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R 1-10-16(水):離婚訴訟に併合提起した損害賠償請求の訴えを適法とした地裁判決紹介
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○「離婚訴訟に併合提起した損害賠償請求の訴えを適法とした最高裁判決紹介」の続きで、その一審判決である昭和30年2月22日福岡地裁判決(家庭裁判月報10巻1号21頁)の事実部分を紹介します。

○「離婚訴訟に併合提起した損害賠償請求の訴えを適法とした最高裁判決紹介」の事案を確認するための紹介で、事案概要は以下の通りです。
・s22.3.19原告X女と被告Y1結婚、Y1実父被告Y2方に同居
・被告Y2は、Xに対し、ひどいセクハラ行為を繰り返し、それを夫Y1に訴えるもY1は何らの対処をしなかった
・Xは、徐々にY1に愛想をつかし、愛情を失い、s27.7.18家出して別居し、離婚調停申立するも不調に終わる
・Xは、Y1に離婚と、Y1とY2に慰謝料として連帯して16万5000円を請求、
・合わせてY1に財産分与16万円、Y2にY1が有する不当利得返還請求権を代位行使して訴訟提起
・Y1らは、Xの主張を争い、Y1はXに対し慰謝料10万円の支払を求める反訴を提起


○原告Xの夫Y1に対する離婚・慰謝料・財産分与請求の訴えと、原告Xの義父Y2に対する慰謝料請求の訴えが併合して審理され、結論としてY1・Y2に対し連帯して慰謝料金10万円の支払が認められ、訴訟費用も5分割し、4をYらの負担とされていますので、大旨、Xの主張が認められたようです。昭和30年頃の10万円は、物価指数では、平成28年頃の60万円程度であり、Xの主張を前提とするとY2に対する慰謝料金額としては安すぎるような気もします。

*********************************************

主   文
原告(反訴被告、以下単に原告という)と被告Y1(反訴原告、以下単に被告という)とを離婚する。
被告等は連帯して原告に対し金10万円を支払え。
原告のその余の請求及び被告Y1の反訴請求を棄却する。
訴訟費用は本訴反訴を通じこれを5分しその1を原告の負担としその余を被告等の連帯負担とする。

事   実
 原告訴訟代理人は、本訴請求の趣旨として、「主文第一項同旨及び被告等は連帯して原告に対し金32万5000円を支払え。訴訟費用は被告等の連帯負担とする。」との判決を反訴について、「被告の請求を棄却する。反訴訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、本訴請求の原因として、「原告は、昭和22年3月19日訴外A政助の媒酌により被告Y1と婚姻し、爾来被告Y1の実父である被告Y2夫婦の許に同居し、家業の農業に従事していた。

 ところが、生来酒癖が悪く且つ多情である被告Y2が、昭和25年末頃不意をついて原告に接吻してからというものは、毎夜の晩酌後に機会を見ては「Y1ではつまらないから俺が子供をつくつてやる」とか、或は乳房を探らんとし、或は陰部へ向けて手を差しのべる等の色情的言動を繰返し、原告としては、その実力行動に出でられるを極力警戒してはいたものの、何分原告を侍らせての晩酌中に不意に且つ強引に襲いかかられては手に負えず、結局接吻されたこと数回に及び、又昭和26年8月の或る夜被告Y1不在なるを奇貨として晩酌中に不意に襲いかかられて正にその自由を奪わられようとしたが、原告の必死の抵抗でようやくことなきを得、更に又昭和27年6月29日夜も家人不在中晩酌途中で強引に原告を抱き寄せその股間に足を差入れ身体を浮ばせて陰部に手を当てる等、被告Y2の言動たるや真に目に余る有様であつた。

 そこで、原告は、当初はもとよりその後も執ようなほどただ唯一の相手である被告Y1にるるとその苦悩を訴えたのであるが、元来が意思薄弱で積極性に乏しい同被告のこととて、これに何等の処置を取り得ないのみかその反応すら示さない仕末で、しかも、親と名のつく被告Y2の言動故他に訴えるのも恥かしく、全く日々を苦悶の裡に過すうち、遂には被告Y1に愛想をつかし漸次同被告に対する愛情すら失うに至り、これが苦悩を脱するため秘かに離婚を決意し、昭和27年7月18日家を出てその実姉の許である訴外B方に身を寄せた。

 そして、原告は、昭和27年8月20日福岡家庭裁判所に離婚の調停申立をしたが、被告Y1が離婚は己むを得ないといいながらも被告Y2を憚かつてこれを承諾しないため、結局同年12月15日不調に終つた。かくて、原告は、現在被告Y1と婚姻を継続する意思は毛頭なく、被告Y1においても同様で既に他の女性を娶つて同棲しているほどであるから、以上の事実は正に被告Y1との婚姻を継続し難い重大な事由に該当し、ここに被告Y1との離婚を求める。


 又、前述のような被告等の所行により5年有余の間全く苦悶の裡に日を過し、挙句の果には離婚の破局に陥つた原告としては、その受けた精神上の苦痛は真に甚大であつて、被告Y2が田2反歩、畑5反余及び家屋敷を所有し、米麦等の外花の裁培をし、且つパチンコ遊戯場を経営し、以上の収入相当な高額に上り、被告Y1は無資産なるも右の農耕に専ら従事しているものである事情に照し、右の慰藉料は金16万5000円が相当であるから、共同不法行為者である被告等に対しこれが連帯支払を求める。

 更に又、原告は、被告Y1と共に5年4箇月の間専ら右農耕に努力してきたものであるから、被告Y1に対し離婚に伴う財産の分与として金16万円の支払を求める。

 なお、被告Y1は被告Y2と同居して前叙のように専ら被告Y2の農耕に従事し、それによる収益は全部被告Y2が収得しているのであるから、被告Y2は、法律上の原因なくして被告Y1の労務によつて不当に利得し被告Y1に損害を及ぼしているわけであり、その額は少くとも金16万円は存在するので、被告Y1は被告Y2に対しこれが返還請求権を有するものである。

 ところが、被告Y1は該権利を行使しないし、且つ同被告が全然無資産であることは前叙のとおりであるから、原告は、被告Y1に対する右財産分与としての金16万円の債権者として、該債権保全のため被告Y1に代位して、被告Y2に対し金16万円の返還を求める。
 以上のため本訴請求に及んだ。」と陳述し、

 被告の反訴請求に対する答弁として、「被告主張の事実中、原、被告がその主張の日婚姻し、爾来同居していたこと、原告が被告主張の日家出したことは認めるけれども、その余を否認する。原告が家出するに至つた事情は、原告が本訴において主張した事情に基くものであつて、被告主張の事情では全然ない。」と述べた。

 (省略)

 被告等訴訟代理人は、本訴について、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を、被告Y1の反訴請求の趣旨として、「被告Y1と原告とを離婚する。原告は被告Y1に対し金10万円を支払え。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、本訴請求に対する答弁として、「原告主張の事実中、被告Y1が原告と原告主張の日訴外Aの媒酌により婚姻し、爾来被告Y1の実父Y2の許に同居していたこと、原告が原告主張の日家出し訴外B造方に身を寄せたこと、原告主張の調停事件が不調に終つたこと、被告Y2が原告主張の田畑(但し畑は3反歩余)、家屋敷を所有し、パチンコ遊戯場を経営していること、及び被告Y1が無資産でその家業の農業に従事していることは認めるけれども、その余を争う。

 従つて、原告から、被告Y1に対して離婚を求める理由はないばかりでなく,かえつて、被告Y1が反訴請求において述べるように同被告から、原告に対して離婚を請求する理由があるから、原告の本訴請求は理由がない。」と陳述し、

 被告の反訴請求の原因として、「被告Y1は、昭和22年3月19日原告と婚姻し、爾来被告Y2等と同居し家業の農業に従事してきた。ところが、原告は、当初からとかく農業に従事することを嫌つて家婦としての努めを怠り最近に至つて訴外C夫婦の誘惑により安易な生活への方法として被告Y1に対し被告Y2から財産の分与を受けて夫婦のみで他の仕事に転換すべきことを奨め、親孝行者である被告Y1においてこれに応じなかつたところから、遂に意を決し昭和27年7月18日無断家出し、C方に身に寄せるに至つた。そこで、被告Y1は、同Y2等と共に原告に情を尽してその不心得を悟し帰宅を促したのであるが、原告において強情にこれに応ぜず、果てはその居所を転輾として行衛をくらまし、遂に施す術もなくなつて現在に至つている。

 かような次第で、原告は被告Y1の妻としての努めを果さないのであるから、被告Y1には原告との婚姻を継続し難い重大な事由があるわけである。よつてここに原告との離婚を求める。

 又、被告Y1は、右の原告の不法行為により離婚の己むなきに至り、そのために原告との婚姻に関し要した諸費用及び原告に与えた衣類代合計金5万円の損害を蒙つたからこれが賠償と被告Y1が蒙つた精神上の苦痛に対し慰藉料として金5万円の支払を求める。」と陳述した。

 (省略)

理   由

(省略)

(裁判官 中池利男)
以上:3,666文字
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R 1-10-15(火):離婚訴訟に併合提起した損害賠償請求の訴えを適法とした最高裁判決紹介
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○「不貞行為損害賠償請求事件の地裁から家裁への移送認めた最高裁決定紹介」の続きです。
人事訴訟法第17条(関連請求の併合等)の関連損害賠償請求は、人事訴訟の当事者の一方から他方に対する請求に限られず,第三者に対する請求であってもよいとされています(昭和33年1月23日最高裁判決、最高裁判所裁判集民事30号131頁)と説明していました。この説明に引用した昭和33年1月23日最高裁判決(最高裁判所裁判集民事30号131頁)全文を紹介します。

