、売却して被相続人の安住の住居を確保する目的で共有取得とされたものであり、〔2〕の不動産も、昭和62年12月21日付けのC不動産の売買契約の対象の一つとなっていることから、売却する目的で共有取得としたものと認められる。

これに加え、〔3〕の不動産については、被相続人の単独名義とされている上、昭和62年12月21日、〔2〕の不動産とともに売却されたにもかかわらず、昭和63年の協議書では〔3〕の不動産の売却代金について一切触れられていないことを併せて考えると、Cの相続人5名の間では、〔1〕及び〔2〕の不動産については、同人らにおいて共有取得し、その他の財産については、被相続人が取得することとし、昭和61年の覚書においてCの遺産を処分するに当たって留保する旨合意された各種費用(原審相手方に与える遺産を含む。)に充てるための原資については、被相続人が単独で負担することとされたものを除き、〔2〕の不動産の売却代金を充てる旨合意されたものと認めるのが相当である。

イ なお、昭和61年の覚書における原審相手方に与える遺産の金額欄は空白であるところ、当該部分には手書きで「4,2000万円」と読める記載のほか、「35坪(父宅)3.500×1.200坪=4億2,000万円-税金《略》で支払ふ1億2,500万円位」「凡そ3億円也」と読める記載があるけれども、同記載は、その内容からして、〔3〕の不動産(土地)(甲2)に関連しての売却益を試算したものにすぎないと考えられる。

ウ ところで、被相続人が作成した本件メモには、〔3〕の不動産の売却代金である2億9230万円から税金1億2000万円を控除した1億7230万円を、原審相手方の分として分割してアメリカに送金していた旨記載されているほか、Bの分が、昭和63年の協議書でBが分配を受けるとされた6278万0613円(分配金4430万2613円、渡航費用137万8000円及び休業補償1710万円の合計)を2552万8317円超える8830万8930円に、同協議書で被相続人の留保分とされた993万2900円を加えた9824万1830円である旨記載されていることが認められ、これらの記載に加え、前記1において補正の上引用した原審判が認定するB及び被相続人の預金口座の開設や取引状況等を併せて考えると、被相続人は、〔3〕の不動産の売却代金から、〔2〕及び〔3〕の不動産の売却に伴う所得税を支出した上で、その残金をB及び原審相手方に取得させようと考え、原審相手方の分を含め、Bへ送金したものと認めるのが相当である。

(2)Bの特別受益の額
 前記1において補正の上引用した原審判が認定するとおり、平成2年6月の時点でB名義の預金口座に存在した預金は合計約1億3300万円であるところ、Bが昭和63年の協議書により取得することとされた額は6278万0613円であるから、これを超える少なくとも7021万円については、たとえ被相続人が原審相手方に、与える趣旨が含まれていたとしても、Bに対する生前贈与と評価すべき特別受益に該当するというべきである。

(3)原審相手方の具体的取得分
 前記(2)で説示したとおり、Bの特別受益は7021万円と認めるのが相当であるところ、別紙遺産目録記載1から8までの遺産の価額の合計は4570万3745円であるから、原審相手方の特別受益は,特別受益を持ち戻したみなし相続財産(4570万3745円+7021万円=1億1591万3745円)の約60%にも達する超過特別受益者であるから、被相続人の相続に関し具体的取得分を有さないというべきである。

3 原審相手方の抗告理由に対する判断
(1)原審相手方は、Bも原審相手方も、被相続人から何の贈与も受けていないと主張するが、Bに特別受益があることは、前記2において説示したとおりである。 

(2)原審相手方は、仮に代襲される相続人であるBに特別受益があるとしても、当然に代襲相続人である原審相手方が特別受益を持ち戻す義務を負担することはないし、原審相手方が経済的利益を受けているともいえないと主張する。
 しかし、代襲相続人は、その固有の権利として遺産を取得するのではなく、被代襲者が取得すべき遺産を取得するのであるから、被代襲者の特別受益の持戻し義務を引き継ぐというべきである。

(3)原審相手方は、仮に原審相手方に特別受益があるとしても、被相続人は原審相手方を可愛がっていたため、原審申立人と養子縁組したにもかかわらず、Bとの死後離縁許可の申立てを取り下げたものであり、特別受益の持戻しを免除すべき黙示の意思表示があったと主張する。
 しかし、前記1において補正の上引用した原審判が認定するとおり、被相続人は、Bの死亡により、老後をアメリカで過ごすことをあきらめ、老後の世話を原審申立人に託すために原審申立人と養子縁組をしたため、同申立てをしたのであって、原審相手方への相続と関連する申立てとは解されないから、申立てを取り下げたからといって、原審相手方の特別受益の持戻し義務を黙示的に免除したと解することはできない。

(4)以上のとおり、原審相手方の抗告理由は、いずれも採用できない。

4 以上の次第で、当審の認定、判断と異なる原審判を変更することとし、主文のとおり決定する。
裁判長裁判官 河合裕行 裁判官 永井尚子 裁判官 丸山徹

【別紙】遺産目録《略》
相続関係図《略》

以上:6,134文字
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H30-11-20(火):新設建物所有者から既設建物所有者への目隠し設置要求を棄却した判例紹介
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○「民法第235条”目隠し”設置要求が一部認められた判決紹介まとめ1」の続きです。

○以下の、民法第235条に関して、目隠しを付けなければならないのは、後に境界線から1m未満の距離に建物を建てる者だけか、以前から境界線から1m未満の距離に建物を建てている者は隣地に建物が建つことで目隠しを付けなければならなくなるのではないかとの質問がありました。
民法第235条
境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
2 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する


○これについて注釈民法の解説では、1m未満の距離に建物を建てている者が、他人の宅地を見通せる窓又は縁側を設けている場合、建物建築の前後を問わず双方に目隠し設置義務があると説明されています。

○判例を探したところ、土地の境界線をはさんで、双方の土地に建物が建築され、いずれの建物も1メートル以内に窓が設置されている場合に、双方の土地の所有者が互いに民法235条に基づき目隠しの設置を求めたところ、一方の所有者の請求のみが認められ、他方の所有者の請求が権利濫用になるとされた平成20年1月30日さいたま地裁判決(判決裁判所ウェブサイト)がありましたので、関係部分を紹介します。

○この判決では、一般論としては、先に境界線から1m未満の距離に建てられた建物の窓も「他人の宅地を見通すことのできる窓」に該当するとしながら、この事案では先に建物を建てていた側は、建物建築当時,隣地は畑として使用されており,地目も「宅地」ではなかったことから窓の設置にあたって境界線からの距離を必ずしも考慮する必要がなかったことを理由の一つとして、先に建物を建てていた側への目隠し設置要求は権利濫用として棄却されました。

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主  文
1 被告(反訴原告)は,原告(反訴被告)X1及び同X2に対し,別紙物件目録記載5の建物に設置された窓のうち,別紙被告建物図面記載の1階及び2階の各⑧及び⑨の各窓にそれぞれ縦90センチメートル,横180センチメートルの金属製又は樹脂製の目隠しを設置せよ。
2 原告(反訴被告)X1及び同X2のその余の請求,原告X3及び同X4の請求,被告(反訴原告)の反訴請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用中,原告(反訴被告)X1及び同X2と被告(反訴原告)との間に生じたものは,本訴反訴を通じてこれを3分し,その1を被告(反訴原告)の負担とし,その余を同原告ら(反訴被告ら)の負担とし,原告X3及び同X4と被告(反訴原告)との間に生じたものは,全部同原告らの負担とする。 
 

事実及び理由
第1 請求
1 本訴

(1) 被告(反訴原告。以下「被告」という。)は,原告X3及び同X4に対し,別紙物件目録記載8の建物西北側壁面に設置された別紙被告建物図面の各階①ないし④の各窓に,別紙目隠目録記載の目隠しを設置せよ。
(2) 被告は,原告X3及び同X4に対し,別紙物件目録記載8の建物西北側壁面に設置された別紙被告建物図面(1)ないし(3)の台所換気扇からの排気風を別紙物件目録記載1の宅地内に直接吹き込ませないようにするための別紙台所排気風遮蔽物目録記載の遮蔽物を設置せよ。
(3) 被告は,原告X3及び同X4に対し,別紙物件目録記載8の建物西北壁面中,別紙物件目録記載1の宅地に面した部分に,同宅地に直接空調排気風を吹き込ませないようにするため,空調施設室外機を設置する場合は,その排気口に別紙排気風遮蔽板目録に記載した物と同様の遮蔽板を設置せよ。
(4) 被告は,原告X3及び同X4に対し,それぞれ100万円及びこれに対する平成15年9月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5) 被告は,原告(反訴被告。以下「原告」という。)X1及び同X2に対し,別紙物件目録記載8の建物西北側壁面に設置された別紙被告建物図面の各階⑤ないし⑯の各窓に,同原告らの宅地内を観望できない構造の別紙目隠目録記載の目隠しを設置せよ。
(6) 被告は,原告X1及び同X2に対し,別紙物件目録記載8の建物北西側壁面に設置された別紙被告建物図面(4)ないし(12)の台所換気扇からの排気風を別紙物件目録記載3及び4の宅地内に直接吹き込ませないようにするための別紙台所排気風遮蔽物目録記載の遮蔽物を設置せよ。
(7) 被告は,原告X1及び同X2に対し,別紙物件目録記載8の建物の北西壁面中,別紙物件目録記載3及び4の宅地に面した部分に,同宅地に直接空調排気風を吹き込ませないようにするため,空調施設室外機を設置する場合は,その排気口に別紙排気風遮蔽板目録に記載した物と同様の遮蔽板を設置せよ。
(8) 被告は,原告X1及び同X2に対し,それぞれ110万円及びこれに対する平成15年9月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 反訴
 原告X1及び同X2は,被告に対し,別紙物件目録記載5の建物の東南面に存する1階及び2階に設置された別紙X1建物図面記載①ないし⑥の各木製窓枠に接着して,その窓全面に,アルミ枠に,別紙サンプル図1及び同2に各記載の,エンジニアプラスチック製ホワイトパネルを取り付ける方法による各目隠しを設置せよ。

第2 事案の概要
 本訴は,その所有地に3階建て賃貸マンションを建設した被告に対し,同土地の西北側にそれぞれ宅地建物を有する原告X3,同X4,原告X1,同X2が,民法235条に基づき同マンションの各階の西北側の窓すべてに目隠しの設置を請求するとともに,同マンションが建設されたことにより,プライバシー侵害,日照権侵害,換気扇の排気風による悪臭被害等が生じたと主張して,不法行為に基づく損害賠償及び差止等を求める事案である。反訴は,被告が,原告X1及びX2に対し,民法235条に基づきその住居の東南側の窓すべてに目隠しの設置を求める事案である。

     (中略)

第3 争点に対する判断
1 争点(1)(原告らの被告に対する目隠設置請求の可否)及び争点(2)(被告の原告X1及びX2に対する目隠し設置請求の可否)について


     (中略)

(3) 次に,被告の原告に対する目隠設置請求について検討する。
ア 上記争いのない事実等に上記(1)で認定した事実を併せて判断すると,X1建物は本件境界線から0.9メートルの位置に建築されており,同建物のいずれの窓も本件境界線から1メートル未満の距離に設置されていることが推認される。そして,これらの窓は,いずれも透明なガラスを使用しており,その大きさ,設置場所を考慮すれば,日常的に開放することを予定されている窓であることから「他人の宅地を見通すことのできる窓」に該当するということができる。

イ そこで,被告の目隠設置請求が権利濫用にあたるかについて検討するに,そもそも民法235条の趣旨は,プライバシーの保護を目的とするものであるところ,被告建物は,被告自身が居住する建物ではなく,賃貸用として使用されているところ,被告本人が,居住者からプライバシーを侵害される旨の苦情等はない旨供述していることからすれば,被告本人はもちろん,居住者についても具体的なプライバシー侵害は認められない。

 また,上記(1)で認定したとおり,被告建物は南西壁面にも窓及びベランダが設置されており,X1宅地側の窓は,採光,換気を目的とする窓であって,日常的に開放して使用することは予定されておらず,開放時間も1日に2,3時間程度であると認められる。他方,X1建物の窓は,居間,ダイニング等の窓であり,日常的に使用し,開けることが予定されていることからすれば,原告X1及びX2がこれらの窓に目隠しを設置することによって被る不利益は大きいと言わざるを得ない。加えて,A及び原告X1は,X1建物を昭和60年に建築したものであるところ,当時,被告宅地は畑として使用されており,地目も「宅地」ではなかったことから,A及び原告X1が,窓の設置にあたって境界線からの距離を必ずしも考慮する必要があったとはいえない。

 以上の諸事情を総合考慮すれば,X1建物の窓に目隠しを設置しないことにより被告が被る不利益より,目隠しを設置することにより原告X1及びX2が被る不利益の方が大きいと言わざるを得ず,被告の原告X1及びX2に対する目隠設置請求は権利濫用として許されないというべきである。
以上:3,530文字
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H30-11-19(月):フィリップス電動歯ブラシを初めて購入-達成感は思い込みと気づく
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○「フィリップス電動歯ブラシを初めて購入-達成感に驚く2」を続けます。
電動歯ブラシの効用について、「自分の手で幾ら磨いてもこの音波電動歯ブラシには、到底、かなわないと瞬時に実感し、実際、磨いた後の歯のツルツル感は、手で磨いたときは全く違っていました。」と記載していました。ところが、電動歯ブラシを使い始めて1ヶ月ほど経った時に、3ヶ月に1回ほど通院し、定期的に歯石取り等して貰っている歯科医院で担当した歯科衛生士さんに今回は、歯の汚れが以前より酷くなっていますと指摘されて衝撃を受けました(^^;)。

○特に歯と歯の間の汚れが以前ほど取れていないです指摘され、愕然としました。電動歯ブラシを使うようになってから一緒に「ジェットウォッシャードルツ EW-DJ71」によって歯と歯と間をクリーニングをしていたつもりでおり、自分ではこれらの最新機器の使用によってこれまでよりズッと歯は綺麗になっていると思い込んでいたからです。

