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裁判所鑑定心因性視力障害で素因減額が否定された例3

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平成22年10月30日:初稿
キ 被告らは,Xが平成19年7月20日に免許の更新をしていることをもって,Xの右眼の障害が詐病であるとの根拠としているが,妥当でない。

(ア)Xは,平成19年7月20日に免許の更新をしているが,この際,従前有していた大型1種免許,普通自動車1種免許,自動二輪中型免許のうち,大型1種免許については,右眼の視力が規定視力に達しないこと,深視力も規定の数値に達しないことから失効している。
 普通自動車1種免許,自動二輪中型免許については,測定機器を用いた適性検査(視力)において右眼についてほとんど見えなかったため,別室にて再検査となった。再検査は視力検査表を用いて2度行ったが,Xは,1度目の測定においては,まず検査表から4ないし5メートル離れた位置に立って測定したが,右眼では最上列のランドルト環もほとんど見えず,答えられなかった。担当検査官は立つ位置を前にするよう促し,Xは検査表から約2メートルの位置に立って測定したが,今度は最上列のランドルト環はぼんやり見えたものの,2段目以下は全く見えなかった。
 ここでXは,担当検査官から休憩するよう指示され,10分ほど休憩したが,このとき担当検査官に指示されて着席したのが視力検査表の真横であったため,Xは,担当検査官の目を盗み,視力検査表の 最上段のランドルト環を暗記した。その後,2度目の測定を行った際には,Xは,最上段のランドルト環について先に暗記したとおり答えたところ,担当検査官は何とか合格だとの趣旨の発言をし,検査は終了した。

(イ)Xの運転免許更新の際の顛末は上記のとおりであり,不適切な行為を行ったことは確かであるが,これは,Xがこの当時運転免許更新のためには両眼とも0.7以上必要と誤解しており,運転免許がなくなると今後の生活に重大な支障をきたすと考えていたことから,やむにやまれず行ったものである。
 また,このときXが更新した普通自動車1種免許及び自動二輪中型免許の視力要件は,「視力が両眼で0.7以上,かつ,-眼でそれぞれ0.3以上であること又は一服の視力が0.3に満たない者若しくは-眼が見えない者については,他眼の視野が左右150度以上で,視力が0.7以上であること」とされているところ,Xの正常な左眼はこれをクリアしているから,実質的違法性はない。
 なお,この際の視力検査の結果につき,宮城県警察による個人情報の開示を受けたところ,左眼0.5,右眼0.3で両眼合わせて0.7を上回るので合格とされていた(甲第45号証)。しかし,Xは左眼についてはこのときも少なくとも1.2以上の視力があったものである。にもかかわらずかかる記‐載となっているのは,Xの場合右眼が0.3未満であっても左眼だけで合格要件を満たしていたが,そのためには左眼の視野が150度以上あるかどうかの検査が必要となるところ,視野検査をするためにはそのための機材や検査人員が必要となるなど手間暇が大きくなるため,Xの右眼が実際には0.3未満でも計測上0.3あったことにし,かつその分左眼の視力を実際より低めにしてつじつまを合わせたものと考えられる。いずれにしても,上記同日の視力検査については記載結果はいいかげんなものであり,Xの右眼視力低下に疑問をさしはさむものではない。

ク 被告らは,Xの右眼についての自覚的検査結果と他覚的検査結果との間に解離・矛盾が認められるとして,Xの右眼を詐病とするが,以下のとおり相当でない。

(ア) オクトパス視野検査において,視力に最も関係する領域は中心0°付近であるところ,オクトパス視野検査結果(乙第4号証54頁)のGreyscale of values図中心である0と0の交差する箇所が視力を出している黄斑中心腐であり,この場所の感度低下がXの視力低下の原因である。この箇所は直径わずか0.3mmの円部分であり,この場所を限定して意識的に感度を低下させることは不可能に近い。また,コールドマン視野検査における内部インプターも相当程度狭くなっており,これは上記オクトパス視野検査の中心視野の感度低下と一致するものである。         

(イ)被告らは,中心フリッカー値が正常であることを論難するが,フリッカーとは固視標を点滅させてそのちらつきを感じなくなったときの点滅の頻度をいうもので,フリッカー値検査でのちらつきがあるかどうかの判断は非常に微妙であり,ちらつきがなくなったと正確に判断することは困難であるから,その検査結果は相当程度誤差の幅が大きい検査であり,この結果をもって詐病かどうかの判断は不可能である。

(ウ)被告らは,平成16年10月27日のゴールドマン視野検査の結果をもって,黄斑からの神経線維が障害された中心感度の低下ではないと主張するが,同検査結果(乙第4号証56頁)記載のとおり,内部インプターが小さい範囲となっており,かつ,本来正常であれば円であるべきところが歪んだ円になっていることも視野異常の表れである。
 また,ゴールドマン視野検査の結果と,オクトパス視野検査のGreyscale of values図中心である0と0の交差する箇所が黒ずみ,かつComparisonsでの中心点が13dBとなっていることと一致する。
 さらに,Xの3度のゴールドマン視野検査において,すべて盲点がほぼ同じ位置にはっきり出ている。仮に意図的に視野範囲をごまかして回答した場合,このようなことは考えられない。
 被告らは,あたかも外傷性視神経損傷の場合の視野欠損は水平性欠損と上方欠損に限られるかのごとく主張するが,医学文献(甲第29号証66頁表1)によれば,確かに外傷性視神経障害での視野欠損は上方欠損の発症頻度が高いが,中心暗点の視野障害も比率は小さいものの発症があるのであり,発生する可能性は大いにあり得る。


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