○夫の父親が妻に対し、屡々不倫の言動に出るのに対し、妻が独力でこれをやめさせることが困難であるにかかわらず、夫がこれを放置して何等の措置も講じなかつたことが、夫に対する離婚請求の原因となつている場合には、この離婚原因と同一事実を請求原因とする夫および夫の父親に対する損害賠償請求の訴は、離婚の訴と併合して提起することができることを認めたものです。

参考条文は以下の通りです。
(旧)人事訴訟手続法第7条(訴えの併合、反訴の提起)
 婚姻ノ無効ノ訴、其取消ノ訴、離婚ノ訴及ヒ其取消ノ訴ハ之ヲ併合シ又ハ反訴トシテ之ヲ提起スルコトヲ得
② 他ノ訴ハ之ヲ前項ノ訴ニ併合シ又ハ其反訴トシテ提起スルコトヲ得ス但訴ノ原因タル事実ニ因リテ生シタル損害賠償ノ請求及ヒ婚姻事件ニ附帯シテ為ス縁組ノ取消、離縁又ハ其取消ノ請求ハ此限ニ在ラス


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主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理   由
上告代理人弁護士○○○○の上告理由第一点について

 離婚の原因たる事実に因つて生じた損害賠償の請求を離婚の訴と併合して提起できることは、人事訴訟法7条2項但書前段の明定するところであるが、右にいう損害賠償の請求とは、ただに離婚の相手方に対するものだけでなく、離婚の相手方と共同不法行為の関係にある第三者に対する損害賠償の請求の如きものを包含するものと解するを相当とする(尤も右共同不法行為が離婚原因を構成する場合たることを要することは勿論である)。

 けだし、人事訴訟法7条2項本文が人事訴訟と通常訴訟との併合提起を禁止しているのは、右併合訴訟を無制限に許すときは両訴訟が性質、手続を異にする関係上審理のさくそう遅延を来すのおそれあるが為めに外ならない処、前示のような損害賠償の請求と離婚の訴とを併合提起しても、立証その他について便宜こそあれ、これが為めに特に審理のさくそう遅延を来すおそれはなく、従つてこのような訴の併合提起は、右規定の趣旨に毫末も牴触するものとは認め難いからである。

 さすれば、叙上と同一見解の下に上告人両名の共同不法行為を離婚原因の中核とする本件離婚の訴と右共同不法行為に基く本件慰藉料請求の訴との併合提起は右人事訴訟法の規定に違反するものでないとした原判決の判断は正当であつて、これに反する所論は独自の見解に座するもので採るを得ない。

同第2、3点について
 原判決はその挙示する証拠によつて認められる判示事実関係の下においては上告人両名は被上告人に対し、結局において共同不法行為者たるの責任を免れ得ないものとの趣旨を判断しているのであつて、この判断は当裁判所も正当としてこれを支持する。所論は、上告人Y1において上告人Y2の判示不倫行為を知らなかつたが故に上告人Y1に上告人Y2の不倫行為を防止すべき義務はなかつた筈であるというが、原判示の前示事実関係に徴すれば、上告人Y1は上告人Y2の判示不倫行為を夙に知つていたものと認められるばかりでなく、上告人Y1に父たる上告人Y2の自己の妻に対する不倫行為を防止すべき法律上の義務ありや否やの点はともあれ、原判示のような事実関係である以上は、上告人Y1において共同不法行為者としての責を到底免れ得ないものと認めるを相当とする。

 なお、原判決がその判示のような事実関係の下においては、上告人Y1の被上告人に対する離婚請求権を是認できないとした判断は正当であつて、この場合父たる上告人Y2に自己の妻に対する判示不倫行為があるからと云つて、婚姻を継続し難い重大な事由ありとして右離婚請求権を是認することはできない。所論も亦独自の見解に座するものでしかない。以上のとおりであるから所論はすべて採用に価しない。
 よつて、民訴401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

上告人代理人○○○の上告理由
第一点 原判決は人事訴訟手続法第7条の訴併合禁止の規定に違反して上告人Y2に対す損害賠償請求訴訟を併合審理したる違法がある。
 婚姻事件は公益上の必要又訴自身の性質上通常事件の訴訟手続と異なる訴訟手続を必要とするため人事訴訟手続法の特例があつて之を審理することとなつているが、其の第7条に訴の併合等を禁止するのは独逸法に於ける民事訴訟法第615条の趣旨を受継いだものと考えられる。

 而して独逸民事訴訟法第615条は「同居を求むる訴、離婚の訴及婚姻取消の訴は之を併合することを得、此等の訴と他の訴との併合及他の種類の反訴の提起は之を為すことを得ず」(現代外国法典叢書独逸民事訴訟法2巻)とあつて我国人事訴訟手続法第7条第2項但書の如き例外を全然認めていないのである。
 之れは婚姻事件を集中統一審理すると共に其の手続の統一性を確保し審理の正確を期せんとするものであるからである。

 故に我人事訴訟手続法第7条第2項但書に於て「訴の原因たる事実に因りて生じたる損害賠償の請求」の併合を許すのは厳格に解すべきであつて離婚訴訟の場合に於ては其の当事者間の場合に於てのみ訴訟経済上許さるべきであり、如何に原因事実が同一であると認めても第三者に対する損害賠償の訴を併合することは審理手続の統一を甚だしく阻害することとなつて許さるべきではない。
 例えば和諧による手続の中止、又は和諧の成立による場合第三者に対する損害賠償の訴は如何なる運命になるかの一事を考えても首肯せら
れるのである。
 原判決は本件上告人Y2に対する損害賠償請求は上告人Y1に対する離婚訴訟の「原因たる事実に因り生じたる」ものとしているが判示にも示す如く離婚原因は上告人Y2の不倫行為と上告人Y1のこれを放置した事実との結合により成り立つとしているから、上告人Y2の不倫行為だけでは訴の原因たる事実の一部であつて離婚訴訟の原因たる事実ではないのであるから原審は此の点の解釈も誤つて併合したこととなる。
 以上の理由により上告人Y2に対する損害賠償請求の訴の併合は許されず従つて上告人両名の損害賠償の範囲並に其の額にも影響があるから原判決は破毀さるべきである。

第二点 原判決は上告人Y1は上告人Y2の不倫行為を防止する努力を怠つた責があるから離婚請求の権利はないと判示しているが、本件の場合その様な責任を認め得るものではない。又被上告人に於ても責任があるから上告人Y1の離婚請求権を認めないのは違法である。

 原判決は実父Y2の不倫行為に対して上告人Y1は父親を諫止するとか、なお肯かれないときは父と別居して禍根を絶つという不倫行為の防止努力の義務(婚姻より生ずる夫の義務)があるとしているが上告人Y1に於て親父に不倫行為があると信じないのに果して斯如き法律上の義務があるとは考えられない。

 上告人Y2は極力不倫行為を否認して居り其の子として其の現場を見た訳でもないので只単に被上告人の屡々の訴えはあつても世間に稀有の事であり又被上告人は以前より上告人主張の様な事情にて別居を望んでいたのであるから,上告人Y1は親の判示の如き不倫行為を信じ切れないのであるし、判示も上告人Y1が不倫行為ありと信じたとは認定していないのである。かかる状況の下に於て上告人Y1は父親に対し諫止出来るか、又はY1は父親の田畑を耕作する唯一人の男子であり其他に生活の方法を持たないのに別居の決断が出来るか、親子の情として出来ない事を夫婦共同体の義務であるとは信じられないのである。

 寧ろ上告人Xは実姉の下に身を寄せた際に於て上告人Y1の来訪を暴力を以つて拒絶させるようの態度を取らず其後転々として居所を隠すことなく、莞爾として之を迎え其の善後策を講じても遅くはなかつたのであるに係らず、それをなさなかつたことにこそ終局的に本件婚姻の破綻を来したと云うべきである。 
 故に如斯義務があるとすればそれは夫婦相方にあるのであるから上告人Y1の離婚請求権を認むべきである。

 判示は上告人Y2の責任を問うにつき上告人Y1を連子したる感があるのは之れを併合審理したのによる責任主義の捨て切られない所にあると信ぜられるが現行民法が破綻主義に移行しているのであるから上告人Y2の不倫行為を以つて婚姻を継続し難い重大なる事由ありとして夫婦相方に離婚請求権を認めてもよいと信ぜられる、之の点に於て原審は法令の解釈を誤つている。

第三点 原判決は上告人Y1の婚姻より生ずる義務違反に基き慰藉料の支払義務を認めているのは違法である。
 前述の如く上告人Y1には上告人Y2の不倫行為を防止すべき夫としての義務は本件の場合ないのであるから上告人Y2と連帯して慰藉料の支払義務は生ぜないのである。仮に判示の如き事実により支払義務がありとするも其の事実を異にし被上告人に対する打撃の度合を異にするから同額を連帯すべき理由はない。
 以上
以上:3,878文字
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R 1-10-14(月):不貞行為損害賠償請求事件の地裁から家裁への移送認めた最高裁決定紹介
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○「不貞行為損害賠償請求事件の地裁から家裁への移送認めた高裁決定紹介」の続きで、その許可抗告審である平成31年2月12日最高裁決定(判タ1460号43頁)を紹介します。

○先ず事案概要復習です。
・配偶者Aが、夫Xに対し横浜家裁に離婚訴訟を提起
・XはAはYと不貞行為をした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求める
・XはYに対し、Aとの不貞行為を理由に損害賠償請求を横浜地裁に提起
・原々審横浜地裁は、人事訴訟法8条1項に基づき横浜家裁に移送決定
・Xが即時抗告するも原審は棄却し、Xが許可抗告の申立
・最高裁も許可抗告申立を棄却


