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コンビニ店舗床滑り転倒事故と土地工作物管理瑕疵判断判例紹介

○「店舗出入口手前段差転倒鼻背部傷害事故と土地工作物管理瑕疵判断判例紹介」の続きで、この判例と同様、民法第717条土地工作物管理瑕疵責任に関する判例紹介です。いずれも当事務所取扱事案に関連する参考判例です。

○被告が運営していたコンビニエンスストアの店舗内で原告が転倒し負傷した事故につき、原告が、本件店舗の床が雨や泥の影響で滑りやすかったにもかかわらず、被告がその防止措置や注意喚起をしなかったなどと主張し、工作物の占有者責任ないし安全配慮義務違反の債務不履行に基づき、逸失利益及び慰謝料等約6000万円の損害賠償を請求をしました。

○この請求に対し、本件店舗に使用された床材やタイルに不備はなく、本件事故当時、被告は本件店舗の出入口に2枚の床マットを設置して靴底の水分等をできるだけ除去するよう対策を講じていたこと等に照らして、転倒場所の床が雨天時に通常やむを得ず生じる程度の湿った状態を超えて滑りやすい状態にあったとは認められない上、雨天の影響により本件店舗の床が湿っていることにつき、来店客は一般にその可能性を認識しているのが通常であることも併せ考えれば本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたとは言えず、被告が来店客の安全を図るべき注意義務に違反した事実も認められない等判断して、原告の請求を棄却した平成23年1月27日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)を紹介します。

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主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は,原告に対し,金5961万5686円及びこれに対する平成18年10月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,被告が運営していたコンビニエンスストア「SHOP99・a店」(以下「本件店舗」という。)の店内で原告が転倒し負傷したこと(以下「本件事故」という。)につき,原告が,本件店舗の床が雨や泥の影響で滑りやすかったにもかかわらず,被告がこれを防止するための措置や注意喚起をしなかった上に,店内通路に荷物を置き歩行を妨げるなどしたため本件事故が発生したと主張し,工作物の占有者責任(民法717条1項)ないし安全配慮義務違反の債務不履行(同法415条)に基づき,逸失利益及び慰謝料等の損害賠償を請求している事案である。

1 争いのない事実等
(1) 原告(1957年○月○日生)は,b航空の客室乗務員として稼働している者である(甲22)。
(2) 被告は,生鮮食料品の販売等を目的とする株式会社であり,平成18年10月1日当時,「SHOP99」の屋号で食料品や日用雑貨を販売し,名古屋市〈以下省略〉所在の本件店舗を運営していたものである。
(3) 平成18年10月1日夕方,同伴者の女性とともに本件店舗を訪れた原告が,店内のパンコーナーと食品コーナーの間の通路を通行中に転倒する本件事故が発生した。
(4) 原告は,本件事故の発生後,救急搬送された名古屋市内所在の医療法人吉田病院においてB医師の診察を受け,帰国後はグアム所在のCMIファミリーメディカルセンターにおいてC医師の診察を受けた(甲4,5)。
(5) 本件事故の発生当時ころ,本件店舗付近は雨天であった(甲8)。

2 争点
(1) 設置又は保存の瑕疵及び安全配慮義務違反の有無

(原告の主張)
ア 本件店舗の床に使用されているPタイルは,他の床材と比べて水濡れ等で滑りやすいもので転倒事故を招く危険が指摘されており,設置にあたっては水や砂塵の持込みを抑え,持ち込まれた場合は直ちに除去するよう管理すべきことが指摘されている。そして,現に本件事故が発生していることや,水滴及び粉体がある状況下においてPタイルのC.S.R.値(滑り抵抗係数)が転倒の危険のある下限値に近い0.46ないし0.47を示していること,実際の靴の素材や歩行条件等によってはさらに滑りやすくなると考えられることからすると,Pタイル自体が転倒事故を招来する危険性があったといえる。

イ 本件事故当日の午後,本件店舗付近は雨天であったが,本件店舗の入口には足拭きマットが置かれておらず,店内の床が濡れており転倒の危険性が高い状況にあった。それにもかかわらず,本件店舗では,濡れた床をモップ掛けする店員もおらず,目視で店舗の床が濡れているのに気付くまでは床を拭くことなく濡れたままとなっているのを許容していた。

ウ また,床が濡れていることの警告を表示していれば,不特定多数の来店客に対し,より慎重な歩行を促して転倒の危険性を低減できたにもかかわらず,本件店舗には,来店客に対して床が濡れていることを警告する表示がなかった。

