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津波行方不明者に認定死亡制度適用は困難?

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平成23年 5月25日(水):初稿
○「震災による行方不明者死亡保険取扱報道例と法律制度2」で、以下の戸籍法による認定死亡制度を紹介し、津波に巻き込まれる事故は「水難」に該当することは明白なので、水難事故による死亡の報告は,官海官庁である海上保安庁又はその下部機関が所管し(昭和24年3月15日民事甲252号通達)が、「死亡認定事務取扱規程」(昭和28年7月7日海上保安庁達17号)に基づき死亡認定を行われるであろうと推測記事を書いておりました。

戸籍法第89条
 水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。


○私自身、海上保安庁に確認しなければと思っていましたが、今般、仙台弁護士会MLに大町法律事務所畠山裕太弁護士から、以下の投稿を頂きました。
海上保安庁宮城海上保安部に問い合わせ,認定死亡について尋ねてみました。

・受付はしているが,今までのところ震災に関連して申し立てられた案件は聞いていない。
・海上保安庁の認定死亡は,基本的に船舶の海難事故を想定しており,今回の震災で陸にいて津波で流された人,は対象にならない。
・事故から3ヶ月が経過してから調査を開始する。
・申込みをしてから,認定がおりるまでは通常1年程度の期間がかかる。
・特に書式等について広報はしていないのでお近くの海上保安部に問い合わせをして欲しい。

なお,東京のほうにも問い合わせてみました。
・海上保安庁経由で認定死亡を受けようとすれば,津波で陸から海に流されたという具体的な証拠がないとだめだ。
・震災時に陸にいた人が海上保安庁経由で認定死亡を受けるのは著しく困難であろう。
という回答でした。

「死亡認定事務取扱規程」(昭和28年7月7日海上保安庁達17号)第2条(死亡認定事務の重要性)には、「死亡認定事務は、行方不明者の身分関係及び財産関係を確定する重要なものであるから、その処理に当っては、正確且つ慎重な調査を行い、行方不明者に関する事実の確認に努めなければならない。」とされており、特に「その処理に当っては、正確且つ慎重な調査を行い」との文言から、簡単に認定死亡報告は出されないのだろうなと思っていました。

○また、津波に巻き込まれて死亡した事案は、「水難」に該当すると思っていましたが、海上保安庁の見解は、陸にいて津波で流された人は、対象外とのことで、津波行方不明者については海上保安庁が取調をした官公署として死亡報告書を作成してくれるであろうとの私の推測は誤りでした。しかし、津波によって流され行方不明の方が、働き盛りの父親等一家の生計の支柱であった場合、一家の収入が絶たれ、そのご遺族は特に死亡生命保険金受領が早急に必要な方が多いと思われます。

○平成23年3月24日読売新聞「遺体未発見でも死亡保険金…被災者に特例措置」の記事では、生保各社は「地震や津波での被災が確実視され、公的機関が事実上、死亡を認定する証明書があれば、戸籍の抹消を待たずに死亡保険金を支払う方針」とのことですが、この「公的機関が事実上、死亡を認定する証明書」が、何かがハッキリしないのが悩ましいところです。知り合いの生保代理店の方に聞いても判りませんでした。

以上:1,385文字

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