○損害賠償請求訴訟については,地裁又は簡裁に管轄があります(裁判所法24条1号,33条1項1号)が、人事訴訟法(人訴法)は,「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求」(関連損害賠償請求)について家庭裁判所に管轄を認めています。
裁判所法第24条(裁判権)
 地方裁判所は、次の事項について裁判権を有する。
一 第33条第1項第一号の請求以外の請求に係る訴訟(第31条の3第1項第二号の人事訴訟を除く。)及び第33条第1項第一号の請求に係る訴訟のうち不動産に関する訴訟の第一審


○人訴法17条1項は,人事訴訟の請求と関連損害賠償請求は一の訴えですることができる旨を定め,同条2項は,関連損害賠償請求の訴えは人事訴訟が係属している家裁に対して提起することができる旨を定め,人訴法8条1項は,人事訴訟が係属している場合において,関連損害賠償請求の訴えが第1審裁判所に提起されたときは,その第1審裁判所は関連損害賠償請求訴訟を上記人事訴訟が係属する家庭裁判所に移送することができる旨を定めており,それぞれの場合において家庭裁判所が関連損害賠償請求訴訟について自ら審理及び判断することができる旨を定めています。

人事訴訟法第17条(関連請求の併合等)
 人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第136条の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3 第8条第2項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する


○これらの人訴法の各規定の趣旨は,関連損害賠償請求が人事訴訟の請求原因事実を基礎とするものであり,両者の審理判断において主張立証の観点から緊密な牽連関係があり,関連損害賠償請求を人事訴訟の請求と併合し,又は反訴の提起をすることを許すことについては,当事者の立証の便宜及び訴訟経済に合致し,しかも人事訴訟の審理に別段の錯そう遅延を生ずるおそれはないことから,関連損害賠償請求を人事訴訟に併合して審理できるようにしたものです(小野瀬厚・岡健太郎「一問一答新しい人事訴訟制度」36頁)。

○関連損害賠償請求の典型例は、原告が配偶者である被告に対して不貞行為を原因とする離婚請求をした場合における,原告の被告に対する上記不貞行為を原因とする慰謝料請求があります。また、離婚訴訟の被告が離婚請求が認容された場合の予備的反訴として離婚慰謝料請求をすることも実務上しばしばみら、このような離婚慰謝料請求も関連損害賠償請求に当たります。関連損害賠償請求は、人事訴訟の当事者の一方から他方に対する請求に限られず,第三者に対する請求であってもよいとされています(昭和33年1月23日最高裁判決、最高裁判所裁判集民事30号131頁)。

○離婚訴訟の被告が,原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求めている場合,同訴訟において,不貞行為の有無や不貞行為より前に婚姻関係が破綻していたかなどといった点が審理されることとなるのが通常で、これらの点は,被告の上記第三者を相手方として提起した上記不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟における審理内容と重複するものであり,これらの訴訟を同一手続で審理することが当事者の立証の便宜に資し,訴訟経済にかなう場合が多いものと考えらます。

○離婚訴訟の被告が,原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求めている場合において,不貞行為第三者を相手方とする損害賠償請求訴訟を離婚訴訟の係属する家庭裁判所に提起した場合、家庭裁判所は,受理して地方裁判所への移送をしないとの取扱いがされています。

***************************************

主   文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。

理   由
1 抗告代理人○○○○らの抗告理由1について

 人事訴訟法8条1項は,家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第1審裁判所は,相当と認めるときは,申立てにより,当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができることなどを規定している。その趣旨は,人事訴訟と審理が重複する関係にある損害賠償に関する請求に係る訴訟について,当事者の立証の便宜及び訴訟経済の観点から,上記人事訴訟が係属する家庭裁判所に移送して併合審理をすることができるようにしたものと解される。

 上記の趣旨に照らせば,離婚訴訟の被告が,原告は第三者と不貞行為をした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求めている場合において,上記被告が上記第三者を相手方として提起した上記不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟は,人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟」に当たると解するのが相当である。

 これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。 

2 同2について
 論旨は,原審の裁量に属する移送の相当性についての判断の不当をいうものであるところ,所論の点に関する原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 岡部喜代子 裁判官 山崎敏充 裁判官 戸倉三郎 裁判官 林景一 裁判官 宮崎裕子)
以上:2,734文字
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R 1-10-13(日):不貞行為損害賠償請求事件の地裁から家裁への移送認めた高裁決定紹介
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○「不貞行為損害賠償請求事件の地裁から家裁への移送認めた地裁決定紹介」の続きで、その抗告審である平成30年6月6日東京高裁決定全文を紹介します。
 妻Aが原告となってから離婚訴訟を提起されている抗告人が、自分が原告として妻の間男を被告として損害賠償請求をしている事件と、自分が被告になっている離婚訴訟事件を併合して審理することを頑強に拒もうとしたのですが、東京高裁も、訴訟経済に適うとして、抗告人の主張を退けました。

○妻からの離婚請求を有責配偶者として争うこと、また、妻の間男に対する損害賠償請求、いずれも日本特有の紛争であり、文明国家としての世界的レベルからは、いずれも認められない事案であり、そもそも訴訟にならない事案です。せめて訴訟は訴訟経済に適う合理的方法で行うのは当然です。

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主   文
1 本件抗告をいずれも棄却する。
2 抗告費用は抗告人の負担とする。

理   由
第1 抗告の趣旨及び理由

 別紙「抗告状」及び「抗告理由書」に記載のとおりである。

第2 事案の概要
1 基本事件は,抗告人が相手方に対して抗告人の妻であるA(以下「A」という。)との不貞行為に基づく損害賠償を求める事案であり,横浜家庭裁判所には,Aが抗告人を被告として提訴した離婚等を求める訴訟(同裁判所平成29年(家ホ)第341号,以下「別件訴訟」という。)が係属しており,別件訴訟において,抗告人は,Aが相手方と不貞行為を行ったことなどから,有責配偶者に当たり,離婚は認められないと主張して争っている。

2 本件は,相手方が,基本事件と別件訴訟においては,抗告人とAの婚姻関係及び相手方とAの不貞の有無がともに重要な争点になると思われ,訴訟経済,判断の矛盾の防止,当事者の負担の軽減等を考慮すれば,基本事件を横浜家庭裁判所に移送し,別件訴訟と併合審理をすることが適切であるとして,移送を求めた事案である。

3 原決定は,基本事件を横浜家庭裁判所に移送する旨の決定をしたことから,これを不服とする抗告人が抗告した。

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も,原審と同様,基本事件は横浜家庭裁判所に移送されるべきであると判断する。その理由は,次項のとおり,抗告理由に対する判断を補足的に示すほかは,原決定の「理由」(原決定1頁19行目から2頁16行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。


(1)抗告人は,別件訴訟においては,相手方とAの不貞の有無が請求原因事実になっておらず,人事訴訟法8条1項に該当しないと主張する。
 しかしながら,一件記録によれば,抗告人はAが有責配偶者に当たり,離婚は認められないと主張して争っていることが認められるから,別件訴訟においても,既に相手方とAの不貞の有無が争点の1つとなっており,その点について,別件訴訟の判断と基本事件の判断が矛盾する危険性が顕在化している。

 そして,こうした事実に加え,人証等の取調べ等の訴訟経済の観点からしても,人事訴訟法8条1項が制定された趣旨に照らせば,本件は,同項に該当し,そうでないとしても類推適用できる事案であるというべきである。したがって,この点についての抗告人の主張は理由がない。

(2)抗告人は,本件については,移送の相当性が認められないと主張する。
 基本事件においては,抗告人とAの婚姻関係及び相手方とAの不貞の有無が争点になるものと思料されるところ,一件記録によれば,別件訴訟においても,同様な点が争点となっていると認められる。そして,その解明のためには,抗告人,相手方及びAを人証として尋問をすることが想定されるところ,基本事件及び別件訴訟を併合して審理を行うことが訴訟経済に適うことはいうまでもなく,各人証の代理人弁護士が任に当たっている以上,訴訟に参画して,主尋問,反対尋問の機会を得ることが各当事者の権利擁護のために相当であるというべきである(もっとも,この点の不利益については,A,相手方の代理人弁護士が基本事件,別件訴訟に補助参加人の代理人として関与することで,その問題は解消されないでもないが,手続として却って煩瑣になり,また,訴訟経済にも適わなくなるので,相当でない。)。

 そして,一件記録によれば,別件訴訟においては,既に抗告人とAの各陳述書が提出され,人証申請もなされている状況にあり,別件訴訟のその余の争点についての判断のために基本事件の審理が著しく遅延するという状況にない。
 そうすると,この点についての抗告人の主張も理由がない。

第4 結論
 以上のとおり,原決定は相当であり,本件抗告は理由がないから,これらをいずれも棄却することとして,主文のとおり決定する。
(東京高等裁判所第1民事部)

別紙
抗告理由書


 抗告人が主張する原決定の取消事由は以下の通りである。
第1 原決定は人事訴訟方8条1項の解釈及び適用を誤っていること
1 原決定の判断

 原決定は、抗告人と抗告人の妻との間の離婚等請求訴訟(以下「本件離婚訴訟」と言う。)が横浜家庭裁判所に係属しており、同訴訟において、有責配偶者からの離婚請求として信義則上許されないかどうかが離婚原因の存否に直結する主要な争点となっていることを理由に、「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求」に当たると判断している。
 しかし、上記原決定の判断は、人事訴訟法8条1項の解釈及び適用を誤っているものである。

2 人事訴訟法8条1項の趣旨
 人事訴訟法8条1項は、関連損害賠償請求が人事訴訟の請求原因事実を基礎とするものである場合に、当事者の立証の便宜及び訴訟経済に合致し、人事訴訟の審理に別段の錯綜遅延を生ずるおそれがないことから、同種の訴訟手続きによる請求相互間の併合のみを認める民事訴訟法136条の特例として管轄を認める規定である。
 以上の法の趣旨から、人事訴訟法8条1項に基づいて移送をするか否かを判断する際には、関連損害賠償請求が人事訴訟における請求原因事実を基礎とするものであるか否かを慎重に検討する必要がある。