エ 本件店舗では,転倒場所となった通路に商品箱等の荷物を放置して,来店客が不自然な状況ないし無理な体勢での歩行を余儀なくされる状況を作出しており,床が濡れていたことと相俟って転倒の危険性を高めた。

オ 本件店舗は,不特定多数の来店客に場所を提供して商品を選択,購入させて利益を得ることを目的とした屋内の営利施設で,床の滑りやすさという危険性を排除するために必要な措置をとることは十分に可能であり,かつ,その利益から適切な費用を支出して各種措置を講じることが求められ,被告に課せられる安全管理義務の程度は高いものといえる。

カ 以上によれば,被告は,来店客が安全に買い物をできるように配慮すべき注意義務に違反していたため,本件店舗には通常備えるべき安全性が欠如しており,原告は,濡れた床に足を滑らせて転倒したものというべきである。

(被告の主張)
ア 本件店舗の床材は,コンビニエンスストアをはじめ多くの商業施設等で広く一般的に使用されているPタイルであり,水及び粉体を散布した状態でのC.S.R.値が0.46ないし0.47と,歩行に重点を置いた場合のC.S.R.値の許容範囲である0.40~0.80に照らして,特に滑りやすい性状のものではない。

イ 本件事故当時の雨量は,1時間に1mm降るか降らないかという程度の小雨にすぎなかった上に,本件店舗の入口には外と内に合計2枚の床マットが置かれていたし,転倒場所となった通路も来店客が頻繁に通る部分ではなく,水滴が生じうる冷蔵ケースの付近でもない。また,転倒した原告に駆け寄った被告従業員のD(以下「D」という。)も床が濡れていたとの認識はなく,原告及び同伴者からも何ら指摘がなかった。よって,転倒場所の床が濡れて危険な状態になかったことは明らかである。

ウ 本件事故当時,本件店舗には床が滑りやすいことを示す警告板を設置していなかったが,警告板は,一般客が普通は知り得ない事情(ペンキ塗りたて,水拭き清掃など)があるから設置されるのであり,雨天で床がある程度濡れていることは来店客が一般に知りうることで,あえて警告しなければならないものではない。
 また,被告では,本件店舗の入口に靴底を拭くための前記2枚の床マットを敷いていたほか,傘立てを設置して濡れた傘が店内に持ち込まれないよう対策を講じ,床のPタイルは適宜従業員がモップで乾拭きしていた。

エ 本件事故当時,転倒場所の通路には,陳列用の箱や段ボール等が置かれていたが,歩行を困難にする程度ではなく,箱等は片側に寄せて通路を確保することが心掛けられており,台車等の転倒が懸念される危険な物も置かれていなかった。

オ 以上のように,本件事故につき被告には何らの責任もない。原告は,店舗内で転倒したから店舗側に責任があるとの,民法その他日本の法令が予定していない考え方に基づいて本件訴訟を提起している。なお,本件店舗に来店しただけでは,原告と被告との間に何らかの契約関係を認めることはできないから,安全配慮義務違反の債務不履行の主張は理由がない。

(2) 損害額
(原告の主張)
ア 原告は,本件事故により下腿後面等の筋肉群等の軟組織の断裂・損傷,浮腫ないし内出血,椎間板狭窄,既往症である脊椎の変性椎間板の状態悪化,既往症である右足首等関節の浮腫,骨盤不整列等の傷害を負い,継続した痛みや運動制限による苦痛を被り,客室乗務員としての勤務にも支障が生じた。
 本件事故以前の交通事故等による原告の後遺障害は12級相当であったが,本件事故後の原告の後遺障害等級は6級相当である。

イ 逸失利益 3839万6079円
 慰謝料 1580万0000円
 弁護士費用 541万9607円
 合計 5961万5686円

(被告の主張)
 争う。
 原告は,現在も航空会社で客室乗務員として勤務しており,6級相当の後遺障害を負っているということはあり得ないし,本訴提起後に症状の認定が大幅に変更された理由や症状が固定した時期は,未だ明らかでない。
 仮に,原告が何らかの後遺障害を負った状況にあるとしても,原告は,本件事故以前に交通事故に遭って足首を負傷しており,現在の症状は本件事故というよりは既存の状態が原因となった可能性のほうが大きいと診断されているほか,本件事故後にも空港で怪我を負ったようであり,本件事故以外の原因により症状が悪化した可能性もあるから,本件事故と損害との因果関係は何ら立証されていない。

