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パソコン事始め2

平成 3年 3月 1日(金):初稿 平成17年 1月 8日(土):更新
次にパソコンとはやはり「便利なものだ」と言うのも実感です。

 よくワープロ専用機とパソコンのワープロソフトでどちらがよいかを議論されます。
 私の事務所では、昭和五九年春から書類作成をワープロ専用機を使用して行っていたものを昨年一二月からパソコンのワープロに全て切り替えました。
 事務員も当初は戸惑っていましたが、一週間もしないうちにワープロ専用機と同様に使いこなせるようになり、簡単な設定作業もできるようになりました。ワープロ専用機は使用方法が固定的ですが、パソコンのワープロソフトは自由度が高く、使用方法が自分なりに変更できます。 しかし、その反面各種設定作業が必要でその分めんどうに感じます。 パソコンワープロは設定がいまくできればむしろワープロ専用機以上に使用法が簡単になる可能性を持っています。

 法律事務所にとって、パソコンワープロの最大の利点は単なる文書作成の面ではなく、データとしての訴状や準備書面などの文章をデータベース化できることと電話回線を利用してデータそのものが直接送受信可能になることにあります。

 データベース化とは具体的には次のようなことです。
 私は弁護士稼業に身を投じて一一年になりますが、文章を記録したファイルの事件記録の終了分は仙台の事務所や自宅に保管するスペースがないので、田舎の実家の倉庫に保管しています。
 事件処理をしている時に終了事件を参考にしたいと思うことがあります。しかし、現状では実家の倉庫に眠っているものは見ることができません。ワープロフロッピーに入力した分もいったん紙にプリントした後は書式以外は一定時間の経過後は消してしまい残っていません。

 そのため、自分の事件処理の記録は自分の頭に残っているもの以外は有効に再利用できません。ところが、品質性能の粗悪な私の頭には有効なデータはさっぱり残っておらず、自分の事件処理の記録は役立っていません。
 パソコンワープロで作った文章を紙ではなく磁気データとして保管するのであれば紙ファイルにすると何百冊何千冊分のデータが手の平にのるようなごく小さな箱(ハードディスク)に保管できます。
 そしてパソコンのデータベースソフトを利用すれば『ワープロで作った文章をゴミ箱に捨てるごとくに無造作にデータベースに突っ込んでおくだけで、後日、電子化文書の山の中からあれこれという具合に自在かつ瞬間に必要な書類を引き出すことが可能となるわけです。』(自由と正義四〇巻一二号一三五頁コンピューター情報4参照)

 私は数年前に自分の手抜き裁判で予想外の敗訴判決を得て以来、どんな事件でも総まとめとしての最終準備書面をできるだけ書くように努めていますが、この最終準備書面をデータベース化するだけでも後の事件処理の役に立つのではないかと思っています。
 一人だけのデータではそれ程有効でなくても、気の合った仲間同志でお互いのデータを交換して蓄積すればかなり有効な法律情報データベースの作成が可能になるでしょう。これから独立を考えている若い先生方でワープロ専用機とパソコンワープロのどちらにするか迷っていたら自分の事件処理経過をデータベース化できることや後述するパソコンの利点からも是非パソコンワープロをお勧めします。

 その他にデータベースソフトを利用して顧客管理や事件記録の管理、更に趣味のLDソフトやCDソフトの管理をするべく勉強中です。
 電話回線利用の文章データの送受信とは具体的には次のようなことが可能になることです。
 典型的零細企業で十分な仕事のない当事務所は某大事務所の専属的下請け業務に従事し、又、その他にも下請け的業務を多く従事しています。
 下請けなどの共同事件について、当事務所が作成した文章についての元請事務所への現在の送受信の方法としてはいったん紙にプリントアウトしたものをファックスで送っております。
 受け取った元請事務所では紙の上で文章の加除訂正をしてファックスし、それを当事務所で打ち直します。急ぐ場合は元請事務所のワープロで全部打ち直さなければならず、実に無駄です。文章データの送受信が紙にプリントアウトしたものではなく磁気データのまま可能になれば、受け取った相手方は直接データに加工ができ、打ち直しの無駄がなくなります。
 これを可能にするのがパソコン通信です。
 ファックスによる文章データのやりとりでは写りも悪く、致命的な欠点は文書データを受け取った側が直接加工できない点にあります。
 パソコン通信に加入すれば、電話回線上に自分の私書箱のようなものが作られ、その箱の中にデータの出し入れが自由にできます。
 丁度仙台弁護士会弁護士控室のレーターケースが電話回線上に作られたようなものです。
 あのレーターケースを利用して情報をやりとりする場合はいちいち弁護士会控室まで足を運ばなければなりません。しかし、パソコン通信の場合は事務所に居ながらにして情報のやりとりができ、かつ受け取った情報は自分のものにとして加工して再利用できます。弁護士のパソコン通信利用者が増える程応用範囲が広がるでしょう。

 日弁連コンピューター研究委員会の先生方は裁判事件についての訴状や準備書面の交換、更には裁判所作成の尋問調書の取り寄せをパソコン通信で行うことを提案しています。 もし、それが実現できたら記録謄写のため裁判所に足を運ぶ労力が大幅に軽減されます。


 その他重宝しているパソコンソフトに表計算ソフトがあります。これは電子集計用紙ともいうべきものです。紙の集計用紙ですとせいぜいB4版程度の大きさですが、パソコンソフトのものはその何百倍もの大きな集計用紙であり、その中に自分なりに項目や数字欄を、又、数字欄については計算式を設定することができます。一度設定し数字を入力してスペースキー(ワープロ専用機では変換キーに当るキー)を一発押すと設定した計算が一瞬のうちになされます。

 当事務所では今のところは依頼者の預り金残高の入出金管理に使っていますが、倒産整理事件などお金の管理が必要な事件には大変な威力を発揮してくれるものと思います。小高弁護士は借入金額・利率・返済期間を入力すると毎月の返済元金額と利息額が、又、倒産処理事件において配当率を入力すれば全債権者への配当金額がたちどころに出てくる計算式を設定して有効利用されています。
 小高弁護士の話では計算式の設定がめんどうと言えばめんどうですが、頭の体操になり面白いものだとのことです。加減乗除程度の計算式ですと私のような初心者でも可能です。

 現在、使用法マスターが難航しているものにDTPソフトがあります。
 DTPソフトとはデスクトップバブリッシングの略で机上出版とも訳されるものです。
 具体的にはパソコンワープロで作成した文章をDTPソフトに流し込むと文字の大きさや書体、更に文章の配置等を自在に加工して新聞などの出版物に仕立て上げることができます。私は現時点ではこのソフトを使いこなすことはできませんが、将来、事務所報など出せるようにと思い導入して勉強しているところです。

 以上、分かったような顔でパソコンについて述べてきましたが、前述のとおり私はパソコン歴数ケ月の全くのビギナーです。購入したパソコンソフトの機能も何百分の一程度しか利用できません。早く小高弁護士のようにパソコンを自在に操って有効利用できるようになることが夢ですが、中々道は遠いようです。

 私が今までパソコンを利用しなかったのは、漫然と「パソコンとは便利だけれどもめんどうなもの」と決めつけていたいわば食わず嫌いが原因でした。一度意を決して利用してみるとやはりめんどうですが、又それだけ面白く有効なものであることも分かりました。
 東北弁連管内でも小高弁護士のようなパソコンエキスパートも生まれており、一人でも弁護士のパソコン利用者が増え、前述のデータベース蓄積やパソコン通信の仲間が増えればと考えている今日この頃です。

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