3 本件では、関連損害賠償請求が請求原因事実を基礎とするものではないこと
 原決定は、主たる争点と離婚原因である請求原因事実との関係性に基づき、人事訴訟法8条1項に該当すると判断している。
 しかし、有責配偶者に該当するか否か、本件においては不貞行為が存在するか否かという点は、婚姻関係が破綻していることを前提として、その有責性がいずれにあるかというものであり、請求原因事実そのものではなく、また、請求原因事実に直結するものでもない。
 また、本件離婚訴訟における請求原因事実である婚姻関係破綻を基礎付ける事実に基づいて、本件における基本事件である損害賠償請求の主張がなされているわけでもない。

 さらに、原決定の判断を肯定した場合、有責配偶者(であると主張されている夫または妻)から他方配偶者に対する離婚等請求訴訟が提起されており、かつ、有責性を主張している他方配偶者から不貞相手に対する慰謝料請求訴訟が提起されている事案では、常に移送及び併合が認められることになりかねない。

 このように広く移送及び併合が認められる事態は、人事訴訟法8条1項が民事訴訟法136条の特例として例外的に管轄を認める趣旨に反するものである。
 以上からすると、原決定は、主たる争点の共通性のみに基づき人事訴訟8条1項の該当性を判断しており、同条項の解釈及び適用を安易に行っているものであって、取り消されるべきである。

第2 本件における移送には相当性が認められないこと
1 人事訴訟法8条1項の「相当と認めるとき」の解釈
 前述したように、人事訴訟法8条1項は民事訴訟法136条の特例として例外的に管轄を認める条項である。
 そして、特例であるが故に、当事者の管轄の利益や審理の錯綜遅延のおそれを十分に考慮する必要があるため、同条項は、「相当と認めるとき」のみ移送をすることができると規定している。
 したがって,「相当と認めるとき」の判断は、一層慎重になされるべきである。

2 原決定の判断が不適切であること
 原決定は、本件における基本事件が「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求」に該当することを前提として、「横浜家庭裁判所における審理経過その他一件記録に現れた一切の事情を考慮しても、移送の相当性に関する上記判断を左右するものはない。」と判示している。 

 しかし、原決定の上記判断は、本件における基本事件が本件離婚訴訟に併合された場合の審理の錯綜及び遅延の検討をしておらず、不適切なものである。
 主たる争点が共通であることのみをもって、審理の錯綜及び遅延が生じないと即断することはできないため、原決定は安易に相当性を認めているというべきであり、取り消されるべきである。

3 仮に移送及び併合がされた場合について
 本件では、本件離婚訴訟において、抗告人は抗告人妻に対して慰謝料請求等の反訴を提起していない。
 抗告人が反訴を提起していない以上、仮に本件における基本事件を移送したとしても、相手方は本件離婚訴訟の共同原告にも共同被告にもなり得ない。
 そうすると、本件における基本事件を本件離婚訴訟に併合する場合、三面訴訟の形態にならざるを得ず、三面訴訟にするための手続上の問題を含め、本件離婚訴訟の進行が相当程度遅延し、審理の錯綜が生じることは明らかである。
 したがって、原決定は取り消されるべきである。
 なお、人事訴訟法8条に基づき移送及び併合がされた場合に、抗告人から抗告人妻に対する反訴の提起が強制されるような事態はあり得ないことを付言する。

第3 総括
 以上のように、原決定には、人事訴訟方8条1項の解釈・適用を誤っており、かつ、本件では移送の相当性が認められない。
 したがって、本件では移送が認められるべきではなく、原決定は取り消されるべきである。

以上:4,088文字
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R 1-10-12(土):不貞行為損害賠償請求事件の地裁から家裁への移送認めた地裁決定紹介
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○原告Xが被告Yに対し、原告妻Aとの不貞行為を理由に横浜地裁に慰謝料請求の訴えを提起したところ、被告Yからの地裁から家裁への移送の申立がなされ、その移送を認めた平成30年4月18日横浜地裁決定(最高裁判所民事判例集73巻2号112頁、家庭の法と裁判21号68頁)全文を紹介します。

○原告Xの妻Aは、Xに対し、横浜家裁に離婚訴訟を提起し、Xは、Aは有責配偶者であり、信義則上離婚は認められないとAの請求を争い審理が続いていたところに、原告Xが妻の間男である被告Yに慰謝料請求の訴えを提起し、被告Yが「原告とAのこれまでの婚姻関係、及び被告とAの不貞の有無が、共に重要な争点になると思われる。そうすると、いずれも原告、被告、Aの尋問は不可欠と思われ、本訴でもAには当初から関与して主張等をしてもらった方が、真相の把握に資する。」として、地裁から家裁への移送を求めました。

○移送によって、「移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。」とされ、AからXへの離婚訴訟と、XからYへの慰謝料請求訴訟が併合審理されて、真相解明に資することになり、訴訟経済上合理的です。妥当な決定と思います。

人事訴訟法第8条(関連請求に係る訴訟の移送)
 家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2 前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。


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主   文
基本事件を横浜家庭裁判所に移送する。

理   由
1 申立ての趣旨及び理由

 本件移送申立ての趣旨及び理由は,別紙「移送申立書」の写しに記載のとおりである。

2 当裁判所の判断
 一件記録によれば,
(1)基本事件は,相手方が,申立人に対し,相手方の妻であるA(以下「A」という。)との不貞行為に基づく損害賠償を求める事案であること,
(2)Aが,相手方に対し,民法770条1項5号所定の離婚事由に基づく離婚,離婚慰謝料を求め,養育費及び財産分与の附帯処分を申し立てた訴訟が横浜家庭裁判所に係属
しているところ(横浜家庭裁判所平成29年(家ホ)第341号),同訴訟において,有責配偶者からの離婚請求として信義則上許されないかどうかが主要な争点となっており,これについて争点及び証拠の整理が行われていることが認められる。

 これによると,基本事件に係る請求は,人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求」に当たるというべきであり,同項に基づき,基本事件を横浜家庭裁判所に移送するのが相当である。 

 これに対し,相手方は,基本事件に係る請求は,人事訴訟法8条1項にいう「人事訴訟に係る請求の原因である事実」を基礎とするものとは評価できず,同項にいう「相当と認めるとき」にも当たらないと主張する。

 しかしながら,上記認定事実によれば,横浜家庭裁判所に係属する離婚訴訟において,有責配偶者からの離婚請求として信義則上許されないかどうかが離婚原因の存否に直結する主要な争点となっているというのであり,このような場合において,離婚訴訟の被告が,その配偶者との離婚を希望しないことから離婚請求等の反訴を提起することなく,不貞行為の相手方に対する損害賠償請求に係る訴えを提起するときは,その請求を「人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた」ものと解するのが相当である。

 また,横浜家庭裁判所における離婚訴訟の審理経過その他一件記録に現れた一切の事情を考慮しても,移送の相当性に関する上記判断を左右するものはない。相手方の主張は採用できない。

3 よって,本件移送申立ては理由があるから,人事訴訟法8条1項に基づき,主文のとおり決定する。
(横浜地方裁判所第2民事部)

別紙

平成30年(ワ)第556号 損害賠償請求事件

原告 Y
被告 X

移送申立書
平成30年3月12日
横浜地方裁判所第2民事部ろ係B 御中
被告訴訟代理人 弁護士 ○○○○

第1 申立ての趣旨
 本件を横浜家庭裁判所に移送する。
との裁判を求める。

第2 申立ての理由
1 人事訴訟法8条1項は,「家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。」とし、同条2項は、「前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。」とする。

2 横浜家庭裁判所では、原告の妻であるA(以下「A」という)から原告に対する離婚等請求事件(平成29年(家ホ)第341号。甲5)が係属しており、同時に御庁においては、本訴が係属している。この両訴訟においては、原告とAのこれまでの婚姻関係、及び被告とAの不貞の有無が、共に重要な争点になると思われる。そうすると、いずれも原告、被告、Aの尋問は不可欠と思われ、本訴でもAには当初から関与して主張等をしてもらった方が、真相の把握に資する。また、訴訟経済、判断の矛盾の防止、当事者の負担の軽減等も考慮すれば、移送・併合審理が適切である(横浜地決平成25年2月20日(裁判所ウェブサイト掲載裁判例)参照)。

3 よって、申立ての趣旨に記載の通り、申し立てる。
以上
以上:2,534文字
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R 1-10-11(金):再転相続における熟慮期間開始時について判断した最高裁判決紹介
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○民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうとした令和元年8月9日最高裁判決(裁時1729号1頁)全文と、その報道を紹介します。

○事案概要は以下の通りです。
・h24.6.30Aが死去し、妻子が相続放棄し、兄弟姉妹の一人BのみがAの地位を相続
・h24.10.29BはAの相続人なったことを知らず、Aの相続を放棄しないまま死去
・h27.11.11Aの債権承継人がC(被上告人)に債務名義承継執行分を送達し、CはAの相続人となっていたことを知る
・h28.2.5CはAの相続について相続放棄申述(h27.11.11から3ヶ月の熟慮期間内)
・CがAに対する債務名義に基づくCへの強制執行を許さないことを求める執行文付与に対する異議申立
・原審は、熟慮期間はCが、BからAの相続人としての地位を承継した事実を知った時から起算され,本件相続放棄は熟慮期間内にされたものとして有効と判断
・Aへの債権承継者が上告


○原審と最高裁判決は、結論は同じですが、熟慮期間開始時について原審が本件では民法第916条は適用されず、Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間の起算点は,同法915条によって定まるとしたのに対し、最高裁は、本件も民法第916条が適用され、同条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきであるとして、本件送達の時から熟慮期間が開始するとしました。

