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H29-11-22(水):別居に至らずとも婚姻破綻を認め不貞行為第三者責任を否定した判例紹介
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○「不貞行為責任解除要件としての婚姻破綻とは」に「同居している場合に、『婚姻破綻』が認定される例は、双方が離婚に合意している場合を除いては殆どないと断言される裁判官も居るほどです。」と記載していました。

○同居中の不貞行為でも、慰謝料請求される側は、不貞行為相手方の夫婦関係は既に婚姻破綻しており、不法行為にはならないと主張することが定石です。しかし、同居しており、且つ、不貞行為をされた側が、婚姻破綻には到っていないと強く主張した場合、訴訟になると「婚姻破綻」の認定は極めてハードルが高く、殆ど認定されず、裁判官からは一定金額支払での和解を勧められることが殆どです。

○ところが、夫は、平成23年10月には不貞行為を行っていたことが認められ、それにより、妻が平成24年7月に離婚の意思を表明しているところから、別居していなくても不貞行為時には既に婚姻関係は破綻していると認定した平成25年3月27日東京地裁判決(TKC)全文を紹介します。

**********************************************

主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は,原告に対し,500万円及びこれに対する平成24年9月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,原告が,被告に対し,被告が原告の妻と不貞行為をしたと主張して不法行為に基づく慰謝料500万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年9月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実(括弧内に証拠等を摘示した事実以外に争いはない。)
(1)当事者等
ア 原告は,昭和47年○月○○日,中国黒竜江省で出生した男性であり,中国籍であったが,現在は帰化している。
イ C(以下「C」という。)は,昭和52年○月○○日,中国吉林省で出生した女性であり,中国籍であったが,現在は帰化している。
ウ 原告とCは,平成14年9月3日,婚姻し,長女(平成16年○月○○日生)及び二女(平成18年○月○○日生)をもうけた。

(2)原告及びCは,留学生として来日し,平成10年9月頃から交際するようになり,平成14年9月3日,帰国中の中国にて婚姻した。

(3)原告とCは,平成15年3月,大学を卒業し,東京都台東区αに転居した。原告は,その後,東京都βにおいて「和中薬膳房」と称する飲食店を出店し,オーナーシェフとして稼働するようになった。他方,Cは,d大学大学院に進学し,上記飲食店のメニュー作成を手伝うなどした。

(4)原告は,長女出生後の平成16年6月,東京都足立区γに中古マンションを購入し,Cら家族と転居した。原告は,平成17年11月,東京都中央区δに「王ちゃんの中華」と称する中華料理屋を開店した。Cは,この中華料理屋を手伝うことがあった。

(5)原告とCは,二女出生の直前である平成18年4月21日,帰化を許可された。

(6)原告は,平成19年12月,東京都江戸川区のマンション(現在の自宅)を取得し,平成20年8月,中国から原告の両親を呼び寄せて同居を開始した。

(7)被告とCは,平成24年7月29日,東京都新宿区内のホテルで肉体関係を持った。

2 争点及び争点に関する当事者の主張
 被告がCと不貞行為に及んだ時点において原告とCの婚姻関係は破綻していたか。

(原告)
 Cは,遅くとも平成23年8月頃から,被告と不貞行為をするようになり,その関係を継続していた。原告は,Cから離婚の申し出を受けたのを機に,Cの行動を調べたところ,被告は,平成24年7月29日午後5時頃,Cを同乗させた自動車でホテルから出て来た。原告は,被告とCの長期間にわたる不貞行為により多大な精神的苦痛を被っており,慰謝料は500万円を下らない。
 原告は,不貞行為も違法行為もしたことがない。原告は,平成24年7月,Cに対して条件が調えば離婚すると述べたが,離婚の合意が成立したわけではないし,Cと原告の夫婦関係は破綻していない。

(被告)
 原告は,平成22年頃から,不貞行為を疑わせる行為をするようになったが,Cは,平成24年5月19日,原告の携帯電話から原告が女性と性交中(不貞行為中)の写真を発見し,原告を問いつめると,原告はCの首を絞めるなどした。以後,原告とCは,食事を別々にし,寝室を分けるなど,家庭内別居の状態になった。Cは,原告の不貞行為に怒りを覚えて離婚を決意し,平成24年7月3日,原告に離婚を求め,原告は,同月11日,これに応じる意思を示したのである。他方,被告は,同月29日まで,Cと肉体関係を持ったことがなかった。
 したがって,被告がCと肉体関係を持つまでに原告とCの婚姻関係は破綻しており,被告は原告に対して不法行為責任を負わない。

第3 争点に対する判断
1 認定事実

 証拠(甲4,乙5,乙6,後掲書証,証人C,原告本人,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。
(1)被告は,中国出身の中国人であったが,来日して帰化した。

(2)Cは,遅くとも平成21年頃,同じダンスサークルに参加していて被告と知り合い,遅くとも平成24年5月18日ころには,被告に対し,しばしば電話をかけるようになっていた(甲5の1ないし7)。

(3)Cは,同月19日頃,原告の携帯電話(画像及び動画撮影機能が付いたもの)から,裸体の女性の画像,その女性が顔の写っていない男性と性交している状況を撮影した画像及び動画を発見した(乙1,8,9)。裸体の女性の画像には,その女性の背後に原告のシャツ及びズボンに似たシャツ及びズボンが脱ぎ捨てられている状況が写っており(乙1,7),その撮影場所は原告が管理する賃貸アパートの付近であった(乙9)。また,女性が性交している動画は平成23年10月17日にJR亀戸駅付近で撮影され,女性が性交している画像は同年11月9日に撮影され,これらの画像及び動画は,原告が撮影した家族の画像等とともに原告の携帯電話に保存されていた(乙8)。

(4)Cは,平成24年5月20日頃,原告に対し,原告の携帯電話から前項の画像を見つけたとして,不貞行為をしているのか問いつめたところ,原告は友人からもらった画像であるなどと弁解し,言い争いになった。

(5)Cは,その後も自宅に住んでいるが,留守や外泊が多くなり,原告と食事し,性交をすることがなくなった。もっとも,Cは,その後も,原告に対し,電話をかけることがあった(甲5の1ないし7)。また,Cは,同年6月13日,原告の預金口座から引落しがされるクレジットカードで買い物をすることがあった(甲7)。

(6)Cは,平成24年5月下旬頃,原告の素行調査を探偵業者に依頼したところ,原告が同年6月4日に裸体で写っていた女性に似た女性(前記(3))を自動車に乗せて走行していたことが判明した(乙1,8ないし11)。

(7)Cは,その後,離婚の意思を固めて弁護士に相談し,C代理人は,同年7月3日到達の通知書により,原告に対し,不貞行為があるほか,経営する会社の関係で違法行為をしているなどとして離婚を求めた(乙2の1及び2)。原告は,その頃,これを受け取り,原告代理人は,同月11日頃,C代理人に対し,条件が調えば離婚する意思がある旨回答した(乙3)。

(8)Cは,同月29日午後1時過ぎ,JR代々木駅で被告と待ち合わせ,被告の自動車に乗って東京都新宿区εのホテルに行き,肉体関係を持った。原告は,同日,Cを尾行し,ホテルから被告とCが出てくるのを待ち受け,Cと口論になった(甲2の1ないし3)。

(9)Cは,その頃,東京家庭裁判所に,原告を相手として離婚を求める夫婦関係調整調停を申し立てたが,財産分与,親権等の条件について原告と折り合わず,同年8月31日,調停は不調に終わり(乙4),東京家庭裁判所に離婚訴訟を提起した。

(10)Cは,平成25年1月24日午前7時20分頃,被告の自宅から帰宅している(甲8の1ないし4)。

2 検討
(1)Cと被告との関係

 前記認定のとおり,被告は,遅くとも平成24年7月29日,原告の配偶者であるCと肉体関係を持っている。
 原告は,これ以前から被告がCと不貞行為をしていた旨主張する。確かに,Cは,遅くとも平成21年頃,ダンスサークルを通じて被告と知合い,遅くとも平成24年5月18日には,しばしば被告に電話をかけるようになっており,同年7月29日に被告と肉体関係を持ち,平成25年1月24日には,被告方から朝帰りしており,Cと被告が平成24年5月頃には親密な関係にあったことが窺われる。そして,原告は,本人尋問において,平成22年頃から,Cの帰る時間が特に遅くなったと供述する。しかし,これらを前提にしても,被告が平成24年7月29日に先立ってCと肉体関係を持ったと推認することまではできない。

(2)原告とCとの婚姻関係破綻の有無及びその時期
 ところで,甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において,甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは,特段の事情のない限り,丙は,甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。けだし,丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となるのは,それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって,甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には,原則として,甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである(最高裁平成8年3月26日第三小法廷判決・民集第50巻4号993頁参照)。

 これを本件についてみるに,原告の携帯電話に保存されていた女性と男性が性交をしている画像及び動画には,相手の男性の顔は写っていないものの,その画像及び動画は原告が撮影した他の画像とともに原告の画像及び動画撮影機能付きの携帯電話に保存されていたこと,裸体の女性の画像には原告の衣服とみられるものが写っていたこと,原告はその女性に似た女性を自動車に乗せて運転していたこと,画像が原告の管理する賃貸アパートの付近で撮影されたこと,Cが動画に録音されている声が原告の声であると証言していることなどに照らし,原告は,女性と性交している場面を自ら携帯電話で撮影した画像及び動画を保存したものと推認できる。

 原告は,本人尋問において,画像(乙1)に写った女性は知らない、平成24年6月4日に自動車に乗せていた女性(前記1(6))は友人の彼女であり画像(乙1)の女性ではない,画像(乙1)に一緒に写っている男性は自分でない旨供述し,原告の陳述書(甲4)には,画像(乙1)は,友人が携帯電話からパソコンを経由して原告の携帯電話に送信したものであるとの記載があるが,何ら裏付けがないし,上記の各事実に照らしていささか不自然であり,採用できない。なお,画像の撮影場所を操作することは可能である(甲9)けれども,現にこれが操作されたことを認めるに足りる証拠はない。

 そして,女性と原告が性交している動画は平成23年10月17日に撮影されているから,原告は遅くとも同日までには不貞行為をしたと認められる。したがって,原告とCとの婚姻につき,同日の時点で離婚原因が存在したことになる(民法770条1項1号)。Cは,女性と原告が性交している画像及び動画を平成24年5月19日に発見して原告の不貞行為(離婚原因)を知り,原告との離婚を決意し,C代理人弁護士は,同年7月3日,原告に書面で離婚を求め,原告代理人からは,同月11日頃,条件が調えば離婚する意思がある旨の回答があったが,結局,調停で条件(財産分与,親権等)について折り合いがつかず,離婚訴訟を提起するに至っている。 

 このような経緯に照らし,原告とCの婚姻関係は修復不可能となって破綻に至っているが,その破綻の時期は,遅くとも,原告の不貞行為によりCが離婚の意思を固めてこれを表明した平成24年7月2日であると認めるのが相当である。Cは,平成25年5月19日以降も電話で原告に連絡を取ることがあり,別居するには至っていないけれども,これにより,原告とCの婚姻関係が破綻したことは左右されない。

