平成14年 2月 1日(金):初稿 |
■初めに 私は、人様の紛争に関係する弁護士稼業について、平成13年5月で丸21年を経過します。 この間、前号までにお話しした聾唖の常習窃盗者を見ても判るように、人間は、他人との関係で生きるもので、一人では生きられないと言うことを、つくづく実感してきました。 その結果、人間の最も根元的な欲求は、他人に評価されることではないかと思うようになってきました。今回は、この他人(以下、他人の集合として「世」と言います)に評価されたいと言う欲求について私なりの独断と偏見で考えてみたいと思います。 ■人間の欲求の種類 一般に人間の欲求は、食欲、性欲等の本能的欲求と、名誉欲、財産欲、知識欲等の社会的欲求があると言われています。 食欲、性欲は種を維持するための動物としての本能的欲求ですので、人間考察としては参考になりません。動物とは異なる人間社会の一員としての社会的欲求と呼ばれる名誉欲や財産欲などについて突き詰めて考えると全て一つの欲求に突き当たります。 ■名誉欲-勲章について 名誉欲を満たすものは、大きなものは国から貰う勲章から、小さいものは町内会の表彰状、仲間内での感謝状などがあります。 勲章は、年を取るほど貰うことにこだわり、貰うと素直に喜ぶようになるそうです。これは勲章により端的に自分が世に評価されたと言う自己満足を得るからと思います。 ところが世の中には、勲章を辞退する人もいます。辞退する人は、世の評価が欲しくないかと言うとそうではありません。辞退したと言うことをもってあの人は潔い素晴らしい人だと世に評価されます。辞退したからと言って辞退したことを知って貰えれば世に認められたことになるのです。 結局、貰っても貰わなくても勲章受章の対象になったことだけで世に認められたという自己満足を持つことが出来ます。勲章制度とは、人間の尻を叩き、世のために役立たせるのに実に巧い制度ですね。 以上:795文字
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