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第9章著作権法-著作権・著作者人格権の変動と権利行使 小松

平成17年 1月15日(土):初稿 平成17年 1月18日(火):更新
第3節の5 著作権・著作者人格権の変動と権利行使
1.著作権の譲渡・質入
61条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
場所的限定(ex宮城県内のみ)、方法限定の譲渡は権利関係を錯綜させるので認められない。
但し、国を限定しての全部又は一部譲渡は可能である(ベルヌ条約参照)。
著作権は財産権であり、相続される。

61条2項に注意
 著作権を譲渡する契約において、第27条(翻訳権、翻案権等)又は第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。

著作権は質入れも可能であり、質権者は原則として著作権を行使できる。但し、著作権利用・譲渡対価は引渡前の差押が必要(66条)。

(著作権の登録)
77条 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
  一 著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)又は処分の制限
  二 著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

2.著作権の消滅
62条 著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。
  一 著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法959条(相続財産の国庫帰属)の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。
  二 著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が民法723条3項(残余財産の国庫帰属)その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

3.著作者人格権の一身専属性と死後の人格的利益の帰属
59条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
従って著作者人格権は著作者死亡により消滅する。
但し、60条 著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。

116条 (著作者の死後における人格的利益の保護のための措置)著作者の死後においては、その遺族(死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)は、当該著作者について第60条の規定に違反する行為をする者又はするおそれがある者に対し第112条の請求を、故意又は過失により著作者人格権を侵害する行為又は第60条の規定に違反する行為をした者に対し前条の請求をすることができる。

(名誉回復等の措置)
115条 著作者は、故意又は過失によりその著作者人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者であることを確保し、又は訂正その他著作者の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。

4.著作権の行使(著作物の利用許諾)
63条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。
「利用」とは、著作権者以外の者が、著作権の内容となる各支分権に抵触する方法で著作物を利用すること。映画鑑賞、読書は著作物の利用に非ず。

利用許諾は、場所・方法・数量を限定して行うことが出来る。
単純利用許諾は、著作権が複数の被許諾者に同一内容の利用許諾を行うもの
排他的利用許諾は、著作権者が特定の被許諾者に対して、当該被許諾者に与えた利用許諾と抵触する許諾を第3者に与えない旨合意して行う利用許諾。但し、あくまで債権的効果のみで第3者に対抗できない。登録制度もないのか?

63条2乃至4項
2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる。
3 第一項の許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない。
4 著作物の放送又は有線放送についての第一項の許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとする。
5 著作物の送信可能化について第1項の許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、第23条第1項(公衆送信権等)の規定は、適用しない。

5.共同著作物の人格権の行使及び共有著作権の行使
64条 共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない。
2 共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない。
3 共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることができる。
4 前項の権利を代表して行使する者の代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

65条 共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下この条において「共有著作権」という。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない。
2 共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。
3 前二項の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、第一項の同意を拒み、又は前項の合意の成立を妨げることができない。


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