 そうすると,被告がCと肉体関係を持った平成24年7月29日の時点で原告とCの婚姻関係は破綻していたから,被告は原告に対する不法行為責任を負わない。婚姻関係が破綻していたにもかかわらず,不法行為の成立を認めるべき特段の事情を認めるに足りる証拠もない。

3 結論
 よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第4部 裁判官 小川嘉基

以上:5,232文字
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H29-11-21(火):過労うつ病自殺に素因減額否認平成12年3月24日最高裁判決紹介2
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○「過労うつ病自殺に素因減額否認平成12年3月24日最高裁判決紹介1」の続きで、判決全文の後半、判断部分です。
原審でうつ病罹患について素因減額したことの可否が最大争点となりましたが、最高裁は、「ある業務に従事する特定の労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない限り、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が業務の過重負担に起因して当該労働者に生じた損害の発生又は拡大に寄与したとしても、そのような事態は使用者として予想すべきものということができる」として素因減額を否定しました。


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二 以上の事実に基づいて、一審被告の民法715条に基づく損害賠償責任を肯定した原審の判断について検討する。
1 労働者が労働日に長時間にわたり業務に従事する状況が継続するなどして、疲労や心理的負荷等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは、周知のところである。労働基準法は、労働時間に関する制限を定め、労働安全衛生法65条の3は、作業の内容等を特に限定することなく、同法所定の事業者は労働者の健康に配慮して労働者の従事する作業を適切に管理するように努めるべき旨を定めているが、それは、右のような危険が発生するのを防止することをも目的とするものと解される。

 これらのことからすれば、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。

2 一審被告のラジオ局ラジオ推進部に配属された後にAが従事した業務の内容は、主に、関係者との連絡、打合せ等と、企画書や資料等の起案、作成とから成っていたが、所定労働時間内は連絡、打合せ等の業務で占められ、所定労働時間の経過後にしか起案等を開始することができず、そのために長時間にわたる残業を行うことが常況となっていた。起案等の業務の遂行に関しては、時間の配分につきAにある程度の裁量の余地がなかったわけではないとみられるが、上司であるBらがAに対して業務遂行につき期限を遵守すべきことを強調していたとうかがわれることなどに照らすと、Aは、業務を所定の期限までに完了させるべきものとする一般的、包括的な業務上の指揮又は命令の下に当該業務の遂行に当たっていたため、右のように継続的に長時間にわたり残業を行わざるを得ない状態になっていたものと解される。

 ところで、一審被告においては、かねて従業員が長時間にわたり残業を行う状況があることが問題とされており、また、従業員の申告に係る残業時間が必ずしも実情に沿うものではないことが認識されていたところ、Bらは、遅くとも平成3年3月ころには、Aのした残業時間の申告が実情より相当に少ないものであり、Aが業務遂行のために徹夜まですることもある状態にあることを認識しており、Cは、同年7月ころには、Aの健康状態が悪化していることに気付いていたのである。

 それにもかかわらず、B及びCは、同年3月ころに、Bの指摘を受けたCが、Aに対し、業務は所定の期限までに遂行すべきことを前提として、帰宅してきちんと睡眠を取り、それで業務が終わらないのであれば翌朝早く出勤して行うようになどと指導したのみで、Aの業務の量等を適切に調整するための措置を採ることはなく、かえって、同年7月以降は、Aの業務の負担は従前よりも増加することとなった。その結果、Aは、心身共に疲労困ぱいした状態になり、それが誘因となって、遅くとも同年8月上旬ころにはうつ病にり患し、同月27日、うつ病によるうつ状態が深まって、衝動的、突発的に自殺するに至ったというのである。

 原審は、右経過に加えて、うつ病の発症等に関する前記の知見を考慮し、Aの業務の遂行とそのうつ病り患による自殺との間には相当因果関係があるとした上、Aの上司であるB及びCには、Aが恒常的に著しく長時間にわたり業務に従事していること及びその健康状態が悪化していることを認識しながら、その負担を軽減させるための措置を採らなかったことにつき過失があるとして、一審被告の民法715条に基づく損害賠責任を肯定したものであって、その判断は正当として是認することができる。論旨は採用することができない。

第二 平成10年(オ)第217号上告代理人○○○○の上告理由の第六及び平成10年(オ)第218号上告代理人○○○○の上告理由について
一 原審は、一審被告の賠償すべき額を決定するに当たり、民法722条2項の規定を適用又は類推適用して、弁護士費用以外の損害額のうち3割を減じた。
 しかしながら、右判断のうち次の各点は、是認することができない。

二 Aの性格を理由とする減額について
1 原審は、Aには、前記のようなうつ病親和性ないし病前性格があったところ、このような性格は、一般社会では美徳とされるものではあるが、結果として、Aの業務を増やし、その処理を遅らせ、その遂行に関する時間配分を不適切なものとし、Aの責任ではない業務の結果についても自分の責任ではないかと思い悩む状況を生じさせるなどの面があったことを否定できないのであって、前記性格及びこれに基づく一部の業務遂行の態様等が、うつ病り患による自殺という損害の発生及び拡大に寄与しているというべきであるから、一審被告の賠償すべき額を決定するに当たり、民法722条2項の規定を類推適用し、これらをAの心因的要因として斟酌すべきであると判断した。

2 身体に対する加害行為を原因とする被害者の損害賠償請求において、裁判所は、加害者の賠償すべき額を決定するに当たり、損害を公平に分担させるという損害賠償法の理念に照らし、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、損害の発生又は拡大に寄与した被害者の性格等の心因的要因を一定の限度で斟酌することができる(最高裁昭和59年(オ)第33号同63年4月21日第一小法廷判決・民集42巻四号243頁参照)。この趣旨は、労働者の業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求においても、基本的に同様に解すべきものである。

 しかしながら、企業等に雇用される労働者の性格が多様のものであることはいうまでもないところ、ある業務に従事する特定の労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない限り、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が業務の過重負担に起因して当該労働者に生じた損害の発生又は拡大に寄与したとしても、そのような事態は使用者として予想すべきものということができる。しかも、使用者又はこれに代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う者は、各労働者がその従事すべき業務に適するか否かを判断して、その配置先、遂行すべき業務の内容等を定めるのであり、その際に、各労働者の性格をも考慮することができるのである。

 したがって、労働者の性格が前記の範囲を外れるものでない場合には、裁判所は、業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求において使用者の賠償すべき額を決定するに当たり、その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を、心因的要因として斟酌することはできないというべきである。

 これを本件について見ると、Aの性格は、一般の社会人の中にしばしば見られるものの一つであって、Aの上司であるBらは、Aの従事する業務との関係で、その性格を積極的に評価していたというのである。そうすると、Aの性格は、同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものであったと認めることはできないから、一審被告の賠償すべき額を決定するに当たり、Aの前記のような性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を斟酌することはできないというべきである。この点に関する原審の前記判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。

三 一審原告らの落ち度を理由とする減額について
1 原審は、一審原告らは、Aの両親としてAと同居し、Aの勤務状況や生活状況をほぼ把握していたのであるから、Aがうつ病にり患し自殺に至ることを予見することができ、また、Aの右状況等を改善する措置を採り得たことは明らかであるのに、具体的措置を採らなかったとして、これを一審被告の賠償すべき額を決定するに当たり斟酌すべきであると判断した。

2 しかしながら、Aの前記損害は、業務の負担が過重であったために生じたものであるところ、Aは、大学を卒業して一審被告の従業員となり、独立の社会人として自らの意思と判断に基づき一審被告の業務に従事していたのである。一審原告らが両親としてAと同居していたとはいえ、Aの勤務状況を改善する措置を採り得る立場にあったとは、容易にいうことはできない。その他、前記の事実関係の下では、原審の右判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。

四 右2、3の原審の判断の違法は、原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。一審原告らの論旨のうち右の各点に関する部分は理由があり、その余の論旨について判断するまでもなく、原判決中一審原告らの敗訴部分は破棄を免れない。
 一方、一審被告の論旨は、その前提を欠くことが明らかであって、採用することができない。

第三 結論
 以上のとおりであるから、一審被告の上告は、これを棄却することとし、一審原告らの上告に基づいて、原判決中一審原告らの敗訴部分を破棄し、右部分につき、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官河合伸一 裁判官北川弘治 裁判官亀山継夫 裁判官梶谷玄)

以上:4,101文字
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H29-11-20(月):過労うつ病自殺に素因減額否認平成12年3月24日最高裁判決紹介1
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○社員が過労自殺した会社からの相談を受けており、有名な電通事件平成12年3月24日最高裁判決(判時1707号87頁、判タ1028号80頁)全文の分析が必要になりました。判決要旨は、大手広告代理店に勤務する労働者Aが長時間にわたり残業を行う状態を1年余り継続した後にうつ病にり患し自殺した場合において、

①Aは、業務を所定の期限までに完了させるべきものとする、一般的、包括的な指揮又は命令の下にその遂行に当たっていたため、継続的に長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態になっていたものであって、Aの上司は、Aが業務遂行のために徹夜までする状態にあることを認識し、その健康状態が悪化していることに気付いていながら、Aに対して業務を所定の期限内に遂行すべきことを前提に時間の配分につき指導を行ったのみで、その業務の量等を適切に調整するための措置を採らず、その結果、Aは、心身共に疲労困ぱいした状態となり、それが誘因となってうつ病にり患し、うつ状態が深まって衝動的、突発的に自殺するに至ったなど判示の事情の下においては、使用者は、民法715条に基づき、Aの死亡による損害を賠償する責任を負う

②業務の負担が過重であることを原因として労働者の心身に生じた損害の発生又は拡大に右労働者の性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が寄与した場合において、右性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでないときは、右損害につき使用者が賠償すべき額を決定するに当たり、右性格等を民法722条2項の類推適用により右労働者の心因的要因として斟酌することはできない

というものです。

Aは、出勤したまま帰宅しない日が多くなり、帰宅しても、翌日の午前6時30分ないし7時ころで、午前8時ころまでに再び自宅を出るという状況となった。 (中略) 一方、Aは、前述のような業務遂行とそれによる睡眠不足の結果、心身共に疲労困ぱいした状態になって、業務遂行中、元気がなく、暗い感じで、うつうつとし、顔色が悪く、目の焦点も定まっていないことがあるようになった。」との業態は凄まじいとしか言えません。

以下、判決全文の前半です。

******************************************

主  文
一 平成10年(オ)第217号上告人の上告を棄却する。
二 原判決中平成10年(オ)第218号上告人らの敗訴部分を破棄し、右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。
三 第一項に関する上告費用は、平成10年(オ)第217号上告人の負担とする。

理由
第一 平成10年(オ)第217号上告代理人○○○○の上告理由及び同○○○○の上告理由の第一ないし第五について

一 本件において、甲野一郎(以下、Aという)の相続人である平成10年(オ)第217号被上告人ら・同第218号上告人ら(以下、それぞれを「一審原告太郎」のようにいい、右両名を併せて「一審原告ら」という。)は、平成10年(オ)第217号上告人・同第218号被上告人(以下「一審被告」という。)に対し、Aの一審被告に対する民法715条に基づく損害賠償請求権を相続したとして、その支払を求めているところ、所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、首肯するに足りる。これによると、本件の事実関係の概要は、次のとおりである。