民法
第915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)
 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
第916条
 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第1項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。


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債務放棄、把握から3カ月以内=2次相続めぐり初判断-最高裁
8/9(金) 16:13配信時事通信


 父親が親族の債務の相続人になったことを知らないまま死亡し、約3年後、債務を2次相続したとして不動産競売手続きの通知を受けた女性が相続放棄できるか否かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は9日、債務把握から3カ月以内であれば放棄できるとの初判断を示した。

 1次相続人が相続の承認、放棄の意思表示をしないまま死亡した場合、2次相続人が放棄できる期間(3カ月)の起算点はいつになるのかが争点。通説では「父親が死亡したとき」とされ、初判断は相続実務や債権回収現場に影響を与えそうだ。

 菅野裁判長は「民法は、2次相続人の認識に基づき、1次相続を承認または放棄する機会を保障している」と指摘した上で、3カ月の起算点について、「承認、放棄しなかった相続の相続人としての地位を承継した事実を知ったとき」と判示。女性が競売の通知を受けたときを起算点とし、父親の死後3年以上経過してから行われた相続放棄を有効と結論付けた。

 判決などによると、父親の兄は2012年6月、多額の債務を抱えたまま死亡し、兄の子らは同9月に相続放棄。父親が相続人となった。

 しかし、父親は自分が相続人になったことを知らず、放棄するか否かの意思表示をしないまま同10月に死亡。女性は15年11月、不動産競売に関する通知で債務を把握し、3カ月が経過する前の16年2月に相続放棄の手続きを取った


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主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理 由
上告代理人瀬戸祐典,上告復代理人岸田麻希の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
1 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 株式会社みずほ銀行は,南大阪食肉市場株式会社に対して貸金等の支払を求めるとともに,A外4名に対し,上記貸金等に係る連帯保証債務の履行として各8000万円の支払を求める訴訟を提起した。平成24年6月7日,みずほ銀行の請求をいずれも認容する判決が言い渡され,その後,同判決は確定した(以下,この判決を「本件確定判決」という。)。

(2)
ア Aは,平成24年6月30日,死亡した。Aの相続人は,妻及び2名の子らであったが,同年9月,当該子らによる相続放棄の申述が受理された。

イ 上記の相続放棄により,Aのきょうだい4名及び既に死亡していたAのきょうだい2名の子ら7名(合計11名)がAの相続人となったが,平成25年6月,これらの相続人のうち,B(Aの弟)外1名を除く9名による相続放棄の申述が受理された。

(3) Bは,平成24年10月19日,自己がAの相続人となったことを知らず,Aからの相続について相続放棄の申述をすることなく死亡した。Bの相続人は,妻及び子である被上告人外1名であった。被上告人は,同日頃,被上告人がBの相続人となったことを知った。

(4) みずほ銀行は,平成27年6月,上告人に対し,本件確定判決に係る債権を譲渡し,南大阪食肉市場に対し,内容証明郵便により上記の債権譲渡を通知した。

(5)
ア 上告人は,平成27年11月2日,本件確定判決の正本(以下「本件債務名義」という。)に基づき,みずほ銀行の承継人である上告人が,Aの承継人である被上告人に対して本件債務名義に係る請求権につき32分の1の額の範囲で強制執行することができる旨の承継執行文の付与を受けた。

イ 被上告人は,平成27年11月11日,本件債務名義,上記承継執行文の謄本等の送達(以下「本件送達」という。)を受けた。被上告人は,本件送達により,BがAの相続人であり,被上告人がBからAの相続人としての地位を承継していた事実を知った。

(6) 被上告人は,平成28年2月5日,Aからの相続について相続放棄の申述をし,同月12日,上記申述は受理された(以下,この相続放棄を「本件相続放棄」という。)。

2 本件は,被上告人が,上告人に対し,本件相続放棄を異議の事由として,執行文の付与された本件債務名義に基づく被上告人に対する強制執行を許さないことを求める執行文付与に対する異議の訴えである。甲が死亡し,その相続人である乙が甲からの相続について承認又は放棄をしないで死亡し,丙が乙の相続人となったいわゆる再転相続に関し,民法916条は,同法915条1項の規定する相続の承認又は放棄をすべき3箇月の期間(以下「熟慮期間」という。)は,「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算する旨を規定しているところ,本件では,Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間がいつから起算されるかが争われている。

3 原審は,前記事実関係等の下において,次のとおり判断して,被上告人の請求を認容すべきものとした。
 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,丙が自己のために乙からの相続が開始したことを知った時をいう。しかしながら,同条は,乙が,自己が甲の相続人であることを知っていたが,相続の承認又は放棄をしないで死亡した場合を前提にしていると解すべきであり,BがAの相続人となったことを知らずに死亡した本件に同条は適用されない。Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間の起算点は,同法915条によって定まる。Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間は,被上告人がBからAの相続人としての地位を承継した事実を知った時から起算され,本件相続放棄は熟慮期間内にされたものとして有効である。

4 しかしながら,民法916条の解釈適用に関する原審の上記判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
(1) 相続の承認又は放棄の制度は,相続人に対し,被相続人の権利義務の承継を強制するのではなく,被相続人から相続財産を承継するか否かについて選択する機会を与えるものである。熟慮期間は,相続人が相続について承認又は放棄のいずれかを選択するに当たり,被相続人から相続すべき相続財産につき,積極及び消極の財産の有無,その状況等を調査し,熟慮するための期間である。そして,相続人は,自己が被相続人の相続人となったことを知らなければ,当該被相続人からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することはできないのであるから,民法915条1項本文が熟慮期間の起算点として定める「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,原則として,相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が相続人となった事実を知った時をいうものと解される(最高裁昭和57年(オ)第82号同59年4月27日第二小法廷判決・民集38巻6号698頁参照)。

(2) 民法916条の趣旨は,乙が甲からの相続について承認又は放棄をしないで死亡したときには,乙から甲の相続人としての地位を承継した丙において,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することになるという点に鑑みて,丙の認識に基づき,甲からの相続に係る丙の熟慮期間の起算点を定めることによって,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障することにあるというべきである。

再転相続人である丙は,自己のために乙からの相続が開始したことを知ったからといって,当然に乙が甲の相続人であったことを知り得るわけではない。また,丙は,乙からの相続により,甲からの相続について承認又は放棄を選択し得る乙の地位を承継してはいるものの,丙自身において,乙が甲の相続人であったことを知らなければ,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択することはできない。丙が,乙から甲の相続人としての地位を承継したことを知らないにもかかわらず,丙のために乙からの相続が開始したことを知ったことをもって,甲からの相続に係る熟慮期間が起算されるとすることは,丙に対し,甲からの相続について承認又は放棄のいずれかを選択する機会を保障する民法916条の趣旨に反する。

以上によれば,民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。

なお,甲からの相続に係る丙の熟慮期間の起算点について,乙において自己が甲の相続人であることを知っていたか否かにかかわらず民法916条が適用されることは,同条がその適用がある場面につき,「相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したとき」とのみ規定していること及び同条の前記趣旨から明らかである。

(3) 前記事実関係等によれば,被上告人は,平成27年11月11日の本件送達により,BからAの相続人としての地位を自己が承継した事実を知ったというのであるから,Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間は,本件送達の時から起算される。そうすると,平成28年2月5日に申述がされた本件相続放棄は,熟慮期間内にされたものとして有効である。

5 以上によれば,原審の前記判断には,民法916条の解釈適用を誤った違法がある。しかしながら,本件相続放棄が熟慮期間内にされたものとして有効であるとした原審の判断は,結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。(裁判長裁判官 菅野博之 裁判官 山本庸幸 裁判官 三浦 守 裁判官草野耕一)
以上:5,108文字
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R 1-10-10(木):離婚後300日以内の出生届で前夫ではない真の父を父とする届出方法
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○「強制認知の訴え-調停前置主義で先ず調停申立から-次に合意に相当する審判」の続きで、離婚後300日以内の出生届についての備忘録です。

○民法第772条(嫡出の推定)で、以下の通り規定されています。
 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

 離婚後300日即ち10ヶ月以内に生まれた子は、離婚前の夫の子と推定するのは、離婚当日まで、夫婦間に懐胎の原因となる性行為があったことを前提としていますが、このような前提は通常あり得ないことは、離婚紛争に関わり或いは離婚を直接体験すれば実感として判ります。何故、現在まで改正されないのか不思議な規定です。

○この離婚後300日嫡出推定制度のお陰で、嫡出推定で前夫の子となるのが嫌で出生届がなされず戸籍のない子が大量に出現して社会問題にもなっています。この離婚後300日以内に生まれた子が前夫の子と推定されない制度は以下の通りです。

・嫡出否認の訴え
民法第774条「第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。」とする嫡出否認の訴えがあります。
この訴えを出せるのは「夫」に限定されているのが問題です。

・強制認知調停手続
強制認知の訴え-調停前置主義で先ず調停申立から-次に合意に相当する審判」記載の通り、子の法定代理人の母から真実の父親相手に、調停申立から初めて、合意が正当と認められると「合意に相当する審判」による認知が認められると、その子は、認知をした真実の父を父として出生届ができます。
この合意が認められるには「家庭裁判所は、必要な事実を調査した上」とあり、「夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母との性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合」に該当するかどうかを調査します。

・親子関係不存在確認調停
夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母と性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には,夫の子であるとの推定を受けないことになるので,そのような場合には,家庭裁判所に夫又は元夫を相手として親子関係不存在確認調停の申立てをすることができます。

○離婚後300日以内に前夫ではない父の子を出生した場合でも14日以内に出生届をするのが原則ですが、原則に従うと、真実の父ではない前夫の子としての届出になりますので、戸籍係に強制認知調停手続或いは親子関係不存在確認調停手続中であることを申告すれば、出生届提出を14日以上先に猶予して貰えます。認知或いは親子関係不存在確認の審判書を入手後、これを添付して真実の父の子としての出生届が可能になります。

