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無断録音証拠能力認定昭和46年4月26日東京地裁判決紹介1

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平成25年 8月 9日(金):初稿
○「無断録音された録音テープの証拠能力-緩やかな判例紹介2」の続きです。
無断録音テープの証拠能力について認定した判例を探していますが、昭和46年4月26日東京地裁判決(下民22巻3・4号454頁、判時641号81頁)が見つかりましたので、3回に分けて全文紹介します。無断録音テープの証拠能力に関する判例・学説論文は意外に少なく、なかなかデータが集まりませんが、可能な限り集めた上で、私なりの考えをまとめたいと思っております。

昭和46年4月26日東京地裁判決での無断録音テープの証拠能力に関する部分は、以下の箇所です。
2 甲第6号証、同第14号証の証拠能力(証拠適格性)につき判断する。
 証人M、同Nの各証言によれば、昭和41年7月18日被告Dが訴外E方を訪れ、同人宅で訴外E、同人の子たる原告A、原告Aの妻たる訴外Hと本件事件について会談した際、原告Aの子たる訴外Mにおいて右会談の行なわれた部屋の隣室で右会談の内容を被告Dに断らないままにテープレコーダーにより録音し、後日訴外Mにおいて右録音テープを反訳して甲第6号証を作成したものであること、しかして更に後日、訴外Nにおいて右テープを新たに別のテープに吹き替えて当該新テープを反訳し(但し一部は要約し)て甲第14号証を作成したものであることが認められ、他に右認定に反する証拠はない。

 右によれば、右録音テープに録取された会談の内容は、本件事件の当事者間で本件事件について質疑がなされた際にこれを一方当事者側において録取したものであり、特に会談の当事者以外にききとられまいと意図した形跡はないから、右録取に際し他方当事者の同意を得ていなかつた一事をもつて公序良俗に反し違法に収集されたものであつて、これにもとづいて作成された証拠に証拠能力を肯定することが社会通念上相当でないとするにはあたらない。とすれば、甲第6号証、第14号証もその証拠能力を否定することはできないというべきである


以下、全文です。

*************************************************************

主  文
1 原告らと被告Bの間で、被告Bが昭和41年4月22日被告Dから別紙〈省略〉物件目録記載の土地および建物を譲り受けた行為を取り消す。
2 被告Bは原告らに対し、右土地および建物につきなされた甲地方法務局乙出張所昭和41年4月○○日受付第○○○号による所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。
3 被告Dは、原告Aに対し金351万1967円83銭およびこれに対する昭和42年3月6日以降完済にいたるまで年五分の割合による全員を、原告Bに対し金175万5983円91銭およびこれに対する昭和42年3月6日以降完済にいたるまで年5分の割合による全員を支払え。
4 原告らのその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用はこれを3分し、その1を原告らの、その余を被告らの各負担とする。
6 この判決は右3に限り仮りに執行することができる。

事  実
第1、当事者の求めた裁判
(原告ら)
1 主文1と同旨。
2 主文2と同旨。
3 被告Dは、原告Aに対し金531万円およびこれに対する昭和42年3月6日以降完済にいたるまで年五分の割合による金員を、原告Bに対し金265万5000円およびこれに対する昭和42年3月6日以降完済にいたるまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
5 右3につき仮執行の宣言。

(被告ら)
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

第二、当事者の主張
(原告らの請求の原因)

1 訴外亡Eは被告Dに対し左のとおり合計金800万円を貸し付けてきた。
(一) 昭和35年9月1日 金80万円
(二) 同36年5月1日  金40万円
(三) 同37年8月1日 金100万円
(四) 同年11月1日  金100万円
(五) 同38年1月1日 金200万円
(六) 同年2月1日   金100万円
(七) 同年3月1日    金30万円
(八) 同年4月1日   金130万円
(九) 同年5月1日    金10万円
(10) 同年6月1日   金10万円

2 しかして訴外Eおよび被告Dは、昭和40年11月12日、右従前の債務を貸借の目的として訴外Eを貸主、被告Dを借主とする準消費貸借契約を締結し、弁済期を昭和42年3月10日と定めるとともに、右金800万円中金550万円につき利息を月1分5厘、金250万円につき利息を月2分、遅延損害金は日歩8銭2厘とすることを約した。