○このように電動歯ブラシもジェットウォッシャーもさほど効果がなかったことが歯科医院の定期検診で明らかとなりました。電動歯ブラシを使う前は、歯間ブラシで歯と歯の間を掃除し、その後、普通の歯ブラシで丁寧に10分以上は磨いていましたが、電動歯ブラシにしてからは、5通りのモードの内2つ位で止めていました。モードの違いがサッパリ判らず、5通り全部やるのに10数分かかるからです。

○また歯科医さんからは電動歯ブラシは、手を動かさないでジッとしているので手の運動にならないと指摘されました。普通の歯ブラシで手を動かして行う歯磨きは手の運動にもなっているのに、電動歯ブラシでは全く手の運動にはならないのが難点と指摘され、電動歯ブラシだけに頼るのはダメと実感しました。

○そこでネットで歯みがきについての記事を検索すると「歯科医が警告 『食べたらすぐに歯をみがけ』は大間違い-医療の常識を疑え #9――歯の新常識」等の記事が出てきました。種々の歯磨きに関する記事を読み、これまでは夜寝る前だけだった歯磨きを朝起きがけにも行うことにして、ジェットウォッシャーは止めて、歯間ブラシで歯と歯の間をクリーニングし、その後普通の歯ブラシをし、更に歯間用のワンタフトブラシで歯間を磨き、その後に電動歯ブラシで仕上げると言う方法に変えました。しばらくこの方法で行い、次の歯科医院定期点検での指摘を待ちます。

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歯科医が警告 「食べたらすぐに歯をみがけ」は大間違い-医療の常識を疑え #9――歯の新常識
文春オンライン2018/06/04


医学や健康の常識は、どんどん変わっている。昨日まで正しいと思われていたことが、いつの間にか誤りとなっていることも少なくない。古い知識のままで、間違った習慣を続けていると、かえって健康を損なわないとも限らない。
そこで、最新の研究成果や知見に基づき、医学と健康の新常識を98項目集めてみた。9回目の最終回は「歯の新常識」。歯は芸能人の命であるだけでなく、これを失うと大きく健康を損なうことも分かってきた。歯を大切にして健康寿命を延ばすにはどうすればいいのか。ぜひ噛みしめて読んでみてほしい。

「食後30分以内に歯を磨け」と言われてきたが……
 昔から、学校や家庭では「食べたらすぐ歯を磨け」と教えられてきた。しかし、『歯はみがいてはいけない』の著者で、竹屋町森歯科クリニック院長の森昭歯科医師によると、食後すぐに歯を磨くことが、必ずしもいいとは言えないという。

「食後すぐ食べカスを取るのはいいのですが、歯を磨いてしまうと、せっかくの唾液を流してしまいます。唾液には、食事によって酸性に傾いた口の中を中性に戻し、食事によって溶けた歯の成分を補う再石灰化の作用があります。ですから、食後30分ぐらいは、そのままにしておいたほうがいいのです。食後は歯ブラシで磨かなくても、舌で歯をなめれば、歯の表面の汚れはかなり取れます」

実は、毎日食後に歯をみがいているのに、虫歯や歯周病で歯科医院を受診する患者が少なくない。歯をみがきすぎると、歯の表面のエナメル質が薄くなり、虫歯菌に弱くなるからだ。

とくに、年を取ると歯ぐきが下がり、エナメル質に覆われていない歯の下の象牙質の部分が露出しやすくなる。そのため、歯を磨きすぎると歯が削れ、プラーク(歯垢)がたまりやすくなり、歯周病にもなりやすいという。森歯科医師が説明する。

「歯ブラシで95%以上のプラークを取るのに、5時間以上磨く必要があったという研究もあります。実は、プラークをしっかり取るには、歯の表面だけを磨くより、フロス(糸ようじなど)や歯間ブラシなどを使って、歯と歯の間を掃除するほうが大切なのです。ですから食後は、歯と歯の間の食べカスを取ることを意識して、歯を掃除してほしいのです」

歯磨きは食後すぐより朝食の前
また、歯を磨く時間帯も大切だ。森歯科医師は、食後すぐよりも、むしろ朝食の前、朝一番に歯をみがくべきだと強調する。

「なぜなら、口の中の細菌は、早朝が一番多いからです。健康のために朝起きてすぐ水を飲む人もいますが、私はお勧めしません。大量の細菌を一緒に飲んでしまうことになるからです。朝は胃が働いておらず、胃酸が少ないので、細菌が腸で生き残る可能性を否定できません。ですから、朝は飲んだり食べたりする前に歯を磨いて、口の中の細菌を減らしておくべきです。歯磨き剤を使うと食べ物の味が変わるので、朝食前の歯磨きに抵抗のある人もいると思いますが、歯磨き剤は使わなくてかまいません。また、夜に増殖する細菌を減らすため、寝る前に歯を磨くこともお勧めします」

スポーツ飲料の意外なワナ
歯を大切にするには、食べ物や飲み物にも注意が必要だ。森歯科医師によると、いくら歯を磨いても歯ぐきの腫れや虫歯が治らない中学校の生徒がいたので聞いてみると、クラブ活動中にスポーツ飲料を常用していたという。

「水分やミネラル類を補うのに水よりいいからと勧める指導者もいるようですが、スポーツ飲料は清涼飲料水と同様に大量の糖分が含まれているものが多く、虫歯や歯周病になりやすいのです。ふつうに運動するなら、水や麦茶で十分です。高齢者の中にも、夏の熱中症対策にスポーツ飲料を飲む人がいますが、それより糖分の少ない経口補水液にするべきです」

炭水化物は太るだけじゃなくて歯にも悪い!
健康法として、すっぱい飲み物を好む人もいるが、カプセルなどに入っていない酢を直接飲むと歯が溶けることもあるので注意してほしい。また、40歳を超えたら、食べ物にも気をつけたい。ごはん、うどん、ラーメンなど、糖質の多い炭水化物を食べ過ぎると太るだけでなく、歯にも悪いのだ。森歯科医師が続ける。

「炭水化物を食べると、それだけで口の中はすぐ酸性に傾きます。エナメル質はpH(ペーハー)が5.4ぐらいの酸性にならないと溶けませんが、象牙質は6.4ぐらいで溶けてしまうのです(中性は7.0)。糖質は摂り過ぎると糖尿病も引き起こします。40歳を超えたら糖質の摂取は控え目にするべきです」

以前から糖尿病になると歯周病になりやすいと言われてきたが、最近の研究では逆に、歯周病が糖尿病を引き起こす可能性も指摘され始めている。口の中の細菌が腫れた歯ぐきの隙間から血管に入り、体内で炎症を起こすのが原因と考えられている。実際に、歯周病を治療すると、糖尿病が改善する人もいるという。

「集中治療室では、口の中が清潔でない人は、清潔な人に比べて3倍高い割合で感染症を起こします。介護施設などでも、口の中が清潔でない人は、肺炎やインフルエンザにかかりやすいのです。
 また、残った歯が少ないと、認知症のリスクも高まります。まさに、口の中の健康が、健康寿命に直結するのです」(同前)
 古い知識のままでいると、かえって健康に悪いことをしてしまう恐れもある。みなさんの知識もぜひ、更新しておいてほしい。

(初出『週刊文春』2017年4月6日号)
以上:3,289文字
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H30-11-18(日):60代半ば過ぎてカード決済合理性に気づき勉強中-1回払い関係約款備忘録
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○「60代半ば過ぎてカード決済合理性に気づき勉強中-現金派からカード派へ」の続きです。
クレジットカードは複数持っていますが、ヨドバシゴールドカード以外は殆ど使用したことはなく、ショッピング等決済は現金払いを原則としていましたが、平成30年9月から手数料(金利)のつかないクレジット一括払いを原則としています。これまでクレジットカードが送付されると細かい文字でビッシリ埋まった数頁の約款がついてきましたが、殆ど読むことなく捨てていました(^^;)。

○しかし、意識的にクレジットを利用する以上約款の基本は目を通すべきと考え、現在、私が使用しているANAアメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード約款をネットで探すと、ここに公開されていました。以下、約款ポイント備忘録です。

ANA アメリカン・エキスプレス提携カード会員特約
第1条(カードの名称および入会の方法)

1.  本カードは、全日本空輸株式会社(以下「ANA」といいます)とアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(以下「当社」といいます)とが提携し、当社所定の方法で当社が発行する以下のカードで、「ANA アメリカン・エキスプレス提携カード」(以下「カード」といいます)と総称します。
● ANA アメリカン・エキスプレス®・カード
● ANA アメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード
● ANA アメリカン・エキスプレス®・スーパーフライヤーズ・ゴールド・カード
● ANA アメリカン・エキスプレス®・プレミアム・カード
● ANA アメリカン・エキスプレス®・スーパーフライヤーズ・プレミアム・カード

第7条(サービスの利用)
会員は、カードをANA マイレージクラブ会員証として利用することができます。

アメリカン・エキスプレスのカード会員規約
第1 章 一般条項
第1 条(カードおよび会員)

1.「 カード」とは、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド(日本支社)(以下「当社」といいます。)が発行する次のカードをいい、カードの表面に提携金融機関・提携会社などの名称を付したアメリカン・エキスプレスのカードを含みます。
(1)センチュリオン®・カード
(2)プラチナ・カード®
(3)アメリカン・エキスプレス®・ゴールド・カード
(4)アメリカン・エキスプレス®・カード
(5)アメリカン・エキスプレス®・ブルー
(6)アメリカン・エキスプレス®・スカイ・トラベラー・カード
(7)アメリカン・エキスプレス®・スカイ・トラベラー・プレミア・カード

第2 条(カードの貸与および利用)
1. カードは、当社が発行し基本カード会員に貸与するもので、当社が所有権を有します。カードの表面には会員氏名、カード番号、有効期限、セキュリティコード等(以下「カード情報」といいます。)が印字または刻印されます。
会員は、カードの貸与を受けたときは直ちにカード裏面の所定の欄に自署するものとします。

第5 条(年会費等)
1. 会員は、保有する各カードにつき、所定の年会費およびこれに課せられる消費税等を当社にお支払いいただきます。
一旦お支払いいただいた年会費は、退会または会員資格の取消しその他理由の如何を問わず返却いたしません。

第2章 ショッピング条項
第9条(加盟店でのカードの利用) 

1. 会員は、カードを利用して、当社、当社の関連会社、または提携会社が指定する国内外のアメリカン・エキスプレス・カード取扱加盟店(以下「加盟店」といいます。)で商品等の購入、役務の提供等を受けることができます。会員は、加盟店でカードを提示して使用する際、加盟店の指示に従い、カード利用代金等の明細を記載した売上票にカード裏面の署名と同じ署名をし、もしくは、加盟店の端末機に暗証番号を入力し、または、署名と暗証番号の入力の両方を行うものとします。ただし、会員がカード利用の意思を明確にして行う次の各号の取引等については、会員の署名または暗証番号の入力のない売上票を当社または加盟店において作成する場合があります。
(1) 電話、郵便、インターネット等を通じて行う通信販売等の取引。
(2) カードや会員番号と暗証番号を用いて行う取引。
(3) 当社と加盟店との取決めにより、売上票への会員の署名を省略する取引。
(4) その他当社が随時定め、会員に告知する取引。

第12 条(カード利用代金等の支払区分)
加盟店でのカード利用代金等の支払区分は、1回払いとします。ただし、特約の適用がある場合はその限りではありません。

第3 章 カード利用代金等の支払
第13 条(カード利用代金等の支払)

1. 基本カード会員は、本人および家族カード会員の各カードについて生じた一切のカード利用代金等についてその支払の責を負うものとします。
2. 当社は、カード利用代金等を別途定める毎月の所定日に締め切り、各基本カード会員宛に『ご利用代金明細書』を送付し、または別途合意するところに従い電磁的方法により交付します。この『ご利用代金明細書』には、家族カードに関して生じたすべてのカード利用代金等も含むものとします。当社は、会員がこの『ご利用代金明細書』を受け取ってから、2週間以内に会員からの申出がない限り、この『ご利用代金明細書』の内容について承認いただいたものとみなします。カード利用代金等は、その『ご利用代金明細書』に記載の当社指定日(ただし、同日が金融機関の休日の場合は翌営業日とします。)に、基本カード会員指定の支払口座からの自動振替の方法によりお支払いいただきます。なお、当社指定日に自動振替ができなかった場合には、一部金融機関との約定に基づき、指定日以降再度全額または一部を自動振替することができるものとします。基本カード会員は、あらかじめ当社の同意を得てこの支払方法を自動振替以外の支払方法に代えることができ、この場合には、『ご利用代金明細書』に記載の当社指定日を支払期日とします。

第14 条(外貨建てのカード利用代金等の円換算等)
1. カード利用代金等が外貨建てで生じた場合には、American Express Exposure Management Ltd(. 以下「AEEML」)が日本円に換算します。この換算は、アメリカン・エキスプレスにおけるカード利用代金等の処理日に行われ、当該カード利用代金等のアメリカン・エキスプレスへの提出時期により実際のカード利用日と異なることがあります。

第15 条(遅延損害金その他カード利用代金等の支払の過不足の処理)
1. 会員が、第13条第2項に規定する支払期日にお支払いいただけなかった場合は、お支払いいただくべき金額に対し支払期日の翌日から完済に至るまで、または本規約に基づき期限の利益を喪失した場合には、残債務全額に対し期限の利益喪失の日から完済に至るまで、実質年率14.6%の遅延損害金を年365日(うるう年は366日)の日割計算で請求させていただきます。

ANA アメリカン・エキスプレス提携カード・Edy カード一体型特約
第1条 (ANA アメリカン・エキスプレス提携カード・Edyカード一体型カード会員)