○離婚訴訟中、別居後に他の男性の子を妊娠した場合に、「令和○年○月○日出生予定の子は、別居開始後○年後に懐胎した夫以外の男性の子であり、嫡出推定が及ばない子であること確認する。」との条項付の和解調書による和解離婚した場合、離婚後300日以内にこの和解調書を添付しても出生届をしても戸籍係は受け付けてはくれません。しかし事実証明文書として、強制認知調停手続での調査を円滑に進める役割は果たしてくれると思われます。
以上:1,367文字
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R 1-10- 9(水):強制認知の訴え-調停前置主義で先ず調停申立から-次に合意に相当する審判
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○「強制認知の訴え-調停前置主義で先ず調停申立から」の続きです。ここで「調停で認知を認めれば『合意に相当する審判』で認知の効力が認められる場合もあります」と記載していました。この「合意に相当する審判」の要件・効力等はは、家事事件手続法第277条以下に規定されており、以下の通りです。

家事事件手続法第277条(合意に相当する審判の対象及び要件)
 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。
一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。
二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。
2 前項第一号の合意は、第258条第1項において準用する第54条第1項及び第270条第1項に規定する方法によっては、成立させることができない。
3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
4 第272条第1項から第3項までの規定は、家庭裁判所が第1項第一号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。

第279条(異議の申立て)
 当事者及び利害関係人は、合意に相当する審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。ただし、当事者にあっては、第277条第1項各号に掲げる要件に該当しないことを理由とする場合に限る。
2 前項の規定による異議の申立ては、2週間の不変期間内にしなければならない。
3 前項の期間は、異議の申立てをすることができる者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては当事者が審判の告知を受けた日(2以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。
4 第1項の規定による異議の申立てをする権利は、放棄することができる。

第280条(異議の申立てに対する審判等)
 家庭裁判所は、当事者がした前条第1項の規定による異議の申立てが不適法であるとき、又は異議の申立てに理由がないと認めるときは、これを却下しなければならない。利害関係人がした同項の規定による異議の申立てが不適法であるときも、同様とする。
2 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
3 家庭裁判所は、当事者から適法な異議の申立てがあった場合において、異議の申立てを理由があると認めるときは、合意に相当する審判を取り消さなければならない。
4 利害関係人から適法な異議の申立てがあったときは、合意に相当する審判は、その効力を失う。この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
5 当事者が前項の規定による通知を受けた日から2週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

第281条(合意に相当する審判の効力)
 第279条第1項の規定による異議の申立てがないとき、又は異議の申立てを却下する審判が確定したときは、合意に相当する審判は、確定判決と同一の効力を有する。


○たとえば離婚後300日以内に出生した子について、前夫の子ではない真の父親との子であるとして出生届をしたい場合は、真の父親に対し、上記強制認知調停申立をして合意に代わる審判を得て、最終的には、合意に相当する審判は、281条により確定判決と同一の効力を有し、認知の効力が生じますので、真の父親の子として出生届ができるはずです。
以上:1,689文字
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R 1-10- 8(火):継続的給付債権として4分3相当部分を差押禁止債権非該当とした高裁決定紹介
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○「継続的給付債権として4分3相当部分を差押禁止債権とした地裁決定紹介」の続きで、その抗告審の平成30年6月5日東京高裁決定(金融法務事情2110号104頁、判時2413・2414号合併号36頁)を紹介します。

○相手方(債務者)の母である抗告人が、債務弁済契約公正証書の執行力のある正本に基づき、抗告人の相手方に対する損害賠償請求権等を請求債権とし、相手方が保険契約に基づき第三債務者に対して有する年払保険金(年金)支払請求権あるいは同保険契約が解約された場合には解約返戻金請求権を差押債権として、債権差押命令を申し立てたところ、原審が、本件債権は「債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」(民事執行法152条1項1号)に当たるから、その4分の3に相当する部分は差押禁止債権に当たるとして、同部分についての申立てを却下していました。

○この決定について、却下部分の取消しを求めた事案で、本件保険契約は、もともと祖母が、その相続対策のために、相手方に年金保険の形式で生前贈与したものであり、当時、相手方は、両親の扶養の下にあり、特に生活に困窮するような状況にはなかったこと、本件保険契約に係る保険金を受給しなくとも生活に困窮するような状況にあるとは思われないことに照らせば、本件債権は、民事執行法152条1項1号に定める「生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」には該当しないから、本件債権の全額を差し押さえることができるとして、本件債権の4分の3について、差押えの申立てを却下した原決定を変更し、差押えを命じました。

○民事執行法第152条の「生計を維持するために」とは、「債務者及びその家族の最低限度の生活を保障するなどの社会政策的配慮に基づくもの」であり、「本件保険契約に係る保険金を受給しなくとも、生活に困窮するような状況にあるとは思われない」として、4分の3相当部分は、差押禁止債権には該当しないとしました。本件では妥当な解釈と思います。

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主   文
1 原決定を次のとおり変更する。
(1)抗告人の申立てにより、別紙請求債権目録記載の債権の弁済に充てるため、同目録記載の執行力ある債務名義の正本に基づき、相手方が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権を差し押さえる。
(2)相手方は、前項により差し押さえられた債権について、取立てその他の処分をしてはならない。
(3)第三債務者は、(1)により差し押さえられた債権について、相手方に対し、弁済をしてはならない。
2 申立費用及び抗告費用は相手方の負担とする。

理   由
第1 抗告の趣旨及び理由

 本件抗告の趣旨及び理由は、別紙「執行抗告状」及び「執行抗告理由書」のとおりである。

第2 事案の概要
 抗告人は相手方(債務者)の母であり、平成30年3月4日、債務弁済契約公正証書の執行力のある正本に基づき、抗告人の相手方に対する損害賠償請求権等を請求債権とし、相手方が保険契約(以下「本件保険契約」という。)に基づき第三債務者に対して有する年払保険金(年金)支払請求権(以下「本件債権」という。)あるいは同保険契約が解約された場合には解約返戻金請求権を差押債権として、水戸地方裁判所土浦支部に対し、債権差押命令(同支部平成30年(ル)第100号)を申し立てたところ、同支部は、本件債権は「債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」(民事執行法152条1項1号)に当たるから、その4分の3に相当する部分は差押禁止債権に当たるとして、同部分についての申立てを却下した。
 本件は、抗告人が、同決定について、前記却下部分の取消しを求めた事案である。

第3 判断
1 当裁判所は、本件債権は、民事執行法152条1項1号に定める「生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」には該当しないから、本件債権の全額を差し押さえることができると判断する。
 その理由は、次のとおりである。

2 一件記録によれば、次の事実を認めることができる。
(1)本件保険契約は、平成22年3月30日、相手方の祖母である乙野花子(以下「祖母」という。)が、相手方を被保険者として、第三債務者との間で締結した積立利率金利連動型年金(α型)保険契約である。

(2)年金保険においては、保険料負担者と年金受取人が異なる場合、年金の支払が確定した時点で、年金受取人は年金受給権を保険料負担者から贈与によって取得したものとみなされ、年金受給権評価額として贈与税額が算出されることとなるため、一時払保険料相当額を現金として贈与した場合よりも贈与税を圧縮することが可能となるものであり、本件保険契約も、前記内容を活用した贈与対策プランとして紹介されており、祖母に対しても、本件保険契約締結に際して前記内容が説明され、祖母は、相手方を含む孫4人を被保険者として、それぞれ前記内容の各保険契約を締結した。

(3)本件保険契約の一時払保険料7500万円は祖母により一括で支払済みであり、平成23年3月30日から、毎年3月30日に、年額257万2735円が相手方に支払われている。

(4)相手方は、本件保険契約に係る保険金支払開始時には23歳で、両親と同居しており、特に生計の維持のために本件保険契約に係る保険金の受給が必要な状況にはなかった。
 その後、相手方は、家族に反発して自宅を出て、アルバイトをするなどしているが、抗告人が、本件債権の平成29年3月30日支払分について、その4分の1を差し押さえ、残り4分の3については、相手方の口座に振り込まれたところを差し押さえて年払保険料全額を回収し、平成30年3月30日支払分についても、同様に年払保険料全額を回収したが、相手方は、特に異議を述べたり、振込口座を変更するなどしていない。

3 民事執行法152条1項1号は、「債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」について、4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)について差押えを禁じているが、それは債務者及びその家族の最低限度の生活を保障するなどの社会政策的配慮に基づくものである。

 ところで、前記のとおり、本件保険契約は、その継続的給付の形式が、年に一度、一定額が支払われるという年払のもので、その実質としても、もともと祖母が、その相続対策のために、相手方に年金保険の形式で生前贈与したものであり、当時、相手方は、両親の扶養の下にあり、特に生活に困窮するような状況にはなかったこと、現在の相手方の生活状況は明確ではないが、本件保険契約に係る保険金を受給しなくとも、生活に困窮するような状況にあるとは思われないことに照らせば、本件債権は、民事執行法152条1項1号に定める債権に該当すると認めることはできず、本件債権の全額を差し押さえることができると解するのが相当である。

4 よって、本件債権の4分の3について、差押えの申立てを却下した原決定は相当ではないから、原決定を変更することとして、主文のとおり、決定する。
裁判長裁判官 甲斐哲彦 裁判官 脇由紀 裁判官 内野俊夫

【別紙】差押債権目録
金1939万0452円
債務者が、下記保険契約に基づき、第三債務者に対して有する、本命令送達日以降支払期の到来する〔1〕年払保険金(年金)支払請求権のうち、各支払期に受ける金額から所得税、住民税、及び社会保険料を控除した残額の4分の1にして、支払期の早いものから頭書金額に満つるまで
〔1〕により完済されないうちに下記保険契約が解約されたときは、〔2〕解約払戻金請求権にして、〔1〕と合計して頭書金額に満つるまで

