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「僕らには親が別れても愛される権利がある!」紹介2

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平成19年11月13日:初稿
「僕らには親が別れても愛される権利がある!」紹介を続けます。この本は、「母子家庭共和国」を主催する「女性の自立」と「子ども達の健全育成」を目的としたNPO法人Winkが平成14年に母子家庭を中心に養育費支払についての実態調査をした結果とその分析を報告したものです。その中で養育費支払と面接交渉についての記述もあり、面接交渉のあり方を考える資料として大変価値があります。

○この本の102頁以下に「僕らには親が別れても愛される権利がある!」との表題で「-子ども達の声-」が4例紹介されています。この子ども達の声の前書きは以下の通りです。
離婚がクローズアップされる時、決して表には出ない子ども達の声。私達は当事者団体ならではの調査を新たな試みとして行いました。心理カウンセラーが離婚家庭の子ども達にインタビュー。『子どもだからといって事実を隠したり、ごまかしたりすることはやめて!』子ども達の本当の気持ち、主張を聞いて下さい。

○紹介された4例いずれも離婚後の子ども達は子ども達なりに自分の置かれた立場を考え、逞しく生きていると実感しましたが、その懸命さに胸が詰まり涙が溢れてくる例もありました。その中で前回紹介した小学3年生のS君の例は、離婚後の養育費支払、離婚後親権者の母の再婚による義父と実父との関係、実父との面接交渉等理想的に展開しており、これを元に面接交渉のあり方を私なりに再検討しようと思っております。

○そのためこのS君の例について、ちと長くなりますが、大変参考になりますので、要約ではない全文を紹介します。下線部は私が特に感心した箇所です。

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僕らには親が別れても愛される権利がある!」105~108頁から引用

【小学3年生 男の子 養育費○ 面接○】

S君は5歳の妹とお母さん、事実婚で新しいお父さん(義父)と暮らしています。お父さんの両親とも敷地内同居をしています。
 S君のお母さんが離婚をしたのはS君が4歳のとき。性格の不一致が家庭内暴力に発展し、その後、さらにお父さんの女性問題があっての離婚でした。

離婚・・・お父さんと別れるのが辛かった
 お母さんに暴力をふるうお父さんも、S君にとっては優しい顔を見せてくれる大好きなお父さんでした。離婚前にお母さんと3人で実家に居候している最中にS君はこう感じていたそうです。「おじいちゃんやおばあちゃんがいて楽しかったけど、パパがいなくて寂しかった。あとママもしゃべらなかったから、とっても心配だった」。
 そして離婚が決まった時にはS君はこう感じました。「離婚すると思ってなかったから、びっくりしたよ。パパと一緒に暮らせなくて、とっても寂しかった」。でもS君はその寂しさをお母さんには伝えられなかったそうです。「パパに会いたいとはいえなかった。僕がそんなことを言ったら、ママが泣いちゃうかもしれないでしょう?」と真剣な顔をして答えてくれたS君、お母さんを思いやる健気な気持ちが伝わってきました。
 離婚後にお世話になったお母さんの実家も、S君にとっては居心地の良い場所ではありませんでした。「ママが働いていないと追い出されるんじゃないかと思って心配だった」これからどうなっていくのだろう?という不安が彼の心の中をしめていたようです。
 実家から出てお母さんと妹と3人での暮らしが始まりました。その時を思い出して、S君はとても楽しかったといいます。「パパがいなくてもいいと思っていたし、パパのことを忘れていたよ」仕事場でお父さんの浮気相手と会って、お母さんが泣き叫んでいる姿を見てしまったS君にとって、離れてから両親の離婚の理由を考えた時に、お父さんはお母さんを裏切った悪い奴だからもういなくてもいいやと思ったそうです。「パパと一緒で泣いているママより、離婚して笑っているママの方がずっといい」と笑顔で言っていました。

お父さんとの面会は楽しくて愛情を感じる
 ドメスティックバイオレンスで精神的なショックがかなり大きかったお母さんは、お父さんとの接触を離婚後は避けていました。
 別れたあとにお父さんは子ども達のことを忘れずに養育費を定期的に支払い続けました。間に会社の倒産、転職などがあり金額は減ったものの養育費の支払いは途切れることはありませんでした。
 時折送ってくるメールやFAXには、我が子に会えない寂しさや苦しみが書かれていました。そんなお父さんの誠実な態度や気持ちを少しずつ理解しはじめ、離婚から5年後にお母さんは子ども達を会わせてやろうと思いはじめたと言います。
 現在のパートナーと生活をともにするようになって精神的に安定してきたお母さんは勇気を出して、別れたお父さんとS君の面接交渉を考えようと話し合いを始めました。
 夏休みなどの長い休みを利用して、一日だけ子どもの生活を優先しながら一緒に行動する、お互いのプライバシーに立ち入らない、悪口を言わない、お互いを尊重するなどの条件を提示し面接をさせることを取り決めしました。
 面接は最初のころはお母さんも一緒に行くことがS君の条件でした。「だってそんなに会ってない人と2人だけででかけるのは嫌だよ」そして3回目からはS君は1人で行くようになりました。「ママは3人でいてもしゃべらないし、楽しそうじゃないから一緒じゃなくてもいいと思ったんだ」
 今ではパパに会えるのは嬉しいと、会えるのをとても楽しみにしています。「パパは怒らないし、優しいよ。好きなことをやってくれる。でも長い休みのときだけ会えればいいや。たまにじゃないと、おもちゃとか買ってもらえなくなるから」。そんな率直な回答にほほえましさを感じました。お父さんは会うと学校や友達のことをちゃんと聞いてくれるそうです。心配してくれているんだなと思うと、愛情を感じると話してくれました。

僕にはパパとお父さんがいる
 3人で暮らし始めてお母さんが「お友達だよ」と連れてきた彼をどう思ったかを聞いてみました。怪しい奴だと最初は思っていたそうです。彼が家に遊びにくるようになって少しずつ警戒心が解けていきました。それでもなかなか信用はできなかったといいます。事実婚で彼の両親のいる二世帯住宅へ引っ越し、新しい家族との生活が始まりました。一緒の生活がスタートして3年、今では本当の親子のようだといいます。
 彼のことをお父さんだと思うようになったのは真剣に怒ってくれるからだと話してくれました。「怒ることや注意することは、本当の親がすることだから嬉しいし、愛されていると感じるんだ。
 面接に出掛けるときにS君はこんなことも感じてます。「本当のパパと会う時、今のお父さんに悪いと思うんだよ。でも僕にとってはどっちもお父さんだよ。僕にはパパとお父さんがいるんだよ。

子どもに嘘をつかないで!
 離婚時に赤ちゃんだったS君の妹は現在5歳です。本当のお父さんの話を何も知らずに、今のお父さんを本当のお父さんだと信じているので妹は本当のお父さんとも面接はしていません。
 そのことに話がおよぶとS君は「ちゃんと話してあげないとかわいそうだよ」といいます。「僕も幼稚園のときにちゃんとわかったんだから、あいつもわかるはずだよ。秘密にして、うそをついたりしないほうがいいと思うよ。ごまかすとかわいそうだよ」お兄ちゃんとして、妹を思いやる気持ちが強く現れているようでした。

以上:3,035文字

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