1 Aは、昭和41年11月30日、一審原告らの長男として出生した。Aは、健康で、スポーツが得意であり、その性格は、明朗快活、素直で、責任感があり、また、物事に取り組むに当たっては、粘り強く、いわゆる完ぺき主義の傾向もあった。平成2年から3年当時、Aと一審原告らは同居しており、一審原告らはそれぞれ職を有していた。

2 Aは、平成2年3月に○○学院大学法学部を卒業し、同年4月1日、一審被告の従業員として採用され、他の178名と共に入社した。採用の約2か月前にAに対して行われた健康診断においては、色覚異常があるとされたほかは、格別の問題の指摘はなかった。

3 新入社員研修を終え、Aは、平成2年6月17日、一審被告のラジオ局ラジオ推進部に配属された。同部の部長はBで、同部には13名の従業員が所属し、二つの班に分けられていた。Aは、Cを班長とする班に属するものとされて、C外二名の従業員と共に、築地第七営業局及び入船第八営業局関係の業務を担当することとなった。

4 平成2年当時、一審被告の就業規則においては、休日は原則として毎週二回、労働時間は午前9時30分から午後5時30分までの間、休憩時間は正午から午後一時までの間とされていた。そして、平成10年法律第112号による改正前の労働基準法36条の規定に基づき一審被告と労働組合との間で締結された協定(以下「36協定」という。)によって、各労働日における男子従業員のいわゆる残業時間の上限は、6時間30分とされ、平成2年7月から平成3年8月までの間の各月の合計残業時間の上限は、ラジオ推進部の場合、別紙の「月間上限時間」欄記載のとおりとされていた。

 ところで、一審被告においては、残業時間は各従業員が勤務状況報告表と題する文書によって申告することとされており、残業を行う場合には従業員は原則としてあらかじめ所属長の許可を得るべきものとされていたが、実際には、従業員は事後に所属長の承認を得るという状況となっていた。一審被告においては、従業員が長時間にわたり残業を行うことが恒常的に見られ、36協定上の各労働日の残業時間又は各月の合計残業時間の上限を超える残業時間を申告する者も相当数存在して、労働組合との間の協議の席等において問題とされていた。

 さらに、残業時間につき従業員が現に行ったところよりも少なく申告することも常態化していた。一審被告は、このような状況を認識し、また、残業の特定の職場、特定の個人への偏りが問題であることも意識していた。一審被告は、午後10時から午後5時までの間に業務に従事した従業員について所定労働時間に対する例外的取扱いを認める制度を設けていたほか、午前零時以降に業務が終了した従業員で翌朝定時に出勤する者のために一審被告の費用で宿泊できるホテルの部屋を各労働日において5室確保していたが、一審被告による周知徹底の不足等のため、これらは、新入社員等には余り利用されていなかった。

5 Aは、ラジオ推進部に配属された当初は、班長付きと称される立場にあって、日中はおおむねCと共に行動していた。その業務の主な内容は、企業に対してラジオ番組の提供主となるように企画書等を用いて勧誘することと、企業が宣伝のために主宰する行事等の企画立案及び実施をすることであった。Aは、労働日において、午前8時ころまでに自宅を出て、午前9時ころまでに出勤し、執務室の整理など慣行上新入社員が行うべきものとされていた作業を行った後、日中は、ほとんど、勧誘先の企業や一審被告の他の部署、製作プロダクション等との連絡、打合せ等に忙殺され、午後7時ころに夕食を取った後に、企画書の起案や資料作り等を開始するという状況であった。Aは、業務に意欲的で、積極的に仕事をし、上司や業務上の関係者から好意的に受け入れられていた。

6 平成2年7月から平成3年8月までの間にAが勤務状況報告表によって申告した残業時間の各月の合計は、別紙の「申告残業時間」欄に記載のとおりである。しかしながら、右申告に係る残業時間は、実際の残業時間よりも相当少なく、また、右各月においてAが午前2時よりも後に退勤した回数は、別紙の「午前2時以降退勤」欄に記載のとおりであった(同欄の括弧内の数字は、右のうち終夜退勤しなかった回数である)。Aは、退勤するまでの間に、食事、仮眠、私事等を行うこともあったが、大半の時間をその業務の遂行に充てていた。

7 Aは、ラジオ推進部に配属されてからしばらくの間は、出勤した当日中に帰宅していたが、平成2年8月ころから、翌日の午前1、2時ころに帰宅することが多くなった。同月20日付けのBのAに対する助言を記載した文書には、Aの業務に対する姿勢や粘り強い性格を評価する記載と共に、今後は一定の時間内に仕事を仕上げることが重要である旨の記載があった。一方、Aは、同年秋ころに一審被告に提出した文書において、自分の企画案が成功したときの喜びや、思っていた以上に仕事を任せてもらえるとの感想と共に、業務に関する不満の一つとして、慢性的に残業が深夜まであることを挙げていた。なお、同年秋に実施されたAに対する健康診断の結果は、採用前に実施されたものの結果と同様であった。

8 Aは、平成2年11月末ころまでは、遅くとも出勤した翌日の午前4、5時ころには帰宅していたが、このころ以降、帰宅しない日や、一審原告太郎が利用していた東京都港区内所在の事務所に泊まる日があるようになった。一審原告らは、Aが過労のために健康を害するのではないかと心配するようになり、一審原告太郎は、Aに対し、有給休暇を取ることを勧めたが、Aは、自分が休んでしまうと代わりの者がいない、かえって後で自分が苦しむことになる、休暇を取りたい旨を上司に言ったことがあるが、上司からは仕事は大丈夫なのかと言われており、取りにくいと答えて、これに応じなかった。

9 平成3年1月ころから、Aは、業務の7割程度を単独で遂行するようになった。このころにAが一審被告に提出した文書には、業務の内容を大体把握することができて計画的な作業ができるようになった旨の記載のほか、今後の努力目標として効率的な作業や時間厳守等を挙げる記載や、担当業務の満足度に関しては仕事の量はやや多いとする記載等があった。Aの業務遂行に対する上司の評価は概して良好であり、Bらがこのころに作成した文書には、非常な努力家であり先輩の注意もよく聞く素直な性格であるなどと評価する記載があった。

10 Bは、平成3年3月ころ、Cに対し、Aが社内で徹夜していることを指摘し、Cは、Aに対し、帰宅してきちんと睡眠を取り、それで業務が終わらないのであれば翌朝早く出勤して行うようにと指導した。このころのBらのAについての評価は、採用後の期間を考慮するとよく健闘しているなどというものであった。平成2年度においてAが取得することができるものとされていた有給休暇の日数は10日であったが、Aが実際に取得したのは0.5日であった。

11 Aの所属するラジオ推進部には、平成3年7月に至るまで、新入社員の補充はなかった。同月以降、Aは、班から独立して業務を遂行することとなり、築地第七営業局関係の業務と入船第三営業局関係の業務の一部を担当し、入船第八営業局関係の業務の一部を補助するようになった。

 このころ、Aは、出勤したまま帰宅しない日が多くなり、帰宅しても、翌日の午前6時30分ないし7時ころで、午前8時ころまでに再び自宅を出るという状況となった。一審原告花子は、栄養価の高い朝食を用意するなどしてAの健康に配慮したほか、自宅から最寄りの駅まで自家用車でAを送ってその負担の軽減を図るなどしていた。これに対し、一審原告太郎は、Aと会う時間がほとんどない状態となった。一審原告らは、このころから、Aの健康を心配して体調を崩し、不眠がちになるなどしていた。一方、Aは、前述のような業務遂行とそれによる睡眠不足の結果、心身共に疲労困ぱいした状態になって、業務遂行中、元気がなく、暗い感じで、うつうつとし、顔色が悪く、目の焦点も定まっていないことがあるようになった。このころ、Cは、Aの健康状態が悪いのではないかと気付いていた

12 Aは、平成3年8月1日から同月23日までの間、同月3日から同月5日までの間に旅行に出かけたほかは、休日を含めてほぼ毎日出社した。Aは、右旅行のため同月5日に有給休暇を取得したが、これは、平成3年度において初めてのものであった。Aは、同月に入って、Cに対し、自分に自信がない、自分で何を話しているのか分からない、眠れないなどと言ったこともあった。

13 平成3年8月23日、Aは、午後6時ころにいったん帰宅し、午後10時ころに自宅を自家用車で出発して、翌日から取引先企業が長野県内で行うこととしていた行事の実施に当たるため、同県内にあるCの別荘に行った。この際、Cは、Aの言動に異常があることに気付いた。Aは、翌24日から同月26日までの間、右行事の実施に当たり、その終了後の26日午後5時ころ、行事の会場を自家用車で出発した。

14 Aは、平成3年8月27日午前6時ころに帰宅し、弟に病院に行くなどと話し、午前9時ころには職場に電話で体調が悪いので会社を休むと告げたが、午前10時ころ、自宅の風呂場において自殺(い死)していることが発見された。

15 うつ病は、抑うつ、制止等の症状から成る情動性精神障害であり、うつ状態は、主観面では気分の抑うつ、意欲低下等を、客観面ではうち沈んだ表情、自律神経症状等を特徴とする状態像である。うつ病にり患した者は、健康な者と比較して自殺を図ることが多く、うつ病が悪化し、又は軽快する際や、目標達成により急激に負担が軽減された状態の下で、自殺に及びやすいとされる。

 長期の慢性的疲労、睡眠不足、いわゆるストレス等によって、抑うつ状態が生じ、反応性うつ病にり患することがあるのは、神経医学界において広く知られている。もっとも、うつ病の発症には患者の有する内因と患者を取り巻く状況が相互に作用するということも、広く知られつつある。仕事熱心、凝り性、強い義務感等の傾向を有し、いわゆる執着気質とされる者は、うつ病親和性があるとされる。また、過度の心身の疲労状況の後に発症するうつ病の類型について、男性患者にあっては、病前性格として、まじめで、責任感が強すぎ、負けず嫌いであるが、感情を表さないで対人関係において敏感であることが多く、仕事の面においては内的にも外的にも能力を超えた目標を設定する傾向があるとされる。

 前記のとおり、Aは、平成3年7月ころには心身共に疲労困ぱいした状態になっていたが、それが誘因となって、遅くとも同年8月上旬ころに、うつ病にり患した。そして、同月27日、前記行事が終了し業務上の目標が一応達成されたことに伴って肩の荷が下りた心理状態になるとともに、再び従前と同様の長時間労働の日々が続くことをむなしく感じ、うつ病によるうつ状態が更に深まって、衝動的、突発的に自殺したと認められる。