       記
証券番号 《略》
保険種類 積立利率金利連動型年金(α型)
年払保険金種類 確定年金
保険金支払開始日 平成23年3月30日
支払期間 36年
支払日 3月30日
分割支払回数 1回
年額 257万2725円
受取人 債務者
被保険者 債務者
以上
以上:3,384文字
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R 1-10- 7(月):継続的給付債権として4分3相当部分を差押禁止債権とした地裁決定紹介
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○相手方(債務者)の母である抗告人(債権者)が、債務弁済契約公正証書の執行力のある正本に基づき、抗告人の相手方に対する損害賠償請求権等を請求債権とし、相手方が保険契約に基づき第三債務者に対して有する年払保険金(年金)支払請求権あるいは同保険契約が解約された場合には解約返戻金請求権を差押債権として、債権差押命令を申し立てました。

○これに対し、抗告人は、年払保険金(年金)支払請求権については、4分の1の金員のみならず、本件年金の支払請求権の全部を差押債権として挙げ、本件差押命令の申立てをしているが、本件年金に係る債権は、「債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」(民事執行法152条1項1号)に当たると認められ、その4分の3に相当する部分は差押禁止債権に当たるとして、本件年金の支払請求権のうち、4分の3に相当する部分については申立てを却下した平成30年3月16日水戸地方裁判所土浦決定(判時2413・2414号合併号41頁)を紹介します。

○民事執行法の差押禁止債権に関する条文は以下の通りです。
第152条(差押禁止債権)
 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権


○生命保険会社と締結する私的な年金給付契約に基づく継続的給付債権は、上記民事執行法第152条1項一号の規定で、「生計を維持するために支給を受ける」場合は、4分の3相当部分は差押が禁止されます。問題は「生計を維持するために」との解釈です。本件では、「単に債務者がアルバイトをしているというだけでは、本件年金が『生計を維持するために』支給を受けるものであることは否定されない」とされました。

○なお、公的な年金債権は全額差押禁止債権とされており、その根拠条文は以下の通りです。
国民年金法第24条(受給権の保護)
 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。

厚生年金法第41条(受給権の保護及び公課の禁止)
 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金たる保険給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。


*************************************************

主   文
1 債権者の申立てにより、上記請求債権の弁済に充てるため、別紙請求債権目録記載の執行力ある債務名義の正本に基づき、債務者が第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権を差し押さえる。
2 債務者は、前項により差し押さえられた債権について、取立てその他の処分をしてはならない。
3 第三債務者は、第1項により差し押さえられた債権について、債務者に対し、弁済をしてはならない。
4 債権者のその余の申立てを却下する。

理   由
1 債権者は、別紙差押債権目録記載の年払保険金(年金)(以下、「本件年金」という。)支払請求権については、4分の1の金員のみならず、本件年金の支払請求権の全部を差押債権として挙げ、本件差押命令の申立てをしている。

2 しかしながら、本件年金に係る債権は、「債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権」(民事執行法152条1項1号)に当たると認められ、その4分の3に相当する部分は差押禁止債権に当たる。

 これに対して、債権者は、本件年金に係る保険契約は、債務者の祖母が、相続税対策の一環として、債務者に生前贈与を行う目的で締結されたものであること、債務者がアルバイトによって生計を立てており、本件年金がなければ生活を維持できない状況にはないこと等を主張して、本件年金は「生計を維持するために」支給を受けるものではない旨主張する。

 しかしながら、仮に上記契約が上記の目的で締結されたものであるとしても、本件年金が「生計を維持するために」支給を受けるものであることは直ちに否定されない。また、債務者の収入等は明らかでないところ、単に債務者がアルバイトをしているというだけでは、本件年金が「生計を維持するために」支給を受けるものであることは否定されない(なお、債権者は、債務者の資力等につき、疎明資料の追加を行わない。)。
 したがって、債権者の主張によっても上記の結論は左右されない。

3 よって、主文第4項記載のとおり、本件年金の支払請求権のうち,4分の3に相当する部分については申立てを却下する。 
裁判官 高木航

【別紙】当事者目録
抗告人 X
上記抗告人代理人弁護士 小柳茂秀
同弁護士 伊藤一志
被抗告人 Y
第三債務者 Z生命保険株式会社
代表者代表取締役 甲野太郎
【別紙】請求債権目録《略》
差押債権目録《略》

以上:2,258文字
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R 1-10- 6(日):映画”ジョン・ウィック:パラベラム ”を観て-過激バトルに驚愕
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○令和元年10月5日(土)、「TOHOシネマズ仙台」で、「マトリックス」シリーズ以来久しぶりのキアヌ・リーヴス主演「ジョン・ウィック:パラベラム」を観てきました。キアヌ・リーヴスと言えば「マトリックス」シリーズで、その後の出演ヒット作は余り聞いたことがなかったのですが、ジョン・ウィックシリーズで復活し、この「ジョン・ウィック:パラベラム」はシリーズ3作目とのことです。

○前2作は観ていないので、果たしてストーリーが判るだろうかと心配でしたが、比較的単純なストーリーで、深いところは判りませんが、表面的には特に理解出来ない展開はありませんでした。ストーリーは、賞金首として追われる身になったキアヌ・リーヴス演じる殺し屋ジョン・ウィックに次から次へと殺し屋が登場して、次から次へと過激バトルが目まぐるしく展開します。

○この過激バトル、過激という言葉では表現しきれない凄まじいもので、これまでにこれほど過激なアクションシーンがあっただろうかと思われるものばかりでした。多数の殺し屋との銃撃戦は、敵が発する多数の銃弾は主人公には殆ど当たらず、ジョン・ウィック発する銃弾は、的確に敵の頭部・顔面等急所に次々に炸裂する展開は、大変、小気味よいものでした。しかし、目を背けたくなるシーンも結構あり、R15+指定は当然でした。

○この超過激ともいえるアクション・バトルシーンを観て、いつも思うのですが、アメリカ映画の層の厚さです。邦画は余り観ていないので偉そうには言えませんが、日本映画では、これほど徹底的に見世物を徹底的に追求するものは観たことがなく、アメリカ映画を観ると日本映画の層の薄さを実感します。

○いつか観ようと4KウルトラHD版ジョン・ウィック1+2を購入済みでしたが、この「ジョン・ウィック:パラベラム」を観て、無性に観たくなり、午後9時過ぎに「TOHOシネマズ仙台」から自宅に帰った後、翌日午前1時過ぎまでかけて2部作を鑑賞しました。バトル・アクションシーンは、第3作「ジョン・ウィック:パラベラム」には敵いませんが、SFものであった「マトリックス」シリーズとは違った生身を感じるアクションの連続に満足しました。
以上:901文字
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R 1-10- 5(土):追突事故による頚髄損傷を否認し身体表現性精神障害2級1号認定判例紹介
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○追突事故によって頚髄損傷を発症し5級相当の後遺障害を残したと主張し、保険会社側は頚髄損傷発症を激しく争っている事案を扱い、関連判例を探しています。
追突された56歳女子の頸髄損傷を否認し身体表現性の精神障害として2級1号認定するも心因性が著しいと9割素因減額した珍しい判断をした平成23年6月10日名古屋地裁豊橋支部判決(自保ジャーナル・第1857号)を紹介します。

○判決は、信号待ち停車の原告乗用車に一旦停止後の被告乗用車が追突、バンパーにネジ跡を残す程度の車両損害で頸髄損傷の診断を受け238日通院して、両下肢麻痺等残すとする56歳女子につき、「頸髄損傷の傷害を負ったとは認め難い」が、「身体表現性の精神障害は…本件事故によって生じた」とし、「2級1号…を残し、随時介護を要する」が、「3ヶ月間に10ヶ所以上の病院…同じ日に2、3か所受診」等、「心因的素因が著しく寄与…割合は9割と認める」としました。

○事案の概要は、56歳女子主婦の原告は、平成18年6月8日午後3時頃、愛知県豊橋市内で訴外人運転の自動車に同乗停車中、被告運転、被告会社所有の自動車に追突され、頸髄損傷を負ったとし、238日通院で2級1号両下肢麻痺等を残したとして、既払金195万円を控除して1億0,673万0,669円を求めて訴えを提起しました。

○判決は、原告の頸髄損傷の受傷を否認したが、2級1号後遺障害を認め、心因的素因が著しいと9割減額を適用しました。原告車後部バンパーに、被告車の「ネジ跡2個が少し凹損」状態の追突で、238日通院のうち、3、4ヶ月以降、経時的に症状悪化も「本件麻痺は、本件事故により生じたものと認めることができる」と認定し、「原告の脊髄髄内に輝度変化は見られず、原告は、症状固定時においても、その肘や膝を叩いても異常に大きな動きをせず、原告の症状はむしろ経時的に重くなっている上、レントゲン撮影の結果、頸髄損傷の原因となるような明らかな骨傷は認められていない」ところ、「原告の身体表現性の精神障害は、主として本件事故により生じたものであると認めることができ、この認定を左右する証拠はない」として、原告の後遺障害は「本件麻痺の状態によれば、原告の症状は、後遺障害別等級表別表第一の2級1号にいう「神経系統の機能」「に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」に当たると認められ、労働能力喪失率は、100%であると認められる」と認定しました。