1. 本特約、ANA アメリカン・エキスプレス提携カード会員特約、アメリカン・エキスプレスのカード会員規約(以下「会員規約」といいます)および楽天Edy サービス利用約款、その他アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.(以下「当社」といいます)と全日本空輸株式会社(以下「ANA」といいます)が提携して作成した特約等を承認の上、直接またはANA を通じて当社に入会を申し込み、当社が入会を認めた方を ANA アメリカン・エキスプレス提携カード・Edyカード一体型カード会員(以下「本一体型カード会員」といいます)といいます。

第2条 (ANA アメリカン・エキスプレス提携カード・Edyカード一体型カード)
1. ANA アメリカン・エキスプレス提携カード・Edy カード一体型カード(以下「本一体型カード」)とは、会員が本特約および楽天Edy サービス利用約款にしたがってEdy を記録し使用するために必要な機能を備えた非接触IC カードで、かつ当社がANA と提携して発行するクレジットカードをいいます。
2. 会員は、善良なる管理者の注意をもって本一体型カードを使用し、管理するものとします。

ANA アメリカン・エキスプレス提携カードメンバーシップ・リワード・プログラム会員規約
第1条 (規約の目的)

1.  この規約は、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 日本支社(以下「当社」といいます)が全日本空輸株式会社(以下「ANA」といいます)と提携して発行するカードに関して、当社が企画・運営する「ANAアメリカン・エキスプレス提携カード − メンバーシップ・リワード・プログラム」(以下「当プログラム」といいます)において会員に提供される特典・便益の内容および会員がこの特典・便益を受けるための条件を規定するものです。当プログラムの対象カードには当社が企画・運営する「アメリカン・エキスプレス・カード メンバーシップ・リワード・プログラム」は適用されません。

第4条 (ポイントの付与・失効)
1.  各対象カード(対象カードについて追加のカードが発行されているときは当該追加のカードを含みます。)の各利用毎に、当該利用金額に応じて別表に規定するポイントが当該利用額を当社が処理した日の属するプログラム年度分として当該基本カード会員の対象カードに累積されます。付与されたポイントは当社に属するものとし、会員はポイントについて所有権を有するものではありません。

第5条 (ポイントの合算)
会員が基本カード会員として2枚以上の対象カードを保有する場合および、対象カード以外のアメリカン・エキスプレスのカードを保有する場合のいずれにおいても、ポイントを合算することはできません。

第6条 (ポイント数の告知)
1.  当社は基本カード会員に対し、対象カードの利用額の各月の請求書において、当該請求書の締め日の直近のポイント集計日現在の対象カードに係るポイントの状況を示します。
2.  基本カード会員は、当社のウェブサイトから何時でも対象カードに係るポイントの状況を照会することができます。

第7条 (ポイントの特典・便益への交換)
1.  この規約に基づき特典・便益への交換が可能なポイント数を保有する基本カード会員は、当該ポイントの全部または一部を使用して特典・便益への交換を当社に対して申し出ることができます。ただし、基本カード会員の当社に対する支払債務に延滞がある場合、この申し出を行うことはできないものとします。

第9条 (ANA マイレージクラブへのポイント移行)
1. 対象カードの基本カード会員は、この規約に基づき特典・便益への交換が可能なポイントの全部または一部を、本条に定めるところに従い、ANA の提供するマイレージプログラム(以下「ANA マイレージクラブ」といいます)に移行することができます。

ポイントの付与
原則(以下の場合を除く) 利用金額100 円につき1 ポイント

ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードおよびANAアメリカン・エキスプレス・スーパーフライヤーズ・ゴールド・カードの場合
● 2倍
カード利用金額100円につき1ポイントの通常ポイントに、カード利用金額100円につき1ポイントのボーナスポイント* 利用金額100 円につき1 ポイントとなる一部店舗・サービスがあります。

ANA アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カードおよびANAアメリカン・エキスプレス・スーパーフライヤーズ・プレミアム・カードの場合
● 2 . 5倍
カード利用金額100円につき1ポイントの通常ポイントに、カード利用金額200円につき3ポイントのボーナスポイント* 利用金額100 円につき1 ポイントとなる一部店舗・サービスがあります。


旅行傷害保険補償規定
補償を受けられる人(被保険者)

この保険の補償を受けられるのは、カード会員ご本人様および配偶者様、カード会員と生計を共にするお子様・ご両親などの親族* となります。補償内容や条件につきましては、基本カード会員様、家族カード会員様、また国内旅行と海外旅行とで異なりますのでご注意ください。
* 親族とは、6親等以内の血族、3親等以内の姻族の方をいいます。

旅行傷害保険の保険金の種類と保険金額に関して
保険金の種類
旅行代金※2 をカードで決済した場合
基本カード会員基本カード会員のご家族※1 家族カード会員家族カード会員のご家族※1

国内旅行
傷害死亡・後遺障害保険金最高5000万円最高1000万円最高5000万円最高1000 万円

海外旅行(補償期間 : 最長90日間)
傷害死亡・後遺障害保険金最高1億円最高1000万円最高5000万円最高1000万円
傷害治療費用保険金最高300万円最高200万円最高300万円最高200万円
疾病治療費用保険金最高300万円最高200万円最高300万円最高200万円
賠償責任保険金最高4000 万円
携行品損害保険金(免責3千円/年間限度額100万円)1旅行中最高50万円
救援者費用保険金保険期間中最高400万円保険期間中最高300万円保険期間中最高400万円保険期間中最高300万円


以上:5,487文字
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H30-11-17(土):60代半ば過ぎてカード決済合理性に気づき勉強中-現金派からカード派へ
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○私は、弁護士協同組合提携のゴールドカードを始めとして複数のクレジットカードを持っていましたが、これまではクレジットカードの使用は必要最小限に抑えていました。クレジットカードで支払うと言うことはクレジット会社に借金を負うという感覚があり、兎に角、借金はせず現金払いが一番健全と確信していたからです。50代半ばまでは不動産購入等のローン(借金)がありましたが、50代半ばまでに全て完済し、無借金となってからは、兎に角、借金はするな、クレジットカードも一時的な借金だから使うなと言う感覚でした。

○しかし、ヨドバシのゴールドカードだけは、クレジットカードを使うとポイントが10%のところ1%増しの11%が付くと分かった数年前から、ヨドバシでの買物はヨドバシゴールドカード決済を原則としていました。ところが、平成30年8月、サンフランシスコ家族旅行先で、カード使用の達人と言う方から、私のカードに対する考え方を改めさせられました。彼は、特にカード使用によるマイル蓄積を常態としており、私がマイルが付くカードを全く使用していないことに、彼から言わせると余りにも勿体なく、キチガイ沙汰だと笑われました。

○そこで、彼に薦められたアメリカンエキスプレスカードに入会し、以来、決済はカード使用を原則として、現金決済は可能な限りしなくなりました。一括返済のカード使用は確かに1,2ヶ月間カード会社から借金をすることになりますが、利息は付きませんので、借金とは評価できず、逆に100円に付き原則1ポイントが付きます。ですから、よく考えてみると、時に1円玉や5円・10円・100円玉を数えなければならない面倒な現金決済より遙かに楽で、且つ、レストラン等は1万円以下のカード使用は署名も必要なくカードをサッと切るだけで決済が終わり極めて合理的です。

○株式会社普遊舎発行「クレジットカード完全ガイド最強クレカポイント2019年版最新ランキング」を購入し、クレジットカードについて情報を集めています。同書によると食費・家賃・交通費等月平均支出額28万3027円を全てカードで決済すると現金で決済するより、1ヶ月3000円近く得で、年間3万3963円、80年間で271万7059円も得すると言うことです。還元率たかが1%と侮るべからず使い続ければ大きな利益になるとのことです。

○カード会員になってカード決済をすれば原則1%の還元の外に商品価格割引・空港ラウンジ使用無料サービス・ホテル宿泊割引等の各種特典もあり、これらを活用すれば、現金決済より更に得になります。加えて海外旅行等の保険が付帯しているものもあり、旅行毎にいちいち保険に入る必要もなくなります。これまではカードの説明書など読むことは殆どありませんでしたが、これからは、これらの特典を効率的に利用するためには良く読もうかと思っております。
以上:1,178文字
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H30-11-16(金):2018年11月16日発行第233号”弁護士育成の大誤解”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成30年11月16日発行第233号「弁護士育成の大誤解」をお届けします。

「子育ての大誤解」なんて本は全く知りませんでしたが、ネット検索すると書評が山のように出てきます。リンクした橘玲氏の書評は「『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けた本のひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。」との書き出しで、詳細に解説しています。

○大山先生の一家と違って「子育てに失敗した」と長い間深い自責の念に駈られてきた私は、私には「子育ての大誤解」は、気休めになりそうだと感じて、早速、アマゾンに上下2冊を注文しました。当事務所には勤務弁護士が2人しか居ませんが、私は当てにしないで2人で仲良く切磋琢磨してやってくれと気が楽になりました(^^)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士育成の大誤解


「子育ての大誤解」という、とても面白い本があります。「重要なのは親じゃない」という副題が、本の内容を全て表しています。「子育て」における、親の果たす役割なんか、本当に小さいものだということを書いた本なんです。それなら、子育てにおいて何が重要かというと、兄弟や友達といった、同年代の人達の影響なんだそうです。そう言われてみると確かに、私自身子供の頃は、親の言うことはうるさく感じる一方、同年代の先輩たちの言うことには敬意を払ってきたように覚えています。

著者によると、人間というのは大昔から相当長い間、親にではなく同年代の先輩たちに育てられてきそうです。昔は、親は子供を産むだけで手いっぱいで、とてもじゃないけど「育てる」余裕なんかないというんですね。

何十万年も続いた狩猟時代には、確かに子供を教育するだけの余裕を持った親などいなかったはずですね。人間というのは、そういう風に育つように長い間に作られてきたので、子供というのは、友達や先輩の言うことなら聞くけど、親の言うことなど聞かないように出来ているそうです。「なるほど!」と、思わず唸ってしまうような説明です。

弁護士の場合も、若手をどのように育てるかは、問題になります。もともと弁護士は非常に恵まれています。司法試験に受かった後、国の費用で1年間の研修を受けさせて貰えるんです。裁判官や検察官になる人達と、一緒に行う研修です。この研修は、授業料がタダというだけで凄いんですが、さらに生活費まで出して貰えます。ここで、弁護士としての実務についての基礎を教えて貰うんですね。

研修が終わって正式に弁護士になりますと、通常はどこかの法律事務所に入って、勤務しながら仕事その他を覚えていくことになります。このときに、どんな事務所に入るかによって、新人がどんな弁護士になるかが決まるなんて、よく言われてるんです。

ボス弁護士が横柄な先生だと、新人も同じように横柄になるという話はよく聞きます。研修では、お客様対応などは教えてくれませんから、初めて体験する事務所での対応が、当たり前だと思って真似してしまうんだそうです。仕事に対する取り組みについても、同じことが言えそうです。弁護士によっては、自分が納得するまで、こだわりにこだわる人が相当数います。ある意味良いことなんですが、お客様を置いてきぼりにして、自己満足を追求しているような気もします。その一方、お客様の方ばかり見て仕事をしていると、段々とプロのとしての技能が衰えていくかもしれません。その辺の兼ね合いも、新人弁護士は最初に入って事務所でボス弁護士のもと、学んでいくんだそうです。

というわけで、私もこれまで新人弁護士の教育において、責任重大だと考えていたんです。しかし、「子育ての大誤解」を読んで、気が付いたのです!新人弁護士の教育に、ボスの影響なんてほとんどないと。

うちの事務所は、現在6名の弁護士がおりますが、新人は何かあると、私じゃなくて先輩に質問するんですね。聞かれた先輩たちも、私よりよほど親身に回答してあげているようです。うちで新人が良く育っていたとしたら、私の功績ではなく、先輩弁護士の功績だなと、素直に思います。もっとも、「子育ての大誤解」を読んでいて、子育てに友達や先輩が重要なら、「孟母三遷の教え」じゃないけど、良い友達や先輩のいるところで子供が育つようにするのは親の功績でしょう。良い先輩のいる事務所を作った私は、やっぱり凄い弁護士だと、自画自賛することにしたのです。

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◇ 弁護士より一言

現在中学1年生の息子は、妻の言うことはちっとも聞かないのに、お姉ちゃん達には素直にしたがいます。先日、妻が息子に、「うちの子たちは大器晩成型だから将来は大物になるかもよ!」なんて言ったんですね。すると息子が、「そんなこと言うなら、銀行
強盗して大物になるかもよ!」なんてふざけたことを言います。妻はあきれてたんですが、その場にいた高校生の娘が冷静にコメントしました。
「そんな度胸ないから大丈夫よ!」
なるほど、親より兄弟姉妹の方が、子供のことを良く分かっているなと、感心したのでした。(おいおい。。。)
以上:2,222文字
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H30-11-15(木):婚姻費用支払請求の訴えを不適法として却下した地裁判例紹介
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○婚姻費用の支払を求める訴えにつき,当事者間で分担額の合意が成立したとは認められないから,家事事件手続法の定めるところに従い家庭裁判所が当事者の資産,収入その他一切の事情を考慮して決定すべきであり,地方裁判所の判決手続で判定することができない事項を対象とする不適法な訴えであるとして,訴えを却下した平成29年7月10日東京地裁判決(判タ1452号206頁)の判断部分を紹介します。

*********************************************

主   文
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

1 被告は,原告に対し,452万円及びうち264万円に対する平成28年6月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告に対し,平成29年5月から原告と被告が離婚又は別居解消に至るまでの間,毎月21日(ただし,21日が休日の場合は前営業日)限り20万円及び毎年6月25日(ただし,6月25日が休日の場合は前営業日)限り100万円を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,原告が,夫である被告と別居するに際し,婚姻費用の支払について合意した(以下「本件支払合意」という。)と主張して,被告に対し,本件支払合意に基づき,①平成28年5月分までの未払婚姻費用合計264万円及びこれに対する最終の支払期日後の日であり,訴状送達の日の翌日である同年6月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,②同年6月分から平成29年4月分までの未払婚姻費用合計188万円並びに③同年5月分から原告と被告が離婚又は別居解消に至るまでの間の婚姻費用の支払を求める事案である。

