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東北大学法学部小嶋和司教授講義ノート紹介4-昭和49年5月18日

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平成26年 2月 5日:初稿
○安倍首相の答弁「憲法についての考え方の一つとして、国家権力を縛るものだという考え方がありますが、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方であって、今まさに憲法というのは日本という国の形、そして理想と未来を語るものではないかと、このように思います。」???

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東北大学法学部 小嶋和司教授講義ノート
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領土-国家統治の根本に関すると考え、憲法でその範囲を直接に規定したり法律で定める旨を規定する例もある。しかし、領土は一回の意思だけでは決定しない問題なので多くの憲法は領土については沈黙の態度をとる。

領土の国際的に定められる法形式-通常に従来の事実に対する暗黙の承認の形をとる。変更の必要や、明確化の必要のあるときは条約で定める。
日本国の領土についてはポツダム宣言を受け、全面的に条約で決定された。
 昭27.平和条約、昭28.奄美群島返還に関する日米協定
 昭43.小笠原群島返還に関する日米協定
 昭47.琉球諸島及び大東諸島に関する日米協定

Aらは日本北方海域において漁業法令違反の操業を行い逮捕された。
Aは操業地はわが国の領海外であり、主権の及ばない地域であるので法令の効力も及ばないと主張。検察側は、そこはわが国の了解に含まれ漁業法の罪に問われるとして起訴(北島丸事件)
第一審「漁業法の場所的適用範囲は、日本国の統治権の現実に行使される範囲内に限られる」として無罪とする。
第二審「およそ国がある行政目的のため自国民に対し特定の行為を一般に法で禁止しようとする場合…憲法の枠内で…必要ならば自国民の他国における一定行為を禁ずることももとより不可能ではない」として有罪とされた。
 法令の妥当範囲は領土(海)に限られず、領土(海)外にある国民にも及ぶ法の規定もしくは趣旨により例外的に領土外の適用が排除されるだけである。従って第二審判判決が妥当。

後3つの日米協定…平和条約§3によりそれらの地域は米国に施政権が認められていた。この施政権を返還したことが日米協定の内容である。

国家の領土に対して有する権利
①領土処分権 ②領土施政権
平和条約では①は米国に与えなかった。②を3の協定で返還された。

《北方領土問題》
北方領土…択捉、国後、色丹、歯舞、ウルップ
〈日本国は北方領土を日本のものと主張〉
(根拠)択捉までは旧幕府時代から日本領土であることは疑われていない。1855(安政2)年の下田条約でもこの事実を基本として、日本とロシアの国境は択捉、ウルップ間に定められた。1875(明8)年、樺太問題解決のため樺太全島をロシア領とし、ウルップ以北18島を日本領土とする千島樺太交換条約を締結。
ポツダム宣言8項はカイロ宣言「領土拡張の念を有しない」に拘束されるはず。
〈ソ連の主張〉米英ソ三国首脳によるヤルタ協定の中で千島列島はソ連に与えるとした←反論←しかしこの協定は日本に対して拘束力ないはず
 日本国との平和条約§2.c…日本国は千島列島並びに…の権限を放棄すると規定←反論←日本は択捉までは歴史的に見ても千島列島ではないと主張

昭和31、日ソ共同宣言
 将来とソ連との間に平和条約が締結されたら歯舞、色丹は返還する。択捉、国後については両国の間に異論があるのでその時に決定するという態度がとられた。
事実としては北方領土はソ連に占領され、ソ連の統治に服している。

 北方領土に関する法律問題
日本はかねて北方領土は日本領と主張しているが、国後に対して出入国管理令の適用の有無が問題になる。最判34.2.25、第2小
 出入国管理令の適用にあたっては、事実上日本の統治権の及ばない空間に行くことが「出国」と考えられる。従ってかねて北方領土が日本領であることは日本政府の主張するところであるが、出入国管理令による「出国」は事実主義に基づくから国後に行くこともこの「出国」にあたる。
▲沖縄から日本にものを運ぶことは輸入となるかどうかの問題(厚生大臣の許可なしに麻薬を運んだ事件)最判43.7.13…事実主義に基づき、統治権が事実に及ばないところから運ぶことは輸入にあたるとした。

<法域>
憲法典は領土の全域に施行されるのか。
 憲法の本質から当然に施行されるとは限らない。
 ex1815年オランダ憲法、この憲法は特に反対の規定がないヨーロッパにおける?に対してのみ拘束力をもつ。
       ↓
     植民地には原則として憲法典を適用しない。
 日本は明29.法律第63号問題として論議された。-63問題。
 「台湾に施行すべき法令に関する法律」
    前年の日清戦争の結果、台湾は日本領に編入…しかし、直ちに台湾に日本法を施行することはできない。日本の社会生活規制の法律は、台湾には適用で  ↓ きない。そこで台湾に対する特例を認める法律が制定
  法律を要するが、法律のない場合又あっても台湾に施行しがたい場合には、日本法によらないで台湾総督の定める制令を適用する。

 明治憲法は台湾に適用されることを予測していないので、論議の中には憲法は新領土には適用がないという主張もあった。明治憲法は憲法施行当時領土であったものにのみ適用すべきと主張。
 以後は明治憲法施行のときまでの領土と、施行以後領土になった地域を同一法で規制することは不可能と考えられ前者を内地、後者を外地と区別するようになった。

 現行憲法のもとでも同様に法域の区別があるうるか。
領土のことは予想が困難であり、現行憲法施行後、施政権が返還された地域については憲法の適用はあるという立場であっても、完全に従来と同じ取扱いはできないので、切換時は年限を決め、特別措置の制定を認めるという方法が採られている。