以上:5,932文字
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H29-11-19(日):大好きな落花生の栄養素等備忘録-薄皮に重要栄養素レスベラトール
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○「大好きな落花生の栄養素等備忘録」で「殻付ですから殻を割って皮を取って食べるのにちと時間がかかり、この殻を割って皮をむく作業が楽しみの1つです。」と記載していました。「皮をむく作業」とは、落花生本体を覆っている赤茶色の薄皮を剥くことです。私は、この赤茶色の薄皮は食べられないものと思っていました。ところが、「ピーナッツは渋皮付きで1日20粒がお薦めという理由」という記事を読んで、ビックリというかガッカリしました。

○驚いたのは「渋皮にポリフェノール」という部分で次のように記載されています。
ピーナッツ本体を包む赤茶色の「渋皮」には、ブドウの皮や赤ワインにも多く含まれる。特筆すべきが、抗酸化作用のある「ポリフェノール」の一種「レスべラトロール」が豊富に含まれているということだ。このレスべラトロールは非常に抗酸化力が強いポリフェノールで、悪玉コレステロールを減少させて動脈硬化を防ぎ、心臓病やがんを予防する効果が高いというのである。
○ガッカリしたのは、いままで薄皮は食べられないとばかり思って食べてこなかったことです。「ポリフェノール」の一種「レスべラトロール」が豊富に含まれているとのこの薄皮は、これまで全て殻と一緒に捨てていました。

○「レスべラトロール」は、「サンタベリーやブドウなどに含まれるポリフェノールの一種であり、サプリメントや化粧品に配合され美容成分として高い注目を集めています。強い抗酸化力を持ち、細胞の酸化を防ぐとともに、肌の弾力を改善するなど、体を健康的に若々しく保つ効果が期待される成分です。」と解説されています。

○更に神経質な私は必ずピーナッツを二つに分けて、なんと呼ぶのか不明ですが、頭の部分を取り除いて食べるのが習慣になっていました。昔、この部分に発がん物質が含まれていると何かで呼んだ記憶があったからです。しかし、「ピーナッツ 発がん物質」でネット検索をするとピーナッツに生えたカビ或いは中国産ピーナッツに発がん物質があるとの記事が相当出てきますが、ピーナッツの頭の部分に発がん物質が含まれているとの記事は見当たりません。赤茶色の薄皮にくるまれた状態で薄皮ごと食べるのが一番栄養が取れるのであれば、頭の部分も含めて丸ごと食べるのが一番良いことになります。

○ピーナッツの頭の部分とは、左のピーナッツ写真上部の出っ張った部分です。この部分が健康に悪いとの強い印象を持っていつも取り除いて食べる習慣でした。しかし、ここに更に重要な栄養素が入っているとしたら、勿体ない食べ方をしてきたことになります。この部分についての解説をしばらく探していきます。
以上:1,080文字
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H29-11-18(土):残念!全面禁煙厚労省改正案風前の灯火か-東京都全面禁煙条例に期待
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○厚労省が塩崎恭久氏から加藤勝信氏に替わったことで予想されていたことですが、誠に残念なニュースが飛び込んできました。平成29年11月16日付の「<受動喫煙対策>喫煙可、飲食店150平方メートル以下」というニュースです。

○平成29年7月5日付で「小池都知事、受動喫煙対策で国に先行 秋にも条例案」とのニュースもありましたが、どうなっているのでしょうか。小池都知事、希望の党の凋落、共同代表辞任で受動喫煙防止条例までやる気を失っていては困ります。東京都がいち早く厚労省の従前案同様厳しい受動喫煙防止条例を制定してくれれば、自民党の規制賛成派の力になるはずです。なんとしても頑張って貰いたいところです。

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<受動喫煙対策>喫煙可、飲食店150平方メートル以下
11/16(木) 7:00配信 毎日新聞


厚生労働省が受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正について、焦点となっている飲食店は店舗面積150平方メートル以下なら喫煙を認める新たな案を検討していることが分かった。当初の30平方メートル以下のバーやスナックに限る案から面積規制を大幅に緩める一方、新規出店や大手資本の店は認めないなどの要件も付ける方向。与党と調整した上で、2020年東京五輪・パラリンピックまでの全面施行を目指し来年の通常国会に法案提出する構えだ。【阿部亮介】

新たな案では、飲食店内は原則禁煙(喫煙専用室設置は可)だが、店舗面積150平方メートル(客席面積100平方メートル)以下なら店側の判断で喫煙可としてもいい。ただし、施行時点で開業し、大手チェーン店などではない中小企業や個人事業主が運営する店に限るなど、一定の歯止めをかける。面積による線引きは「臨時の措置」と位置づけるが、見直しの時期は明示しない。

また、未成年の受動喫煙被害を防ぐため、20歳未満の客や従業員の喫煙スペースへの立ち入りを禁じる。人気が高まっている「加熱式たばこ」については、一定の健康被害が確認できるとして、当面の間は喫煙スペースでのみ認める。

厚労省は病院や学校などの禁煙を19年9月開幕のラグビー・ワールドカップまでに先行実施し、20年4月に飲食店を含めた全面施行を目指す。世界保健機関(WHO)の受動喫煙対策の格付けが最低ランクの4番目から3番目に上がるのは、当初案と変わらない。

政府・与党は今年の通常国会で法改正する構えだったが、自民党が「飲食店が廃業に追い込まれかねない」などと厚労省案に反発。店舗面積150平方メートル以下なら喫煙できるとの対案をまとめ、厚労省は法案提出すらできなかった。法案作成を主導した塩崎恭久氏に代わって加藤勝信厚労相が就任したことで自民党案に近付いたが、党内には規制賛成派と緩和派がおり、調整が難航する可能性もある。受動喫煙対策の推進を求める患者団体などからも反発が出そうだ。


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小池都知事、受動喫煙対策で国に先行 秋にも条例案
2017/7/5付日本経済新聞 朝刊


東京都の小池百合子知事は4日、日本経済新聞の単独インタビューに応じ、自身が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」が都議選の公約に掲げた受動喫煙防止条例案を、早ければ9月の都議会定例会に提出する考えを示した。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、受動喫煙対策で都が国より先行し、改革姿勢をアピールする狙いがある。

条例案は原則、屋内禁煙で罰則付きで、家庭内や車での喫煙を制限する「努力義務」も盛り込む予定。喫煙可能な飲食店の範囲を巡り、厚生労働省と自民党で調整がまとまらず、先の通常国会では受動喫煙対策を強化した健康増進法改正案の提出が見送られた。

小池氏は「国がもたついている中で、(五輪の)ホストシティーとしての役割を果たしていく」と強調。都議会改革を進めるため都民フの議員提案を軸に条例案を検討する考えを示した。都議選で小池支持勢力は過半数を超える79議席を獲得、条例案の成立は確実だ。

また、小池氏は「都政にまい進していく」と現段階での国政進出を否定し、都民フを支援した国会議員との連携については「国の改革を進めていくのを、遠くから応援したい」と述べた。

以上:1,783文字
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H29-11-17(金):極楽(しあわせ)・地獄(ふしあわせ)の岐(わか)れ路(みち)紹介
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○先日、広島県尾道市にある中国観音霊場第十番札所大宝山権現院千光寺をお参りしてきたという友人から「極楽(しあわせ)・地獄(ふしあわせ)の岐(わか)れ路(みち)」というパンフを頂きました。ネットを見ると、千光寺だけでなく、多くのお寺で配布しているようですが、少しでも「幸福への近道」に近づけるように備忘録とします。

   幸福への近道        不幸を自分で造る人
 □早起する人・熟睡できる人   □心の暗い人・不愉快に暮らす人

 □感謝して真剣に努力する人   □絶えず不満や愚痴の多い人

 □仕事を趣味に能率を計る人   □やる気がなくよくサボル人

 □義務も責任も進んで果す人   □無責任な人・法規を守らぬ人

 □時間を守る人・礼儀正しい人  □時間も「物」も無駄にする人

 □頼もしい人・融和を計る人   □陰口が多く人の和を乱す人

 □人も自分をも尊敬できる人   □卑下する人・自信なく焦る人

 □常に反省し素直に改める人   □信仰心がなく自我の強い人

 □何事も善意に解釈する人    □神佛に無理な願いをする人

 □注意深い人・決断の速い人   □心が狭くすぐ腹を立てる人

 □心身の健康を心掛ける人    □暴飲暴食・自分を粗末にする人

 □質素で金を活かして使う人   □お金を浪費し賭事をする人

 □孝心深い人・恩に報いる人   □悪友も道楽・閑(ひま)も多すぎる人

 □親切で人の為によく尽くす人  □公徳心なく迷惑を掛ける人

 □良心と優しい愛情に満ちた人  □利己的・気侭・自分本意の人

 □恥を知る人・偽りのない人   □迷いも取越苦労も多い人

 □信念に徹した人・辛抱強い人  □欲の深い人・自惚れの強い人

 □どんな苦難も悠々耐える人   □依頼心の強い人・苦労に負ける人

 □生き甲斐を求め精進する人   □義理より権利を主張する人

 □夢と希望に笑顔で生きる人   □貴重な一生を無為に過ごす人

以上:798文字
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H29-11-16(木):2017年11月16日発行第209号”弁護士のハムレット”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの平成29年11月16日発行第209号「弁護士のハムレット」をお届けします。

○「簡潔さがウイットの本質」との言葉がハムレットが出典なんて初めて知りました(^^;)。「ウィット」とは、機知・頓知・才知なんて意味のようですが、「簡潔さ」は何事にも重要ですね。特に文章は、長く書けば説得力が出てくるなんて大間違いで、長い文章ほど読む方は読む気がなくなります。

○当HPは平成16年8月から始まっていますが、当初、一コンテンツ文字数は、800~1200位でしたが、年を経るほどに増えてここ数年は1500文字を超えるコンテンツばかりになっています。最近、アクセス数が減っているのは、この文字数が多すぎるのが原因の一つと考えています。他人のブログでも長いのは読む気にならないからです。反省して、判例紹介以外の記事は、長くても1200文字以内で、「簡潔」に表現する努力をしようと思った次第です。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のハムレット


私は、劇を見るのが趣味なんです。少し前に、内野聖陽主演の蜷川ハムレットを見てきましたが、この劇は本当に「名言」の宝庫ですね。今更あらすじを書くのもなんですが、国王が不審な死を遂げた直後に、王妃が亡き国王の弟と結婚するわけです。国王である父を心から愛しているように見えた母が、あっという間に叔父と結婚したことを受けて、ハムレットは女性に対して強い不信感を持ちます。女には強い意志などなく、言い寄られるとすぐにナビクのだと言って、この名言が出てくるんです。「弱きもの、汝の名は女。

まあそうは言いましても、男も女も弱いものですから、あまり人のことは言えません。私なんか減量を決意して、何度くじけていることか。刑事事件を起こした人で、薬物や万引きを止められない人も沢山いるんです。「弱きもの。汝の名は人間。」です。

女性不信のハムレットですから、恋人にも冷たく当たります。「私はどうすればいいのでしょう」と恋人に聞かれたときの「名言」がこれです。「尼寺に行け!」。瀬戸内寂聴かよ!と、思わず突っ込みを入れたくなります。確かに尼寺に行けば、心変わりや不倫の心配はないけど、そういうもんじゃないでしょう。