1 前提事実(当事者間に争いがないか,後掲各証拠(特に明記しない限り,枝番の表記は省略する。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)

         (中略)

第3 当裁判所の判断
1 地方裁判所が判決手続で判定すべき事項について

 原告は,被告との間で本件支払合意が成立したとして,被告に対し,本件支払合意に基づく婚姻費用の支払を請求している。
 ところで,民法760条の規定による婚姻費用の分担額は,夫婦の協議により,もし協議が調わないときは,家事事件手続法の定めるところに従い,家庭裁判所が夫婦の資産,収入その他一切の事情を考慮して決定すべきであり,通常裁判所(地方裁判所)が判決手続で判定すべきものではない(最高裁昭和43年(オ)第458号同年9月20日第二小法廷判決・民集22巻9号1938頁参照)。また,家事審判事件が訴訟事件として裁判所(地方裁判所)に提起された場合には,特別の規定のない限り,民訴法16条1項により,これを他の管轄裁判所(家庭裁判所)に移送することは許されず(最高裁昭和35年(オ)第294号同38年11月15日第二小法廷判決・民集17巻11号1364頁参照),当該訴訟事件が婚姻費用の分担に関する審判事項を内容とする場合であっても異なるものではない(最高裁昭和42年(オ)第1195号同44年2月20日第一小法廷判決・民集23巻2号399頁参照)。

 したがって,婚姻費用の分担額について,夫婦の協議又は家庭裁判所の調停・審判により支払義務が具体的に確定していない場合,地方裁判所においては,婚姻費用の分担に関する審判事項を内容とする訴訟事件を民訴法16条1項の規定により家庭裁判所に移送することはできず,不適法な訴えとして却下すべきものと解するのが相当である。

 そして,本件において,婚姻費用の分担に係る家庭裁判所の調停及び審判が行われていないことは当事者間に争いはない。そのため,本件訴えの適法性(争点1)についての判断の前提として,まず,原告被告間の協議によって,本件支払合意が成立し,被告の婚姻費用の分担額が具体的に確定しているといえるか(争点2)について検討する。

2 認定事実
 前提事実のほか,証拠(甲2,5ないし7,乙1,2,原告本人,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)別居に至る経緯
 原告は,平成25年4月15日,被告が使用しているパソコンのメールを見て,被告が見知らぬ女性とメールのやり取りをしていることを知った。そこで,原告は,同月18日,被告に対し,当該女性との関係について問いただした。これに対し,被告は,会社の先輩に誘われて合コンに参加し,そこで出会った当該女性とメールや電話をしたり,二人きりで出掛けたりしたことを認めた。

 原告は,被告に対し,当該女性に電話をかけて既婚者であることを伝え,交際を断るよう求めた。被告が当該女性に電話をかけたところ,原告は,電話を代わり,当該女性に対して,直接,被告との交際をやめるように言った。
 その後,原告は,夫婦の今後について被告と話合いを行っていたが,自身の両親からの提案を受け,長女を連れて被告と別居したい旨,被告に伝えた。
 そして,原告は,被告に対し,新しい家に引っ越すための費用が必要であるとして,一時金100万円の支払を求めたところ,被告は,当該一時金を支払うこと自体については応じた。しかし,当該一時金の具体的な支払時期や支払方法についての話合いは行われなかった。
 原告は,平成25年5月14日,長女を連れて家を出て,被告との別居を開始した。

(2)本件手紙の送付等(甲2)
 原告は,平成25年5月20日頃,別紙手紙の内容が記載された本件手紙を作成して被告に送付した。被告は,同月24日に本件手紙を受け取ったものの,そもそも別居に同意しておらず,当時は原告との婚姻関係修復を望んでいたことから,あえて原告と争う必要はないと考え,原告に対し,本件手紙の内容について異議を述べることはしなかった。

(3)原告による被告口座預金の引出し
 被告は,別居を開始した後,原告に対し,婚姻費用を支払うことはなかった。
 そこで,原告は,被告に断ることなく,自身が所持していた被告の給与振込口座(以下「本件口座」という。)に係るキャッシュカードと通帳を用いて,本件口座から,平成25年5月末頃から平成26年6月まで毎月20万円を,平成25年6月にはさらに100万円を引き出した。
 被告は,原告による前記各引出し行為を認識し,月々20万円という額が婚姻費用として高すぎると考えてはいたものの,原告を刺激することなく,婚姻関係を修復し,同居を再開したいという思いから,原告に対してあえて異議を述べることはしなかった。

(4)被告による離婚申入れとその後のやり取り
 原告は,平成26年6月25日頃,被告に断ることなく,本件口座から,100万円を引き出した。
 被告は,その頃,原告に対し,離婚を申し入れ,また,本件口座に係るキャッシュカードの支払停止の手続をとった。

 原告は,平成26年6月30日,被告に対し,以下の内容のメールを送った。「あなたからの離婚の申し出,読みました。(中略)長女の事ですが,父親も母親も私立中高一貫校,私立四年制大学という教育を受けている訳ですし,それに見合った環境を整える事は,私たち親の絶対的責務だと思います。b社社員の基準として,子供が私立で育った場合,1人三千万円かかると言われています。長女は間もなく3歳となり,七五三などの行事,お稽古事,幼稚園入園料など,かかる費用は目白押しです。身体の方も,新しい靴が3ヶ月で履けなくなる程の成長スピードです。こうした事,そして離婚家庭の子供となれば,今後,様々な生活場面で彼女が耐えていかねばならない厳しい人生の原因をあなたが作ったという事をよく考えて,具体的にどういう事をして頂けるのか,ご連絡下さい。」

(5)前記(4)のメールに対する被告の返信
 平成26年7月頃,海外研修から帰国した被告は,同月12日,原告の前記(4)のメールに対して,以下のとおり返信した。「離婚すること了解したと受け取り,離婚協議に入りたいと思います。(中略)離婚後の養育費については,貴女が,親と同等レベルの教育を受けさせるに当たり,一般的に3000万円くらいかかると言っていましたが,長女は貴女と僕の子供であり,貴女にも長女を育てるに当たり,同等の責任があると思っています。なので,養育義務が発生している間は,月々8万円を長女の口座に長女が大学を卒業するであろう22歳まで(2034年3月迄)支払うことにしようと思います。尚,銀行口座を見たところ,100万円が引き落とされていました。僕は,貴方の2013年に別居開始時の生活を行うに当たり,必要なものを購入する為,100万円が必要ということで渡しました。しかし,毎月20万円ということ以外に,ボーナスで100万円払うということには合意していないことから,2014年6月に引き落とされた100万円については,2014年7月~2014年11月までの婚姻費用の前払いという整理にしたいと思います。(中略)また,婚姻費用の分担については,同じく2014年12月迄に離婚協議が決着しなければ,12月より20日付でこちらから支払うことにします。」

(6)被告による支払
 被告は,原告をなるべく刺激することなく,円満に離婚したいとの思いから,平成26年12月から平成27年2月にかけて,原告に対し,毎月20万円ずつ,合計60万円を支払った。
 また,平成27年6月の別件調停の期日において,原告代理人は,調停委員を通じて,被告に対し,同年3月分から同年6月分までの婚姻費用合計80万円の支払を求めたところ,被告は,同年6月29日,原告に対し,80万円を振り込んだ。
 その後,被告は,原告に対し,平成27年7月から同年9月にかけて,各20万円ずつ合計60万円を支払った。しかし,同月14日に別件調停が不成立となった後は,被告は,別件調停期日における原告の言動等から見て原告には夫婦関係を調整して別居を解消しようとする意思が全くないものと感じられたことから,もはや婚姻関係は破綻しているものと考え,今後は子供の養育費相当額の支払のみをすることとし,原告に対し,月々の支払額を20万円から12万円に減額して,同年10月から平成29年4月にかけて合計228万円を支払った。

3 判断
 前記2で認定した事実に基づいて,以下,争点2について検討する。
(1)明示の本件支払合意の成立について

 確かに,前記2(2)のとおり,本件手紙には,「5月14日より開始した別居に伴い,本年5月分から,毎月給与入金日に20万円,6月のボーナス入金日には更に100万円を,婚姻費用の分担の趣旨に従い,」という本件支払合意の内容及び「約束通り,下記口座に銀行振込みして下さい。」との記載があり,被告は,本件手紙を受け取ったものの,原告に対し,その内容について異議を述べることはしなかった。

 しかしながら,本件において,平成25年5月からの別居の開始に当たり,原告と被告との間で,本件支払合意の内容,つまり,支払額や支払方法,支払期間等について,夫婦の資産,収入及び今後の長女の監護状況等を踏まえて,具体的な話合いがなされたことや,被告が本件手紙の記載内容を積極的に承諾したことを認めるに足りる証拠はない。

 この点に関し,原告は,本人尋問において,別居の開始に先立ち,平成25年5月13日,原告が被告に対して月々の20万円及び毎年6月の100万円の支払を求めたのに対し,被告は,「もう分かったよ,あなたの言った金額を払うから,払うから。」,「だから払えばいいんでしょう。」などと言った旨供述し,かかるやり取りをもって,本件支払合意が成立した旨主張する。

 しかしながら,仮に,原告と被告の間でそのようなやり取りがあったとしても,前記2(1)の別居に至る経緯及びその当時の原告と被告との婚姻関係の状況等に照らせば,平成25年5月13日当時,被告は,原告との婚姻関係修復を望んでいたことから,ひとまずその場を収めるために原告の言い分を受け入れるかのような言動をとったものと理解するのが合理的である。そのため,被告の前記言動をもって,原告による本件支払合意の申入れに対する被告からの明示的な承諾と認めることまではできない。

 また,原告は,本件手紙の記載内容について被告から異議等が一切述べられなかったことは正に本件支払合意があったことの証左であるなどとも主張する。しかしながら,前記同様,本件手紙の送付を受けた当時,被告は,原告との婚姻関係の修復を望んでいたため,原告を刺激する言動をとって原告との婚姻関係を悪化させることを避けたいとの思いから,あえて異議を述べなかったとの被告の供述にも相応の合理性があるものと認められる。そのため,被告が本件手紙の記載内容について異議等述べなかったことをもって,本件支払合意があったと認めることまではできない。
 以上からすれば,本件において,明示の本件支払合意が成立したと認めることはできない。

(2)間接事実による本件支払合意の成立の推認について
ア 毎年6月の100万円の婚姻費用について
 確かに,被告は,前記2(5)のとおり,平成25年6月に原告が本件口座から100万円を引き出したことを認識していながら,平成26年7月に原告に対してメールを送信するまでの間,原告に対して,明確な異議を述べていない。
 しかしながら,他方,前記2(1)のとおり,原告は,別居を開始するに当たり,被告に対し,新しい家に引っ越すための費用として,一時金100万円の支払を求め,被告はその求めに応じて平成25年6月の100万円の引出しを容認したものである。また,前記2(5)のとおり,被告は,平成26年6月25日に引き出された100万円については,同年7月,原告に対し,毎年6月の100万円の支払は約束していないと明確に異議を述べ,同月以降の婚姻費用の前払いに充当する旨を伝えている。

 これらの事実からすれば,被告が,原告による平成25年6月の100万円の預金引出し行為について異議を述べていなかったことは明らかであるものの,それは,単に原告が別居を開始するに当たって新生活を始めるための支度金の趣旨で100万円の支払を合意した上で,かかる合意に基づいて原告が本件口座から引出しを行ったというにすぎないものと認めるのが相当である。

 そのため,被告が,平成25年6月に原告が100万円を引き出したことについて異議を述べていないという事実から,原告の主張する本件支払合意のうち,毎年6月に100万円を支払うという内容に係る部分の合意が成立したという事実を推認することはできない。
 そして,他に前記の合意が成立したと認めるに足りる証拠はない。

イ 月々20万円の婚姻費用について
 確かに,被告は,前記2(3),(5)のとおり,原告が,平成25年5月から平成26年6月まで,本件口座から毎月20万円を引き出していることを認識していながら,同年7月に原告にメールを送信するまでの間,原告に対して,明確に異議を述べてはいない。かえって,被告は,前記2(6)のとおり,その後も,原告に対して,同年12月から平成27年2月にかけて3か月分合計60万円を,また,同年6月29日に同年3月分から同年6月分として80万円を,さらに,同年7月から同年9月にかけて3か月分合計60万円を,それぞれ支払っている。

 しかしながら,他方で,前記2(2)ないし(6)のとおり,被告は,別居を開始した当初は,原告との婚姻関係の修復を望んでいたため,いたずらに原告を刺激することのないよう,原告による預金引出し行為に対してあえて異議を述べるようなことはしなかった。また,被告は,その後,平成26年6月頃に,原告に対して離婚を申し入れているものの,その頃には,被告において速やかに離婚をすることを念頭に置くようになり,原告が預金を引き出していた本件口座のキャッシュカードについて支払停止の手続をとった後も,速やかに円満な離婚を実現するために毎月20万円の支払を続けていた。しかし,別件調停期日における原告の言動等から見て原告には最早別居を解消する意思がないと感じたため,被告は,それ以降は子供の養育費相当額の支払のみをすることとして,平成27年10月からは,毎月12万円の婚姻費用の支払を続けていた。

 これらの事実からすれば,被告が,別居開始後,原告に対し,断続的に月額20万円又は12万円の支払を継続していることは明らかであるものの,要は,被告において,当初は原告との婚姻関係の修復のために,離婚を決意した後は円満な離婚成立のために,原告による預金引出し行為を黙認し,あるいは自らが支払うのもやむを得ないと考える婚姻費用相当額の支払を行っていたというにすぎないものと認められる。