第二 国民
国の統治権は、国民に対してはその所在いかんを問わず及ぶ。
領土内の外国人にも原則として国の統治権が及ぶ。
しかし国民と外国人とを完全に同一には扱ってはいない。国民にだけしか認めない権利があるし、又、外国人には義務づけられないことがある。ー兵役の義務
(兵役の義務は国家所属性にもとづくものであるから)

国民たる地位を「国籍」という。
国籍についても国際的に定められることが望ましいが、現在の国際法はそれ程発達していないので、領土変更時は条約で国籍が定められることもあったが、原則としては国籍については各国内法に委ねられているのが現状である。
 §10.日本国民たる要件は法律-国籍法-で定める。
国籍法
(ⅰ)国籍の取得
 a先天的取得-出生を理由とする取得
 b後天的取得-帰化

a.出生を理由とする取得については各国の立法政策に二つの立場がある。
 ①血統主義、②生地主義  多くの国は①を採用。
 米国では②を採用
①親が日本国籍をもっていれば子も日本国民とする
②自国の領土内で生まれたなら自国民とする

 日本は①を採用。例外的に無国籍人が生じる場合にのみ②を採用
国§2「出生による国籍の取得」
  1.出生時に父が日本国民であるとき
①…2.出生前に死亡した父が死亡時に日本国民であったとき
  3.「父が知れない場合又国籍を有しない場合」には母が日本国民であるとき
②…4.日本で生まれた場合で、父母がともに知れない又は国籍を有しないとき。

 国籍剥奪の制度-日本にはない-国籍を剥奪された者同志が日本で子供を産んだ場合その子は日本国民となる

 血統主義国の者が生地主義国で子供を生むと子供は二重国籍になる。二重国籍は二国の支配を受けるので義務の抵触がおこる場合がある。ex戦争
 国§9.外国で生まれその国の国籍を取得した日本国民は戸籍法の定めるところにより日本の国籍の留保の意思表示をしなければ、出生時に遡って日本国籍を失う。

b.帰化 本人の意思に基づいて法務大臣の許可により国籍を取得すること
 帰化の条件、国§4.「外国人」-日本国民でないもの(§3)。無国籍者も外国人。※二重国籍でも日本国籍をもつものは日本国民にあたる。
1.引き続き5年以上日本に住所を有すること
2.20才以上で本国法により能力を有すること
3.素行が善良
4.独立の生計を営むに足りる資産又は技能があること
5.国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によりその国籍を失うべきこと
6.日本国憲法施行の日以後において日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
 絶対的条件 3、5、6号
 相対的条件 1、2、4号…§6により修正される

 §4による帰化-「普通帰化」という
 §7による帰化-「特別帰化」という-日本に特別の功労のある外国人は法務大臣は§4の規定に関わらず国会の承認を得て帰化を許可できる。

(ⅱ)国籍の喪失
日本には国籍剥奪の制度はない。
喪失の原因
①自己の志望により外国籍を取得したとき 国§8
②二重国籍になり国籍留保をしないとき 国§9
③従来、二重国籍である者が届け出により日本国籍を失うとき 国§10

喪失-二重国籍防止の見地のみから規定
 自分の意思で*国籍を離脱する可能性は閉ざされている。この点につき憲法論がおこった。憲法§22、国籍離脱の時湯が保障
*国籍離脱により無国籍になる可能性を閉ざしている。

 憲法施行直後に問題
 ある学生が世界政府運動のため、国籍離脱の届出をなしたが認められず憲法22条違反を主張
 国籍離脱の自由は無制限ではなく憲法の採用する他の制度、主義との関係で制約を受ける。憲法は国際協和主義を宣言している。国籍離脱の自由も国際協和主義と両立しうる範囲内で認められる。現在の国際社会は無国籍人をなくすことが理想とされている。
-ex世界人権宣言§15Ⅱ、国籍変更の権利は認めても○にする権利は認めていない-国籍法が無国籍になる道を閉ざすことは違憲ではない。

前文の効力
 前文は憲法本文を一体をなすものとして憲法規範の性格をもちその変更のためには憲法改正を必要とする。<理由>の内容は憲法の基本原理②形式的にも憲法の一部をなす
 具体的な規範としての働き…内容いかんによる。
現行憲法の場合
①憲法全体のよってたつ基本原理を示し、そのようなものとして本文各条項の解釈の基準となる。
②憲法改正限界論にあっては改正の限界を示すものとなる。
 憲法に特段の定めがない場合には、前文であるがゆえに裁判規範性を否定されるべき理由はない。※下へ

「夜警国家主義」
国家はやむを得ない場合の他は、個人の自由領域に介入することは許されず、したがってそれは必要な害悪としてその存在を認証されるにとどまるとする理念…我が憲法はこれを採用せず。§25

※通説は裁判規範性を否定
<理由>
①前文は、本条項と比べて抽象的。一般条項的、裁判規範には具体的明確性が必要。
②前文は、憲法における段階的規定の頂点に立つ基本原理を定めたもので、その内容は本文の各条項において具体化されている。

 しかし裁判規範性を肯定すべき
<理由>
①本文においても、一般的抽象的条項があり、裁判規範性を与えられている。前文が一般的抽象性の故に裁判規範性を否定すべき理由にはならない。
②法律の場合は、構成要件などの面で個別具体的明確さが必要。しかし憲法の場合、特に前文は基本原理を定めたもので、抽象的にならざるを得ない。→法律とは異なる。法律の憲法適合性を判断できる程度の明確さで足る。
③本分にも段階的規定あり(ex、§11、§97、§13)
④本分にはない事項も前文に規定されている。ex「平和のうちに生存する権利」


以上:4,718文字

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