ただ、刑事事件でも同じようなことがあるんです。罪を犯した人を弁護するときに、絶対に更生させますなんて主張するんです。痴漢を止められない人に、心療内科やカウンセリングを紹介して、立ち直りを助けるのも弁護士の仕事です。そういう努力を、検察官や裁判官に評価してもらい、少しでも軽い処分をお願いするわけです。でも、基本的に検察官は冷たいんですね。私が「こういう風に立ち直りの努力をしていますので、是非ご配慮をお願いします。」と検察官に言ったところ、「そういう人を直すところが刑務所です。」と言い返されちゃいました。け、「刑務所へ行け!」ですか。検事さん、あんまりだ。ううう。。。

女性不信のハムレットは、自分の母親にもお説教をします。「美徳を身につけていないのなら、せめてそのフリをしなさい。」貞節でなくとも、せめて見た目だけはそうしろと言うんです。い、嫌な息子だなあ。

でも、私も裁判の準備のときに、刑事事件の被告人に同じようなことを言うんです。大多数の被告人は、心から反省していますが、中には全く反省していない人が相当数います。自分は運が悪かったとか、本当に悪いのは被害者側だなんて思っているんですね。こんなこと、裁判で言われたらぶち壊しです。そこで私もハムレットに倣ってアドバイスしちゃいます。「反省していないのなら、せめてそのフリをして下さい。

このほかにも、ハムレットには本当に沢山の「名言」が出てきます。「金の貸し借りをしてはならない。金を貸せば金も友も失う。」なんて、現代日本でも普通に使われてますよね。

簡潔さがウイットの本質」なんていうのも、よく使われる名言です。ハムレットの中でこの名言を言う人が、自分自身では長々と退屈な話をするところがまた面白いんです。私も、若手弁護士には「もっと簡潔に!」なんて言いますが、自分は長々とした文章を書いちゃいます。。。「人が粗削りをすると、神が仕上げをしてくれる。」なんて名言も好きですね。うちの事務所でも、私がざっくりと「こうやろう!」と決めると、後は若手弁護士が細部までちゃんとやってくれるのです。おいおい。

劇の最後で、ハムレットも、叔父の国王も王妃も、みんな死んでしまいます。ハムレットの最後の名言が、またカッコいいんです。「あとは、沈黙。

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◇ 弁護士より一言

子供が大きくなって、この「一言」に書くことも無くなってきました。そこで娘に相談したんです。
「これからは、見た芝居について書こうと思うんだけどどう?内野聖陽の「ハムレット」の他にも生田斗真・菅田将暉の、「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」も見ましたって。」娘は、「自慢?メチャクチャ嫌味じゃん!一言だけ読んでるファンは本物じゃないよ。本文頑張って!」もうすぐ娘は留学しちゃいます。心細くなってきたのでした。
以上:2,215文字
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H29-11-15(水):初めての北海道帯広行き-帰りは陸路で青函トンネル走行
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○「初めての北海道帯広行き-途中列車の揺れのひどさに驚き」の続きです。
平成29年11月14日(火)は帯広から仙台まで空路を使わず陸路で9時間の長旅でした。行程は、
帯広発08:51特急スーパーとかち4号→南千歳着11:07・同発11:15特急スーパー北斗10号→新函館北斗14:09着・同発14:44R新幹線はやぶさ26号→仙台着17:29
でした。

北海道新幹線は、平成28年3月26日に新青森-新函館北斗間が開通していました。最終的には、新青森-札幌間を結びますが、その開通予定は平成42年度末(2030年度末)とのことで平成29年現在まだ13年も先になります。新青森-新函館北斗間で青函トンネルを走行する北海道新幹線をいつか利用したいと思っており、帯広行きを機会に初めて利用できました。

○列車の遅れがあり帯広から特急スーパーとかち4号で2時間30分近くかけて南千歳へ、南千歳から特急スーパー北斗10号で3時間近くかけて新函館北斗駅に到着した時は、合計乗車時間6時間で結構疲れました。両列車ともグリーン席でしたが、揺れが相当酷かったからです。揺れのためノートPCでマウスを操るのが大変でした。

○特急スーパーとかち4号は、すれ違いの特急が遅れているとのことで、途中停車が2回ほどあり、予定より7分遅れで、南千歳駅に着いたのが午前11時15分近くで、乗換の特急スーパー北斗10号が、隣のホームに到着とほぼ同時でした。特急スーパーとかち4号ホームから特急スーパー北斗10号到着ホームに、重い旅行バッグを抱えて、必死で階段を駆け上がり、必死で降りて、間一髪乗車できました。遅れた列車を待ってくれるかと思っていたら、全く待ってくれません。日本の列車の運行時刻は厳格なことを実感しました。

○新函館北斗駅では35分程待ち時間があり、新幹線待合室で待っている内に「最初で最後のはやぶさグランクラス紹介1」で紹介したグランクラスに乗車したくなり、駅員にグリーン席との差額料金を確認するとなんと8120円とのこと。随分高いなと思いながら6年に1回くらい良いだろうと無理して、グランクラスに変えました。北海道内の揺れの酷い2つの特急に6時間も乗車して疲れを感じていたからです。

○新函館北斗駅でのグランクラス乗車客は2名だけでしたが、定刻スタートした瞬間、先ほどまでの北海道内特急列車と揺れが全く異なることを実感しました。音で表現すると「ガタゴト」が「スー」と言う感じです。出発後、瞬時に日本の新幹線技術力の高さは凄いものだと実感しました。ノートPCのマウス操作が机の上と同様に安定してできたからです。普段、仙台から東京行き新幹線で当たり前のことが、北海道内特急列車の揺れのお陰で、実は大変有り難いことが良く判りました。

○青函トンネルは、随分昔、在来線で通過し、途中で停車したような記憶がありますが、定かではありません。初めての北海道新幹線で青函トンネルの通過は、53.6㎞の案内が出ましたが、思ったより長くかかりました。その間、Wifiテザリングが圏外でネット使用ができなかったため長く感じたのかもしれません。勿論、途中停車もなく通過しましたが、普通のトンネルと変わりませんでした(^^)。
以上:1,327文字
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H29-11-14(火):初めての北海道帯広行き-途中列車の揺れのひどさに驚き
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○平成29年11月13日から「書留郵便等に付する送達)・公示送達のために必要な現地調査1」に記載した4代ほど前のご先祖様名義の土地について,全国に散らばった100数十名の相続人の方々を被告として、訴えを提起している事案のため帯広に来ています。

夕暮れのJR帯広駅近辺
    

○平成29年11月13日早朝仙台を出て、「平成28年事務所旅行石垣島・西表島・沖縄本島巡り第1日目スタート」以来、1年ぶりに仙台空港から北海道千歳空港までのANA国内便に乗りました。このときPCディスプレイ世界最薄15.6型液晶ASUS「MB168B+」2台を入れたまま旅行バッグを手荷物カウンターに預けたら、内1台液晶が壊れていました。

○そのためいつもの旅行バッグは、手荷物カウンターに預けないで、手荷物として機内持ち込みにしました。ところが手荷物チェックで旅行バッグの中に金属品があると指摘を受け、何度もチェックを繰り返されました。何度かチェックしているうちに小さな袋に入れたままにしていた「初めての熊本市ー歓楽街は仙台よりずっと広いです」にも記載していたアーミーナイフが出てきました。

○これは機内に持ち込めないとのことで、小さな段ボール箱に入れて貰い手荷物カウンターに預けることになりました。ところが手荷物カウンターで、これだけ預けるのも無駄となり、結局、小さな段ボール箱から取り出し、元の通り旅行バッグの小さな袋に入れて、更に旅行バッグからからPCディスプレイ2台を取り出し、旅行バッグ自体を預けることになりました。このアーミーナイフの遣り取りに20分近く時間を取られてイライラすることこの上ありませんでした。

○「初めての熊本市ー歓楽街は仙台よりずっと広いです」に「このアーミーナイフは小さなハサミや缶切り等色々な機能があり、安比高原への旅行に持参していましたが、こんなものでも危険物として機内持ち込み厳禁で、飛行機を利用するときは注意が必要です。 」と記載していたことをスッカリ忘れていました。

○南千歳駅から特急スーパーおおぞら5号グリーン席に乗車して2時間近くかけて帯広駅に着きましたが、列車の揺れがひどいのに驚きました。いつものようにノートPCを取り出して使用するも列車の揺れのためにマウスポインタが、安定せず、必要なクリックが中々決まりません。東北新幹線ではこのような経験はなく、東京都内から乗車する普通車両でもこれほど揺れを経験したことは殆どありません。日本国内、皆、同じ規格の線路を使っているはずなのに、特急スーパーおおぞら5号がこれほど揺れるのか不思議でした。

○初めて下りた帯広市は、相当寒いだろうと厚着をして行きましたが、まだそれほどの寒さではありませんでした。ホテルにチェックイン後、タクシーで住所を告げて調査目的地に向かうも、乗車したタクシーにはナビが着いていません。「書留郵便等に付する送達)・公示送達のために必要な現地調査1」に記載した横浜・川崎・江戸川区の調査では、ナビ付きタクシーで一発で目的地に到達しましたが、帯広では運転手さんの感で目的地に向かうもなかなか到達せず、乗車メーターを切って何度も周辺をぐるぐる回ってようやく目的地に到達した時は、ホッとして釣りは運転手さんにプレゼントしました。

付録 東京駅近辺建物(縦長写真)  
    
以上:1,366文字
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H29-11-13(月):建物建築請負人に建替費用相当額損害賠償を否定した神戸地裁判決紹介2
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○「建物建築請負人に建替費用相当額損害賠償を否定した神戸地裁判決紹介1」の続きで、昭和63年5月30日神戸地裁判決(判時1297号109頁、判タ691号193頁)の理由文の後半です。解説は、別コンテンツで行います。


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3 材料の品質、美粧仕上げ、空間性能
(一)使用木材の品質
 (証拠省略)によれば、室内のいわゆる見えがかりを持つ柱は、本件請負契約では、少なくても一面以上節のない柱を使用する約定であったのに、本件建物には、そのような無節の柱は全く使用されていない事実が認められ(る。)(証拠判断省略)
 右事実によれば、柱材については、その品質において本件請負契約に反する瑕疵があるというべきである。
 また、本件建物の小屋組材の一部に日本農林規格に適合しない品質の木材が使用されており、建築基準法37条違反の瑕疵があることは前示のとおりである。

(二)軸組架構
 柱の一部に傾きがある事実は当事者間に争いがないが、(証拠省略)によれば、本件建物は過半数の柱が一又は二方向に倒れており、特に顕著な傾きを示すものが一階に七本、二階に二本もあり、また敷居やかもいが傾斜している開口部や建具の立て付けが悪く隙間を生じ、居住性や美観上問題のある箇所もあるなどの事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
 前示のとおり、請負契約においては、明示の特約がなくても、請負の目的物が通常備えるべき品質・性能を具備すべきことは黙示に合意されているとみるべきところ、右事実によれば、本件建物は、柱の傾きや敷居・かもいの傾斜、建具の立て付け不良が顕著で、建物が通常備えるべき品質・性能を欠くといわざるをえないから、本件建物には、右の点について、本件請負契約(黙示の合意)違反の瑕疵があるというべきである。