 そのため,被告が,原告による預金引出し行為に関して,原告に対して異議を述べず,その後も毎月20万円又は12万円の支払を続けているという事実から,原告の主張する本件支払合意のうち,毎月20万円を支払うという内容にかかる部分の合意が成立したという事実を推認することはできない。
 そして,他に前記の合意が成立したと認めるに足りる証拠はない。

4 まとめ
 したがって,原告と被告との間において,婚姻費用分担額についての約定とされる本件支払合意が成立したと認めることはできず,被告の婚姻費用の分担額が具体的に確定しているとはいえない(争点2)。
 そのため,被告が分担すべき婚姻費用の額は,家事事件手続法の定めるところに従い,家庭裁判所が原告被告の資産,収入その他一切の事情を考慮して決定すべきであり(民法760条),本件訴えは,地方裁判所の判決手続で判定することができない事項を対象とするものであって,不適法であるといわざるを得ない(争点1)。


第4 結論
 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本件訴えは不適法であるから,これを却下することとして,主文のとおり判決する。
 東京地方裁判所民事第33部
 (裁判長裁判官 原克也 裁判官 廣瀬仁貴 裁判官 小久保珠美)

 〈以下省略〉
以上:7,413文字
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H30-11-14(水):民法910条に基づく価額支払請求で消極財産不控除とした地裁判例紹介
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○事例は滅多にありませんが、民法には以下の規定があります。
民法第910条(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続入が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。


○この規定に基づき被相続人AとBとの間の子(非嫡出子)の原告Xが,亡Aの死後,認知の裁判確定により被相続人Aの相続人となり、被相続人Aの嫡出子である被告Yに対し,既に遺産分割を終えていた被相続人Aの遺産について約3110万円の価額の支払を求めた事案があります。

○被相続人の遺産(積極財産)の範囲及びその評価額については当事者間に争いがなく,本件の争点は,原告Xの法定相続分(争点①),Yの特別受益(学費の援助等)の有無及びその額(争点②),Xに支払われるべき価額の算定において被相続人Aの消極財産を控除すべきか否か(争点③),消極財産を控除すべきであると解した場合における控除すべき消極財産の額(争点④),Xの請求の一部が権利濫用に当たるか否か(争点⑤)でした。

○この事案について、Xの法定相続分はYと同じ4分の1とし,争点②について,大学の学費は被相続人Aから借り入れたもので既に返済がされてYの特別受益ではないとし,争点③について,Xに支払われるべき価額の算定において被相続人Aの消極財産を控除すべきではないとし,争点⑤について,原告の請求の一部が権利濫用に当たるとはいえないとして,積極財産の評価額の4分の1に相当する約2485万円の支払をみとめた平成29年9月28日東京地裁判決(判タ1451号206頁)の一部を紹介します。

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主   文
1 被告は,原告に対し,2485万4374円及びこれに対する平成27年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを5分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

1 被告は,原告に対し,3110万4374円及びこれに対する平成27年3月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 仮執行宣言

第2 事案の概要
1 本件は,亡A(以下「亡A」という。)とBとの間の子であり,亡Aの死後,認知の裁判確定により亡Aの相続人となった原告が,亡Aの嫡出子である被告に対し,既に遺産分割を終えていた亡Aの遺産について,民法910条に基づく価額支払請求として,3110万4374円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年3月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 前提事実(当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

         (中略)


第3 当裁判所の判断
1 争点①(原告の法定相続分)について

(1) 民法900条4号ただし書のうち非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1と定めていた本件規定は,平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたものというべきであるところ,既に関係者間において裁判,合意等により確定的なものとなったといえる法律関係が存在する場合にこれを覆すことは相当でないが,関係者間の法律関係がそのような段階に至っていない場合であれば,本件規定の適用を排除した上で法律関係を確定的なものとするのが相当である(平成25年大法廷決定)。

 しかるところ,亡Aの遺産について,本件認知判決により同人の相続人となった原告と従前の相続人である被告,亡C及び同人の相続人であるDとの間に,裁判,合意等により確定的なものとなったといえる法律関係が存在すると認めることはできない。したがって,原告に支払われるべき価額の算定においては,本件規定の適用が排除される結果,原告の法定相続分は被告と同じ4分の1となる。

(2) これに対して,被告は,被告と亡Cとの間で本件各遺産分割協議が成立していたことをもって関係者間に確定的なものとなったといえる法律関係が存在する旨主張する。
 しかし,本件認知判決確定後においては,原告との関係においても亡Aの遺産をめぐる法律関係を確定的なものとする必要があり,原告は平成25年大法廷決定のいう「関係者」に該当するところ,原告は本件各遺産分割協議に関与しておらず,同協議の成立によって亡Aの遺産に係る原告の権利義務の内容が確定しないことは明らかである。
 したがって,本件各遺産分割協議の成立により,亡Aの遺産につき関係者間に確定的なものとなったといえる法律関係が存在すると認めることはできないから,被告の上記主張は採用することができない。

2 争点②(被告の特別受益の有無及びその額)について

         (中略)


3 争点③(原告に支払われるべき価額の基礎となる遺産額の計算において消極財産を控除すべきか否か)について
(1) 民法910条は,その文言上,「相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合」における当該遺産分割の対象となる財産についての価額支払請求について定めたものと解されるから,その価額の算定に当たって考慮される財産は,遺産分割の対象となる積極財産に限られると解するのが相当である。

 しかるところ,金銭債務その他の可分債務の債務者が死亡し,相続人が数人ある場合に,被相続人の当該債務は,法律上当然分割され,各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解される(最高裁昭和32年(オ)第477号同34年6月19日第二小法廷判決・民集13巻6号757頁参照)。そして,本件訴訟において被告が考慮すべきであると主張する消極財産は,いずれも可分な金銭債務であるから,相続により各共同相続人に法律上当然に分割承継され,遺産分割の対象とはならないものである。

 したがって,本件訴訟において被告が主張する消極財産は,いずれも原告に支払われるべき価額の算定に当たって考慮すべき財産とはいえないから,当該消極財産の存否を含む債権額(争点④)について検討するまでもなく,これを控除して価額の算定を行うべきである旨の被告の主張はそれ自体失当であり,理由がない。

(2)
ア これに対して,被告は,本件各遺産分割協議において,亡AがDに対して負っていた借入金債務を亡Cが相続することを前提として,亡Aの預貯金の大部分を亡Cに相続させることとしたものであり,原告の価額賠償請求において亡Aの消極財産を考慮しないこととすると,かかる本件各遺産分割協議の前提自体が覆されることとなり,民法910条の趣旨が没却される旨主張する。

 しかしながら,民法910条の規定は,相続の開始後に認知された者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときには,当該分割等の効力を維持しつつ認知された者に価額の支払請求を認めることによって,他の共同相続人と認知された者との利害の調整を図るものであり(最高裁平成26年(受)第1312号,同第1313号同28年2月26日第二小法廷判決・民集70巻2号195頁),当該分割等によって形成された権利関係ないし法的安定性の保護のみをその趣旨とするものではない。

 そして,原告は,本件各遺産分割協議の成立に関与しておらず,同協議がされた時点において,亡Cが相続することとされた亡AのDに対する借入金の存否を確認し,これを争う機会が与えられていないのであり,このような債権について,被告と亡Cの間で既に本件各遺産分割協議が成立していることを理由に,当然に消極財産として亡Aの遺産額から控除した上で原告に支払われるべき価額を算定することは,原告の利益を不当に害するものであり,民法910条の上記趣旨に照らして相当といえないことは明らかである。

イ 被告は,原告の価額賠償請求において亡Aの消極財産を考慮しないこととすると,法定相続分割合を超えて弁済をした者が改めて原告に対する不当利得返還請求をしなければならず,紛争の一回的解決という点からも問題がある旨主張する。
 しかしながら,被告が上記弁済をした場合には,本件訴訟において,上記弁済に基づく不当利得返還請求権を自動債権とする相殺の抗弁を主張することにより,本件訴訟の中で債権債務関係を清算して紛争解決を図ることが可能である。また,被告が消極財産として主張する債権の債権者は,本件各遺産分割協議の内容にかかわらず,亡Aの相続人に対してそれぞれの法定相続分割合に応じた債権額につき権利を行使することが可能であり,かかる権利行使に対して特定の相続人が当該債権の存否を争う場合には,債権者とその相続人の間における紛争として解決を図るのがむしろ適切であるといえる。

ウ したがって,被告の上記ア及びイの主張はいずれも採用することができない。

4 争点⑤(原告の請求の一部が権利濫用に当たるか否か)について
(1) 被告は,亡Cが負担した葬儀関係費用並びに特別区民税及び都民税について,原告が被告に対し,その合計額である292万9019円のうち原告の法定相続分に相当する額の支払を求めることは,権利濫用に当たり許されないと主張する。
 そこでまず葬儀関係費用について検討するに,葬儀関係費用は,相続開始後に生じた債務であり,そもそも相続債務とはいえないものであるから,民法910条に基づく価額支払請求において,被認知者である相続人に支払われるべき価額を算定するにあたり,かかる債務を基礎となる遺産額から控除することは相当とはいえない。

 また,前記前提事実,証拠(甲10,乙5ないし19)及び弁論の全趣旨によれば,平成20年2月3日に亡Aが死亡した後,同月5日にg斎場において,親族と親しい関係者のみが参列して亡Aの葬儀が執り行われ,同年3月下旬に納骨が行われたこと,当時被告及び亡Cは原告の存在を認識しておらず,亡Aの葬儀や納骨に原告は参列していないこと,同年2月5日以降,亡Cが亡Aの葬儀関係費用(葬儀費用,式場使用料,飲食料,火葬代等)として合計255万7319円を支出したことが認められる。

 このように,原告は,亡Aの葬儀及び納骨に係る支出に関与していないばかりか,これらに参列する機会すら与えられておらず,支出した費用に対応する経済的利益も一切享受していないのであるから,原告が上記葬儀関係費用のうち自らの法定相続分割合に相当する部分を当然に負担すべきであるとはいえない。

 したがって,原告が,価額支払請求において,上記葬儀関係費用のうち原告の法定相続分割合に相当する額を控除せず請求することが権利濫用に当たると認めることはできない。


(2) 特別区民税及び都民税は,各年の1月1日における住所及び前年の所得に従い課せられる地方税であり,平成20年度の特別区民税及び都民税の納税義務者は亡Aであるから,同年度の特別区民税及び都民税の納税義務は,相続債務といえる。
 もっとも,相続債務は,法律上当然分割され,各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものであり,遺産分割の対象とはならず,価額支払請求における価額の算定においてこれを考慮すべきでないことは,前記説示のとおりである。そして,上記3(2)イのとおり,分割承継された相続債務について法定相続分割合を超える弁済をした者は,他の共同相続人に対して不当利得返還請求をしてその清算を図ることが可能であり,被告が原告に対する上記請求権を有するときは,本件訴訟の手続内で相殺の抗弁を主張してその満足を得ることが可能である。このような他の清算手段がある以上,特別区民税及び都民税についても,価額支払請求において,原告が自らの法定相続分割合に相当する額を控除せず請求することが権利濫用に当たると認めることはできない。

5 結論
 以上によれば,原告に支払われるべき価額は,亡Aの積極財産の評価額合計9941万7498円の4分の1である2485万4374円である。したがって,原告の請求は,2485万4374円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成27年3月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
 よって,主文のとおり判決する(仮執行宣言は相当でないからこれを付なさいこととする。)。
 東京地方裁判所民事第45部
 (裁判官 川﨑慎介)

 〈以下省略〉
以上:5,177文字
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H30-11-13(火):水分・油分付着飲食店通路転倒事故と土地工作物管理瑕疵判断判例紹介
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○「スーパー水濡れ床滑り転倒事故と土地工作物管理瑕疵判断判例紹介」等の続きです。これまでは土地工作物管理瑕疵がないとして請求が棄却された事案を紹介してきましたが、瑕疵があるとして責任が認められた事案を紹介します。

○原告が、被告が所有するビルの7階の飲食店が並ぶ通路を歩行中に転倒し、左大腿骨骨折の傷害を受けた事故につき、本件通路の構造および使用状況から、本件事故当時、通路上に水分や油分が付着する状態が生じており、これが原告の転倒の原因となったと推認するのが相当であるから、被告には本件ビル7階の保存につき瑕疵があったというべきであり、原告は、その瑕疵により受傷したものと認められるとして、被告の土地工作物責任を認めた平成13年11月27日東京地裁判決(判時1794号82頁)の判断部分を紹介します。

○転倒箇所の状況として、「Bf作成の陳述書には、『ARさんが転倒した地点の床を見たところ、テカテカ光っていて、改めて足でなぞってもツルツルの状態で、非常に滑りやすくなっていました。』と記載されており、証人Bfは、これと同趣旨の供述をしている。また、原告作成の陳述書には、『私の転倒地点近くの床面は大変汚れていると同時にテカテカ光ってもいて大変滑りやすい状況でした。』と記載されており、原告本人は、これと同旨の供述をしている。」と、「ツルツルの状態で、非常に滑りやすくなって」いたことで、「上記の通路の状況をもって、本件ビル7階の保存につき瑕疵があったというべきであり」と瑕疵を認定しています。

○これに対し、瑕疵を認めなかった「スーパー水濡れ床滑り転倒事故と土地工作物管理瑕疵判断判例紹介」では、「転倒場所の床が,雨天時に通常やむを得ず生じる程度の湿った状態を超えて,水や泥で滑りやすい状態にあったものとはにわかに認められない」、「転倒場所の床は,乾燥時に比べれば若干の滑りやすさはあるものの,来店客が通常の注意力をもって歩行しても転倒する危険性があるほど滑りやすい状態にあったものとは認められず,転倒場所の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとは認められない」としています。

**********************************************

主   文
一 被告は、原告に対し、金2262万7001円及びこれに対する平成12年2月12日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員の支払をせよ。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを25分し、その四を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
四 この判決の第一項及び第三項は、仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

