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名簿漏洩に関する不法行為責任を否定した大阪高裁判決全文紹介

○未成年者の保護者が、通信教育等を目的とする会社が、管理していた未成年者の個人情報を過失によって外部に漏えいしたことにより精神的苦痛を被ったと主張して、通信教育会社に対し、不法行為に基づき、慰謝料10万円の支払等を求め、平成28年6月29日大阪高裁判決(判タ1442号48頁・判時2351号9頁いずれも<参考収録>)が、漏えいにより、迷惑行為を受けているとか、財産的な損害を被ったなど、不快感や不安を超える損害を被ったことについての主張・立証がされていないとして棄却していました。

○この上告審の平成29年10月23日最高裁判決(NBL1109号25頁)は、上告人は、そのプライバシーを侵害されたといえるとし、原審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、本件漏えいについての被上告人の過失の有無並びに上告人の精神的損害の有無及びその程度等について更に審理を尽くさせるため原審に差し戻しました。

○「本件漏えいは,被控訴人のシステムの開発,運用を行っている株式会社Z(以下「Z社」という。)の業務委託先の従業員である甲野太郎(以下「甲野」という。)が,被控訴人のデータベースから,延べ約2億1639万件の顧客等の個人情報を不正に持ち出したものの一つであり,甲野は,持ち出したこれら個人情報の全部又は一部を名簿業者3社に対して売却した。」との名簿漏洩の事案です。もしこれに損害賠償責任が認められると1件の金額が小さくても大変なことになります。
先ず控訴審大阪高裁の全文を紹介します。

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平成28年6月29日大阪高裁判決全文

主  文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 

事実及び理由
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は,控訴人の負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,10万円及びこれに対する平成26年11月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は,控訴人が,被控訴人に対し,被控訴人は入手した控訴人の個人情報を過失により漏えいしたとして,不法行為に基づき,損害賠償金10万円及びこれに対する不法行為日以降の日である平成26年11月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審が控訴人の請求を棄却したので,控訴人が本件控訴を提起した。

2 前提事実(当事者に争いがないか,掲記の証拠等によって認められる事実)
(1)控訴人は,Aの保護者である。

(2)被控訴人は,通信教育,模擬試験の実施等を目的とする株式会社であり,株式会社Y’(以下「被控訴人の親会社」という。)の完全子会社である。(甲5,弁論の全趣旨)

(3)被控訴人が管理していた以下の個人情報(以下「本件個人情報」という。)が遅くとも平成26年6月27日までに被控訴人の外部に漏えいした(以下「本件漏えい」という。)。(甲1,2,弁論の全趣旨)
 氏名 A
 性別 女
 生年月日 平成16年△月△日
 郵便番号〈省略〉
 住所 〈省略〉
 電話番号〈省略〉
 保護者名 X

(4)本件漏えいは,被控訴人のシステムの開発,運用を行っている株式会社Z(以下「Z社」という。)の業務委託先の従業員である甲野太郎(以下「甲野」という。)が,被控訴人のデータベースから,延べ約2億1639万件の顧客等の個人情報を不正に持ち出したものの一つであり,甲野は,持ち出したこれら個人情報の全部又は一部を名簿業者3社に対して売却した。(弁論の全趣旨)

2 争点及び当事者の主張
(1)本件個人情報が控訴人のものであるか

(控訴人の主張)
ア 被控訴人は,入手していた控訴人の個人情報を漏えいした。
イ 控訴人の氏名を含む本件個人情報が,一箇所にまとまって記録されているのであれば,それらは連携しており,容易に結びつけることが可能である。このことは,本人と保護者が別居しているというような例外的な事情がある場合があるからといって,否定されない。

(被控訴人の主張)
 被控訴人が,Aの保護者としての控訴人の氏名の情報を受領したこと及びそれが漏えいしたことはあるが,控訴人のその余の情報の漏えいはない。
 本件個人情報は,Aの情報として登録されていた情報である。被控訴人は,控訴人の個人情報(生年月日,住所等)をAの情報(本件個人情報)とは別に受領して,管理しており,控訴人の個人情報は漏えいしていない。
 保護者は,親権者とは別の概念である。また,情報が登録されていた本人とその保護者として登録されている者が別居している場合もあるから,本人の郵便番号,住所,電話番号を,保護者のそれとを同視することはできない。

(2)本件漏えいについての被控訴人の過失
 (控訴人の主張)

ア 被控訴人は,顧客等から収集した個人情報の漏えいを防止し,これを安全に管理するために必要かつ適切な措置を講じる義務を負っており(個人情報保護法20条),また,従業員に個人情報を取り扱わせる場合には,従業員に対して適切な監督をしなければならず,個人情報の管理を第三者に委託する場合には,受託者に同様の安全管理措置を講じさせた上でこれを遵守させる義務を負っていた(同法21条,22条)。しかし,被控訴人はその義務を怠り,本件個人情報を含む多くの個人情報を流出させ,控訴人を含む多くの顧客等のプライバシー侵害を放置し又は助長させている。

イ 個人情報を安全に管理するための「必要かつ適切な措置」として被控訴人が行うべき具体的行為は,被控訴人の親会社が「個人情報漏えい事故調査委員会による調査結果について」と題する文書(以下「本件報告書」という。)によって,広く世間に報告したとおりである。