第3 争点に対する判断
1 争点(1)について

(1) 前記争いのない事実等及び証拠(甲3,8,19,22,31,乙1,2の1ないし2の3,3ないし5,7の1・3,8,9の1ないし9の4,10ないし13,証人D)並びに弁論の全趣旨によれば,本件店舗の床に使用されているPタイルは,日東紡績株式会社製のコンポジション系ビニル床タイルであるポトマックPKN(以下「本件床材」という。)が使用されていること,本件床材は,コンビニエンスストア等の商業施設で一般的に使用されているものであり,本件店舗の床には平成16年の開店時に貼られたこと,平成22年4月に本件店舗の床から切り取られた本件床材は,品質性能試験の結果,C.S.R.値が乾燥状態で0.93,湿潤状態で0.88ないし0.86,水及び粉体を散布した状態で0.46ないし0.47であったこと,事務所等一般建築物の床の滑りの評価指標として,C.S.R.値の最適範囲は0.55ないし0.70,歩行に重点を置く場合の許容範囲例は0.40ないし0.80とされていること,本件事故が発生した通路は,本件店舗の出入口から見て右から2番目の幅約120cmの通路で,転倒場所は,同通路を出入口側から約5m入った位置にあり,両側がパンの陳列棚と調味料やレトルト食品等の陳列棚となっていて,本件事故当時,商品が入ったプラスチックケースが通路の約3分の1程度を塞ぐ形で床に置かれていたが,床のPタイル自体に損傷や顕著な劣化は見られなかったこと,本件店舗では,平成22年6月1日に被告の直営店からフランチャイズ店に変更されるまで,出入口の外側に1枚,内側に1枚の合計2枚の床マットが設置され,月2回の交換・洗浄が行われていたこと,本件事故当時,名古屋市では1時間に0.5mmないし2mmの降水量が観測されたことがそれぞれ認められる。

(2)
ア 以上の認定事実を総合すると,本件店舗に使用された本件床材は,水や砂塵の持込みを前提に測定したC.S.R.値に照らして,来店客が店内を歩行する場合に特段滑りやすい性質のものではなく,商業施設等で一般的に採用されているもので,本件床材が他の床材に比べて転倒事故の危険性が高いものであるとは認められないから,これを採用したこと自体をもって本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとはいえないし,本件店舗のPタイルは,本件事故の時点で新規設置から3年程度しか経過していないものであり,本件事故現場の床の状況を見ても,経年劣化が進んでいたとか管理・保存状態に不備があったとも認められない。

イ また,前記認定事実によれば,本件事故当時,本件店舗内の通路には,降雨の影響により来店客の靴底や傘等から水分が持ち込まれていたことが推認できるが,被告が本件店舗の出入口に2枚の床マットを設置して靴底の水分及び砂塵等をできるだけ除去するように対策を講じていたこと,転倒場所付近に陳列された商品や陳列棚から水滴や液体が床に落ちることは想定できないこと,本件事故当時,転倒場所に水たまりができていたとか泥で汚れていたという状況はなかった旨を証人Dが証言していることに照らしてみると,本件事故当時,転倒場所の床が,雨天時に通常やむを得ず生じる程度の湿った状態を超えて,水や泥で滑りやすい状態にあったものとはにわかに認められないというべきである。そして,本件事故当時,雨天の影響により本件店舗の床が湿っていることは,来店客にとって予期し得ない事態ではなく,一般にその可能性を認識しているのが通常であることも併せ考えれば,転倒場所の床は,乾燥時に比べれば若干の滑りやすさはあるものの,来店客が通常の注意力をもって歩行しても転倒する危険性があるほど滑りやすい状態にあったものとは認められず,転倒場所の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとは認められないというべきである。

ウ さらに,これら認定説示に照らせば,本件事故当時,本件店舗の床が滑りやすく転倒の危険性が高い旨を来店客に警告すべき状況にあったものとはいえず,これをしないことが被告の注意義務違反にあたるとは認められない。

エ 前記認定事実によれば,本件事故当時,転倒場所付近の通路は,約3分の1程度の幅が商品の入ったプラスチックケースで塞がれた状態にあったことが認められるが,これを考慮しても,同通路は,人が通常の姿勢のまま歩行できる幅員が十分に確保されていたものと認められ,来店客に不自然な姿勢や無理な体勢を強いて転倒の危険性を高めるような状況にはなかったものというべきである。

オ その他,本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたことや被告が来店客の安全を図るべき注意義務に違反したことを認めるに足りる証拠はない。

(3) そうすると,本件事故当時,本件店舗の床が通常有すべき安全性を欠いていたものとは認められず,その設置又は保存に瑕疵は認められないというべきであるし,被告が来店客の安全を図るべき注意義務に違反した事実も認められないというべきであり,原告の主張は採用できない。

2 以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
 (裁判官 小崎賢司)
以上:5,978文字

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