1 被告Bは昭和41年4月22日被告Dから、当時同被告の所有であつた別紙物件目録記載の土地および建物(以下本件不動産という。)を無償で譲り受け、同月23日、主文2記載の所有権移転登記を経由した。

2 被告Dは右の当時本件不動産の他には財産を有せず、本件不動産を除いては前記金800万円の債務の支払いができなくなることを知りながら右譲渡をなしたものである。

三、訴外Eは昭和41年11月7日死亡し、同訴外人の妻たる原告B、子たる原告Aにおいて法定相続分の割合に応じて同訴外人を相続した。

四、よつて原告らは、
1 被告Bに対し、同被告の被告Dからの本件不動産譲受行為を詐害行為として取り消し、かつ、前記所有権移転登記の抹消手続をすること、

2 被告Dに対し、前記準消費貸借に基く貸付金債権中、昭和41年2月28日同被告から元金充当の合意のもとに弁済を受けた金3万5000円を控除した残額である金796万5000円を相続分の割合に応じ原告Aに対し金531万円、原告Bに対し金265万5000円、および各原告らに対し右債権の支払期限後(訴状送達の翌日)である昭和42年3月6日以降完済にいたるまで約定による遅延損害金の範囲内である年5分の割合による遅延損害金の支払をなすこと、
 を求める。

(被告らの答弁)

1 請求の原因1、1記載の事実は否認する。
 被告D、訴外株式会社F、同Gにおいて原告ら主張の各期日に原告ら主張の各金員を訴外H、同I、同J、同Kらから借り入れた事実があるにすぎない。

2 同1、2記載の事実中準消費貸借契約の目的とされたのが被告Dの訴外Eに対する借入金債務であつたとの点を否認し、その余を認める。
 従前の消費貸借契約は右1、1記載のとおりの当事者間の貸借であつたものであるから、被告Dは原告主張の準消費貸借契約上の債務を負担しない。


1 同二1記載の事実中、譲渡行為が無償であつたとの点を否認し、その余を認める。被告Bは右譲受当時被告Dに対し金2000万円弱の貸金債権を有していたので、右債権の一部の代物弁済として本件不動産を譲り受けたものである。

2 同2、2記載の事実は否認
する。なお、当時本件不動産には訴外某銀行に対する抵当権が設定されており、実際の経済的価値は低かつたものである。

三 同三記載の事実は認める。

四 同四は争う。

(被告らの抗弁)
一、仮りに請求の原因一、記載の事実が認められるとしても、
1 被告Dは訴外Eに対し、請求の原因一、1の(一)ないし(10)記載の各借入金毎に、別紙計算表(その一)中利息支払日および支払利息額の各欄記載のとおり約定による利息金を支払つてきた。

2 被告Dは訴外Eに対し、請求の原因一、2記載の準消費貸借契約に基く債務につき、別紙計算表(その二)中利息支払日および支払利息額の各欄記載のとおり約定による利息金を支払つてきた。

3 右各支払利息金中利息制限法による制限を越える部分は元本の支払いに充当されるべきものであるから、右準消費貸借契約は右1、1記載の各支払利息金中利息制限法超過分を元本支払に充当した後の元本残額合計額においてのみ効力を有し、右1、2記載の各支払利息金中利息制限法超過部分を右準消費貸借に基く元本支払に充当した残額についてのみ被告Dは支払義務があるにすぎない。

二、仮りに請求の原因二、記載の事実が認められるとしても、被告Bは本件不動産の譲受当時、右譲受行為が被告Dの債権者を害することを知らなかつた。即ち、被告Bは右当時被告Dに対して金2000万円弱の貸付金債権を有していたものであるが、これは全て被告Dの本件不動産における旅館業に対する営業資金として貸付けて来たものであつて、被告Dが訴外Eらの第三者に対し多額の借受金債務を負担していることなどは何ら予想もしていなかつたものである。

(原告らの答弁)
1、抗弁1、記載の事実は認める。
二、同2、記載の事実は否認する。

第三、証拠関係〈省略〉
以上:3,506文字

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