 被告は、原告に対し、金2667万7001円及びこれに対する平成12年2月12日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。

第二 争いのない事実等
一 当事者

(1)原告は、昭和6年11月30日生まれの女性である。
(2)被告は、東京都豊島区(番地省略)において多数の店舗が入居しているメトロポリタンプラザ(区分所有ビル。以下「本件ビル」という。)の約80パーセントを所有して貸しビル業を営んでいる。

二 事故の発生


     (中略)


第四 争点に対する判断
一 本件事故の現場について
(1)本件事故の現場について原告本人及び証人Bfは、原告主張転倒地点である旨供述し、それぞれの陳述書((証拠省略))にも同旨の記載がある。

(2)ところで、本件事故後に女子トイレの中で動けなくなっている原告のために車椅子の手配をした防災センターの蓮田太作は、その陳述書において、原告から「とんかつ屋の角を曲がろうとしたとき足を滑らせて転んだ。」との説明を受けた旨記載し、ビデオ撮影に際しても、同旨の口頭説明をしている。また、動けなくなっている原告を発見して防災センターに連絡をした藤原かおりは、その陳述書において、原告が蓮田太作に対しそのように説明をしていた旨記載している。

しかし、上記のとおり、蓮田太作の記憶においては、原告から「とんかつ屋」の角で転んだという説明を受けたというものであり、原告が「とんかつ和幸」の角と述べたというものではなく、藤原かおりの上記陳述書の記載も同様である。また、原告は、本件ビルの7階を訪れたのは本件事故時が初めてであり、仮に、原告が「とんかつ和幸」と「ビストロじゅじゅ」との間の通路を通ったとしても、トイレに行こうとしていた原告がとんかつ屋であることを認識していたかどうかについては疑問が残る。

 したがって、上記の各証拠は、原告が蓮田太作に説明した具体的状況が不明なので、原告本人の供述と比較すると、原告が「とんかつ屋」の角と説明したかどうかについても疑問が残るというべきである。さらに、仮に、原告が「とんかつ屋」の角と述べたとしても、原告が「ライオン」又は「つばめグリル」をとんかつ屋と勘違いしていたことも有り得るのであって、その説明から転倒場所が「とんかつ和幸」の角であったとまで認めることはできない。

 もっとも、原告は、平成11年11月8日に夫と共に本件ビルを訪問しているところ、藤原かおりの陳述書には、その際、原告が「転倒の際、厨房が見えた。」と説明した旨記載されており、原告本人もそのように述べたことを肯定する供述をする。しかし、原告本人の上記説明は、転倒した状態で見た通路A奥の状況を述べていると見ることもでき、また、本件ビルをエスカレーターで八階から七階降りた地点からは「つばめグリル」の厨房を見ることができるところ、原告がエスカレーターを降りた地点から左方向に向かった際にその厨房が目に入ったことが印象に残っていたとも考えることができ、上記の説明から原告の転倒場所が「とんかつ和幸」の角であったとすることはできない。

 他方、原告は、同月11日にBfに会い、「つばめ」と「ライオン」の通路から左側トイレに曲がるところで転倒した旨の確認書を得ており、その点からすると、原告は、同月8日に本件ビル七階を訪れた際に転倒場所を原告主張転倒地点と特定していたものと認められるのであって、本件においては、原告が転倒場所を意図的に変更したとすべき事情を認めるに足りる証拠はない。そして、その後に、原告主張転倒地点を訪れた松原厚弁護士がライオンの従業員に対して、通路Aの奥について「なぜ、ここを壁で塞いだのか。」と質問したとしても、そのことから同弁護士が原告から本件転倒時には転倒地点の通路の先が壁あるいは扉によって塞がれてはいなかった旨の説明を受けていたとの根拠とはならない(この点について原告本人は、本件事故時には、通路Aはつい立てによって塞がれていなかった旨供述している。)。

 また、証人Bfは、上記の確認書を作成した際、「つばめ」という記憶はあったが「ライオン」という記憶はなかった旨供述しているところ、そのことは、原告及びBfがエスカレーターを降りてすぐ左方向に向かったことを示しているといえる(仮に、原告らがすぐ右方向に向かったとすれば、Bfは、原告と別れた後、「とんかつ和幸」の角から被告主張通路をエレベーターホールの方に引き返したことになるので、「つばめグリル」が印象に残る可能性は少ないといえる。)。

 また、原告及びBfがエスカレーターを降りて右方向に向かったとすれば、「レモングラス」のところで、エレベーターは直進、トイレは左折と表示されていることを認識して「とんかつ和幸」の方に曲がったものと認められるところ、原告は、エレベーターが右側の方にあるかと思って右方向を見た際に転倒した旨主張するとともに、原告作成の陳述書にも同旨の記載があり、原告本人も同旨の供述をしており、このことは、原告がトイレとエレベーターとが同じ方向にあるとの認識の下に通路を歩いた後に右方向にエレベーターがあるという認識の下に右方向を見たことを示すものであって、上記の状況と一致しない。これに対し、原告及びBfがエスカレーターを降りた時点でトイレに行こうとしてトイレの表示のある左方向に向かったとすると、その表示にはエレベーターとして右斜め上の方向の表示がされていることから、原告が本件交差通路において右側にエレベーターがあるのではないかと考えて右方向を見たということと符合する。

 他方、原告は、転倒後、通ってきた通路の右側の壁に手を付いてようやく立ったことが認められるところ、仮に、その位置が「とんかつ和幸」の店舗壁面であったとすれば、原告の怪我の状況からしてそこからトイレまで歩いて行けたというのは不自然である。また、証人Bfは、転倒後、原告と別れてエレベーターに向かったが、すぐには探せなかった旨供述しており、「レモングラス」のところでエレベーターの方向を確認した後、トイレの方向に左折して被告主張通路を進行していた時に原告が転倒したとするとその後の行動として不自然であり、むしろ、エスカレーターを降りた時にすぐトイレに行くこととして左方向に向かった後、原告主張転倒地点で原告と別れてエレベーターホールに向かったとすれば、そこからエレベーターホールまでの通路が折れ曲がった複雑な進路となり、上記の供述内容と一致する。

(3)以上の諸点と原告本人及び証人Bfの各供述中に意図的に原告の転倒場所を変更していることを疑わせる点がないことを考慮すると、原告の転倒場所は、原告主張転倒地点と認めるのが相当である。

二 責任原因について
(1)(証拠省略)によると、以下の事実を認めることができる。
〔1〕通路Aには非常階段への扉と「ライオン」の厨房への出入口(本件出入口)とがあるが、非常階段への扉は通常閉鎖されていたため、通路Aは、専ら「ライオン」の厨房への出入りに使用されていた。

〔2〕そして、ライオンは、通路Aに本件厨房出入口を隠すようにしてつい立て(以下「本件つい立て」という。)を置き、その奥にダンボール、発泡スチロール、ポリバケツ、サラダ油の缶などを置いて使用していた。

〔3〕また、本件出入口は、ライオンの従業員(厨房にいる者も含まれる。)がトイレに行く場合に使用され、トイレに行くため本件出入口を出た従業員は、通路A及び通路Bを通行することになる。
〔4〕さらに、ライオンは、本件出入口から、調理に使用する油、しょう油等や、野菜等の食材を搬入し、さらに廃油等の搬出などを行い、それらの本件出入口までの運搬及び本件出入口から外部への搬出は、手押しの運搬車により通路A及び通路Cを通って日中に行われていた。

(2)そこで、上記(1)の事実を前提に検討するに、本件つい立てには、油あるいは汚れた水分が飛び散るなどして生じたものと認められるシミが多数あり、この点と本件つい立てが本件出入口から奥を隠すために置かれていること、本件つい立ての位置を避けるように運搬車の轍の跡が残っていることからすると、ライオンは、本件つい立ての奥を厨房に搬入する物品、あるいは厨房から搬出した物品の置き場として使用し、同時にそれらを運搬車から降ろしたり、運搬車に載せたりする作業も行っていたものと認められ、さらに、場合によっては本件つい立ての奥で油又は水分のあるものの出し入れをしていたものと認められる(本件つい立てのシミは、その付近で液体の出し入れを行っていたことを示すものである。)。

さらに、証人Mは、本件出入口にはマットが置かれていた旨供述するところ、その供述は、厨房から通路Aに出る場合に靴底についた油分、水分等をぬぐう必要があることを認めるものであるにもかかわらず、本件出入口の状況を示す各証拠(写真及びビデオ)においては、本件出入口にそのようなマットは置かれておらず、通路Aには、サラダ油又はしょう油の缶が置かれ、ポリバケツの中にはビニールホースが置かれている。

 そして、以上の点を前提とすると、本件事故当時、通路Aとこれに接する通路B及びCの一部においては、本件出入口からトイレに行くライオンの従業員、通路Aの奥への物品の搬入・搬出を行う者及び運搬車の通行によって、通路上に水分や油分が付着する状態が生じていたものと認めることができる(この点は、本件事故後であっても、通路上に油又は水分が付着していることからも十分首肯できる。)。

(3)次に、(証拠省略)によると、原告は、ゆっくり歩行をして通路Cから通路Bに足を踏み入れたときに重心のかかった左足が滑って転倒したことが認められ、その転倒が原告の靴に起因するとすべき証拠はない。また、転倒直前、原告は、通路Aの奥の方を見るため上半身をやや右に向けて左足を上げて前方に着地させる動作、あるいは、前に踏み出した左足が床面に着地する寸前に廊下右側を見ようとして顔を右に向ける動作をしているが、原告のその当時の年齢(67歳9か月)を考慮しても、上記動作のために原告が転倒したものと推認することはできない。

 そして、Bf作成の陳述書には、「ARさんが転倒した地点の床を見たところ、テカテカ光っていて、改めて足でなぞってもツルツルの状態で、非常に滑りやすくなっていました。」と記載されており、証人Bfは、これと同趣旨の供述をしている。また、原告作成の陳述書には、「私の転倒地点近くの床面は大変汚れていると同時にテカテカ光ってもいて大変滑りやすい状況でした。」と記載されており、原告本人は、これと同旨の供述をしている。

 さらに、原告が転倒した地点は、通路Cから通路Aに入ったところであり、この地点は、本件出入口への手押し運搬車の通行する箇所であるとともに、ライオンの従業員が本件出入口からトイレに向かう場合にも通行する箇所である(本件事故の時点では、本件つい立ては置かれていなかった。)。

 以上の状況を総合考慮すると、原告が転倒したのは、左足が着地した地点に油、水等が付着し滑りやすくなっていたことによるものと推認するのが相当である。


 もっとも、被告は、本件ビル7階の通路は、毎日清掃をしていた旨主張し、これに符合する証拠もあるが、本件ビルの7階では、清掃は、毎日、午前7時30分から10時30分までの間に行われていたものであり、清掃後に通路C及びAを通って野菜等の材料が搬入されていた可能性は十分にあり、午後には昼食に供された食材の廃材等の搬出も行われていたものと推認できる。

 そうすると、本件事故が発生した午後6時過ぎには、すでに原告主張転倒地点をライオン関係者が多数通行し、かつ、運搬車も通行していたものと認められ、その時点では、通行者の靴や運搬車両の車輪についていた油、水等が通路に付着している状態にあったものと考えられる(被告は、上記の清掃のほかにも毎日複数回清掃が行われていた旨主張するが、(証拠省略)からすると、清掃が頻繋に行われていたとは到底認められないし、通路Aのタイル、通路Aの壁、本件出入口の汚れ具合からして、清掃が行われていたとしても、油分を十分取り去る程度に行われていたとは認められない。)。

 したがって、上記の通路の状況をもって、本件ビル7階の保存につき瑕疵があったというべきであり、原告は、その瑕疵により受傷したものと認められる。


以上:6,200文字
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H30-11-12(月):婚約中から婚姻後まで継続不貞行為配偶者への損害賠償を認めた判例紹介
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○原告前妻が、婚姻直後、被告前夫が婚約中から婚姻成立後も他の特定の女性との間で男女関係を継続していたことを知ってしまったことから協議離婚を余儀なくされたことについて、婚約当事者の負うべき守操義務に違反するとして、不法行為に基づき約960万円の損害賠償を求めたました。

○この事案について、原告と被告はそれぞれ婚約相手と異なる人物と性的関係を持たないという守操義務を負っており、原告の被告に対する信頼を被告が裏切ったことは明らかであり、原告が被告の不貞の事実を婚約中に知ったのであれば、被告との婚約を破棄し、結婚式を挙げることはせず、新婚生活を送るために準備もしなかったであろうことから、原告は、婚約中の被告の不貞を理由にして、不法行為に基づき、損害賠償を求めることができるとして、被告に対し約358万円の支払を命じた平成25年2月14日佐賀地裁判決(判時2182号119頁)を紹介します。

○慰謝料のみでは300万円の請求に対し200万円を認め、その他引っ越し費用約130万円、結婚式費用約88万円が認められましたが、結納金が控除され、弁護士費用が40万円認められています。

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主   文
一 被告は、原告に対し、357万7624円及びこれに対する平成24年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを五分し、その三を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
四 この判決は、第一項につき仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

一 被告は、原告に対し、960万0024円及びこれに対する平成24年5月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
二 訴訟費用は被告の負担とする。
三 第一項につき仮執行宣言

第二 事案の概要
一 本件は、原告が、婚姻直後、前夫である被告において婚約中から婚姻成立後も他の特定の女性との間で男女関係を継続していたことを知ってしまったことから、被告の背信行為により婚姻成立後わずか約1か月で婚姻関係を継続することが不可能となって協議離婚を余儀なくされたことについて、婚約当事者の負うべき守操義務に違反するとして、不法行為に基づき、被告に対し、婚姻前に被告の上記行為を知っていれば挙行することのなかった結婚式費用196万2210円、準備することもなかった新婚生活のために家具・電化製品の購入にかかる費用・新居への引越費用のうち168万7814円、慰謝料500万円及び弁護士費用95万円の損害合計960万0024円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成24年5月30日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