 その内容は,個人情報の流出原因となった①アラートシステムの設定ミスや②書き出し制御の不徹底などのない個人情報の流出を防ぐための相当な措置を講じた内部規定の作成やシステムの構築,運用及び管理を行うべきであったというものであり,また,常にデータベース内の個人情報が流出していないか監視,監督を行い,データベース中に複数の独自のダミーデータを定期的に又管理先ごとに異なるものを入れ,流通している名簿に当該データが含まれていないか,当該データの住所や連絡先にダイレクトメールや営業の勧誘がないかなどをチェックし,流出した場合でも,すぐに流出の事実や流出元,時期が判明するようにすべきであったというものである。

(被控訴人の主張)
ア 個人情報保護法は,私法上の権利利益の内容や範囲を直接画定し,これを保護しようとするものではなく,個人情報の適正な取扱いに関するルールを明確にし,それらを法律上の制度として整備し,その遵守を確保することにより個人の権利利益の侵害を未然に防止しようとするものであって,同法に定める個人情報取扱事業者に関する各種義務は公法上のものにすぎない。したがって,同法の義務が直ちに民法上の不法行為責任を基礎付けける注意義務になることはない。

 また,個人情報保護法の「個人情報」の定義に含まれる情報は,公知か否か,一般に他人に知られたくないようなものか否かを問わないのであるから,同法の「個人情報」は,「プライバシー」とは別の概念である。

イ 控訴人が個人情報の流出原因であると主張する①アラートシステムの設定ミスや②書き出し制御の不徹底は,本件報告書において,被控訴人にかかるものではなく,Z社にかかるものとして記載されている。また,控訴人は,被控訴人において,常にデータベース内の個人情報が流出していないか監視,監督を行い,データベース中に複数の独自のダミーデータを定期的に又は管理先ごとに異なるものを入れ,流通している名簿に当該データが含まれていないか,当該データの住所や連絡先にダイレクトメールや営業の勧誘がないかなどをチェックし,流出した場合でも,すぐに流出の事実や流出元,時期を判明するようにするべきであったと主張するが,本件報告書にそのような記載はない。

(3)本件漏えいによる控訴人の損害
(控訴人の主張)

 控訴人は,本件漏えいにより,精神的苦痛を被り,これを金銭的に換算すると,10万円が相当である。

(被控訴人の主張)
 控訴人が10万円相当の精神的苦痛を被ったことは争う。
 氏名は,最も基本的かつ客観的な情報として社会生活を営む上で,開示公表される性質のものであるし,登記や官報公告などにおいて氏名や住所が開示公表されている。

 被控訴人は,情報漏えいが明らかになった後に速やかに謝罪を行い,再発防止及び二次被害防止のための取組みを行っている。また,被控訴人は,漏えい被害者に対し,お詫びのしるしとして500円相当の金券を送付する等の対応を行い,今後も再発防止及び二次被害防止のための種々の取組みを継続していくことを公表している。このように,被控訴人は,被害者の精神的苦痛を軽減するための対応を既に行い,かつ,今後も行っていくこと等からすると,仮に本件漏えいにより控訴人が何らかの精神的不快感等を被ったとしても,法的に慰謝料が発生する程度のものではない。

第3 当裁判所の判断
1 本件個人情報が控訴人のものであるか(争点(1))及び本件漏えいによる控訴人の損害(争点(3))について
(1)本件個人情報のうち,控訴人の氏名は,控訴人の個人情報である。

 本件個人情報のうち,Aの郵便番号,住所,電話番号は,Aが,本件漏えい当時,10歳未満の未成年者であると認められることからすると,控訴人の郵便番号,住所,電話番号でもあると推認することができるから,控訴人の個人情報であると認められる。被控訴人が主張するように,本人と保護者が別居している場合もあり得るが,本人が10歳未満の未成年者である場合には,それは,例外的な場合であると考えられるから,そのような例外的な場合があるからといって,上記判断が左右されることはないというべきである。

 本件個人情報のうち,Aの氏名,性別,生年月日は,控訴人の個人情報そのものではないとしても,控訴人の家族関係を表す情報ということができる。被控訴人が主張するように,保護者は,親権者とは異なる概念であり,保護者が,本人の家族でない場合もあり得るが,それは,例外的な場合であると考えられるから,そのような例外的な場合があるからといって,上記判断が左右されることはないというべきである。したがって,本件漏えいは,控訴人の氏名,郵便番号,住所,電話番号及びその家族である者の氏名,性別,生年月日が漏えいしたものということができる。

(2)自己の氏名,郵便番号,住所,電話番号及びその家族である者の氏名,性別,生年月日が名簿業者に売却されて漏えいすると,通常人の一般的な感覚に照らして,不快感のみならず,不安を抱くことがあるものと認められる。
 しかし,そのような不快感や不安を抱いただけでは,これを被侵害利益として,直ちに損害賠償を求めることはできないと解するのが相当である。
 本件においては,本件漏えいによって,控訴人が迷惑行為を受けているとか,財産的な被害を被ったなど,上記の不快感や不安を超える損害を被ったことについて主張,立証はない。したがって,控訴人が被控訴人に対して損害賠償を求めることはできない
というべきである。

2 以上によると,争点(2)について,判断するまでもなく,控訴人の請求は理由がない。

第4 結論
 以上のとおりであるから,控訴人の請求は理由がない。原判決は結論において相当であるから,本件控訴を棄却することとして,主文のとおり判決する。

以上:4,805文字

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