仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 知財法等 > 著作権 >    

著作権の基礎の基礎

平成17年 5月 7日(土):初稿 平成17年 5月15日(日):更新
○著作権の話を続けます。
民法の基礎を学ぶとき最初に出てくるのが、私的自治の原則所有権絶対の原則です。ごく簡単に言えば私的自治の原則とは自分の事は自分で自由に決めることが出来ること、所有権絶対の原則は自分の物は自分だけが自由に支配できることで、この二大原則が近代資本主義の基礎と解説されています。

○所有権の対象は通常は土地とか車等の有体物が考えられます。しかし紙に印刷されて書籍となった論文については、その書籍を購入しても有体物としての書籍自体は所有権の対象になりますが、考えの結果である論文そのものは、書籍購入者の所有権の対象にはなりません。

○論文そのものはあくまで考えて作り出した人の所有に属するものです。論文が印刷された紙そのもの書籍は形ある有体物ですが、論文そのものは形が無く以前は無体物と呼ばれ、これに関する権利も無体財産権と呼ばれていました。

○これらは知的精神活動の結果と言うことで今は知的財産権と言う呼び名で統一され、論文等の思想又は感情を創作的に表現したものが著作物として、創作者即ち著作者には、有体物と同様の支配権として著作権が認められています。

○著作物と言えるためのポイントは「創作」性にあります。「創作」と言っても、全く新たに作り出す事ではなく、又優れたものと評価される必要もなく、要はその人の個性が表れていれば良いと言われています。他人の著作物を要約したレジュメ等は、要約の仕方に個性が認められたり、要約者自身の意見も加われば著作物となる場合もあります。

○著作物の次のポイントは、著作物であれば何らの手続を経ることなく、著作物創作と同時に著作権が発生することです。著作物と言えるためには、思想又は感情の創作的表現であり、表現がなされば即時に著作権が発生するので、例えば講演での口述も著作物ですから、これを録音することは著作物の複製で原則違法です。

○著作権の具体的内容は、人格的利益の保護に着目した「著作者人格権」と財産的利益の保護に着目した「著作権」との二つがありますが、著作権には更に支分権として種々の権利が認められています。詳しくは、ここに記載していますが、最初の重要な権利は複製権です。

著作権法では、2条1項15号で「複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい」と定義し、21条で「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」と規定しています。
この意味は著作物の複製は著作者以外にはできないと定めているもので、上演権、演奏権等の他の権利も同様の形式で規定しています。

○このように著作権法では著作物は著作者以外複製できない事になっています。複製の典型的具体例はコピー機を利用したコピーです。このコピーも著作者以外が行うことは原則違法行為です。ところが、実際、世の中には著作物の著作者以外が行うコピー行為が日常茶飯事に行われています。

○その中には著作権法で例外として許されているコピー行為もありますが、許されないコピー行為も多く、我々法律家の間でも全く当然の如く何ら違法の意識無くなされている例が山のようにあります。
明日はこれらの違法コピー行為について考えてみます。

以上:1,309文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック
※大変恐縮ながら具体的事件のメール相談は実施しておりません。

 


旧TOPホーム > 知財法等 > 著作権 > 著作権の基礎の基礎