二 前提事実(当事者間に争いのない事実)

         (中略)


第三 当裁判所の判断
一 前記前提事実並びに《証拠略》によれば、次の事実が認められる。

(1)原告(昭和63年生)は、歯科医院に勤務していたが、平成19年夏、印刷会社に勤務していた被告(昭和59年生)と知り合い、被告から結婚を考えているから真剣に付き合ってほしいと言われ、結婚を意識しながら被告との交際を続け、平成21年12月には、被告の実家で、被告から「何でも話し合える夫婦になろう。絶対嘘はつかない家庭にしよう。一生大事にする。」との原告に宛てた手紙を被告の実家で読んでもらい、被告から結婚の申し込みを受けたものと受け取った。その後、原告は、被告との間で、結婚式のことや、将来のこと、子供のこと、家族のことなどを話し合った。

(2)被告は、平成22年始めころ、原告の実家を訪れ、原告とその両親の面前で「結婚させてください」と原告との婚姻を申し入れ、さらに、同年7月にも、原告の実家を訪れ、原告とその両親の面前で、「結婚させて下さい。」「一生大事にします。」と原告との婚姻を申入れ、原告の両親から婚姻の承諾を得た。

(3)原告と被告は、平成22年夏ころから、結婚式場を探し、同年8月29日には佐賀市内の結婚式場を予約し、式場の予約金5万円を折半して式場に支払った。原告と被告は、式場の予約後、それぞれ勤務しながら結婚式の準備をしたが、平成23年2月には、双方の両親と共に、佐賀市内の料理店において、結婚に向けた話し合いを持った。

(4)原告と被告は、同年4月、原告の婚約指輪と二人の結婚指輪を購入した。

(5)被告は、同年5月22日、結納をし、結納セット等を購入して原告の実家に持参し、結納金100万円を原告の両親に手渡した。

(6)原告と被告は、結婚後の新居も探し、被告の実家に近いアパートを新居に決めた(アパートの契約費用は被告が負担した。)。原告は、新居が職場から遠いこともあって、同年6月には職場を退職した。

(7)原告と被告はそれぞれ結婚式や新婚生活の準備をした。原告は、別紙「結婚費用一覧」のとおり家具・電化製品等を購入し、実家から新居へ引越をした。

(8)原告と被告は、同年7月7日に婚姻届をし、同月24日には100名を超える招待客を迎えて結婚式を挙行し、同月26日から同月29日にかけて新婚旅行に出かけた。なお、新婚旅行費用は被告において負担した。

(9)原告は、新婚旅行から戻り新婚生活を送っていたが、同年8月22日、被告が仕事に出かけた後、被告が置き忘れていった被告の携帯電話を見たところ、別紙「女性とのメール内容」記載のメールを含む、被告とある女性との間で交わされた多数のメール(その内容は、大半は被告が当該女性をホテルに誘うなど会うことを目的とするものであり、同年6月17日以前のもの、同年8月19日以降のもの、この間の期間のものなど上記別紙のメール以外のものも多くあり、上記別紙のメールは原告において見たメールのうちの携帯電話で写したものにすぎない。)を発見し、この女性との間のメールのほか、被告が別のサイトで女性になりすまして他の女性とメールのやりとりをしたり、さらに、メールは消えているものの履歴だけが残っているものも見つけた。原告は、これらのメールを発見したものの、そのメールの内容は余りにも酷くて読むに耐えず、被告から裏切られたと思い、惨めで悲しくて涙が止まらなかった。

(10)原告は、前同日、被告の帰宅を待ち、被告に事実関係を確認すると、被告は別紙「女性とのメール内容」のメールをやりとりしていた女性と性的関係のあったことを認めた。原告は、被告が不貞行為について反省するような態度を示さなかったので、不貞の事実を確認すると、その場で、新居を出て、車で熊本に住む兄夫婦方に赴き、上記事情を話した。

(11)原告は、以後、被告の住む新居で生活することはなく、事実関係を知らない両親に心配させないようにするため、熊本の兄夫婦方と実家を往復する生活を送り、ガソリン代、ビジネスホテル宿泊代、高速道路料金等の費用については被告から生活費のために渡されていた被告名義の預金通帳から金員を引き出して遣ったが、この引き出しについては被告の了解は得ていなかった。原告が同年8月28日から同年10月28日までの計五回にわたり引き出した金額は、合計48万2000円であった。

(12)原告は、前記のとおり、結婚式後わずか一か月で、被告の不貞が発覚し、被告に裏切られたことを知り、強い精神的衝撃から体調を崩し、全身に蕁麻疹が広がり、不眠状態が継続したため、同年9月12日に病院を受診したところ、精神的なストレスが誘因であるとの診断を受け、治療を受けている。

(13)原告は、被告の背信行為を知り、被告との婚姻生活を継続することは不可能と判断し、被告に離婚届出用紙を送付したところ、被告がこれに応じたため、同年11月11日、被告との協議離婚が成立した。

(14)原告は、同年11月7日、被告から前記家具等の引き取りを求められたため、これを実家で預かってもらった後、これらについては被告との交際や結婚生活を思い出し嫌悪感を抱いてしまうので将来において使用することはとてもできなかったため、上記家具等を一括して引き取ってくれる業者等を探し、平成24年2月12日、最も高値で買い取ってくれた業者に50万円で売却した。

二 婚約の成立時期について
 婚約は、原告と被告との間に将来結婚しようという合意があれば成立し、その成立要件として結納や婚約指輪の交換などの儀式までは必要でないと解すべきところ、前記一で認定した事実によれば、被告が原告の両親に対し原告との結婚の承認を得た後の平成22年8月29日には、原告と被告は結婚式場の予約をしたのであるから、この時点で、原告と被告との間で将来結婚しようとの合意が客観的・外部的にも明確になったということができる。
 そうすると、原告と被告との間の婚約は、遅くとも平成22年8月29日には成立したとみることが相当である。

三 被告の原告以外の女性との性的関係について
 前記一の認定事実によれば、被告は、婚約成立後の平成23年6月17日から同月21日にかけて、松子という名前の女性に対し、性的関係を持つことを執拗に誘っていることが認められ、別紙「女性とのメール内容」のメールのやり取りの内容によれば、被告と当該女性との間に、このメールのやり取り時期よりも前に性的関係があること、しかも、性的関係を持った回数は、被告の自認する平成23年5月上旬の一回に止まらず、相当な回数であることが十分推認される。そうすると、被告は、原告との婚約成立後に当該女性との間で相当な回数の性的関係を持ったことが認められる。

四 被告の不法行為による損害について
 原告と被告は、婚約が成立したのであるから、正当な理由のない限り、将来結婚するという合意を誠実に履行すべき義務を負っているから、それぞれ婚約相手と異なる人物と性的関係を持たないという守操義務を負っていたというべきところ、被告は婚約成立後、松子という名前の女性と性的関係を持ち、しかも、結納後も、当該女性に対し執拗に性的関係を持つことを執拗に求めていたのであるから、婚約相手である原告の被告に対する信頼を裏切ったことは明らかである。原告が、被告の不貞の事実を婚約中に知ったのであれば、被告との婚約を破棄し、結婚式を挙げることはせず、新婚生活を送るために準備もしなかったであろうこと、さらに、被告の不貞により多大な精神的苦痛を被るであろうことは当然に予測し得たというべきである。

 そうすると、原告は、婚約中の被告の不貞を理由にして、不法行為に基づき、相当因果関係にある損害として、次の損害の賠償を求めることができるというべきである。

(1)新婚生活のために購入した家具・電化製品、新居への引越費用 129万5414円
 新婚生活を送るために必要な家具・電化製品等を婚約者がそれぞれの収入や財産に応じて準備することは通常一般に行われているところであり、また、新居への引越も通常行われているところ、《証拠略》によれば、原告は被告との新婚生活のために、別紙「結婚費用一覧」のとおり、家具と電化製品を購入し(被告が購入した品物は、新婚家庭用としては同種の品物と比較して特別高価な物とは窺われない。)、また、実家から新居への引っ越し、これらの購入費用及び引越費用として合計218万7814円を支出したことが認められる。他方、弁論の全趣旨によれば、原告は、冷蔵庫、エアコン、炊飯器、掃除機、羽毛布団の五点(購入金額39万2400円)については、自ら貰った祝儀から購入費用を負担したことが認められる。原告は、被告と結婚しなければ祝儀を貰うことはなかったのであるから、上記祝儀金額は損益相殺として損害から控除すべきである。

 そして、《証拠略》によれば、原告は、被告から引き取りを要求された、離婚により不必要となった上記家具・電化製品の保管に困り、これらを50万円(この金額で売却したことはやむを得ないとみられる。)で処分したことが認められる。
 以上によれば、原告は、離婚により不必要になった家具・電化製品の購入と新居への引越にかかる損害については、218万7814円から祝儀による購入分39万2400円と上記処分金額50万円を控除した129万5414円を損害として賠償を求めることができる。

(2)結婚式費用 88万2210円
 弁論の全趣旨によれば、原告は結婚式の費用として、ドレス代として88万2210円、吹奏楽団謝礼金として10万円、招待客の車代として3万円を支出したこと、原告は上記吹奏楽団謝礼金と招待客の車代は自らが招待客から贈与された祝儀から支払ったこと、さらに、原告は招待客から贈与された祝儀95万円を被告の求めに応じて被告に渡したことが認められる。原告は、被告の不貞を知っていたら挙げることのなかった結婚式のためにドレス代を支出する一方で、結婚式を挙げなかったら贈与されなかったであろう祝儀を招待客から贈与されており、損益相殺の見地に照らし、上記祝儀は原告の主張する損害から控除すべきである。
 以上によれば、原告は、被告に対し、結婚式に要した費用については、ドレス代88万2210円を損害として賠償することができる。

(3)慰謝料 200万円
《証拠略》によれば、原告は、3年以上に及ぶ交際期間を経て、多くの招待客の祝福を受けて希望に満ちあふれた結婚生活に入った直後、被告が婚約成立後に別の女性と性的関係を持ち,結婚後もその女性を誘っているという重大な背信行為を知って驚愕し、被告に裏切られたことによる屈辱と絶望のどん底に陥り、そのため体調を崩し、精神的ストレスにより全身に蕁麻疹が広がり、継続した不眠状態となり医師の治療が必要とするまでになったものであり、被告の不貞行為により原告が被った精神的苦痛は多大であるということができる。

 原告のこの精神的苦痛を慰謝するには、原告と被告との婚約期間、被告の背信行為の重大性、原告の被った精神的苦痛の大きさなど本件に現れた諸般の事情を総合勘案すれば、原告が被告に対し請求し得る慰謝料額は200万円を下らないというべきである。

(4)以上(1)ないし(3)の合計 417万7624円

(5)結納金等の控除
ア 被告は、前記のとおり結納金として100万円を原告に贈与しているところ、結納金は将来の結婚を前提として贈与するものであるから、損益相殺の見地に照らし、結納金100万円は損害から控除すべきである。なお、結納金は、婚姻の成立を確証し、婚姻が成立した場合の当事者及び当事者の家族の信愛を厚くするという目的でなされる贈与であると解されるが、本件のように、婚姻成立後わずか約1か月で婚姻関係が破綻していることや、原告において婚姻が成立しなかったことを前提とする損害の賠償を求めていることに照らし、結納金は損害から控除するのが相当である。

イ 被告は、原告が被告名義の通帳から引き出した48万2000円をもって原告と被告との夫婦間の財産的清算は終了していると主張しているが、被告の不貞行為を知って精神的に混乱した原告がいわば原告の兄に救いを求めるために実家と熊本に住む兄方宅を往復することなどに支出した必要費用であり、被告の不貞行為に起因する損害といえるものである。そうすると、この通帳から引き出した金員を原告の請求する損害から控除するのは相当でない。

(6)(4)から(5)を控除した金額 317万7624円

(7)弁護士費用 40万円
 本件の事案の内容、請求額、認容額、審理の経緯など本件に顕れた諸般の事情を勘案すれば、被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は40万円が相当である。

(8)以上損害合計 357万7624円

五 まとめ
 以上によれば、原告の本件請求は、357万7624円及びこれに対する平成24年5月30日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却する。

六 よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 川野雅樹)

別紙 結婚費用一覧《略》
別紙 女性とのメール内容《略》
以上:6,606文字
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H30-11-11(日):使用スマホGALAXYNote3から9に変更-4年7ヶ月良くもちました
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○「GALAXY Note3 SC-01Fの強力パワーに大満足」の続きです。
使用スマートフォンMEDIAS N-04CからGALAXYNoteに変更」記載の通り、平成26年4月18日、それまで使用していたスマホ「MEDIAS N-04C」から「GALAXY Note3 SC-01F」に変更していました。ところが、ここ数ヶ月、この「GALAXY Note3 SC-01F」が、バッテリー残量50%程度と表示されているのに、突然、電源が落ちて、再起動が繰り返され、バッテリー残量殆どゼロになる現象が度々生じるようになりました。

○そこで平成30年11月10日に至り、バッテリー交換時期と思い、ドコモショップ仙台一番町店「GALAXY Note3 SC-01F」を持参してバッテリー交換をお願いするとこの機種はバッテリー一体型でバッテリーだけの交換はできませんので、バッテリー寿命が来た場合後継機種を新規購入するしかありませんと回答されました。

「GALAXY Note3 SC-01F」を購入して3,4年と思っていましたが、店員に購入時期を調べて貰うと既に4年7ヶ月になっておりバッテリー寿命が尽きるのは当然の時期ですと回答されました。そこで即後継機種「Galaxy Note9」の購入を決めました。ディスプレイがやや大きくなり、何より有機ELで大変綺麗に観やすくなっていたからです。その他そのスペックは相当向上していました。

