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著作権内容は時代と共に変遷する

平成17年 5月11日(水):初稿 平成17年 5月15日(日):更新
○13日の著作権講演会に備えて今日は著作権の話に戻ります。
著作権法では、著作権の内容として、著作者の一身に専属し譲渡することができない著作物の公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つの著作者人格権と、譲渡可能な財産権としての著作権の2種を定めています。

財産権としての著作権は、著作権法21条以下ではいずれも
著作者は、著作物につき、○○する(行う)権利を専有する。
と規定しています。この意味は、著作物について○○する権利は、著作者しか行使することは出来ません、言い換えると著作物について○○する権利は著作者以外は行使できませんということです。

○この著作物を○○する権利の内容は、①有形的再生権(複製権)、②無形的再生権(上演権等)、③流通利用権(映画の頒布権等)に大別され、現在は11個の条文で11個の権利として認められています。

○この財産権としての著作権は、世の中での著作物の利用形態の発展・利用技術の進歩によって徐々に拡大多様化されてきました。
・例えば26条の2の貸与権(貸与により公衆に提供する権利)は、レンタルレコード業者の乱立と録音装置の普及によってレコード売上が落ちレコード製作者の利益を害する状況となり、昭和59年改正で追加されました。
レンタルレコード業者は、レコードを貸すことは著作権の内容に入っていないので何ら著作権侵害は無いと主張して堂々とレンタルレコード業を営み、これに対しレコード製作者は実質権利を侵害されることを主張して争いになっていました。

・又近時の高速インターネット普及により平成9年改正で23条の放送権・有線放送権に送信可能化権も追加されました。これはwebサーバーに著作物データファイルをアップすることにより公衆がそのデータファイルをダウンロード出来る状態にすることを著作権の対象としたものです。
もし送信可能化権を著作権の一つとして規制しないと誰でも「私的使用」名下に複製した他人の著作物をデジタルデータ化してインターネットサーバーにアップすることが出来ることになります。送信可能化権を著作権として規定してことにより著作者の許諾を得ないとホームページにアップすることが出来なくなりました。

○ところで著作権で最も使用されるのは複製権であり、著作物の複製は著作者しか出来ないはずが、複製の一種である書籍等のコピー機によるコピー或いは録音・録画機器によるは録音・録画等は、著作者以外の人によって日常茶飯事に行われています。
これは著作権法30条で「私的使用」として例外的に認められているものです。

○現在、モヤッとしてイマイチ判らない権利は、26条の2の著作物原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利である譲渡権と30条の「私的使用」の関連です。
26条の2の譲渡は公衆即ち不特定又は特定多数の人に対するものであり、特定少数の人に対する譲渡は含まれません。だとすると30条「私的使用」として著作権者の許諾を得ないで複製した著作物でも特定少数の人に対する譲渡であれば許されるのかどうかが問題になるからです。

○世の中で最も多い無許諾複製は30条で認められた「私的使用」によるものであり、ここで許される複製の要件、これによって複製した著作物の処分がどの程度許されるのか重要な問題であり、引き続き明日の更新情報で検討します。

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