(三)床面
 (証拠省略)によれば、本件建物には、1、2階共に床面の傾斜・不陸があり、その程度は顕著で0・5パーセントを越える部分もあって、静止させたラムネの玉が自然に転がり出すほどである事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
 右事実によれば、本件建物には、床面が水平であるという建物が通常備えるべき品質・性能を欠いているから、本件請負契約(黙示の合意)違反の瑕疵があるというべきである。

(四)室内高
 (証拠省略)によれば原告は背丈が高いほうであり、子供達も伸び盛りなので、原告は、本件請負契約において、かもい高(敷居からかもいまでの内法の高さ)を180センチメートルにするよう注文し、被告会社もこれを承諾したこと、しかるに、施工の結果はかもい高が175センチメートルしかなく、原告らは日常生活のうえで不便をしている事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
 右事実によれば、本件建物のかもい高には、請負契約に反する瑕疵があるというべきである。

(五)土壁及び小舞下地
 (証拠省略)によれば、本件建物では荒壁の裏返し塗りが施工されてなく、また壁の下地に竹小舞のほかラスボードが使用されている事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。
 しかし、これらは、本件請負契約に別段の約定はなく、建物が通常備えるべき品質を欠くものともいえず、かつ、建築法規に違反するものでもないから、いずれも瑕疵ということはできない。

4 まとめ
 以上のとおり、本件建物は、随所に本件請負契約の約定や建築基準法・同法施行令の関係条項に違反する瑕疵を帯有しており、いわゆる欠陥住宅である。とりわけ基礎及び軸組構造は、本件建物に作用する荷重や外力に対して法定の構造耐力上の安全性に欠けているから、本件建物は、地震や台風等の振動・衝撃を契機にして倒壊しかねない危険性を内蔵する建築物であるといわざるをえない。

四 被告らの責任
1 被告芦田

(一) 被告会社が木材販売業のかたわら建築請負業を営む株式会社であり、被告芦田がその代表取締役で、本件建築工事の施工を担当した事実は弁論の全趣旨により明らかである。

(二) (証拠省略)によれば、被告会社は、建築工事の施工に当たり、使用木材は自ら調達したが、基礎工事・木工事等の主要部分の工事はそれぞれの専門業者に下請負いさせ、そのうち木工事については、かねてよく頼んでいた大工に依頼できなかったため、初めて頼む業者に発注し、木工事全般を施工させたことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。

 前示のとおり、本件建物には、基礎や軸組構造の欠陥、柱の傾き、床面の不陸及びかもい高の不足等、その随所に瑕疵がみられるが、これら瑕疵は、使用木材の品質不良を除き、下請業者の工事の手抜き又は工事の不十分さに起因するものと認められ、本件建築工事の施工を担当した被告芦田としては、絶えず工事現場に臨み、下請業者に対し適切な指示を与えるなどして、本件建物が請負契約及び建築基準法・同法施行令に適合し、かつ、住宅として通常備えるべき品質・性能を保持すべき建築物に仕上げるよう、下請業者の施工を十分に管理すべき注意義務があったというべきである。

 しかるに、(証拠省略)によれば、被告芦田は、木材の取引については豊富な実務歴を有するものの、建築について専門に学んだことはなく、友人の大工の手伝いをしたりするうち見よう見真似で住宅建築の一通りの工程を身に付けたものに過ぎず、建築基準法や建築基準法施行令で定める建物の構造基準等に関する知識はきわめて乏しいことが認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。(証拠省略)は「急所急所は行っていました」と述べるものの、右のように建築法規にうとい被告芦田であってみれば、工事現場に臨んでも、下請業者に対し、建築基準法や同法施行令に適合する建物に仕上げるよう適切な指示を与えることなど期待しうべくもなく、十分な施工管理ができたということは到底できない。

 のみならず、柱の傾きや床面の不陸など本件建物が住宅とした通常備えるべき品質・性能を欠いていることや、かもい高の不足のように明示の約定に反して施工がなされた事実は、被告芦田の施工管理がいかに杜撰であったかを推認するのに十分である。
 以上によれば、被告芦田には少なくとも施工管理上の過失があるというべきである。

(三)右認定のとおり、本件建物に使用された木材は、木材販売業をも営む被告会社が自ら調達したものであるが、前示したとおり、使用木材のうち、小屋組材の一部には建築基準法に適合しないものがあり、また、本件請負契約に反して本件建物には室内のいわゆる見えがかりを持つ柱に無節の柱が全く使用されていないのである。
 右事実によれば、被告会社の代表者である被告芦田には品質不良の木材を使用することについて故意が認められる。

(四)よって、被告芦田には、本件建物の瑕疵について、故意又は過失があるから、民法709条に基づく不法行為責任を負うべきである。

2 被告会社
(一)前示のとおり、被告会社は昭和54年5月20頃建築工事を完了し、その頃本件建物を原告に引渡したが、本件請負契約に基づく本件建物の施工に関して前記の瑕疵が存在するのであるから、被告会社は、原告に対し、民法634条二項による担保責任として、瑕疵の修補に代わる損害賠償をすべき責任がある。

(二)被告会社の代表取締役である被告芦田に不法行為が成立すること前示のとおりであるから、被告会社も、民法44条一項に基づき不法行為責任を負い、原告の蒙った損害を賠償すべきである。

(三)原告は、選択的(択一的)主張ながら、被告会社に対し、民法415条に基づき債務不履行(不完全履行)による損害賠償を求めている。
 しかし、請負工事の瑕疵による請負人の責任については、不完全履行の一般理論は排斥されると解すべきである。けだし、請負工事の瑕疵による請負人の責任については民法634条以下に詳細な規定があり、これらは不完全履行に関する一般理論の特別規定とみるのが相当であるからである。

(四)以上によれば、被告会社は、請負人の担保責任又は法人の不法行為責任のいずれかにより、原告に対し、本件建物の瑕疵による損害について賠償責任を負うものである。

五 原告の損害について
1 本件建物の前記瑕疵のうち、火打材・振れ止め・根がらみ貫等の欠落、床面の不陸、建具の立て付け不良等の部分的瑕疵が相当な方法により修補可能であることは弁論の全趣旨により明らかである。しかし、建物の基礎や軸組構造にかかわるその余の瑕疵、及び柱の傾き、かもい高の不足、使用木材の品質不良等の瑕疵は、これらを瑕疵のない完全なものとするためには新しく建て替えるか、又はこれに匹敵する大修繕を必要とするものばかりであるから、その修補が物理的に不可能ではないにしても、社会通念上は、これらの瑕疵の修補は不能というべきである。そして、本件建物では、修補可能な瑕疵は全体の瑕疵の一部に過ぎず、大半の重大な瑕疵はいずれも修補不能な瑕疵であることを考慮すると、本件建物の瑕疵は全体として修補不能であるとみて、原告の損害額を検討するのが相当である。

2 原告は、本件建物が木造住宅としての安全性にかけ、強風や地震により倒壊する恐れがあることや、新築注文住宅なので、瑕疵修補の方法は単に性能を回復するだけの継ぎはぎだらけのものであってはならないことを理由に、本件建物の瑕疵を除去するには、これを取り壊し設計図書通りに再度建て替えるほかに相当な修補方法はなく、これに相当する損害が原告に生じているとして、本件建物の建替え費用等の損害賠償を請求している。

 しかし、当裁判所は、原告の右主張のうち、建替え費用及び建替えを前提とする諸費用についても本件建物の瑕疵により原告の蒙った損害であるという部分は、到底採用しえないものであると考える。その理由は次のとおりである。
(一)原告は、本件建物の瑕疵の修補が物理的に不可能ではないことを前提に、その修補に要する費用(建替え費用)等相当額を損害と主張しているものと解されるが、本件建物の瑕疵は、前示のとおり社会通念上修補不能であり、そもそも瑕疵修補の請求はできない事案である。

(二)瑕疵修補の請求ができない場合に、注文者が請負人に対して請求しうる損害賠償の額は、一般的に言って、瑕疵を修補するために要する費用ということはできない。このことは、民法634条1項但書の趣旨からも明らかである。

(三)民法635条但書により、建物やその他の土地の工作物については、契約の目的を達することのできない瑕疵があっても、請負契約を解除することはできず、右規定は強行規定と解されているのに、建替え費用等を損害と認めることは、実質的に契約解除以上のことを認める結果になる。

(四)瑕疵修補の請求ができない場合の損害賠償の額は、目的物に瑕疵があるためにその物の客観的な交換価値が減少したことによる損害を基準にして、これを定めるのが相当である。何故なら、右の考え方は、財産上の損害のとらえ方について、請負人の担保債任、売主の瑕疵担保責任及び物の毀損による不法行為責任の全てに共通した理解を可能にするからである。

 以上によれば、本件建物の瑕疵により原告の蒙った財産上の損害は、瑕疵があるために本件建物の客観的な交換価値が減少したことによる損害と解すべきであるから、原告主張の損害のうち,本件建物の建替え費用及び建替えを前提とする諸費用(請求原因5の(二)の(1)ないし(3)及び(6))は全て理由がなく、失当といわざるをえない。

 原告は、本件建物の瑕疵により原告の蒙った損害として、瑕疵があるために本件建物の客観的な交換価値が減少した事実を明示的に主張するものではないが、原告の主張中にこれが黙示的に含まれるものと善解しても、原告は、建替え費用及び建替えを前提とする諸費用の請求に固執する余り、右瑕疵による本件建物の価値の減少額について鑑定等による立証を何らしようとせず、結局、本件において右価値の減少額を認めるに足る証拠は皆無なのである


3 調査・鑑定費用
 (証拠省略)によれば、原告は、本件建物の瑕疵に関する資料を収集するため、建築専門家による調査・鑑定を必要としたことから、本件建物の瑕疵とその修補の方法・費用等について一級建築士に調査・鑑定を依頼し、その費用として45万円を支払ったことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。そして、前記認定のような本件建物の瑕疵の内容、程度、その判定の困難性等を考えると、原告の支出した調査・鑑定費用45万円は、本件建物の瑕疵と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。

4 慰謝料
 (証拠省略)によれば、原告は、念願の自宅を新築したものの、本件建物に入居直後から種々の欠陥に悩まされ、やがて建築専門家に調査・鑑定を依頼した結果、本件建物には基礎や軸組構造に重大な瑕疵があることが判明し、大きな精神的打撃を受けたことが認められる。そして、本件建物の瑕疵の内容・程度その他一切の事情を総合し、とりわけ本件建物がいわゆる欠陥住宅でその瑕疵は重大であるのに、原告の主張立証のまずさから瑕疵の修補に代わる損害賠償が認容されなかった事情があるので、この回復されない損害をも考慮して、慰謝料の額は100万円を相当と認める。