○私のスマホ使用歴は、「NTTドコモFOMA-M1000衝動買い」記載の通り、平成17年8月27日から始まり既に13年を経過しています。当時はスマホ使用者など殆ど見かけませんでした。ところここ数年正にスマホ時代となり、東京で地下鉄に乗ると迎えの席に座った方々の8割はスマホをのぞき込んでいる状況となりました。

○私の電子手帳・スマホ使用履歴を振り返る備忘録です。
平成12年12月;初代ソニークリエ、この頃はクリエと携帯電話の2台を持参
平成14年11月;5代目クリエPEG-NX70V
平成17年7月;クリエPEG-TH55、電子手帳・携帯電話一体型機種を熱望
平成17年8月;NTTドコモ新製品FOMA-M1000
平成17年9月;携帯電話解約
平成19年2月;NTTドコモFOMA-M1000をhTcZに変更、レンタルエクスチェンジサーバー利用開始しアウトルック2007でスケジュールデータ管理
平成21年5月;スマホhTcZをHT-02Aに変更
平成23年4月;スマホHT-02AをMEDIAS N-04Cに変更
平成26年4月;スマホMEDIAS N-04CをGALAXY Note3 SC-01Fに変更
平成30年11月;スマホGALAXY Note3 SC-01Fを「Galaxy Note9」に変更


○振り返ると平成17年8月に初代スマホFOMA-M1000購入以来、ほぼ2年毎に機種変更していたものが、「GALAXY Note3 SC-01F」は、4年7ヶ月も使用継続していました。良くそれだけもったものです。その間、スケジュール管理は「スケジュール管理はグーグルカレンダーで十分と判明」記載の通り、有償のレンタルエクスチェンジサーバー利用から無償のグーグルカレンダーに変わり、より便利になりました。良い時代になったものです。
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H30-11-10(土):スノーボード滑走中衝突事故に脳脊髄液減少症発症を認めた判例紹介
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○交通事故ではありませんが、スノーボードでの滑走中の衝突事故について,①コース上方(後方)を滑走していた被告に過失が認められ,②同事故により負傷した原告が,脳脊髄液減少症を発症したと認められた平成30年2月5日さいたま地裁熊谷支部判決(自保ジャーナル2019号17頁)の一部を紹介します。

○原告の頭痛,頸・肩の凝りや痛み,めまい,嘔気,左半身のしびれや頸椎可動域制限について、脳脊髄液減少症の典型的な症状である起立性頭痛はほとんど消失したことから脳脊髄液減少症の後遺障害であると直ちに認めることはできず、頸椎捻挫による後遺障害と理解することも十分可能としながら、脳脊髄液減少症と頸椎捻挫の症状には類似するものが多く,原告の後遺障害に脳脊髄液減少症の影響が及んでいる可能性も否定できないと、後遺障害と脳脊髄液減少症との関係はちと歯切れの悪いに認定になっています。

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主   文
1 被告は,原告に対し,1108万1580円及びこれに対する平成25年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを100分し,その29を被告の負担とし,その余は原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

理   由
第一 請求

 被告は,原告に対し,3798万8478円及びこれに対する平成25年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
 本件は,群馬県利根郡<以下略>所在のq1スキー場(以下「本件スキー場」という。)のコース上をスノーボードで滑走していた原告が,原告の上方(後方)から滑走してきた被告と衝突,転倒して負傷したと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償金3,798万8,478円及びこれに対する本件事故日である平成25年3月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である(以下,この転倒事故を「本件事故」といい,本件事故の発生場所を「本件事故現場」という。)。
1 前提事実

         (中略)



第三 争点に対する判断
1 本件事故の態様及び被告の過失の有無(争点1)について


         (中略)

3 本件事故による原告の後遺障害及び症状固定日(争点3)について
(1)脳脊髄液減少症について
ア ICHD-〈3〉は国際頭痛学会が2013年に発表した診断基準
であり,また,厚労省画像診断基準は,日本脳神経外科学会,日本神経学会など脳脊髄液減少症に関係する8つの学会の承認を得た基準であると認められ,その信頼性を疑うべき事情はないから,脳脊髄液減少症の診断に当たっては,これらの基準に依拠するのが相当である。

イ 起立性頭痛の有無
(ア)まず,被告は,原告が脳脊髄液減少症でないことの理由として起立性頭痛の不存在を挙げ,また,ICHD-〈3〉にも「低髄液圧による頭痛は,通常,常にではないが起立性である。」との記載があることに照らし,まず,原告に起立性頭痛が認められるかにつき検討する。
 この点,q6病院の診療録によれば,原告の頭痛が起立性であるとの明確な記載は,本件事故から約5ヶ月経過し,ブラッドパッチ実施後である平成25年8月12日に初めて認められる(P4医師による「起立性頭痛もなくなった」との記載)。
 一方,これに先立つ同年6月27日に耳鼻咽喉科の医師が診察した際の診療録には,「5月22日頭痛ズキーンとする持続痛(+)」との記載があり,かかるカルテの記載状況からすれば,原告の頭痛が起立性頭痛であるか,疑問の余地がある。

(イ)しかしながら,この点について,P4医師は,要旨,以下のとおり証言している。
a P4医師は同年7月11日に初めて原告を診察したが,その際,原告に起立性頭痛があることを確認しており,脳脊髄液減少症と診断するに当たって起立性頭痛は大前提なので,余りにも当たり前すぎるため起立性であるとの記載を忘れたのだと思う。
b P4医師による診察以前の診療録の記載については,起立性頭痛は一般的な概念ではないので,看護師は頭痛が起立性かどうかは確認しないであろうし,他の医師も,起立性頭痛を疑って聴取していないため,単に頭痛しか記載していないのだと思う。
c 外傷の場合は複数の損傷があり,患者は最初のうちは一番強い痛みのみ感じるので,原告が持続性頭痛を訴えていたとしても,それは,頭部の直接の外傷による頭痛が一番目立っていたために,起立性頭痛が隠れていたのだと思う。

(ウ)上記のP4医師の証言に不合理な点は認められず,十分採用することができる。また,P4医師は,原告に対し,脳脊髄液減少症かどうかを判断するために,平成25年7月18日に硬膜外への生理食塩水の注入を実施し,その後,ブラッドパッチを実施しているところ,「脳脊髄液減少症と診断するに当たって起立性頭痛は大前提」と考えているP4医師が,原告に起立性頭痛がないにもかかわらず,これらの検査,治療を実施するとは考え難い。また,平成25年8月12日の上記カルテの記載も「起立性頭痛もなくなった」とされており,同記載からは,P4医師がそれ以前から原告が起立性頭痛であったとの認識を有していたことが窺える。

 そして,本件事故の当初には起立性頭痛がなかったにもかかわらず,本件事故の約5ヶ月後に起立性頭痛が発生するという機序も明らかでないから,原告には,本件事故後から起立性頭痛があったと認めるのが相当である。

ウ CT画像に基づく所見について
(ア)次に,厚労省画像診断基準は,「CTミエログラフィーで硬膜外に造影剤を証明できれば脳脊髄液漏出を診断できる。穿刺部位からの漏出を否定できれば,脳脊髄液漏出の『確実』所見である。」としているので,原告がこの診断基準を満たすか検討するに,P4医師の証言及び意見書並びに後掲の各証拠によれば,以下のとおり認めることができる。
a P4医師は,平成25年8月7日,原告に対し,CTミエログラフィーを実施した。これは,原告の腰椎に穿刺して造影剤を注入し,患者の頭を低い状態にして造影剤を首のほうまで広がらせた後,30分間座位をとらせた上でCTを撮影するという方法であった。
b 原告のCT画像において,頸椎の一番下のあたりから胸椎の真ん中やや下あたりまで造影剤が硬膜外腔に漏れているのが確認できるが,これは損傷部位からの漏出であると認められる。
 そこから体の下に向かって途切れ途切れの漏れがあり,一番下の仙骨部にはまた大量の漏れがあるのが確認できるが,これは穿刺部位からの漏出と認められる。
c 以上によれば,画像上,損傷部位からの漏出と穿刺部位からの漏出は連続していないから,脳脊髄液漏出の確実所見と認められ,上記の厚労省画像診断基準を満たすということができる。

(イ)これに対し,被告は,記録上,原告のどの部位から穿刺を行って造影剤を入れたのかわからず,穿刺部位からの漏出と連続しないとの意見は,記録上の裏付けがないと主張する。しかしながら,P4医師は,診療録等に穿刺部位の記載がないのは,穿刺部位は脊髄の損傷を避けるために脊髄がない腰椎のL2以下とするのが常識であるからと証言していることに照らし,診療録等に穿刺部位の記載がないことは前記認定の妨げにならないというべきである。

エ ICHD-〈3〉の診断基準について
 以上を前提に,原告がICHD-〈3〉の診断基準を満たすか,検討する。
(ア)ICHD-〈3〉における「脳脊髄液瘻性頭痛」の診断基準は,以下のとおりとされている。
 A いずれの頭痛も下記Cを満たす。
 B ときに持続性髄液漏出の原因となることが知られている手技が行われている,もしくは外傷が存在しており,かつ,低髄液圧(60水柱ミリメートル未満)又はMRI,脊髄腔造影,CT脊髄腔造影や放射性核種脳槽造影による低髄液圧や髄液漏出の証拠がある。
 C 頭痛は手技又は外傷の時期に一致して発現した。
 D ほかに最適なICHD-〈3〉の診断がない。

(イ)原告に起立性頭痛が認められることは前記イのとおりであるが,これに加えて,P4医師は,原告には本件事故以前に頭痛がなかったことを問診で確認していること,原告について,本件事故以外に,起立性頭痛を生じさせるような外傷を伴う事故があったとは認められないことからすれば,原告は,診断基準A及びCを満たしているといえる。
 次に,P4医師の証言によれば,原告は,後方から衝突されて首が激しく揺さぶられたことによって,脳脊髄液内の圧力が一時的に極端に高まり,一番弱いところが破綻して漏出が生じたと考えられ,本件事故により原告が負った外傷は,持続性髄液漏出の原因となることが知られている外傷に該当する。加えて,CTミエログラフィーによる髄液漏出の証拠があることは前記ウ記載のとおりであるから,原告は,診断基準Bも満たしている。

 なお,被告は,診断基準Bは,漏出の原因となる外傷が発生し,その外傷箇所からの髄液漏出所見の存在を必要としていると主張するが,P4医師は,直接力が加わらなくても,間接的に別のところに圧力が加わって損傷が生じることはあると証言しており,診断基準を被告が主張するように限定的に解釈すべき根拠はない。

 最後に,診断基準Dについて,被告は,原告はICHD-〈3〉における「頭部外傷による持続性頭痛」及び「むち打ちによる持続性頭痛」に該当すると主張するが,原告に起立性頭痛が認められることからすれば,「頭部外傷による持続性頭痛」及び「むち打ちによる持続性頭痛」が原告の症状に最適な診断であるとはいいがたい。したがって,原告は,診断基準Dも満たしている。

(ウ)よって,原告は,ICHD-〈3〉における「脳脊髄液瘻性頭痛」の診断基準を満たすと認められる。

オ 結論
 以上の事情に加えて,原告に対してブラッドパッチを実施したところ,他の患者と比較しても良い効果が認められ,ブラッドパッチ実施後,原告の起立性頭痛は消失していること(P4医師の証言)も合わせ考慮すれば,原告は,本件事故により脳脊髄液減少症を発症したものと認めるのが相当である。

(2)頸椎捻挫について
 q6病院の診療録及びP5医師作成の後遺障害診断書によれば,原告は,本件事故後から回転性のめまい,頭痛,頸部痛,嘔気,手足のしびれ等の頸椎捻挫の症状を示していたことが認められ,P5医師も本件後遺障害診断書において,原告の傷病名を「頸椎捻挫 脳髄液減少症」と診断していることに照らせば,原告は,本件事故により頸椎捻挫の傷害も負ったものと認められる。

(3)後遺障害等級について
 本件後遺障害診断書によれば,原告には,同診断書の作成時点である平成28年3月18日の時点において,頭痛,頸・肩の凝りや痛み,めまい,嘔気,左半身のしびれなどの症状が見られるとともに,頸椎の可動域が前屈後屈で合計45度,側屈で合計30度に制限されるという後遺障害が残存したと認めることができる。

 そして,かかる後遺障害が脳脊髄液減少症の後遺障害と認められるか問題となるが,証拠(略)によれば,平成25年8月8日に実施されたブラッドパッチは顕著な効果が認められ,頸部痛,頭痛,めまい,手足のしびれは少し残ったものの,脳脊髄液減少症の典型的な症状である起立性頭痛はほとんど消失したと認められることに照らせば,原告の前記症状が脳脊髄液減少症の後遺障害であると直ちに認めることはできない。前記(2)のとおり,原告は頸椎捻挫も発症しているものと認められ,頭痛,頸・肩の凝りや痛み,めまい,嘔気,しびれ,頸椎の可動域制限などの症状が頸椎捻挫においてもよく見られる症状であることからすれば,前記症状が頸椎捻挫による後遺障害と理解することも十分可能というべきである。

 また,原告の陳述書によれば,原告の後遺障害による勤務上の支障は,同じ姿勢を維持していることが困難である,パソコンを使ってのデスクワークや長時間の立ち仕事はできない,重い荷物を持てない,長時間や夜間の自動車運転はできないというものであり,かかる原告の後遺障害による勤務上の支障の程度も合わせ考えれば,原告の後遺障害が後遺障害等級9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」に該当するとはいえず,後遺障害等級12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するものと認めるのが相当である。


 もっとも,原告の前記の症状や後遺障害による勤務上の支障の程度は,12級のうちでは重い部類に属すると認められ,また,脳脊髄液減少症と頸椎捻挫の症状には類似するものが多く,原告の後遺障害に脳脊髄液減少症の影響が及んでいる可能性も否定できない。したがって,原告の後遺障害による逸失利益や慰謝料を算定するにあたっては,この点を考慮するのが相当である。



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