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無断録音された録音テープの証拠能力-緩やかな判例紹介2

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平成25年 8月 8日:初稿
○「無断録音された録音テープの証拠能力-原則」でその重要部分を紹介し、「無断録音された録音テープの証拠能力-緩やかな判例紹介1」で、その全文の前半部分を紹介していた昭和52年7月15日東京高裁判決(判例時報867号60頁、判タ362号241頁)の全文後半部分-裁判所の結論-を紹介します。


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(三) してみると、控訴人は、控訴会社代表者Aが立案したテレビドラマ「自由化旋風」なる番組を企画してその製作放映等を被控訴人に申込み、これが製作等の実現に努力していた事実は認められるものの、被控訴人が右申込を承諾して控訴人との間にその主張のようなテレビ映画の製作放映に関する契約(控訴人のいう基本契約および製作開始に関する契約が考えられるとしてもそのような契約を含めて)が成立した事実を認めるには足りないものというほかはない。

 もつとも、録音テープの存在については争いがなく、当審における控訴会社代表者本人尋問の結果(第一ないし第三回)からBらとAとの間の会話を録音したテープの内容を文章化したものと認められる〈証拠〉によれば、被控訴会社において控訴人の右申込みを承諾ないしは黙示的に了承したことを推認させるかのような事実を右Bが供述した部分がないでもない。

 そして被控訴人は右録音テープおよびこれを文章化した〈証拠〉はいずれも違法に収集されたもので証拠能力を有しない旨主張するところ、〈証拠〉を総合すると、控訴人は、本件につき第一審において敗訴判決を受けたのは、前記Bが控訴人に不利な供述をなしたことに起因するものと考え、これを不服として控訴申立てをする決意を固めていたが、代表者Aは、かねて被控訴会社人事課長Cと幼少の頃から親交があつたことから、同訴外人を通じて右Bを酒席に招いて酒食を饗応したうえ同人から自己に有利な供述をなさしめてこれを秘かに録音テープにとろうと企て、控訴提起前である昭和47年9月6日ころ、右Cを通じてBに対し、自己の後援者である訴外Dに本件を有利に説明して欲しいなどと依頼し銀座の料亭「らん月」に招待し、右Dをも同席させてBらに酒食を饗応し、録音されていることを知らない同人らに本件の経緯について種々誘導的に質問してBには単に諾否を答えさせるような方法で会話を交し、その間襖を隔てた隣室でこの問答を録音テープに収録し、これを当審における証拠とし、その取調べを求めるに至つたものである事実を認めることができ、これを覆えすに足りる証拠はない。してみると、右各証拠は、供述者であるBらに不知の間収集録取された同訴外人らの供述を内容とする証拠というべきである。

 ところで民事訴訟法は、いわゆる証拠能力に関しては何ら規定するところがなく、当事者が挙証の用に供する証拠は、一般的に証拠価値はともかく、その証拠能力はこれを肯定すべきものと解すべきことはいうまでもないところであるが、その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によつて採集されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ないものというべきである。

 そして話者の同意なくしてなされた録音テープは、通常話者の一般的人格権の侵害となり得ることは明らかであるから、その証拠能力の適否の判定に当つては、その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか否かを基準とすべきものと解するのが相当であり、これを本件についてみるに、右録音は、酒席におけるBらの発言供述を、単に同人ら不知の間に録取したものであるにとどまり、いまだ同人らの人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したものということはできないから、右録音テープは、証拠能力を有するものと認めるべきである。

 そこで右録取にかかるBの供述をとつてもつて控訴人主張の契約の成立を認める資料と評価し得るかどうかについて考えるに、右供述は、前認定のようにAからその後援者に自己の立場を有利に説明して欲しいとの要請をうけたBらが酒食の饗応を受ける席上においてなされたものであつて、右Aの誘導的発問に迎合的に行われた部分がないでもないと認められるので、右録音テープに録取されたBの供述部分はにわかに信用しがたいものがあり、そのほかの証拠資料をもつてしても控訴人主張の契約の成立を認めさせるには足りない。

三 したがつて、被控訴人との間の契約の成立はもとより、被控訴人の被用者であるBにおいて、控訴人のなした本件テレビ映画の製作放映に関する契約の申込についてこれを承諾した事実は認めがたいから、控訴人の主張はすべて理由がないことに帰する。

四 よつて控訴人の本訴請求は当審における拡張部分をも含めて理由がなく、原判決は相当であり、本件控訴及び当審で拡張した請求はいずれも失当であるから棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第95条、第89条を適用し、主文のとおり判決する。
(小林信次 滝田薫 桜井敏雄)
 
以上:2,089文字

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