5 弁護士費用
 (証拠省略)によれば、原告は、本件訴訟の追行を弁護士である原告訴訟代理人に委任し、相当額の費用・報酬の支払いを約したことが認められる。そして、被告芦田が不法行為責任を、被告会社が担保責任のほか不法行為責任を負うことは前示のとおりであるから、本件事案の内容、損害額その他一切の事情を考慮し、被告らが負担すべき相当因果関係にある原告の弁護士費用は100万円とするのが相当である。

6 まとめ
 以上によれば、原告の損害額は245万円となる。

六 相殺
1 対立する債権
(一)本件請負契約の工事代金が1160万円で、うち1050万円が支払済みであること、被告会社主張の追加工事のうち、水洗便所・風呂場関係について工事代金が合計22万円で、うち20万円が支払済みであること、以上の事実は当事者間に争いがない。

(二)(証拠省略)によれば、右水洗便所等以外にも、代金35万円で屋根の庇を銅版葺にした工事及び代金3、4万円で外裏の窓を一か所開けた工事はいずれも原告の注文による追加工事であったことが認められ(る。)(証拠判断省略)しかし、被告会社主張のその余の追加工事については、原告との間にそのような工事を約した事実を認めるに足る証拠はない。
 右によれば、原告は、被告会社に対し、前記水洗便所・風呂場関係のほか、庇の銅版葺及び外裏の窓関係の追加工事代金として少なくとも38万円を支払うべき義務があるというべきである。

(三)以上によれば、本件建物の請負代金は本工事分1160万円、追加工事分60万円であるところ、原告は、本工事分のうち1050万円、追加工事分のうち20万円をそれぞれ支払っているから、請負代金の残金は150万円となる。

(四)一方、(証拠省略)によれば、原告は、本工事代金のうちガス工事費・掃除養生費等合計27万1150円を、本件建築工事中被告会社のために立替えた事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。したがって、原告は、被告会社に対し、右同額の求償債権を有するものというべきである。

(五)その他、原告が被告会社に対し245万円の損害賠償債権を有することは前示のとおりである。

2 相殺の効果
(一)原告が、昭和61年11月5日の本件第24回口頭弁論期日において、被告会社に対し、原告の損害賠償債権及び求償債権をもって被告会社の請負代金債権と、その対当額で相殺する旨の意思表示をした事実は訴訟上明らかである。

(二)ところで、相殺の効力は相殺適状の生じた時にまで遡るので、対立する各債権の弁済期について検討するに、(証拠省略)によれば、請負代金は工事完成時に完済する約定であったこと、また前記認定の事実によれば、原告の立替金は遅くとも工事完成前に支出されたことがそれぞれ認められ、他に右認定に反する証拠はない。そして本件建物の瑕疵による損害賠償債権は、その根拠が請負人の担保責任であれ、不法行為責任であれ、いずれも建物の引渡しの時に発生するものと解するのが相当である。

 前示のとおり、本件建物の完成は昭和54年5月20日頃で、その頃本件建物が原告に引き渡されているから、右各債権の弁済期は昭和54年5月20日とみるべきであり、本件相殺はその日に遡って効力を生じたことになるが、立替金をもって先ず請負代金と対当額で相殺することが原告の意思に合致するものと推認されるから、相殺の結果、原告は、被告会社に対し、122万1150円の損害賠償債権を有することになる。

七 結論
 以上の理由により、原告は、被告芦田に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、245万円及びこれに対する不法行為の日の後であり、本件訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和56年8月13日から、被告会社に対し、請負人の担保責任による瑕疵の修補に代わる損害賠償請求権又は不法行為による損害賠償請求権に基づき、122万1150円及びこれに対する本件建物の引渡しの日かつ不法行為の日の後であり、本件訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和56年8月13日から、各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める権利があるというべきである。
 よって、原告の本訴請求は、右の限度で理由があるから認容するが、その余は失当として棄却することとし、民訴法89条、92条本文、93条一項本文、196条一項を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 白井博文)

別紙 物件目録(省略)
以上:7,291文字
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H29-11-12(日):TS協会平成29年11月例会-バグパイプ演奏を聴く会開催
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○平成29年11月11日(土)は、東北スコットランド協会(TS協会)の平成29年11月例会として会員鈴木富延氏のバグパイプ演奏を聴く会をツルカメ第二スタジオで開催しました。参加者は、会長引地功侃さん、事務局長鈴木澄男さんの外会員(予定者含む)12名の14名でした。メインイベント、富延さんのバグパイプ演奏は、マンションサイズ48㎡(14.52坪)、天井高2.3mのツルカメ第二スタジオには、耳を塞ぎながら聴いている会員もいたほどの物凄いとしか表現できない強大な音でした。

○富延さんは、平成2年頃、たまたま出会ったバグパイプ演奏に強く惹かれて、日本から遙か離れたスコットランドのエジンバラバグパイプスクールに通ったほどのバグパイプ好きで、平成3年頃から当時仙台で唯一のバグパイプ奏者故吉田正三氏に師事して研鑽を積みました。そして、平成2年から始まったTS協会主催「スコッチウイスキーの夕べ」冒頭の「ハギスセレモニー」でのバグパイプ演奏を、平成5年頃から、吉田正三氏を引き継いで担当して頂きました。確か、当時、吉田正三氏は80代に達しており、強く大きな肺活量を必要とするバグパイプ演奏が困難になり、唯一の弟子の富延さんと交替しました。

○「東北スコットランド協会便りの一例紹介」での平成4年5月1日発行「東北スコットランド協会便り」には、「5月30日現在で、会員約100名のうち約30名の会員が1991 年度の会費が未納です。」なんて記載があり、平成2年に設立したTS協会は、一時は100名近い会員を集めて、年1回のメインイベント「スコッチウイスキーの夕べ」を始め、結構、積極的に活動していました。日本スコットランド協会(JSS)の会員の方々がTS協会にも参加して頂いたからでした。

○そのTS協会、平成2年10月に第1回「スコッチウイスキーの夕べ」を当時の宮城第一ホテル大広間で開催し、その後、毎年秋の恒例行事となり、平成12年頃まで11,2回開催したところで、いったん、休止となりました。事務局長鈴木澄男さんや私も業務多忙となって、メインイベント「スコッチウイスキーの夕べ」開催準備等協会活動に負担を感じてきたからでした。何よりも、10回も開催したら飽きてきたことでした(^^;)。

○それが「東北スコットランド協会再興会議と規約」記載の通り、平成19年1月、再興しようとなり、細々とながら、内輪での会合を年に1,2回ほど開催を継続してきました。TS協会活動は、事務局長鈴木澄男氏の意欲にかかっていますが、同氏はここ数年の想定外の激務から解放されて、これからは積極的に活動していくと張り切っています。

○富延さんのバグパイプ演奏を聴く会ですが、前座として会員素人演芸を披露することになり、中原寛子会員のオカリナ演奏、庄子善昭氏の木管フルート演奏、それに私のフラメンコギターと厨川謙次氏のボンゴ、更に飛び入りとして中学3年生女子の見事なピアノ演奏まで加わりました。

○私の演奏は、ツルカメ第二スタジオの4台のハイビジョンカメラを配置して「HDMI対応4chコンパクトスイッチャーVR-4HD」で切り替えながら録画を試みました。カメラの1台は、右手の動きをアップで写すものもありました。しかし、例によって小心者の私は、カメラに囲まれ、更に聴衆に囲まれて、スッカリ緊張して、ミスを連発して、到底、その録画を見る気持にはなれない最悪の出来でした。飛び入りで、全くミスなく難曲を弾き熟し、聴衆に感動を与えてくれた中学3年生の強心臓が羨ましい限りです(^^;)。
以上:1,463文字
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H29-11-11(土):建物建築請負人に建替費用相当額損害賠償を否定した神戸地裁判決紹介1
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○「建物建築請負人に建替費用相当額損害等賠償支払を命じた大阪地裁判決紹介2」に続いて、建物建築の請負人に対する瑕疵修補に代わる損害賠償につき、建替え費用相当額の損害を否定した昭和63年5月30日神戸地裁判決(判時1297号109頁、判タ691号193頁)の理由文を2回に分けて紹介します。

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理   由
一 原告が、昭和53年11月16日、被告会社との間で、原告を注文者、被告会社を請負人として、本件建物の建築工事に関する請負契約を締結し、右請負契約に基づき、被告会社が、昭和54年5月20日頃、右建築工事を完了し、その頃、本件建物を原告に引渡した事実は当事者間に争いがない。

二 (瑕疵の判断基準)
1 請負の仕事の目的物に瑕疵があるとは、完成された仕事が契約で定めた内容通りでなく、不完全な点を有することであるから、瑕疵があるか否かを判断するに当っては、まず契約によって定められた仕事の具体的内容が何であったかを図面や見積書、当事者間の了解事項等で確定する必要があり、これに反する工事内容があったり、低級の品質の材料が使用されておれば、仕事の目的物に瑕疵があることになる。

 また、明示の特約がなくても、請負の目的物が通常備えるべき品質・性能を具備することも黙示に合意されているとみるべきであり、建物の建築工事において、雨漏りや顕著な壁の亀裂、柱の傾き、床の不陸があれば、仕事の目的物に瑕疵があることになる。そのほか、建物の建築工事において、契約の内容が不明確な場合は、当事者間には少なくとも建築基準法の「第二章建築物の敷地、構造及び建築設備」(同法施行令の関係部分を含む。)に適合した建築工事をする合意ができたものと推認するのが相当であり、同法に適合しないことは建築工事に瑕疵があるというべきである。蓋し、建築基準法第二章は、建築物が安全であるための構造等に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図ることを目的とし、国民に対してその遵守を義務づけているからである。

2 本件建物が住宅金融公庫の融資住宅でない事実は当事者間に争いがないが、原告は、本件請負契約において、被告会社が工事内容は公庫基準及び公庫仕様に拠る旨を約したとして、本件建物には公庫基準及び公庫仕様に適合しない瑕疵があると主張する。
 右約定の存在について、(証拠省略)はその主張に沿う供述をし、(証拠省略)にも検査時期の欄に「国庫に準ず」なる記述が認められるけれども、(証拠省略)に照らすと、原告本人の右供述はにわかに措信し難く、また甲第一号証の一の右記述も未だ原告主張の約定を認めるのに十分ではなく、他に右約定を認めるに足る証拠はない。

 原告は、公庫基準及び公庫仕様は我が国における木造庶民住宅の標準仕様であるから、仮に被告会社との間で、これに拠る旨の明示の約定がなかったとしても、黙示の合意はあったとみるべきであるし、これに拠るべき事実たる慣習も存在すると主張する。しかし、そのような黙示の合意も、事実たる慣習も、これを認めるに足る確たる証拠はない。
 したがって、本件建物の建築工事において公庫基準及び公庫仕様に適合しない箇所があっても、それを理由に瑕疵があると極め付けることは相当ではない。

三 そこで、右の判断基準に従い、本件建物の瑕疵について判断する。
1 基礎
(一) 割栗地業

 (証拠省略)によれば、本件建物の基礎の下には、割栗石がなく、土木工事の道路用砕石(クラッシャランのようなもの)が投込み敷きに敷いてあるだけの状態であること、公庫仕様では、割栗地業は割栗石を根切り底に隙間なく小端立てに張り込み、目潰し砂利を敷き、ランマー等で十分に突き固めることとしていること、割栗地業は地盤の突固めを効果的に行うことを主な目的としていること、以上の事実が認められ(る。)(証拠判断省略)

