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マンションの駐車場に乗り捨てられた自動車の処分方法3

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平成19年 9月16日(日):初稿
○「マンションの駐車場に乗り捨てられた自動車の処分方法」を続けます。「マンションの駐車場に乗り捨てられた自動車の処分方法2」では、乗り捨てられた自動車の登録名義がBクレジットの場合について検討しましたが、今回は、甲マンション元居住者で行方不明になったAさん名義の場合について問題点を更に詳しく検討します。

○甲マンションはAさんに対し、未納駐車場料金100万円、未納管理費100万円の合計200万円の債務があった場合、甲マンション管理組合としてAさんに対し金200万円を支払えとの訴えを提起します。訴えを提起するためには甲マンション管理組合は法人化していないと、「権利能力なき社団」としての訴え提起になり手続きが面倒になりますので、マンション管理組合は法人格を取得することが大原則です。

○甲マンション管理組合法人として、Aさんに200万円を支払えとの訴えを提起するとしてもAさんは行方不明ですので、公示送達(民事訴訟法第110条)という方法を利用します。この方法を取る場合、Aさんの行方不明の状況について詳しい報告書や不在証明書等の添付が必要です。

○訴えを出してもAさんは行方不明ですから裁判所に出てきませんので簡単な証拠調べ(管理費、駐車場料金の場合、殆どは請求書等の書証の取り調べだけ)でAさんに対し金200万円を支払えとの判決が出され、次にAさん所有名義の自動車についての自動車競売申立をします。

○この自動車競売申立での問題は、執行裁判所は自動車税について課税権利者の都道府県に債権届出(交付要求)を促す書面を送付しているようです。当事務所で過去に自動車競売申立を行った例では全て宮城県から未納自動車税の交付要求があり、以下の事情で取下を余儀なくされたことがありました。

○自動車の価値が殆どない場合でも自動車税の交付要求が15万円あった場合、自動車税は甲マンションの債権より優先する債権ですので、執行費用のうち共益費用である手続費用(仮に5万円とします)の見込額と15万円の合計20万円を上回る金額(仮に22万円とします)を甲マンション管理組合がこの額以上の買受申出がなかったときには自らが買い受ける旨を申し出て,これと同額の保証提供をする方法(民事執行法63条2項1号)を取らなければなりません。

○このこと簡単に言うと甲マンション管理組合は交付要求されたAさんの未納自動車税15万円を立替支払しないとAさん所有自動車を買い受けることが出来ません。裁判所でいちいち宮城県にAさんの自動車が競売になったことを知らせなければ宮城県が交付要求してくることもないのですが、裁判所は県税徴収協力のため余計なことをしているようです。この未納自動車税の立替支払を余儀なくされることが自動車競売の最大の問題点です。
以上:1,144文字

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