○その上で、「本件麻痺は、本件事故のみによって生じたものとは到底認めることができない。そして、前記認定の本件事故の態様、程度、原告が本件事故後、約3ヶ月間にのべ10か所以上の病院等を受診し、同じ日に2、3か所の病院を受診することもあったこと、通院中に原告が訴えた症状、G医院では、原告の症状がなぜ増悪したのかは不明であるとされたこと、E病院整形外科の医師は、原告の症状には複合的な要素がある旨回答したこと、原告の素因が本件麻痺の発生に寄与した旨を指摘する己川医師の証言、鑑定人質問の結果及び鑑定の結果を総合すると、本件麻痺は、原告の心因的素因が著しく寄与して生じたものと認める」と認定し、56歳女子主婦の休業損害につき、受傷後の48日は70%、症状固定までの190日間は100%で休業損害を算定、余命分の「付添看護に要する費用は日額7000円と認める」としました。

○最大の争点である原告の障害の存在及びその原因が心因性かどうかについての判決全文を紹介します。

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第三 当裁判所の判断
1 証拠(略)によれば、以下の事実が認められる。

         (中略)


4 争点(3)について
(1) 前記認定のとおりの本件事故の態様、程度、本件事故当時、原告車を運転していた一郎の後遺症が後遺障害別等級表第二表14級に相当するものにとどまったことからすると、本件麻痺は、本件事故のみによって生じたものとは到底認めることができない。そして、前記認定の本件事故の態様、程度、原告が本件事故後、約3ヶ月間にのべ10か所以上の病院等を受診し、同じ日に2、3か所の病院を受診することもあったこと、通院中に原告が訴えた症状、G医院では、原告の症状がなぜ増悪したのかは不明であるとされたこと、E病院整形外科の医師は、原告の症状には複合的な要素がある旨回答したこと、原告の素因が本件麻痺の発生に寄与した旨を指摘する己川医師の証言、鑑定人質問の結果及び鑑定の結果を総合すると、本件麻痺は、原告の心因的素因が著しく寄与して生じたものと認めるのが相当であり、前記認定の本件事故の態様、程度、本件麻痺の状況に照らすと、原告の心因的素因が本件麻痺による原告の損害に寄与した割合は9割と認めるのが相当である。

(2) これに対し、原告は、本件麻痺は、専ら本件事故により原告の頸髄が損傷したことにより生じたものであって、原告の心因的素因は寄与していない旨主張し、これに沿う己川医師の診断及び意見書等(以下、これらをまとめて「己川意見」という。)がある。

 しかしながら、証拠(略)によれば、一般に、頸髄損傷が生じた場合、①受傷直後に損傷部以下(上肢及び下肢等)の運動障害、感覚障害、自律神経障害が生じ、②受傷後早期の段階で、明らかな上肢の巧緻運動障害、下肢の筋力低下による歩行障害、感覚障害、反射異常などの神経症候が見られ、③特に、上肢及び下肢の機能が全廃となるような重度の脊髄損傷の場合には、MRI画像において、脊髄髄内の輝度変化が必ず見られ、④手や足の異常な動きを押さえることができなくなるため、肘や膝を叩くと異常に大きな動きをするはずであり、⑤神経の損傷は受傷後回復していくため、症状は受傷直後が最も重く、その後、経時的に軽くなっていくと認められるところ、(ア)前記争いのない事実等記載のとおり、本件事故の4日後である6月12日に受けた検査の結果、原告の握力に異常はなく、(イ)前記認定のとおり、早くとも本件事故後2ヶ月以上が経過した8月下旬ころまでの間は、原告には明らかな上肢の巧緻運動障害、下肢の筋力低下による歩行障害、感覚障害、反射異常などの神経症侯は見られず、(ウ)前記争いのない事実等記載のとおり、本件麻痺は、原告の上肢及び下肢の機能が全廃とみられるような症状であるにもかかわらず、前記認定のとおり、8月25日、平成19年5月23日及び平成20年1月30日にそれぞれ撮像されたMRI画像において、いずれも原告の脊髄髄内に輝度変化は見られず、(エ)源告は、症状固定時においても、その肘や膝を叩いても異常に大きな動きをせず、(オ)前記認定のとおり、原告の症状はむしろ経時的に重くなっている上、レントゲン撮影の結果、頸髄損傷の原因となるような明らかな骨傷は認められていないというのであり、以上の事実に照らすと、原告が本件事故により頸髄損傷の傷害を負ったとは認め難い。

 原告は、上記③につき、頸髄損傷があった場合でも、MRI画像において、脊髄髄内の輝度変化が見られない例がある旨主張し、己川医師の意見書や文献等にはこれに沿う記載があるが、その文献等は、経時的に悪化し、重度の麻痺に至ったという原告の症状や、本件事故とMRI画像撮像の各時期との関係でどの程度参考にし得べきものであるのか明らかでなく、上記意見書は、本件における証拠に顕れた中では、的確な裏付けを有するものでないといわざるを得ない。したがって、上記意見書はにわかには採用し難く、原告の上記主張は採用できない。

(3) ところで、己川意見は、原告を診察して、その症状から考えられる傷病名を検討し、本件麻痺に身体表現性の精神障害という原告の心因的素因が寄与している可能性を排斥して、そうだとすると、本件麻痺は原告が本件事故により頸髄損傷等の傷害を負ったことによると考えるほかない又はそう考えるのが最も適切であるとするものである。

 しかし、己川意見は、原告の心因的素因が本件麻痺に寄与している可能性について、「保障あるいは心理的な理由のみでこれだけ明らかな症状が現れるとは考えられません。」、「精神的なものだけが原因でこれだけの症状が出ると言うには、あまりにも症状が強過ぎます。」、「膀胱直腸障害があり、排泄におむつが必要な現状は身体表現性精神障害では説明できない」とするのみで簡単に排斥しているが、これらの点で己川意見を裏付けるような客観的な資料は見当たらない。このように、己川意見は、その考察過程において、原告の心因的素因が本件麻痺に寄与した可能性を排斥するに当たり、論拠を十分には備えていない。

 のみならず、己川意見は、原告に生じた頸髄損傷は、前記(2)の(ア)~(オ)の事情に照らし、非典型的な非骨傷性のもの又は「外傷が契機となった脊髄性の神経障害」であるとし、そのような非典型的な頸髄損傷が生じた経過として、本件「事故による衝撃によって頸椎に負荷がかかった際に脊髄神経が狭窄した脊柱管に挟まれて非骨傷性の頸髄損傷を引き起こし」た旨推察しつつも、そのような経過を辿ったことを裏付ける画像所見等(特に、脊髄神経が狭窄した脊柱管に挟まれている点についてのもの。)を指摘できていない。さらに、己川意見は、非典型的な非骨傷性の頸髄損傷であれば、なぜ頸髄が損傷され、本件麻痺のような重度の麻痺が生じる場合であっても上記(ア)~(オ)のようなことになるのかという点について、十分に説明できているとはいい難い。

 以上の点に加え、前記認定の事実によれば、本件事故後、原告を診察した少なくとも10名の整形外科医のうち、頸髄損傷やその疑いを認めたのは己川医師のみであること、鑑定人質問及び鑑定の結果並びに被告ら提出の意見書の記載に照らすと、己川意見はにわかには採用し難いものといわざるを得ない。

(4) なお、原告は、己川医師の意見書に基づき、針筋電図検査の結果、筋肉の最大収縮時の針筋電図上、原告の両側大腿四頭筋については振幅が小さく、原告の両側腓腹筋については全く反応がないことからすると、原告に神経原性障害が生じていることは明らかであり、このことからしても原告の頸髄が損傷したことが認められるなどと主張する。

 そこで検討するに、確かに、証拠(略)によれば、針筋電図検査の結果、筋肉の最大収縮時の針筋電図上、原告の左側大腿四頭筋については振幅が小さく、原告の右側腓腹筋については全く反応がないことが認められる。

 しかしながら、そもそも、一般に、針筋電図検査において、筋肉を最大限収縮させているか否かは被検者本人にしか把握し難い事柄であるといえるから、筋肉の最大収縮時の針筋電図のみに基づく主張は自ずから根拠が若干不確かなものとならざるを得ない。他方、証拠(略)によれば、針筋電図検査において、正常な場合は、針電極を刺入すると電位変化が生じ、その後、 安静にすると電位変化は消失するが、異常がある場合には、安静にしても電位変化が生じ、筋肉の最大収縮時においては高頻度の発射や繊維自発放電が現れると認められるところ、証拠(略)によれば、原告の右側腓腹筋及び両側大腿四頭筋については、針電極を刺入した際、電位変化が生じ、その後、安静時には電位変化はほぼ消失し、また、原告の右側大腿四頭筋については、筋肉の最大収縮時においても高頻度の発射や繊維自発放電が現れなかったと認められ、鑑定人も、原告に対して実施された針筋電図を見て、その針筋電図によれば原告の神経に異常はない旨明快に述べている。これらの点に照らすと、原告に、下肢の神経よりも上位にある頸髄に損傷が生じていたとは認め難いというほかない。

 なお、原告は、原告に生じているような完全な麻痺が心因反応で生じることは考えられないなどとも主張するが、その主張を裏付ける証拠はない。

5 以上によれば、被告乙山は民法709条に基づき、被告会社は同法715条1項に基づき、原告に対し、連帯して、871万8516円(原告が本件事故により被った損害の額9868万5165円から原告の心因的素因により9割減額し(986万8516円)、そこから既払金195万円(当事者間に争いがない。)を控除し、本件事故と相当因果関係があると認められる弁護士費用80万円を加えたもの。)及びこれに対する不法行為の日(本件事故発生の日)より後である平成19年2月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の賠償責任を負うというべきである(被告会社の自動車損害賠償保障法3条に基づく責任が上記の額を超えるとは認められない。)。

 よって、本訴請求は、原告が、被告らに対し、連帯して、871万8516円及びこれに対する平成19年2月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないからいずれも棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法64条本文、65条1項本文、61条を、仮執行宣言につき同法259条1項を各適用して、主文のとおり判決する。
(平成23年4月22日 口頭弁論終結)名古屋地方裁判所豊橋支部 裁判官 山口敦士
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