 ところで、地業の形態については、本件請負契約に具体的定めはなく、建築基準法施行令38条1項は「建築物の基礎は、建築物に作用する荷重や外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」と定め、地業も広義の基礎工事の一部に含まれるけれども、右規定が地業の形態を割栗地業でなければならないと定めたものとも解されず、他にこれを定めた法規はない。そして、本件地業が、本件建物の基礎のための地業として構造耐力上の安全性に欠けることを認めるに足る証拠はないから、公庫仕様と比較し、地盤補強の上で些か劣るものがあることは否定できないけれども、これをもって未だ建築工事の瑕疵ということはできない。

(二)基礎底盤
 (証拠省略)によれば、本件建物の布基礎(帯状の基礎コンクリート)は、投込み敷きに敷いてある砕石の上に、型枠なしに流し打ちした不整形のコンクリートがあり、その上に立上がり部分が作られているもので、布基礎の下部に逆丁字型の整形された底盤は存在しないこと、流し打ちしたコンクリートの厚さは7~10センチメートルあるが、幅は一定しないこと、公庫仕様では、本件建物と同じ木造二階建住宅の布基礎には、型枠施工による厚さ12センチメートル・幅32センチメートルのフーティング(基礎底盤)が必要とされ,布基礎の形状は逆丁字型でなければならないこと、型枠なしにコンクリートを流し打ちした場合、水分が地盤に吸収されて強度の落ちる恐れがあり、また、底盤が不整形の場合は不同沈下のため底盤がせん断する恐れもあること、基礎底盤は、基礎の接地面積を広げ、建物の基礎をして荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、構造耐力上安全なものにするため有効なものであること、以上の事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

 ところで、本件建物の基礎の形状については、本件請負契約にも、また建築基準法・同法施行令にも別段の定めはないが、建築物の基礎は、前記のとおり、「建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」(建築基準法施行令38条一項)とされているから、本件建物の基礎の形状の当否及びその構造耐力上の安全性は、右条項に照らして検討されなければならない。そして、建築基準法20条二項に規定する建築物(同法六条一項2、3号に掲げる建築物)の構造計算は、建築基準法施行令「第八節 構造計算」の規定によらなければならない(建築基準法施行令81条一項)が、本件建物は木造二階建てであり、右建築物に含まれないこと明らかであるから、本件建物の基礎の安全性は、建築基準法施行令所定の構造計算によるまでもなく、他の証拠によりこれを判断しうるものである。もっとも右法定の構造計算により、その安全性を確かめることを妨げられるものではないが、本訴においては、そのために必要な資料が十分でなく、本件建物の基礎の安全性を構造計算によって判断することは困難である。

 そこで、更に検討するに、(証拠省略)によれば、建築業界の通念として木造二階建住宅の布基礎には底盤が必要であり、その底盤は逆丁字型の整形されたものであることが望ましいこと、型枠なしにコンクリートを流し打ちした場合でも、そのコンクリートに十分な幅と厚さがあれば構造耐力上差し支えなく、底盤付き布基礎と見られなくもないが、本件建物の基礎に流し打ちされた前認定のような形状のコンクリートでは、幅・厚さ共に不足しており、到底基礎底盤とはいえないことが認められ(る。)(証拠判断省略)

 被告らは、いわゆるツーバイフォー工法(枠組壁工法)による二階建ての建築物では、建設省告示で基礎底盤は不要とされている以上、本件建物の基礎底盤には鉄筋が入れてあるから、本件建物の基礎は安全性において十分である旨主張する。
 しかし、先ず、枠組壁工法を用いた建築物は、その構造方法の特殊性の故に、建設大臣が定めた安全上必要な技術的基準に従えば足りる(建築基準法施行令80条の二第一号)が、(証拠省略)によれば、枠組壁工法を用いた建築物は、在来工法による建築物と比較し、建築物の固定荷重(自重、建築基準法施行令83、84条参照)が著しく軽いことが認められ、一方、本件建物が在来工法による建築物であることは弁論の全趣旨により明らかであるから、被告ら主張のとおり、建設省告示で枠組壁工法により二階建ての建築物には基礎底盤が不要とされているにしても、これをもって本件建物の基礎の安全性に関する判断基準にすることは相当でない。また、本件建物の布基礎に底盤といいうるものがないことは前示のとおりであるが、底盤に代えて流し打ちしたコンクリートの中に鉄筋が入れてある事実も、これを認めるに足る証拠はない。

 以上によれば、基礎底盤は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全な基礎にするため、木造二階建住宅には必要なものであるのに、本件建物にはこれがないから、本件建物の基礎には、建築基準法施行令38条1項所定の構造耐力上の安全性に欠ける瑕疵があるというべきである

2 軸組構造
(一)繋ぎはり

 (証拠省略)によれば、軒けたの水平方向の移動を防ぐ構造部材である繋ぎはりが、本件建物では要所で多く欠落している事実が認められる。構造部材であるはりの配置について、本件請負契約に具体的定めはないが、建築基準法施行令36条2項によれば、「建築物に作用する水平力に耐えるように、つりあいよく配置すべきものと」されているから、繋ぎはりの欠落は建築工事に瑕疵があるというべきである。

(二)使用木材の品質
 (証拠省略)によれば、目視できる範囲で、二階大屋根の小屋組に使用されている丸太はりに虫が生存していた形跡があり、また、小屋組材には総じて割れ・腐れ・欠け・虫穴・入り皮が多く見られ、一部に日本農林規格に適合しない品質の木材が使用されている事実も認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。横架材(はり、けた)、小屋組等の「構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質」について、本件請負契約に格別の定めはないが、建築基準法施行令41条によれば、「節、腐れ、繊維の傾斜、丸身等による耐力上の欠点がないものでなければならない」とされており、また、これら主要構造部の建築材料の品質は、日本農林規格に適合するものでなければならない(建築基準法37条)から、小屋組材の一部には、構造耐力上の欠点を問うまでもなく、建築基準法37条違反の瑕疵があるというべきである。しかし、右丸太はりについては、構造耐力上の欠点や日本農林規格に適合しない品質のものである事実を認めるに足る証拠はない。

(三)仕口・継手
 仕口・継手の方法について、本件請負契約に別段の定めはないが、建築基準法施行令47条一項は、「構造耐力上主要な部分である継手又は仕口は、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他これらに類する構造方法によりその部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない」と定めている。ところが、本件建物の目視可能な小屋組構造部材の仕口をみるに、(証拠省略)によれば、小屋づかとけた、はりとの結合にかすがい等の金物補強が全く無く、小屋づかの上部・下部の仕口も、ほぞ・ほぞ穴の加工が粗雑で結合が甘く、つかが倒れていたり、母屋が浮き上がっていたり、ほぞとほぞ穴の方向が合わず、ほぞを切り落として突付けにし釘一本止めのまま放置している箇所などがあり、また繋ぎはりに仕口のほぞ加工がなく、突付けで釘打ち止めをしただけのものもあること、鑑定の結果によれば、筋かいとはりとの間に約1・5センチメートルの隙間がある上に補強金物もない等の事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
 右事実によれば、本件建物は構造耐力上主要な部分である仕口が十分に緊結されているとはいえず、建築基準法施行令47条1項に反する瑕疵があるというべきである。

(四)斜材又は軸組
(1)壁又は筋かい入り軸組

 本件請負契約に約定はないが、建築基準法施行令46条一項によれば、木造建物「にあっては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組をつりあいよく配置しなければなら」ず、二階以上の木造建物では、右壁又は筋かいを入れた軸組の量は各階ごとに法定の必要数値を充足する必要があり、その数値の算定式が法定されている(同条三項)。ところが、(証拠省略)によれば、本件建物の一階における壁又は筋かいを入れた軸組は、法定の必要数値に対し、けた行方向で56・6パーセント、張り間方向で79・9パーセントしかなく、法定の構造基準を充足していないこと、また、鑑定の結果によれば、取り付けられた筋かいに、はりとの間に約1・5センチメートルの隙間があり、金物補強もなく、筋かいとして有効でないものがあること、以上の事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
 右事実によれば、本件建物は建築基準法施行令46条1、3項に反し、水平力に対して安全性を欠く瑕疵があるというべきである。

(2) 火打材
 火打土台が土台のゆがみを防ぐため、また火打ばりがはりとけたの接合部を固めるため、土台、二階の床組及び小屋はり組のすみずみに取り付けられる斜材で、いずれも建物のすみを平面的に固めるため、耐震、耐風上有効な補強構造部材であることは(証拠省略)により明らかであり、そのため、建築基準法施行令46条二項は「床組及び小屋はり組の隅角には火打材を使用しなければならない」と定め、(証拠省略)によれば、本件請負契約の図面でも二階床組及び小屋はり組の一部には火打ばりを取り付けることになっていることが認められる。しかるに、本件建物に火打土台の取付けが全くない事実は当事者間に争いがなく、(証拠省略)によれば、火打ばりも目視可能な範囲で欠落が多く、取り付けてある火打ばりには、仕口加工が悪く緊結されていないため、有効な火打ばりとして機能していないものがある事実が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

 右事実によれば、本件建物は本件請負契約及び建築基準法施行令46条2項に反し、構造耐力上の瑕疵があるというべきである。
 (なお、被告らは、建築基準法施行令46条においても、火打材は絶対不可欠のものとされているわけではないと主張する。しかし、現行の同条2項には但書で例外が設けられているが、本件請負契約が締結された昭和53年11月当時施行の同条2項には但書はなく、火打材の使用は絶対不可欠であったことを付言しておく。)

(3)小屋組の振れ止め・けた行筋かい・小屋筋かい
 本件請負契約に約定はないが、建築基準法施行令46条2項は「小屋組には振れ止めを設けなければならない」と定めている。(証拠省略)によれば、振れ止めは、和式小屋組が水平外力に対して比較的脆弱なことから、小屋組を補強するため取り付けるものであることが認められるから、右にいう振れ止めには、同じ目的のいわゆる小屋筋かい及びけた行筋かいを含むものと解すべきである。ところが、小屋組の振れ止めを施工していない事実は当事者間に争いがなく、(証拠省略)によれば、本件建物には振れ止めのみならず、これら小屋組補強の三部材が全く欠落していることが認められ、他に右認定に反する証拠はない。
 右事実によれば、本件建物には建築基準法施行令46条2項に反する瑕疵があるというべきである。

(4)根がらみ貫
 本件建物に根がらみ貫の施工のない事実は当事者間に争いがない。
 (証拠省略)によれば、根がらみ貫の取付けは、床の移動荷重や衝撃荷重によってつかがつか石から浮き上がったり、移動することを防止するのが目的であり、確立された床組の補強材であることが認められる。したがって、請負契約に別段の定めはないけれども、建築基準法施行令36条1項は建築物に根がらみ貫の取付けを義務付けているものと解すべきであるから、本件建物には右の点につき瑕疵があるというべきである。
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